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空気猫

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そんなわけで仔狐を飼うことになりました編3



 


まずは餌付けから始めましょう―

古今東西、野生動物を懐かせる常套手段というものが存在する。
「ねえ、お腹空かない?」
カカシは後頭部を掻くと、低い唸り声を上げている狐の子供を置いてキッチンへと向かった。
「おかゆ食う?」
カカシが返事のない相手に向かって喋っているのは何も、酔狂や物寂しさからではない。〝おかゆ〟の単語に子供が顔を上げたからだ。ぱたり、と正直な尻尾が床を叩いた。
「お腹、空いてるデショ?」
ぐぎゅるるーとカカシのものではない腹の虫が、狭いアパートの一室に鳴り響く。先程から、台所でグツグツ煮込んでいたお粥を持って来ると、子供のよだれがぽたぽたと床に落ちて、ただでさえ真ん丸い瞳が目に見えて輝き出した。
「食う?」
自分の分のカップラーメンの蓋を開けつつ、カカシがお粥を掬ったスプーンを差し出すと、子供が警戒をしつつ四つん這いで近付いて来る。その仕草は、まるで野生の獣だ。
「ほら、こっちにおいで?」
窺うようにこちらを見ている子供を、カカシは椅子に座ったまま微笑みを浮かべながら見下ろしていたが、コツコツと窓を叩く鳥に気を取られた瞬間、カカシの前からカップラーメンのパッケージが見事に消えていた。
「………あれぇ?」
見れば、お粥の代わりに出来上がったばかりの湯気の立つカップラーメン(三分間で出来るで有名な便利なあれ)をガツガツと犬喰いで食べている狐の子供がいた。いや、この場合は狐食いか、とバカな考えが思い浮かんで、今考えるべきはそんなことではない、と自分自身にセルフツッコミを入れる。
小憎たらしい狐っ子は箸を使うという選択肢を持っていなかったようで、器を倒し、汁を全て床に零してしまっているからだ。
〝あーあ、汚くしちゃって〟と呆れるも、叱ったところでどうとなるわけでもない。そもそもカカシには子供の叱り方、というものがわからない。
「おーい。カップラーメン、おいしい?」
答えの代わりに、がつがつはぐはぐと咀嚼音だけが響いて、可愛い顔台無し…と頬に芸術的な位置でくっついたナルト巻きを眺めて、カカシは、ぷはっと吹き出した。
―――自分に与えられた食事には手を付けずカカシから奪ったものを食する。
なるほど、頭は悪くないらしい。文句を言いたい気持ちをぐっと堪え、納得すると、カカシは怪我人用に鎮痛剤を混ぜた味気のないお粥を平らげた。さて、この拾った仔狐をどうしたものかなと考えながら。




 
 








 
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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