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空気猫

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この小連載はカカシ先生がセーラー服を脱がすまで続きます。  


 
つまり人間というのは、非常に厄介な生物なのだ。
「科学における実験は仮説に基づく実験だってことはおまえにもわかるでしょ?仮説と確証するために実験する。従って科学においては仮説を定立することが、極めて重要なことなんだ。
だから、発想法とは事実を究明しそれを説明し得る理論を考案することを言うんだよ。つまり大前提として、全ての人間は死すべきものである、というものがある。そして小前提としてソクラテスは人間である、というものがある。よって結論はソクラテスは死すべきものであるということになるわけだ」
放課後のアカデミー。誰も居なくなったはずの教室で、数学教師と金髪頭の生徒が向かい合って座っていた。
ナルトは机の上に突っ伏して、教師の言葉に耳を傾けているのか、頭を悩ましているのか、とにかく低い唸り声を上げている。
一方で、銀髪頭の教師の方は頭を抱えている生徒に、優しげな視線をそっと落としていた。口から出てくる言葉とは裏腹に。
「さて、思考する人間には四つの偏見が降り掛ると歴史の先人たちは教えてくれている。種のイドラ、市場のイドラ、洞窟のイドラ、劇場のイドラだ。
種のイドラは人類一般に共通している誤りのことをいう。市場のイドラは言葉から生まれる偏見を示している。洞窟のイドラは有名だな。狭い洞窟の中から世界を見ているかのように個人の視野が固有の性格や教育で狭窄しがちなことを示している。劇場のイドラは思想家たちの思想や学説によって生じる誤りだ。口の上手い奴には騙されるなってこと」
「う、うん…?」
「つまりこの場合、何が言いたいのかというとオレはおまえが好きなんだけど偏見とか先入観に捕らわれず、オレのことをどう思っているのかを教えて欲しい」
「っ!」
「今のオレたちの立場を説明するとね、同性愛、年の差、教師と生徒、たくさんの偏見がある。だけど、そんなことを抜きにしておまえが好きなんだ」
ナルトは、カカシの言葉に再び唸り声を上げて机に突っ伏した。ナールト、顔を上げて?と甘い声色と共に少年の金糸に指が絡められた。それは普段、教室や職員室で出すカカシの声とはまったく違うもので、ナルトを戸惑わせるに十分なものであった。
そう、なぜ少年が今こうも頭を悩ましているかというと、ことの発端は小一時間ほど前に遡る。
ホームルームが終わった時、ナルトは担任の教師から呼び出された。数学教科担当の彼の名前ははたけカカシ。またテストで赤点でも取ったのだろうかと、ナルトはスポーツバックを肩に掛けたところで降ろして、カカシの指示に従って放課後の教室に居残った。別段、抵抗する理由はなかった。ただ、面倒臭がりのカカシが補習を行うのは珍しいので、少し首を捻っただけだった。
そして、ナルトは担任の教師から告白された。                                                             
頭が真っ白になったナルトに、カカシはくつくつと笑いながら、先のようなことを喋り始めたのだ。
「オ、オレわかんねえってばよ。突然そんなこと言われても、カカシ先生のこと、そういう目で見たことねえし…」
ナルトは、うんうん考え抜いた末に正直な自分の気持ちをカカシに伝えた。ナルトは、眉をへの字にして、唇を歪め、頬を紅潮させ、生意気そうな仕草でそっぽを向き、ズボンのところで握った手を戦慄かせていた。
極度に緊張していることが丸解りである。教卓に腰掛けていたカカシは、一番前の席に座って居るナルトへと屈み込んだ。
視線が合うと碧い瞳が戸惑ったように揺れて、「んだよ」と小さな声で文句を漏らされる。ナルトの耳たぶはいつもより赤かった。
「おまえ、本当に可愛い反応するねぇ……?」
カカシはナルトの学ランの襟を引っ張ると、ナルトの唇にキスをした。
「んふぅ……っ」
カカシと唇が合わさった瞬間、ナルトの目が見開かれる。ナルトの反応に気を良くしたカカシは猛禽類にも似た表情で色違いの目を細め、ナルトの髪に己の指を絡め、唇を合わせ続けた。
「んはぁ……」
やがて目を合わせたままカカシはナルトから唇を離した。カカシから解放されると、学ランの襟を乱したナルトがへなへなと椅子に座り込んだ。咳込みながらも、薄っすらと瞳を潤めたナルトの反応にカカシの唇の端が吊り上がる。
「そんなにオレのキス気持良かった…?」
「んな…っ!」
瞬間、何かを捲し立てようとしたナルトの額にまたキスを落として、カカシは教室を出て行く。
「それぢゃあ、これは宿題。今、オレとキスしてナルトはどう思った? おまえの顔が赤いのは、心臓がドキドキしてるのは、なーんでだろーねぇ?」
数学の公式より簡単な問題でしょ?と言い残して、教室のドアはパタンと閉められた。
あとに残ったのは呆然とした顔のうずまきナルトで、少年は日が暮れるまでそこを動けないでいた。
 
 
 



 
 







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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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