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空気猫

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棒アイスネタ。





 



アイスキャンディの憂鬱

はたけカカシは今日何度目かのため息を吐いた。彼の小さくて可愛い恋人は無邪気で残酷だ。
最近、カカシを憂鬱にさせているもの。それは15本パックのアイスキャンディ。カラフルな五色のアイスキャンディは目にも鮮やかでお子さま心を刺激する。ストロベリー、ソーダ、オレンジ、メロン、ミルク味…。もちろんカカシの可愛い恋人ナルトにとってもお気に入りの冷菓の一つだ。
「カカシ先生。今日、センセーの家に遊びに行っていい?」
大人の部屋に行けば、冷蔵庫にアイスキャンディが必ず用意されていることを覚えたナルトは、最近では任務が終わると思わずカカシの表情が弛んでやに下がるようなことをおねだりしてくるようになった。
「おい、ウスラトンカチ。またカカシの家に行くのかよ」
「んだよ、サスケ」
「…最近、毎日だろ」
モゴモゴと歯切れが悪い台詞を吐きつつ何故か地面右下に視線を逸らしたサスケにナルトの眉根が寄る。ふっくらとした頬を膨らませてナルトがサスケを上目遣い気味に睨み付けた。
「文句あるってば?サスケもカカシ先生の家に来ればいいだろ。ね、カカシ先生!」
「そうそう。おまえだっていつでも来ていいんだよ~」
「………」
来るんじゃないよ、お邪魔虫。ニコニコと弓なりに曲がったままのカカシの目が如実にそう語っていた。「カカシ先生ってばやっぱ優しいっ」と自分の足にじゃれ付くナルトを抱き止めつつ、カカシはサスケに向かってあかんべぇする。そんな三人の様子を見ていてため息を吐いたのはサクラだ。
「カカシ先生、大人げないです」
「サクラだってウチに来ていいんだよ~?」
「結構です」
「サクラちゃん、来ねぇの?」
「行かないわ。カカシ先生の家なんて行ってもつまらないし」
「そんなことないってばよ。カカシ先生の家って案外〝くつろげる〟ってばよ?」
ナルトは担当上忍と親子の如く手を繋ぎ合った状態で顔を見合わせると「ねーっ」と頷き合った。しかし、子供のナルトはともかく二十代も半ばの、しかも老け顔の大人が首を傾げても、ちっとも全然可愛くなかった。
「そりゃあんたはね…」
この二人が里一のバカップルであることは周知の事実だ。触らぬ神に祟りなし。姑息な手段を使って幼い恋人に対して点数をちまちまちまちまちまと稼いでいる教師に呆れつつ、「行きましょ、サスケくん」ちゃっかりサスケの腕を掴んでぐいぐいと引っ張っていくサクラを、カカシはナルトと一緒に満面の笑顔でそれを見送る。
そんなわけでカカシは毎回ナルトをお持ち帰りすることに成功していた。サスケの悔しそうな顔を背中でほくそ笑み、カカシは大人の特権とばかりにナルトの小さな身体を抱き上げると自宅へと向かった。





部屋の中でカカシとナルトは二人っきり。これは、はたけカカシ的イチャイチャパラダイスである。
「ナルト」
「んー…」
「垂れちゃうでしょ。ほら、下から舐めて?」
「んんー…」
「そうそう上手。顎もちゃんと使って吸い上げてねー」
「んく…ちゅ、ん、ん、ん」
(カカシせんせぇのおっきぃってば…)(せんせぇのミルク苦いってばよォ)カカシの脳内で繰り広げられる色めいた妄想はいつものこと。
「ナ、ナルト。アイス…おいしい?」
「おいひぃ」
大人の妄想を余所に、ナルトは寛ぎムードで、胡坐を掻いているカカシの膝の上で巻物に目を落としている。カカシは思わず片手で口を覆って、ナルト+アイスキャンディという刺激物から視線を逸らした。薄っぺらくて赤い舌が白濁蝕の棒を舐める姿はこの世の天国だが目の毒だろう、危うくカカシの部屋が血の海になるところであった。
そればかりか、アイスキャンディを食べに来るナルトはそのままソファーの上で丸くなってお昼寝してしまったり、時にはカカシの膝の上で寝息を立て、カカシ的にパラダイスな展開を提供してくれた。
今日もナルトは冷蔵庫からいそいそとアイスキャンディを持って来ると定位置と成りつつあるカカシの膝の上にどかっと腰を降ろし、カカシの方を降り仰いだ。
「カカシせんせぇ?」
ナルトは〝アイス、アイス〟とハートを周囲に乱舞させながら包み紙を剥がして、自然とそうなってしまうから仕方ないのだが上目遣い気味に大人を見上げた。
「……っ!」
最近、ナルトはカカシと二人きりの時だけ限定で、躊躇うように甘えてくるようになった。誰かから甘やかされ慣れていないお子様に「オレを困らせるくらい我儘を言ってみてよ」と約束させたのはカカシだった。
それ以来、ナルトはイルカに甘えるのとは違う恋人同士の甘え方を覚えた。
「……ナルト、巻物読むのにアイスが邪魔でしょ。オレが持っててあげるよ」
「カカシ先生、ありがとうってば」
はにかむように微笑まれ、カカシは息を詰まらせる。最近、はたけカカシを憂鬱にさせているもの。それは15本パックのアイスキャンディを頬張る彼の愛しくて可愛い恋人。
アイスキャンディの棒をはくりと咥えてそのままちゅーちゅーと吸い付くナルトの姿に、カカシの喉がごくんと鳴る。イケナイことを子供に教えている大人の気分になるのはどうしてなのか?ぷくんと膨らんだ頬。ナルトの持っているアイスキャンディの棒にカカシが手を添えて、くしゅくしゅと出し入れしてやれば、うっかりナルトの喉奥を突いてしまい、ナルトの眉が苦しげに寄せられる。
「んう…」
それでもナルトは精一杯アイスキャンディを頬張った。半分ほど引き抜くと、つぅと唾液とも溶けたアイスとも知れない甘い糸がナルトの口の端に伝う。
口から出して、アイスキャンディをナルトの目の前にぶら下げると、アイスキャンディを追い掛けるように、ナルトの顔が宙を彷徨い、目標物を見つけた犬のように、はくんとアイスキャンディを再び咥えた。
「……おまえ、そんなにコレが好き?」
「んんう、好きぃ」
アイスキャンディを吸い上げる唇が愛しくて、ぐん、とつい強く押してしまった。
「ううう、カカシ先生。苦しいってばぁ」
咳込んだナルトの口から垂れたアイスを自らの親指で拭いてやる。
「んんん…っ、ごほごほ」
「大丈夫、ナルト?」
「ぷは。ちょっと苦しかったけど、オレってば平気」
ニカ!と笑うナルトに(なんて健気な恋人なんだ!)とカカシはまたまたナルトの台詞から別の妄想を始める始末だ。そんなカカシにナルトは…
「あ、ごめん。カカシ先生」
暑さで熔けたアイスがカカシの指に垂れていた事に気付き、長く細い大人の指を凝視する。ナルトは「垂れちゃって勿体ないってば」と言いながら、ぺろっとカカシの指を舐め始めた。
ちゅ、ちゅ、ちゅっと破裂音と共に、柔らかな舌の感触。カカシの手を両手で持ちながら、伏せられたナルトの睫毛。
――ああ、神さま火影さま。オレの理性を試しておられるのですか。傍目には沈黙を守っているカカシだが心の中では「夏万歳ありがとう神さまああああ――-!!!」と大絶叫していた。
「カカシ先生、なんか座り心地ち悪いってば」
自分の手にも垂れたアイスを舐め取りながら、ナルトがカカシの膝の上で身動ぎする。
「……せ、せんせぇ。なんかさなんかオレのおしりのとこに硬いものが当たってるってば」
ナルトはカカシの中心に視線を落としてぎょっと目を見開く。
「なななななにカカシ先生ってば病気…!?」
「いやいやこれは当然の反応というか。ナルトがあんまり可愛かったっていうか。男の生理現象というか。ナルトも同じ男ならわかるでしょ」
もごもごと言い訳を始めたカカシに変態!変態!とナルトの拳が落ちる。色事に疎いナルトであったが、それなりにカカシと実践経験があるために、カカシの身体がどういう状態なのか理解することが出来た。
だが、どうしてカカシが真昼間からそんな状態になっているのか、ナルトにはわからない。棒アイス=アレだなんて妄想を、大人がしているなんて露ほども思っていないナルトは慌てるばかりだ。
「うぎゃー、近寄るなってばよカカシ先生っ」
「ええっ?」
「もう帰るってばー!」
「え、なんで。お泊りは!?」
「なし!」
「だめ。それだけは、絶対だめ」
「はーなーせーってば。カカシ先生!」
カカシは愛妻に実家に帰りますと宣告された夫の如く蒼褪めて、ナルトの腰にしがみ付く。そんな大人を見降ろし、思案すること3秒。離せー、とナルトが再び扉に向かって前進を始めた。
「お願い、帰らないでくれ!ナルト!!」
「な、ならなんで…、カカシ先生ってば変になってるんだってば」
「いや、それはその…」
やましい想像をしていただけに下手に反論ができないうえ、ナルトの潤んだまなこを直で見て、ぐん、とまたカカシの下肢が育つ。
「カカシ先生の変態――!」
「ナ、ナルト」
ナルトの絶叫。カカシの悲鳴。その日、カカシは「変態」と連呼してポカポカと振ってくるナルトの拳を甘んじて受けたのであった。
 



 
 
 
 
 
 
 
 






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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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