空気猫
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お隣のカカシさんシリーズ第4弾。出稼ぎのカカシさん。
ナルトは出てきません。タイトルは適当です。
ナルトは出てきません。タイトルは適当です。
超妄想K氏の苦悩と葛藤
最近なんとなくツイていないことが続いている。頑張っているのに、報われない。やること成すことが全部悪い方に向かっていて、もういっそ何もしない方がいいのではないかというくらいで、自動販売機で缶コーヒーを買おうとしたら売り切れていたり、ホットを買ったつもりでホットではなかったり、電車から降りた瞬間どしゃぶりの雨に打たれたり、日常の中の些細なマイナスが積み重なると結構堪えるもんだ。
極めつけ、つい一昨日携帯を紛失してしまった。疫病神か何かに祟られているのだろうか、と思ってしまう。
オレは、通りに立ってアンケート調査をしていた。何故、いち会社員であるオレがこんなアルバイトまがいの事をしていると、複雑な事情があるのかと言えばまったく全然そんなことはなく、博打で大負けした上司が腹いせにパソコンを殴って今までアルバイトが集計したデータを飛ばしてしまったからに他ならない。
そのアンケートというのは某大物政治家に対する国民の意識調査というものから、20代女性の連休の過ごし方というものまで、実にどうでも良い類のものばかりだったのだが、データ消失事件のおかげでオレの長期出張は蛇の尾の如く伸びに伸びている。つまりいくら最新機器を使う会社だと言ってもそこで働く人間はアナログから進化出来ないという現実に直面しているのである。いや、これでは論点がズレているか。
まぁ、最近は不況のせいで、木の葉ソーシャルネットワークサービスでもこういった雑用じみた仕事が増えて来ている。
オレから言わせれば、自分以外の人間の物差しばかりで、物事を判断するなんて頂けないな、とアンケートの山を見て思うのだが、世の中はどうも多数決の時代らしいのだ。
「嫌になるね」
とにかくアンケート調査はまったく進まない。大体、個人情報のうるさいこの時代に、簡単に自分の名前や住所を教える人間がいるのだろうか。オレは、バインダーを首から下げたまま項垂れた。
「カカシ先輩。せめてもう少し楽しそうな顔をして下さいよ」
「三十路の男が猫の着ぐるみの横でヘラヘラ笑えるもんじゃないでしょうよ」
「アスマさんを見て下さい。しゃんと立っているじゃないですか」
「あれのどこが…?」
「あ、あれっ。さっきまで真面目に看板を持って立っていたのに!」
オレの横には、黒い猫の着ぐるみを着たテンゾウが居る。向かいの歩道に居るのは、ショッキングピンクのうさぎの着ぐるみに被った猿飛アスマだ。
180センチのショッキングピンクのうさぎが、風俗店の看板のようなものを片手にアンケート調査をしているのは、なかなかシュールな光景だ。
しかしうさぎはどうやら労働疲れを起こしているらしく、アスファルトの地面にヘタり込み、被り物の隙間から器用に煙草を吸っていた。ファンシーなうさぎの中身が髭面の親父だなんて、まるでこの社会の理を表現してるかのようだと思う。
「アスマさん、勝手に休息に入らないで下さいよ~」
「おー、わりぃわりぃ…」
ショッキングピンクのうさぎの片手が上げられる。冬眠を終えた熊の腹の底から響くような低い声に、着ぐるみの近くを通り掛かったピアスやら鎖やらをジャラジャラ吊した若者がぎょっとした様子で、飛び上がった。まったく、あれでは森の可愛いお友達というより、公共道路に立つ凶悪犯だ。あれは、お子様の教育上大丈夫なのだろうか。オレの、けして姿勢が良いとはいえない背中がますます丸まる。
「やってられないよ。ほとんどビルに缶詰状態なんて。ヤクザの企業じゃないんだからさ…」
恋人に、連絡する暇だってありはしない。思わず、はぁ…とため息が出る。
怒っているだろうな、と思う。もしかしたら、連絡を寄こさない男の事などもう忘れられているかもしれない、と思う。携帯電話を無くしただけで、これほど不便だと感じた事など今まで無かった。可愛いあの子は、どこのお空の下なのでしょうか。
約1年前。マンションの廊下で擦れ違った少年にオレは一目惚れした。オレは、縫い止められたように、引っ越し用のダンボール箱を抱えた少年が、自分の部屋の隣の扉の前に立ち、ジーンズのポケットから鍵を取り出すその一挙一動を見守ってしまった。
―――君さ、その部屋に越してきたの?
咄嗟に話し掛けてしまったのは、つい思わず。内心の動揺とは裏腹に声は落ち着いていたと思う。少年は、本を片手に持ったオレを(おそらく少年から見ればオレは猫背でくたびれていて、ちょっと冴えない休日のサラリーマン)驚いたように見た。
目、でっかいなぁ。それが第一印象。都会のスモッグで曇った空では噸とお目に掛かれないようなスカイブルーの瞳。最初はカラーコンタクトても入れているのかと思ったが、どうやら金髪のツンツン頭と同様に地色であるらしい。単純に綺麗な子だと思った。
――オレ、隣に住んでいるはたけカカシ。よろしくね?
――あ、オレってばうずまきナルトです。よろしくお願いしますっ。
私服姿だったが、格好や仕草から、自分よりもかなり年下の少年だという事はすぐにわかった。朝、学制服で飛び出して行く姿を見て、学生なのだと知った。
喋り掛けると、もっと好きになった。あの子と出勤時間が被った日は、なんとなく気分の良い1日を迎えられた。
仲良くなると、色々なことを知ることが出来た。少年は、この春から高校に通うために一人暮らしを始めたのだと笑った。
家族は既に他界しており、天涯孤独の身の上だという。だけど、明るく笑った笑顔が綺麗だと思った。
そして数か月前、オレは我慢出来ずに、自分の部屋に招き寄せた少年を押し倒した。オレから見ればまだまだ未発達な身体を床に転がし、キスをした。暴れられると思ったが、とくに強い抵抗もされず、少年はされるがまま、オレを受け入れた。
それから、オレとナルトはセックスをする関係になった。既にその時、オレとしては、ナルトと付き合っているつもりだったが、どうやらナルトはオレとの関係を、肉体だけのものと勘違いしていたらしく、誤解が解けてからは一層、優しく抱くようになった。
あの子には、少しだけ変わってるところがある。醒めているわけではないのだが、誰かに過剰に期待することもないようだ。だから、その日からオレは溢れるほどの愛情を与えることを心がけるようになった。抱き合う事で、少しでも距離が縮まるなら、とセックスを飽くことなく行った。
抱き締めると、見た目より華奢な骨格は、雄であるオレの欲望をそそる。服を脱がせると、あまり発育が宜しくない少年の身体は、肋骨が浮いていて、一個一個、舌でなぞるとオレに縋るみたいに抱き付く。
息を吐き出して波打つ腹筋。セックスをする時にオレとナルトの間に出来た、空間。お互いに背中を丸めて少し苦しい姿勢。最近の子はカップラーメンばかり食べてるから、ひょろひょろなんだと思う。ま、冷蔵庫に水くらいしか入ってないオレも似たようなものだけどさ。だけど、あんまり細っこいと、オレのアレを挿れてる時に、アンアン言ってるあの子が、可哀相になるから、もう少し栄養を付けさせてやりたい。野菜を持っていくと、凄くぶさいくな顔で嫌がるんだけどね。
今は、そんな表情すら懐かしい。最初は快感を得られないだろうと思った男同士の行為は、うっかりすると一晩に何度もあの子を抱いてしまうくらい気持ち良く、身体の相性というものは、確かにあるのだろうが、オレとナルトの相性は最高だった。何度、絶頂に達しても、まだ足りない、と思う。最後は言葉さえも、
「…輩」
ああ、またナルトの身体を抱きたいな。休みの日に、昼間までシーツに包まってさ。
「カカシ先輩―…」
細い身体を抱き締めると、最近では顔を寄せて来てくれるようになった。小さな進歩。小さな変化だったのに。オレが、幸せってものを教えてあげようと思った矢先だったのに。
「あ…っ。もしもし、綱手社長。お疲れ様です。あ、はい。アンケート調査は順調です。はい、はい、今日の夕方中には必ず…」
はぁーー…。
「カカシ先輩。カノジョと逢えないからってやさぐれないで下さいよ~」
正確には〝カノジョ〟ではないのだが…ま、いいでしょ。
「もぉー…、この人、全然使いものにならない」
しゃがみ込んだまま、空を上げれば、まぁまぁ合格点と言える青空。だけど、オレはもっと綺麗な碧に憧れる。雑踏、騒音、人ごみ、クラクション、渋滞、スモッグ、島国社会、腐敗臭。とりあえず、アンケート調査は進まない。
カカシさんはこの1週間後、出張から帰還します。
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ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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