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空気猫

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―日常編―
お留守番の時間3







「おい、なんか食えや」
その夜からナルトはロクに食べ物を採らなかった。看病をするアスマに心を開くこともせず、水すらも拒否する。もちろん小さな身体は、どんどん衰弱していった。
「食わねぇと死ぬぞ」
ナルトは、カカシ人形を抱き締めたまま、アスマの問い掛けに答えようともしなかった。
「おまえが死んでもカカシは喜ばねぇぞ」
結局、次の日も、また次の日も、食事に手が付けられることはなかった。
「ナルト……?」
カカシが帰宅したのは、予定より遅れて四日目の夜だった。暗部任務だったらしく、暗部服を着たままだ。微かな血臭を漂わせ、左目の写輪眼を晒したまま、カカシは部屋の様子に目を見開く。こんもり盛りあがった布団。そこから飛び出した三角耳と尻尾で蒲団の中の主が誰であるかすぐにわかった。布団の主が発熱していることはすぐにわかった。息が荒いからだ。気配も弱々しい。部屋の様子を見れば、物は散らばり惨憺たる有様。
「アスマ。おまえ、ナルトになんかしたの」
「濡れ衣だ、そりゃ」
丁度、部屋に居たアスマは降伏のポーズを取って、カカシに濡れたタオルを渡す。
「オレの看病は受付けやしねぇ…おまえが四日で帰ってきてくれて助かったぜ」
「は?」
訳が分からないという視線を大量の殺気と共に向けられ、アスマはやれやれとため息を吐く。
「カカシ、あのガキの育て方を少し変えろ。下手したら死ぬぞ。おまえのあとを追ってな」
「カァシ……?」
枕におなざりに乗っかっていた金色の髪の毛が、カカシの声に反応して身動きした。碧い眼が、銀色の人間を認識すると、肌色の足二本が蒲団から飛び出した。
「もう、なうと、悪い子しない。いい子、いい子にするから置いてからないで」
「おまえ…なんでこんなに痩せてるの。ちゃんとご飯食べてた?」
「カァシ、カァシ。ごめんなしゃいー。もうどこにもいかないでぇ」
カカシは自分の腰元に突進してきたナルトを恐る恐る抱き止めた。
「おまえの代わりだとよ。オレの手からじゃぁ飯も食いやしねぇ」
アスマはナルトが飛び出してきた拍子に転がったカカシ人形を顎で杓った。頭の部分から綿が飛び出したカカシ人形は、カカシの上忍服が着せられている。
「アスマの言うこと利かないとだめでしょ?」
「だって、あしゅまはカァシじゃないも……」
か細い腕がカカシの首に巻き付く。ボロボロと涙を流して、両耳はぺったりと頭に張り付き、ぐずぐず言ってるのはきっと鼻水だろうが…
「……ナルト」
肩に食い込む小さな爪先の感触に、カカシは。
「ごめんね」
「カカシ…」
「うん、わかってる。ちゃんと言い聞かせるよ」
「たく。いいか。こいつは危なく死ぬとこだったんだぞ?」
「わかってる…。わかってるよ…」
アスマはその夜、カカシとナルトの関係に危惧を感じてそう言った。



後日、カカシはわりと真面目な顔でナルトの前に立つとこほんこほん咳払いしてから、こんなことを言った。
「アスマはオレの代理なんだから、言うことをきくこと。わかる?」
「あしゅまの…」
「そ。オレがいない時はね?」
「……カァシ、なうとがいい子で待ってたらちゃんと帰って来る?」
「ナルトがいい子で待っていてくれたらちゃんと帰って来るよ」
「……うん」
ナルトは目の前に出された皿を睨みつけながら、野菜炒めにフォークを突き立てた。カカシは隣でにこにこしながら、そんなナルトを見守っている。
「ふぐう………」
最後のニンジンを飲み込んで、ナルトはカラになった皿をカカシに見せた。
「ぜんぶ食べた」
「んー。えらい子」
ナルトは頭を撫ぜられると、耳と尻尾とパタパタとさせて、皿を放り投げてカカシに抱きついた。
「あー…おまえねぇ」
「カァシ、だいしゅき」
ナルトの口の中に飴玉を放り込んでやりながら、カカシはまた床の掃除をしなくてはいけないと、ため息を吐いた。








 







 

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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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