「ひゃっほぉー。海に1番乗りだぜーー!」
犬塚キバは白い水面が波間、一直線に駆けて行ったかと思うと、太陽をバックに、海の中にダイブした。その後に、忍犬の赤丸も続く。乾いた砂浜に、飲料水の缶が太陽の光に反射して、水滴を垂らしている。先頭を切った短髪の少年に続き、少年少女の賑やかなざわめきが、今は潰れてしまった海水浴場に近付いて来る。海岸に他の人間の姿はなく、いわゆる穴場と呼ばれるビーチだ。
「ちょっとぉ、荷物を出すのくらい手伝いなさいよぉ」
「馬鹿ねぇ」
「キバくん……」
山中イノが、ビニールバックや手荷物を砂浜に置きながら、呆れ返り、春野サクラが軽蔑した視線を送り、日向ヒナタが恥ずかしそうに俯いた。
「ずりぃ、あいつ。オレも、キバに続くってばよ!!」
犬使いの少年に先を越されて、ブゥたれたのはうずまきナルトだ。例の半袖短パンの私服姿で、逸早く海に飛び込んだ友人に続こうとする。
「こら、待ちなさい。ナルト」
そして、今にも海に向かって駆け出しそうなナルトの首根っこを引っ掴んだのは、今回の海水浴の〝保護者〟であるアカデミー教師うみのイルカだった。
「まったく、おまえという奴は。海には準備体操をしてから入らないとだめだぞ!」
「えええー。んなの、今どきアカデミー生だって、やってねえってばよ。オレってばもうガキじゃねえんだからな。16歳!」
「だめだ。だめだ。いいか、ちゃーんと身体を解してから入らないと足を攣るんだぞ」
イルカのお説教が始まり「なんで、オレばっかり」とブツブツと文句を垂れて落胆するナルトの頭に、シカマルが「面倒臭せぇこと言ってねぇで、さっさと着替えるぞ」と手を置く。
「シカマルは最近、ますますアスマ先生に似て来たよな」
「ばっか。オレはそこまでオッサンじゃねぇよ」
そこでナルトは、ニシシと笑う。
「へへーん。オレってば、もう下に海パンを履いて来たもんねー。あとは脱いで飛び込むだけ―!!」
ナルトが得意気に胸を反らした時、クーラーボックスを横掛けにした大人の懐に金髪のふわふわ頭がコテンと乗った。
「おまえねぇ。気を付けなさいよ」
「あっ。ごめんってば、カカシ先生。サンキュ!」
謝りながら豪快に服を脱ぎ出したナルトに、カカシはため息して、そのまま手慣れた動作で少年のTシャツを脱がしてやる。
「おまえね、場所を考えて服を脱ぎなさい」
「んー、あー…」
「まったく。こんなことになると思ったよ。だからオレの言った通り先に家で海パン履いて来て正解デショ」
「おう」
「ほら、あっちの店仕舞いしている海の家で下も脱いできなさいよ?」
「………」
「………」
少しだけ、怪しい空気を醸し出した二人に、木の葉の里、同期の子供たちの口がまるで砂利を噛んだような表情になる。大人の名前は、はたけカカシ。海水浴の〝引率者〟だ。
「あの人、絶対あいつの生着替えを見せたくかなったんだぜ…」
「それも念入りに水着まで装着させて。ナルトのなんかアカデミー時代にいやってほどみてるっつうの」
「本にはそれは〝嫉妬〟と呼ぶのだと書いてありました。まさか男同士でも当て嵌まるとは」
シカマルが呟くと、海から上がって来たキバが同意して、サイが生真面目にまとめた。少年等の会話を尻目に、カカシは、ビーチパラソルの下で折り畳み式の椅子に越し掛けると愛読書のイチャイチャパラダイスを開き、そのまま読書を始めた。
「カカシ先生は海に入らねぇのかよ」
「生憎、オレは海ではしゃぐような年齢でもないんでねぇ」
「ちぇ。つまんねぇってばよ」
唇を尖らせたナルトに「いいから、遊んで来なさい」とカカシは笑みを零した。金髪の頭をくしゃっと撫でると、同じくらいくしゃっとした顔のナルトは微笑んで「行って来るってばよ」と砂浜を駆けて行った。
キャーキャー、という少女たちのはしゃぎ声。ワーワー、と騒いでいるのは少年たちだ。少年たちは、浜辺でビーチフラッグをしているらしく、キバが先頭を切り、あとにチョウジ、リーと続く。
常から夜の任務が多い暗部出身の上忍と言えば、元から色素の薄い体質も手伝って、死人のように不健康な肌色だったが、ビーチパラソルの下でそれなりに海を満喫しているらしい。そう、彼は大人の楽しみを見出していた。
「んー…。これは、なかなか、目の保養になるというか、美味しい光景だな…」
焼けるように眩しい太陽の下、寄せては返す波音、透けるような青空と、笑顔の――ナルト。最高の組み合わせである。
「カカシ先生―!」
(可愛いねぇ。オレのこと気にしちゃって)
どうやらナルトはカカシにも海に入って欲しいらしく、先ほどから何度もちらりちらりと視線を送ってくる。おそらくカカシと一緒に遊びたいのだろう。それなのに、カカシが本に構い切りなものだから、不満なのだ。16歳とは言ってもそこら辺はまだまだ子供だ。
「なぁ、海。すっげー気持ち良いってばよ。先生も来いってばよ!」
(こら。こら。今、先生だけだと二人いるデショ)
ナルトの背後に居る、アカデミー教師の存在にため息しつつカカシは、イチャパラ越しに、可愛い恋人が自分に向かって微笑み掛けているというアングルに目を細めた。もちろん、イチャパラ本で顔のほとんどを隠しているので、傍目には弛んだ口元の変化など気付かれないだろう。
「こら、ナルト。カカシ先生をあんまり困らせちゃいかんぞ。すいません、カカシさん」
「いえいえ…、そんな迷惑だなんて。まったくないですよ」
「まったく」に露骨でないにしても聞く人が聞けばわかる程度に力を込めて、カカシはうみのイルカに人工的な笑みを返す。そんな上忍の態度をどう思っているのか、うみのイルカは、人畜無害な笑みを浮かべて頬を掻いていた。
(―――まったく。火影様も、オレのことを信用していないよねぇ)
ナルトが、大事に思われているのは良いことだが、過保護過ぎるのも問題だ。というか面倒である。
今年の夏、木の葉の子供たちで、海水浴に行くという話が持ち上がり、シカマルを参謀役に2週間後全員の予定が開く日が1日だけだが出来た。そこで、五代目火影に休暇を出願したところ、彼女は度重なる任務の慰労を含めて快く快諾したのだが、子供たちが海水浴に行くには引率者が必要ということになった。10代とはいえ、忍里で育った子供たちである。今更大人の監視の目が必要かと疑問が上がるところであるが、彼等の中に〝うずまきナルト〟が居たため、大人、それも手練な能力を持つ上忍が必要となった。他里やナルトを追け狙う暁の存在があるためである。
そして、そうした任務に最も適切な人物がただ一人だけ居た。写輪眼の持ち主にして、コピー忍者のはたけカカシである。また、件の少年と只ならぬ仲(五代目火影はあまり二人の仲をよく思ってないのだが)であることも考慮され、一見ビーチが最も似合わない男が引率者として選ばれたのだった。
しかし、である。海水浴、当日。不自然なくらい詐欺臭いニコニコとした笑みで執務机の前に立った銀髪の男を見て、五代目火影の不快度指数は今年の夏の湿気を上回るほどには上昇した。
「カカシ。わたしは、どうもおまえが信用ならなくてねぇ。そこでもう1人引率者とは別に、あの子等に〝保護者〟を付けることにした」
「保護者、ですか」
「そうだ、打って付けの人物が一人居るであろう。子供からも好かれ人望のある男がねぇ」
「保護者」という単語に、嫌というほど当て嵌まる人物を思い出し、カカシは口布越しに若干口元を引き攣らせたが、かろうじてポーカーフェイスを留めることに成功した。
「恐れながら、五代目。既に上忍に昇格した子供たちも居る中、これ以上無用な人件を割くのは無用かと思いますが」
「納得がいかないようなら、わたし自身が保護者として海に行ってもいいんだよ。なにしろ、わたしは〝あの子〟の後継人だからね」
「……。……失礼致しました、火影様」
グラビアイドルも真っ青なボンキュンボンでセクシーな水着に身を包んだ里長の姿を想像して、カカシはガックリと項垂れた。ついでにどこぞのベストセラー作家が取材と称して浮輪と共にプカプカと波間に浮かんでいる映像付きでだ。
「よし、文句はないね。では、中忍うみのイルカ。ここに参れ」
「はっ」と短い応答があり、ドアから入って来た人物を見れば案の定。中忍認定試験以来犬猿の仲になった、とカカシが一方的に思っている人物が居た。おそらく向こうも自分を苦手としていることであろうが。
「イルカ。こいつが、余計なことをしないように曇りのない瞳でよーく見張っておいておくれ」
「はぁ?」
意味を量り兼ねると言った感じでうみのイルカが頷き、ついで猫背気味の上忍の姿に気付いてひょいと頭を下げる。中間管理職のサガなのか、彼が律儀であるか判断し兼ねるが、「ナルトと海水浴でパラダイス」なんて年甲斐もなくイケナイ妄想をしていた銀髪の大人はバツが悪そうに、恋人の元恩師に対して会釈した。とんだ、お目付け役が付けられたものだ。下手にこの男を怒らせれば、五代目にカカシの素行がバレるだけではなく、恋人の――ナルト自身にも大目玉を喰らう可能性があるわけである。
そのような課程を経て、今回の海水浴は木の葉ティーンズと、引率者・保護者同伴という何ともへんてこな編成で行われることになったのである。
「ぷはー、生き返るってばぁ」
飲料水を一缶あっという間に飲み干して、ナルトは椅子に腰掛けるカカシの傍でノビた。そして、カカシからゆったりとしたサイズのパーカーを借りると、そのまま足を投げ出した。
遠くでは、リーとネジが組み手を、イノがトラ柄の水着を披露して、サクラはどこかに遠出したようだ。青空にカモメが、1羽、2羽、3羽と飛んでいる。
「なぁなぁ、カカシ先生も荷物番なんてしてねぇで、海で遊ぼうぜ。どうせ、この浜辺にはほとんどオレたちしかいねぇんだろ?」
「おまえねぇ、さっきも言ったでしょ。年寄りに無理させないでよ」
腕をくいくいっと引っ張る少年に苦笑しつつ、カカシは重い腰をいつまでもあげようとしない。ナルトはわかりやすく唇を尖らす。
「カカシ先生もさぁ、少しは日焼けをするべきだってば。ちょっとくらい焼いた方がいいってばよ。カカシ先生ってば、白過ぎ」
「紫外線は肌に大敵なんだぞ、ナルト」
「カカシ先生が気にするタチかよ。どうせ、無駄な体力使いたくねぇだけなんだ。ずっりぃの」
「お。オレのこと、わかってるんでしょ」
褒めれれてもまったく嬉しくないという顔で体育座りを始めたナルトに苦笑して、カカシは手元の本に目を落とす。
「ちぇ。つっまんねぇの」
「おまえ一人で楽しんでくればいいでしょ」
「カカシ先生と、オレはカカシ先生と遊びたいんだってば!」
「わかんないかなぁ、この微妙且つ重大な違いがさぁ」とでも言いたげに、ナルトは例の可愛らしいとは言い難い糸目になるので、カカシは思わず吹き出した。
「笑うなってばよ」
「くくく。ごめん、ごめん」
背中を小刻みに揺らしながら、カカシはひとしきり笑ったあと、ふと視線を上げた。そこには地元の青年らしい一団が4人ほど居た。何故わかったかというと、これでもかというくらい真っ黒に日焼けをしているからだ。毎日、海に来ていない限りこうはならないだろう。海の水で色素が茶色くなった青年等は、「いいからおまえが話し掛けて来いよ」だの「じゃんけんしようぜ」などと囁き合いつつきあっている。
訝しんでいると、どうやら代表が決まったらしく、こんがり日に焼けた青年の一人がカカシとナルトの前に立った。ナルトも訝しそうに、碧い瞳で青年を見上げる。
「あのさ、きみ。可愛いよね。ここら辺の子じゃないだろ?」
「……へ?」
「目、おっきいよね。髪の毛も金髪でサラサラだし。よく可愛いって言われるでしょ?」
「………」
ナルトは戸惑ったように、カカシの方を仰ぎ見た。しかしカカシの顔に答えが書いているわけもない。ナルトは己の上体を隠してるパーカーと青年等と見比べながら、
「あのさ。オレってばオトコ、なんだけど」
げんなりとした調子で言うと、少年等が一斉に「え!」と驚いた。
「女の子じゃないの!?」
露骨にビックリしましたというポーズをとる青年に、
「オレってば生まれてからこの方16年、男の中の男!なんなら証拠見るってば!?」
ナルトはそれはもう気持ち良いくらいキレた。ナルトを、金髪碧眼のショートカットの少女だと思ってた青年等はまたしても「え!?」と驚いた様子だった。大股開き担架を切ったナルトは、もちろんそんなことには気付かない。どうやら、パーカーを着ていたとはいえ女子陣より前にナンパをされたことが相当屈辱的だったらしい。キィキィ怒る様は男らしいというより、傍目には可愛らしく映るのだが、やはりそれにも気付かない。だから、見兼ねたカカシが仲裁に入るしかなかった。
「はい。はい。そこまで」
「カカシ先生!」
「――ナルト。無暗に一般人に喧嘩を売らない」
「う」
暗に忍者足るものという意味を含められ、ナルトは耳まで顔を赤くした。
「きみたちも、ごめんね。この子は見ての通り立派な男の子だから、これ以上ちょっかいを掛けないであげてね」
やんわりと青年等をいなし、縮こまったナルトを引き寄せてヨシヨシと頭を撫でてやる。
「もう。先生、恥ずかしいことやめろよっ」
ナルトがむくれるが、カカシはお構いなしに撫で続ける。そんな「教師」と「生徒」の間柄を青年等は、若干異物感があるように半ば呆然と見守っていたが、キッと睨みつけて来る碧に魅入られる。
「あのさ、きみたちいつまでいるつもり?」
「あっ!」
「その…」
「ええと、すいません。貴方は引率の先生ですよね」
「うーん。そうだけどねぇ…」
「違うんですか」
「人によって捉え方も違うだろうけど…」
カカシは、わざと長く考え込むようなふりをして、相手に想像の余地を与えた。青年等が身体を強張らせたところで、
「この子とは特別な関係かな」
にんまりと笑ってナルトを腕の中に引き寄せた。「!!」ナルトがカカシの台詞を追い掛けるように、首を捻った。斜め上には見目が整った大人の顔。
「この子、可愛いでしょ。つまりそういうこと。オレ専用なの。だから、手を出したらだめだよ」
「……!!!」
カカシの言葉に驚いたのは、青年等以上にナルトだった。唖然、といった表現が相応しい。
「すすすすいませんでした!」と青年等は90度に頭を下げて逃げるようにそさくさと去って行ったがもうナルトはそれどころではなかった。
「カカカカカカッッ」
「蚊?」
あまりのことに口が回らない。カカシに押さえ付けられたナルトはバタバタと暴れるが、大人は上忍。縄抜けが得意なナルトが拘束する腕から逃れられるわけもなく、無意味な抵抗をして終わった。「恋人同士だって、周囲にバラしたらだめだって決めたばっかじゃん…」しゅんと仔犬が耳を垂らしたように項垂れたナルトは、仕方なく黙ってカカシの腕に抱かれる形になった。
やがてカカシがパタンと本を閉じた。それだけで、「あれ?」と言ったふうにナルトの瞳が子犬のようにキラキラと輝き出す。カカシはのんびりとした動作で「そうだねぇ」と天頂から少しだけ傾いた太陽を仰ぎ見る。
「まぁ、本当は海には入らないつもりだったんだけどねぇ」
「!」
「そろそろおまえの期待にお応えしようか?」
「マジで。マジで!?それじゃあ、一緒に海入ろうってば!!」
両拳を握り、瞳を輝かせた少年を見下ろしながら、カカシは意地の悪いような、だけど少しだけ良心が咎めているような曖昧な笑みを零して、ぽたりと水滴が滴り落ちる少年の身体に意味ある仕草で指を這わした。
「残念。オレは怒ってるの。おまえ。オレ以外の人間を誑し込んだでしょ。だから、おしおき」
「へ?」
「今からオレに溺れさせてあげる」
「おまえの肌、海水で冷えているくせに、熱っついねぇ…」
保護者であるイルカがほんの少し目を離した隙に煙と共に二人が消えたのは、その直後。
「ほら、それ脱いじゃいなさい?」
「ううう……」
二人はカカシの瞬身により先程の浜から離れた浅瀬の岩陰に居た。
「素直に従った方が酷くしないし、後から辛くないと思うけど?」
ううう、とまたナルトの低い唸り声が聞こえた。次の瞬間、カカシの目の前に恐る恐るといった調子で白い尻が曝け出される。
「何、今からレイプされますって顔になってるの。違うでしょ、恋人のセンセーに気持ち良いおしおきをされちゃうんでしょ?」
「………」
海水パンツを膝の所まで下げたナルトは、背後からの視線が気になるらしく、チラチラと教師の方を振り返っていた。
「ほら、お尻を先生の方に向けなさい?」
「ひ…っ」
カカシは慣れた手つきで白い双房を揉んだ。少年の尻は吸いつくように滑らかな感触で。「ひっ」「ひっ」「んっ」「んっ」とナルトは何かを堪えるように、目の前の岩にしがみついた。
「ご、ごめんなさ。ごめんなさいってばぁ。カカシせんせぇ…っ」
「もう、弱音? 早いよ」
尻を揉まれながらカカシにデモンストレーションのように腰元を何度も押し付けられる。だから、これからどんな行為をするか、十分に理解出来た。想像できるからこそ、カカシの怒りを何とか収めたかったのだが。
「あれぇ、ナルト。もう勃っちゃってるよぉ?」
身体を反転させられ、恥部の状態を指摘され恐る恐る視線を下げれば、太陽の下でナルトのピンク色のペニスは精液を零し、勃ち上がっていた。
「いやらぁ…」
自分のあまりに恥ずかしい状態に、ナルトは頬を桃色に染めて、目を瞑る。
「先生、ナルトのお尻以外触っていないのに、もうエッチな気分になっちゃったの?」
「……う、うっ、うぅ」
涙声でナルトが顔を背けると、「可愛い…」と感動したようなカカシの呟きが漏れた。やがて、カカシの指が一本ナルトの中に侵入して来る。ちゃぷんと波が揺れた。
「―――いっ」
「ああ、ごめん。濡らすの忘れてた。痛かった?」
そう言ってカカシは楽しそうに海水で指を濡らすと、ナルトの怯えた視線を感じながら、指を突き入れた。自然とナルトの背中が撓る。
「ふぅ、ん、ん、ん」
「気持ち良い、ナルト?」
指を押し入れるたびに、己の方に突き出されるナルトのペニスにニヤニヤとした笑みを零しつつカカシが訊ねる。ナルトはすでに快楽に溺れているようだった。
「はぁ、う、ん、ん、んっ」
「ナルトのここ、鳥肌立ってる」
突起部分を虐められ、ナルトは少年にしては甲高い声で啼いた。本来、性感帯である筈のない、ナルトのそこはカカシに揉まれるたび、全身に電流が駆け抜けるような快楽をナルトに齎した。
「ナルトはおっぱいでも感じちゃう悪い子だもんね。ふふふ、女の子みたい」
「……っ」
「はぁ。ぷくんって紅く腫れてきちゃったね。カワイイ…」
感嘆のため息を吐きながら、カカシはナルトの下肢を虐める指のピストン運動を速める。ナルトの呼気が荒くなり、金糸の少年は壮絶な色香を放ち始めた。ごくん、とカカシの喉が垂下される。
「……ほら、ナルト。岩にばかりへばり付いてないで、自分で上下に動いてみなさい。できるでしょ?」
ナルトは、カカシの命令に薄っすらと瞳を開けた。その瞬間、ずぐんっと指を根元まで入れられ苛められる。
「あっ!あぅん!ああぅんっ!!いやぁっ!!」
面白いように反応するナルトにカカシは笑みを深める。そしてカカシはもう一方の手で、少年の突起部分を摘む。
「あっ?はぁ、あああーーっ」
「ほら、気持ち良いでしょ。どんどん、自分で動いてごらん?」
カカシはもう自分では指を動かさないで、ナルトの動きを待っているようだ。ぎゅっと乳首を摘まむと、ナルトが躊躇いがちに上下運動を始めた。
「あぁっ、もういやぁ…」
「どうして。ナルトの男の子の部分から、気持ち良いですって精液が出て来てるよ?」
ナルトはポタポタと涙を零しながらも、きゅっと目を瞑ると静かに首を振ったが、カカシの指を貪欲に呑み込んだ。
「はぁん、はぁ…。あっ」
そのまま口を白痴のように開けながら、ナルトはカカシの指で感じていく。さながらセックスドールのようなナルトの痴態に、カカシは満足したように頷くと、ナルトの指を下肢へと持っていく。
「ナルト。おまえの乳首両方とも可愛がってあげたいから、自分でここを虐めなさい?」
「へ?」
ナルトの頬が真っ赤に火照る。
「あ、でも。カカシ先生。そこは…」
躊躇するナルトを促して、カカシはナルトの人差し指を、普段カカシを受け入れている排泄器官へと導いた。
「あっ!」
つぷりと、音を立ててナルトの指が蕾の中に呑み込まれていく。ナルトは身体を強張らせると、信じられないという目でカカシを見た。
「碧くって大きい目。とけちゃいそ…」
ちゅっと、この日初めてのキスをされて、ナルトは蕩けそうな表情になる。それに、クスリと笑ってカカシはいやらしい行為をナルトに教え込んだ。
「ほら。ねっ、出来るデショ。指をいつも先生がやってるみたいに、動かすんだよ。こうやって…」
「あっ。いやぁ…」
「おまえの指でさ、お尻の穴をぐちゅぐちゅってして。ね、簡単でしょ?」
カカシに無理矢理、突き立てた指を動かされていくうちに、ナルトの身体は快楽を覚えて、ゆるゆると動き出した。
「はぁ、あうんん……っ」
もどかしげにナルトの指が抜き差しされる。カカシはナルトの両乳首を虐めながら、少年の痴態に見蕩れた。
「ほら、もっと深く入れなさい。柔らかく慣らしておかないとあとで大変なのはナルトだよ?」
「ん…、ん、んんあっ」
「そう、そう。物覚えがよくって、いい子…」
夢中になって自身に指を突き入れるナルトの姿を見てカカシは、
「ほら、もう一本入るよ」
続いてナルトの中指を挿入させた。岩陰で啜り泣きのような声が、金髪の少年から上がったが、やがてそれがため息に変わる。
「ん。気持ち良さそ…」
「あっ、あぁっ。カカシ先生っ、もっと奥ぅ…」
潤んだ瞳でナルトはカカシに懇願した。普段、カカシに慣らして貰っているナルトの窪みは、己の指の長さでは満足しなくなっていた。
「だめ。今日はおしおきなんだから。自分でしなさい」
「ふぇ…ぁ」
そう言って、無理矢理根元まで自身の指を押し込まれナルトはイヤイヤと首を振った。
見れば、ナルトのペニスはすでに完勃ち状態だった。ごくん、とカカシの喉が鳴る。
「ナルト…?」
「あぅん、あう、あぅうう…っ!」
ナルトはおねだりが失敗したせいで一心不乱に自慰めいた行為に耽っている。ナルトの指が突き立てられている穴は、すでにグニグニと指が突き入れられるたびに捲れ上がるほど弛んでいた。
「あうんっ」
いきなり大人の力により指を引き抜かれたナルトは放心したようにカカシを見上げた。
「カ、カカシ先生…」
「……―――――」
腰を掴まれ、岩場に顔を押し付けられる。不安そうな声と共にナルトが振り返った瞬間、カカシは己の怒張を突き入れた。押し入ったナルトの中は、柔らかく解けていた。