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空気猫

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ハッピーライフ編―16歳ver







ダダダダダと何かが自宅アパートの階段をかけ上って来る音がした。この場合、その何かとは彼のペットの足音に決まってる。ぴんと立った三角耳、しなやかな尻尾、以前より広くなった歩幅。
「カカシ先生、オレってばカカシ先生のお嫁さんになるんだってばー!!」
帰宅した途端、重大な発表でもするかのように叫んだ狐耳の少年に、はたけカカシは呑んでいたお茶を盛大に吹き出した。誰だ。またうちのペットにロクでもないことを教えた輩は!!
吹き零したお茶を気管に詰まらせ咽ながら、はたけカカシは見知らぬ誰かを大いに罵った。
「ナルト。いったい全体どうして出かけて帰って来たらそうなっちゃうわけ?」
「へへへー。オレってば、もうなんでも知ってるんだってばよ!」
この子の行動が多少不思議ちゃんであることはもう知っている。ついでに頭のデキが多少可愛いことも周知の事実だ。
「カカシ先生。オレとカカシ先生ってば同棲3年目だからもう結婚だってサイって奴が言ってたってばよ」
本にも書いてあるから正しいんだってばよ!と意気込んで報告してくる三角耳の少年を、さてどうしたものかとカカシは考えあぐねる。
「アスマも、〝そりゃ、カカシもそろそろ決断しなきゃかいしょーなしって奴だな〟って言ってたってば!カカシ先生、かいしょーなしってなんだ!?くえるのか!?」
「ははぁ、ほぉ…原因はよぉくわかったよ」
三角耳の上に疑問符を三つほど浮かべるナルトの頭を擦りつつ、カカシはゆらぁと立ちあがる。ナルトはそれにぷらーんとぶら下がるとニシシと笑った。
「………」
無邪気な笑みを浮かべるナルトに、カカシは頬を引っ掻いたあと、外出するのを止めにしてその横に座った。横に並ぶとふさりとふかふかで毛並みの良い尻尾がカカシの鼻先を掠める。
「なんだってば。カカシ先生?」
「んーんなんでもない」
ナルトの尾は一本、二本、三本と増えて行き、最終的には九本になるらしい。本当のことを言うとナルトはペットとして飼うような生き物ではない。古い文献でいう九尾という生物である。しかし、「ラーメン、ラーメン」と日に三度催促し、くぁあと二本の牙を剥き出しにしてあくびを掻いている三角耳と尻尾付きの少年の姿を見ていると、おまえ、本当に人間に恐れられた伝説の種族なの?と思わないでもない。どう見ても野生の獣というよりは、腹を出して寝る室内犬に近いだろう。
「ねぇ、ナルト、オレたちがご近所さんからなんて呼ばれてるか知ってる?」
「知らないってば」
カカシの膝の上にでーんと乗っかったナルトは満足そうに寛いでいる。身体が成長しても、気持ちは子供の頃と変わらないらしく、ナルトのお気に入りの場所はカカシの膝の上だ。
「飼い主とペット。ま、そのままだけど、少し複雑だよねぇ」
「んーむぐぐぐ」
そのうえおまけにカカシの指を齧る噛み癖だけは治らない。今日もナルトはカカシの指をベトベトにして遊んでいる。
「今晩は久しぶりにイチャイチャしよっか。ナルトはもうなんでも知ってるもんね~??」
「!!し、しらねぇっ。せんせぇのえっち!」
そう言いながらもナルトの尻尾は左右に激しく振れている。言葉と裏腹の態度は、素直になれないけど甘えたいのサイン。
(本っ当にわかりやすい子だよね…)
もっともそんな感情表現が豊かなナルトだからこそ、カカシのように器用とは言えない人間と付き合っていれるのかもしれない。
「あ、サスケに〝カカシが嫌になったらいつでもウチに来い〟って言われたってば」
「……あいつ、上司の恋人に対して堂々と…いっぺんシメるかな」
カカシはぼそりと低い声を出し、ついでぎょっと己の膝上の少年を見下ろす。そこにはカカシの独り言を三角耳で聞き付けたキラキラと瞳を輝かせたナルトがいた。一瞬、面倒なことになりそうだとうんざりしたカカシの予想はやっぱりというか百発百中であった。
「カカシ先生、カカシ先生それってばしっとぉ!?」
昼ドラの匂いを嗅ぎつけた元子狐の興奮は計り知れなかった。
「一人の男を巡る女同士の争いはドロドロしてるんだってばよー!」
「おまえねーテレビに影響され過ぎ」
バタバタ暴れる三角耳付きの少年にカカシは片肘を突きながら、少年の頭を撫でる。
「ししし。カカシ先生、だぁいすきーっ」
「痛いよ、ナルト…」
自分に伸し掛かって来るペットによって、カカシの視界は天井から真っ逆さまに急降下して、床に着地コース。視界の端に、パタパタと左右に振れる尻尾が見える。そんなわけで今日もはたけカカシは彼のペットと幸せに暮らしているのである。












 
 
 


お馬鹿で平和な飼い主とペットの生活でお送りしました
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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