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空気猫

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カカナルでケンカ話コメディ風味。ナルト16歳の冬。







目玉焼きの憂鬱

ナルトが家出した。いや、しかしこの部屋は元々ナルトの部屋なのだから、何もナルトが出て行くことはなく、カカシを追い出せばいいことなのだが、何故かナルトが家出をしてしまった。
「カカシ先生なんて、カカシ先生なんて、どうせオレのカラダが目当てだったんだってばよ。カカシ先生なんて、信じられない。不潔だってば。家出してやるっ、わーん!」
ナルトはそう言ってすぱーんとフライパン返しを床に投げつけると出て行ってしまい、ソファーの上でイチャパラを捲っていたカカシは訳のわからないまま、固まった。
「………」
恋人が、自分のことを罵って出て行った。いや、これはもう俄然追い掛けないといけない状況なのだが、どうにも身体が動かない。それどころかカカシと言えば、ナルトは怒って泣いた顔もやっぱり美人で可愛いだなんて、ズレたことを思っていた。
「火、点けっぱなし」
キッチンに立ち、しばらくジュージュー焼ける目玉焼きを見ていたカカシだか、なぜ自分がこの重大事にフライパンを握っているのかわからない。人間とはあまりにショッキングな事態に陥ると心と身体の反応が追い付かないものである。
「確かここで水を入れるんだっけ?」
いつもナルトがやっていたように、フライパンに水を入れると、凄い蒸発音がして、辺りが蒸気に包まれた。
「わー。ナルトー、ナルトー!!」
カカシは、料理は出来るが決定的に抜けているのである。ナルトが料理を担当するようになって、久しく忘れていた事柄を思い出して、遅れてやって来た焦りが込み上げてくる。
恋人暦約4年。うち2年半は遠距離恋愛という年の差カップル。まさかの破局の危機?
理由はわからない。だが、追い掛けなくては不味い気がする。カカシは口布を上げ、額宛てをテーブルから捥ぎ取ると玄関へ駆けだす。しかし、走り出したカカシは情けなくも、階段を駆け降りる時に蹴躓いて転倒してしまった。



春野サクラは優雅な休日中だった。しかし、それは突然の訪問者によって中断された。
「……なんですか、カカシ先生」
「いや、ナルトが家出するならおまえの家かなぁと思って」
公園のゴミ箱でも漁って来たのだろうか。玄関を開けると、ナーと鳴く黒猫を頭に付けたマヌケな表情の担当上忍が立っていた。黒猫は、路地裏で倒れたゴミ箱で餌を漁っている鼠を見付けると一声鳴いて駆けて行く。カカシとサクラはそれを見送りつつ、向き直った。
「イルカ先生の家には行ってきましたか?」
「あの人は今、アカデミー教職員の慰安旅行なんだよ」
ナルトが寂しそうに話していたからと、何故か背後にドス黒いチャクラをメラメラ燃やして、カカシが答えるのを、サクラは頭痛を堪えるような面持ちで聞く。
「ナルトはいません。あの子、あれでもデリカシーのある子なので、女の子の家に突然来るなんてことしませんよ」
暗にサクラから非常識者め、と謗られたカカシはカシカシと困り切ったように後頭部を掻く。
「困ったなぁ…。どこに行ったんだろう」
「カカシ先生」
「なに」
「この里で、ナルトが安心できる場所って驚くほど少ないんですよ」
意味深なサクラの言葉にカカシが目を見開く。
「まさか綱手さまのところ……?」
「………」
カカシの言葉にサクラが白けた表情で腕を組む。
「カカシ先生って結構、ナルトのことを言えないくらい鈍感ですよね」
顔を顰めたサクラは「貸し、一個ですよ」と前置きをして、カカシにナルトの居場所を教えた。カカシの目がまた見開かれる。
「それ、本当?」
「行って、確かめて見ればいいじゃないですか」
「…………ああ」
「たぶん、ナルトはそこにいますよ」
カカシはその時初めて、憔悴しきっていた目元を緩める。
「ありがとう、サクラ。今度、何か奢るな」
「子供じゃあるまいし…食べ物はいりません。それより、ブランドのバックでお願いします」
はは、とカカシはちゃっかり者の少女に苦笑して、ナルトの元へと向かった。





ナルトは、カカシの家の玄関の前で蹲って寝ていた。赤くなった目元には涙の筋が辿って乾いた痕がある。
「ナァールト?」
カカシは足早に階段の最後のタラップを踏み、愛しい子の元へ駆け寄る。コンパクトに丸まって寝入っているナルトの傍で膝を折ると、泣き腫らした目元を指で拭ってやった。
「……うぁ、カカシ先生!?」
自分を包む温もりに驚いて、ナルトが跳ね起きる。どうやらナルトは泣き疲れてそのままカカシの家の前でうたた寝をしてしまっていたらしい。もう中忍程の実力がある忍者のくせに、なんたる迂闊なことか。ま、そこが放っておけなくて可愛いんだけど、と思いながらカカシは、壁際に慌てて逃げ去ろうとしたナルトの背中を掴んで引き寄せる。
「おまえねー…。こんな寒空の下で寝てたら風邪引くでしょーよ」
「んぎゃー、離せー離せーっ。カカシ先生なんて嫌いだってばよ!」
「まーた、そんな人が傷付くこと言って……」
「はーなーせーーーー!」
「ここも、ここも、こんなに冷たくしちゃって。ゆっくりおしおきしなきゃだめかなぁ?」
四肢をバタつかせて暴れるナルトを抱き込んで、そのままお姫様だっこで持ち上げると、カカシは問答無用でナルトを室内へと運ぶ。
しばらく留守にしていたため、冷え切った自宅は外と変わらない寒さで、カカシはヒーターを付けながら、ナルトをベッドの上に降ろす。三本髭の頬に掛った髪の毛を払ってやりながらキスしようとすると、途端に腹を蹴られて、カカシはベッドの上でひっくり返った。
「オレってばただいまカカシ先生と喧嘩中。カカシ先生とは口聞かないもんね!」
ナルトは頬を膨らませて、ぷいっとカカシから背を向ける。
「今、喋ってるでしょ」
「もう喋らねーもん!」
「ふぅん?」
「今から喋らねぇもん。ぜってー、ぜってー、先生となんて口聞くもんか」
「あー、そう?」
「そうだってばよ!」
涙目で振り返られ、カカシは思わず「くくく…」と笑ってしまった。
「ななななんで笑うんだってばよ」
「ねえ、ナルト。オレは、おまえと喧嘩してるつもりなんてないんだけど?」
「オレが怒ってるんだから、これは喧嘩だってば!」
「センセーには手の中で子犬がむずがる程度にしか感じられないね。―――可愛いし」
「うがーーーー、離せーカカシ先生!」
服を剥かれ、背後から首筋に口付けられ、「あ…っ」とナルトから色めいた声が上がる。
「オレとはもう喋らないんじゃなかったの?」
「んやぁ…」
「ナルト、可愛い」
「オレってば…可愛ク…ネ」
両腕を拘束されたまま仰向けに押し倒され、ナルトは枕に顔を埋める。
「センセ。オレ、今カカシセンセーとセックスしたくな…いよ」
「だぁーーーめ。おまえに拒否権はありません」
「やだ。センセ、実は怒ってるもん」
「オレを怒らせた、自覚はあるんだ?」
ジッパーの下がる音がして、ナルトは目を瞑る。興奮気味に押し当てられるものの質量にナルトは息を飲んだ。
「さっきもシタばっかりだから解さなくても大丈夫でしょ?」
「ん……いたぁ」
やっぱりセンセー怒ってる。いつもより乱暴な揺さぶりに、ナルトは歯を食いしばる。だが、セックスに慣れた身体は心とは裏腹に正直で、いつの間にか、軋むベッドの音と共に鼻掛った甘ったるい声が上がっていた。
 
 
 
 
 












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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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