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空気猫

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日常編迷子の時間






「演習場の奥まで行っちゃいけないよ」とカカシに口やかましく注意されていたことは覚えてる。だけど、どんぐり拾いに夢中になってつい林の奥まで入ってしまったのは精神年齢の低いお子様にありがちなことではあるが、ひよこのポシェットがいっぱいになった時、案の定二つの狐耳を持つ子供は、はっとなって我に返った。
「かしし…」
かかし、と舌足らずな呼び方で飼い主のことを呼んでみるも、甲高い鳴き声の鳥が木陰から飛び立っただけで、ナルトの不安を更に煽る。運の悪いことに今日は一匹も忍犬がナルトに同行していない。カカシに口寄せの術を使う任務が舞い込んだため、本日はカカシ共々里を出ているのだ。
「………あうっ」
ぼろっとナルトの瞳から大粒の涙が流れ落ちた。牙がにょきっと出ている口元を食いしばり、ぐいぐいと涙を拭いて気丈に振る舞おうとするも、現状は完璧な迷子である。
「なうと、つよい子だから泣かないんだってば」
そう言いながら、ボロボロ泣く子狐は、言ってることと行動が矛盾している。しかし、ひと気のない林の中で、それを突っ込む者はいない。その時、茂みが物音を立てた。
「………!!!」
野生の獣だろうか?ナルトは驚きのあまり、2、3歩下がる。カカシがナルトに口を酸っぱくして演習場に近付くな、と言ったのにはわけがある。演習場には演習の際に使用した未回収のトラップが張り巡らされていることが多いからだ。カカシ程度の忍ならば、難なく避けられるものであるが、ナルトはまだ子狐である。罠を避けるなどという芸当が出来るはずもなく、結果飼い主のカカシは過保護になるというわけである。
「ぎゃうう~~!!」
けん、けん、と威嚇の鳴き声を上げて、ナルトは四つん這いで威嚇のポーズを取る。尻尾をぶわりと膨らませ、小さな爪が地面に食い込むほど立てる。ナルトの背後には傍目にはわからないであろうが、落とし穴のトラップがあった。そしてナルトがトラップに嵌りそうになった瞬間。
「―――捕獲、完了」
「あ、う…っ」
宙ぶらりんにされてナルトは驚きのあまり口をあんぐりと開けた。
「随分とちんちくりんな生き物だなぁ」
誰、この兄ちゃん。カカシではない人間だ。〝ちんちくりん〟だなんて、失礼なことを言う人間にナルトはむっとする。
「離せってばっ。なんだ、おまえっ。なうとのこと食べてもおいしくないってばよ~!」
ぎゃんぎゃんわんわん泣き始めたお子様に、猫面の暗部は「ふー」と深いため息を吐いた。暴れ回る子狐を見降ろし、一言。
「ボクは恐怖統治も嫌いじゃないんだよね」
ズモモモと怖い顔をされ、ナルトは静止画のように固まる。三角耳の頂点から尻尾の先っぽまで、恐怖到来。あまりの怖さに少しばかりちびってしまったナルトだった。




「なうとのパンツ~~っ」
ワンワン泣き出したお子様に、猫面の暗部はお手上げ状態だった。耳に人指し指を入れて、耳を塞いで見るも、お子様の泣き声がなくなるわけではない。彼の人生の中で、お子様に接する機会など皆無に等しかったため、対処の仕方がわからなかった。仕方なく俵のように抱き上げ、街中に向かうことにした。
「このままカカシ先輩の家に送り届けるとするか。―――…フフフ、まさかこれほど自然な形でカカシ先輩の家に侵入、いやお邪魔出来る日が来るとは。先輩がペットを飼い始めたと聞いた時は驚いたけど、ボクに訪れたまさに千載一遇のチャンスだ」
「!!おまえ、かかしのしりあいだってば?」
「ん?まぁね。フフフ、ボクとカカシ先輩のめくるめく先輩後輩ライフは一言では語り尽くせないよね」
「な、なうとだって、かかしに絵本読んでもらったり、おふろはいったり、一緒に寝てるってばよ!」
「う゛なんてうらやましい生活をカカシ先輩と…」
ヤマトはお子様相手に嫉妬を滾らせ、頬を盛大に引き攣らせる。ナルトはなんとかヤマトの腕の中から脱出しようと四肢をバタつかせて、宙を泳ぐ。その時、見知ったチャクラが森の中に現れた。
「なんじゃ、ナルトか?」
「ナルト…?」
そこにいたのはパックンを引き連れたカカシだった。どうやら任務帰りらしく、報告書を片手に持っている。
「あ。カカシ先輩!」
「あー。テンゾウ。その…腕の中にいるのって、そのほら…」
カカシ先輩がボクを見つめている!(ヤマトフィルター)思わずヤマトの胸が昂る。
「それ、ナルトかな。うちの子なんだけど…おまえどこで拾ったの」
「はい。森の中で迷子になっていたので、ボクが保護しておきました!」
ハキハキと答えた後輩暗部にカカシは「そうなんだ…。ありがとう」と礼を言った。それだけでヤマトは天にも昇る気持ちである。ヤマトに俵抱きされたままのナルトは、ひっぐ、ひっぐと嗚咽交じりに泣いていた。
「かかしー。かかしー。だっこぉ…」
わぁあああ!!と泣きじゃくって己の首元にしがみ付いて来たナルトを抱きとめ、カカシは眉の根を寄せた。
「ナルト。森の中に入っちゃいけないって行ったデショ?」
「うぁあああん。ごめんなしゃいってば」
カカシは丸まったナルトの背中をぽんぽんと叩いた。



「なうとのほうがこーんくらいかかしのことしゅきなんだってば!」
「ははは。それじゃあ、ボクもこれだけだね」
テンゾウが腕を振る。ゴゴゴゴ、と落ち葉の中、第一回カカシ争奪戦が繰り広げられていた。燃え盛る炎と共にライバルの手強さに、ナルトは口をひん曲げる。
「な、なうとだって、こんなにこーーーんな、だってばよ!」
「ボクはその倍ね」
驚愕でナルトの瞳が大きく見開かれる。どちらがカカシのことを好きなのか対決に負けてしまったナルトの瞳にみるみると大粒の涙が溜った。
「なう…との、かかしだも…!兄ちゃんなんか、腐った牛乳飲んでおなかこわしちゃえってばぁああうぁあああん」
拾ったどんぐりをシュビシュビ音を立ててヤマトに投げつけるナルト。対するヤマトと言えば、かったるそうに頭を掻きながらも子狐相手の攻撃を避けていた。両者の喧嘩は次第に苛烈になっていく。
「あの二人仲良いよね…。あーあ、ちょっと妬けちゃうな。ナルト、いつのまにあんなにテンゾウに懐いたんだか」
「なんじゃカカシ。気付いておらぬのか。おぬしをとり合っておるのだろう」
「そ……なの?」
「おぬし、鈍いにもほどがあるぞ?」
後輩とペットの仔狐の争いを余所に、相棒のパックンと切り株に腰を下ろしたカカシは、手を擦り合わせると肌寒くなった空を見上げた。
















ナ ル ト と 愉 快 な 仲 間 に ヤ マ ト 隊 長 が 加 わ っ た(電子音)
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無題

可愛い仔狐ナルトにキュンキュンきてます。

演習場のトラップも、仔狐ナルトなら野生の血で避ける事が出来そうな気もしますが、飼い狐になっちゃった今では鈍っちゃったか?…でも、これも可かもv

ナルトとカカシを取り合うテンゾウの大人気のなさも笑えます。
是非テンゾウの出番を増やしてくださいまし。
…つーか、16才になった若狐ナルトと絡んでくれると楽しいカモv

続きを楽しみにしてまーす(^-^)
URL 2011/04/17(Sun)22:05:28 編集
(=ФωФ=)
「マジでこれでいいのか否か」と書いてる人の意識が半分飛びそうになってる状態でいつも更新なペットライフなのですが、お楽しみ頂けて何よりです笑。ドベっ子な仔狐ナルトですが、16歳verは常々書きたいと思ってる話です。頑張ろう自分。テンゾウも頑張ろう笑。それではコメントありがとうございました。
空気猫  2011/04/18(Mon)23:55:54
空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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