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空気猫

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そんなわけでスレスレ第二弾です。教師ぶる変態。







犬は犬らしくしていろ

「巻物は十分楽しめた?それじゃあ、次は野菜でも食べてみようか?」
「おまえ…、今日はこれだけくれるために来たんだろ…?」
「あのねぇ。オレは一応、教師としてこの家に来ているわけ。ナルトの体調管理を気遣ってあげるのもオレの仕事なの。なんのために八百屋で新鮮な野菜を買って来たと思ってるの?」
「絶っ対、やだ!!野菜なんか、食わなくてもオレは生きていける!!」
「だーめ。好きなことのあとには苦手なこともしないと、立派な大人になれないでしょ?」
カカシが秘伝の巻物と一緒に持って来た籠に大盛りの野菜たち。その山を見て、ナルトは露骨に嫌そうな顔をした。何を隠そう、裏のナルトも大の野菜嫌いであった。
ついでに甘党であるし、お汁粉缶が一等好きであることも表で公表しているのと変わらず一緒。暗部任務後に自販機で買い与えるなどすると、満更でもなさそうな顔をして缶を啜る。ナルトの貴重な笑顔を見たいがために、カカシは何度も貢いでいるのでこれは正確な情報だ。
「好き嫌いばっかしていると、いつまで経っても可愛いサイズのままだよ」
「誰が可愛いサイズだ!オレは野菜なんか食わなくてもちゃんと努力してるから大丈夫だ!」
カカシの手の中から、ナルトは影分身を使って逃げ出そうとする。そんなナルトをすかさずカカシは壁際に追い詰める。流石は最高クラスの忍の攻防だ。だが、漂っている雰囲気も真剣そのもののはずなのに、恰好が付かないのはどうしてだろうか。
「ほぉ。いったい、どんな努力をしているのかな、ナルトくんは?」
「毎日、牛乳飲んでる…」
「ほほぅ…」
自分の前に立ちはだかるカカシを前に、ナルトは気まずそうに視線を反らす。これでは暗部の同僚同士の会話というより、聞き分けのない子供を叱る親の図のようだ。
「実力行使」
「ぎゃーーっ」
とても、里屈指の実力を持っている忍とは思えない悲鳴を上げて、ナルトは足をバタつかせてカカシに抵抗する。しかし、いくらナルトとはいえ、上忍相手に首に腕を回されて拘束されては、どうしようもない。
「カカシ。本っ当に、無理なんだってってば。青臭くて食えねえって言ってるじゃんっ。やだ、やめろってば。お願いだから!カカシ!」
「そんなことばっかり言って、また一ヶ月間、携帯食料だけで過ごすことをオレが許すとでも?」
「あれは、任務が続いて忙しくって、ちょっと油断しただけであって、毎回は…してねぇよ、たぶん」
「〝たぶん〟?やっぱりね。信用できない」
裏のナルトは口が達者で人を寄せつけない性格なので、表で演じている時すらも上手く頭を回転させて保護や世話を跳ねのけてきたに違いない。それで、出来あがったのが同年代の子供の平均を下回る貧弱な身体なわけで。女の子のサクラより小さいってどういうことなのよ、とはカカシの言い分。
ただでさえ夜間の暗部任務は発育盛りの子供の睡眠の妨げになっている。このままではいざという時にどこぞかの悪漢に押し倒されてしまう、可愛いから。と、この時のカカシは使命感に燃えていた。
実際、ナルトは自分ではしっかり者のつもりでも、どこか抜けたところがある。「表のナルト」とは別の意味での天然なのだ。
というか、基本的にお人好しなんだよねぇ、この子、とカカシはため息を吐く。
油断したところをガバ!だなんてかなり笑えないだろう。ちなみにカカシは自分が、「どこぞかの悪漢」が自分に当て嵌まることも、自分がナルトをロストバージンさせることにも一点の疑問も抱いていない。まったく恐ろしい男である。
カカシはナルトの鼻を摘まみ上げると、食べやすいようスティック状に切られたニンジンを無理矢理突っ込んだ。
「ふぐ。んむぅ…」
口を開けなければ、呼吸が出来ないために、ナルトは野菜を口に含む。途端、口に広がった独特の風味に、ナルトの涙腺は弛んだ。
「やだ、無理だって。カカシィ…」
珍しくナルトは目の前の大人に甘えた。余程、野菜を食べるのが嫌らしい。目尻に涙を溜めて、いやだいやだと駄々を捏ね始めたナルトを見降ろして、カカシは目を見開いた。
「カカシ。もぉ、やめて…」
身を捩るナルト。普段は強気なナルトが、自分の手の下で、ぎゅっと目を瞑り、真っ赤にさせて、ふるふると小刻みに震えている。思わずカカシは持っていた野菜を少しだけナルトの喉の奥に差し込んだ。
「んふっ」
可愛い!!オレ、どうにかなりそうです、神様ーーーっ!!途端に、カカシの頭の上にお花畑が咲いた。キスすらまともにさせて貰えず、お風呂などでその軟肌を覗くことも叶わず、今まで低刺激で生きて来たカカシである。今、無防備なナルトの姿を前に、上忍の頭の血が沸騰する。
「やぁ、苦しい…」
「っ!!!」
ぶつっ。何かが切れる音と共に、ぼたた、と床に赤いシミが転々と落ちる。カカシは口布の辺りを手で抑えながら蹲る。上忍の口布が赤く湿っているのは、傍から見てもよくわかった。
「げほ。ごほごほ…っ」
涙を零しながら、ナルトはカカシの野菜責めから解放される。喉を擦りながら、水を飲むためにコップを手に取ったナルトだが、
「な、なんだ。カカシ…」
そこには、偶然のナルトの痴態に、鼻血を垂らしたカカシの姿。ハァハァ…と息を荒くして前屈みになっている上忍、もといショタコン教師。
ふつふつとした怒りと共に、ぶわっとナルトのツンツン頭が総毛立つ。
「何、股間を膨らましてやがる。このど変態がぁああっ!!」
ナルトの渾身の一撃が、カカシを直撃して、下忍しか居ないはずのアパートから、箒頭の上忍が窓を割って飛び出した。ずべしゃ、と嫌な音を立てて大人が子供の家の路地裏に落下したが、致仕方がない結果であろう。










 
 
 





 
でも、しばらくの間カカシさんはこのナルトさんの顔をおかずに幸せな夜を過ごしたと思います。
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自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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