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空気猫

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日常編―パンツの話1ー







 
「カァシ、カァシ。ありがと、ありがとなの。なうと、カァシのこと、だいしゅきっ」
黄金色の尻尾をふりふりさせてカカシにナルトが抱きつく。三角耳も歓喜のあまりぺたんとなって、カカシに頭を撫でられるのを待っているようだ。
華奢な身体を抱き締めると、上等なシルクの布地、滑らかなベルベット、フリルに包まれた身体はいつも以上に抱き心地が良かった。何故か、ナルトからいつも以上に良い匂いがする気がした。
ナルトの説明曰く、ナルトの着ているドレスは紅が幼い頃に着ていたお下がりだという(こんな少女趣味な服を着る少女時代を送ってたとは意外だ)。当たり前だが、人間用の服だ。カカシは思い付きもしないが、獣人用の尻尾穴なんてものは存在しない
ナルトが、カカシをお出迎えした時、こうして大好きな〝カァシ〟に抱きついている時、ふさふさした獣な毛並みの尻尾はナルトの感情に比例するように大きく振れていた。
そのたびにパニエをたっぷり仕込んだスカートがふんわりと捲れ上がる。
「んー…、ナルトー。変わった下着履いてるねー」
「う?」
カカシの首に抱き付きながら、ナルトは不思議そうに、己の下肢に視線を落とす。
そして、
「パンツもいっぱい貰った」
ナルトはスカートの裾を摘まんで広げながらニシシと笑った。ナルトが履いていたのは可愛らしいドット柄のショーツだった。
「へぇ……?」
もしや、部屋の隅っこで山になっているのは、すべてナルトのパンツなのだろうか?シンプルなストライプラインのショーツ。両サイドの留め金がお花のショーツ。水玉模様の紐パン。ヒップラインが総レースでふりふりものや、カカシの目がまた痛くなりそうなど派手な色のレディス仕様のボクサーショーツまであった。
これらの下着はナルトの身体のサイズにぴったり合っている。どうやら紅が新しく買って来たものらしい。
全体的に、男性用下着に比べて布面積の少ない下着の数々。女性用の下着は股下が浅く、なるほどこれなら尻尾が布地に挟まってむずがることもないだろう。だが、なぜか女性用のセクシーなシースルーまであるのだろうか、と呆れてしまう。
「いつまでもあしゅまが選んだダサパンとカァシのパンツじゃだめなんらって」
尻尾をふりふりと振りながらナルトが答える。
「へへへ。んじゃ、お着替えするってば。カァシの服着る!」
「もう?」
「今日着るの、今着るの!」
「はいはい……」
カカシがナルトから身体を離してやると、ナルトの三角耳の片方がカクンと上から下へと痙攣して下がる。
「なうと、こえ一人で脱げない」
〝んっ〟とナルトがカカシの前に両手を差し出す。
「脱がちて。カァシ?」
「はいはい……」
カカシはナルトの前に跪くと、プチプチとナルトの胸元のボタンを外してやる。目に見えて、尻尾がふりふりと振られるのに、苦笑しつつ、胸元で複雑に絡み合っているリボンを丁寧に解いていく。
「着るのも脱ぐのも大変そうな服だね」
「カァシが脱がせてくれたら楽ちんだってば」
「はぁ…おまえ。せめてパンツくらいはまともに履けるようになりなさいよ」
「なうと、パンツ一人で履けるようになるもん。今はれんしゅー中」
カカシはまたため息を吐いて床に視線を落とす。しばらくはこのカラフルな下着たちと付き合うことになるのだろうか。
「〝しょーぶ下着〟も貰ったんだってば。カァシ、今度〝しょーぶ〟しよ?」
着替えを終えたナルトに、黒いスケスケの下着を顔前に突きつけられて、カカシは非常に曖昧に頷いた。意味がわかっていないお子さまは、無邪気なものだ。
「カァシがオオカミになっちゃった時に使いなさいって姉ちゃんがくれたってば」
「へぇ………」
「カァシは、ニンゲンじゃなかったの?」
パンツを引っ張ったり伸ばしたりしながらナルトがこてんと首を捻る。カカシはニコニコとした表情を崩さないまま「今度、お買い物に行こうか」と微笑んだが、履き心地の良さが気に入ったのか、しばらくの間ナルトは、水玉パンツやストライプラインのパンツを愛用した。
カカシは最初の頃こそ満面の笑みで箪笥から布面積の少ない下着を取り出すナルトの姿に抵抗を見せていたが、見慣れた頃には、たとえ風呂上りのナルトが水玉パンツ一丁で部屋を歩いていても、のんびり読書をしているくらいにまでは成長した。
カカシの家にやって来たアスマがカオスな光景にコーヒーを噴くのはその数日後。



 
 
 
 








カカシさんさすがに気になった。
しかし放置。
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名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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