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空気猫

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日常編
―お留守番の時間1―





 

はたけカカシ26歳。勝手気ままな独身貴族。職業、忍。暗部任務もこなす上忍で、上忍師の資格も持っているが、今のところ教え子はなし。現在はもっぱら暗殺専門の単独任務を行うことが多く、サイレントキラーで名高い。
趣味はとくになし。あえて上げるなら本を読むことだが、趣味が読書だなんて、趣味のない人間の常套句のような気がするのであまり好きではない。そのうえ、周りには本好きというよりは、「カカシさんはああやって本を読むことによって本来の実力を隠しているのだ」「ただぼーっと本を読んでいるように見せかけて本当は凄いことを考えているに違いない」なんて囁かれ勝手に誤解されている始末で、カカシと付き合いの長い同僚に言わせれば、「いやいやいや、ありゃあ、ただぼさっと本を読んでいるだけだ」の一言で済ましてしまうことなのだが、世間は「写輪眼のはたけカカシ」を見てそうは思わないらしい。
はたけカカシの認識について誤解をしているのはあまり親しくない知り合いや後輩等だが、カカシ本人が面倒臭がって(または興味がなくて)否定しないため、はたけカカシに関する噂は尾鰭がついて果ては節足動物にまで進化して歩き出すことが非常に多い。
カカシ本人がけっこう単純でど天然で、朴訥とした男であったとしてもだ。そんなはたけカカシの特技は暗殺だ。しかし転職の際にこんなことを書いたら変人奇人の烙印を押されることは間違いないので、これといって何もないのかもしれない。
友人は何名かいるが、それほど多いわけでもなく、自分の腕が届くだけの狭いテリトリー内でコンパクト且つ簡潔に生きていたいがモットーで、たまの休日は引きこもっているか、引きこもっているかだ。
稀にそんなカカシに「上忍」とか「容姿」とかに惹かれて近寄ってくる奇特な人間もいるが、大概はのらりくらりとかわして当たり障りなく遠ざかる。
「おまえはなんでそんなに無愛想なんだ。どこに愛想を落としてきた」
髭の友人に何度か頭を叩かれるが、「ま、いっか」と流してしまうことが多い。仕事はきちんとやるが、人間としてのスキルは低く、うっかりしたら日常生活もまともに送れない。忍でなかったら、人間として色々だめだったかもしれない。
そんなはたけカカシが、最近始めたことは、狐っ子の子育てと掃除に洗濯、あとは料理?


「ナルトーっ」
フライパンを片手にカカシは、四つん這いで部屋の隅っこに逃げて行った金色の子供を追いかける。
「またオレに隠れてカップラーメンばっかり食べたでしょ。そろそろホンキで怒るよ?」
ほっぺに自分の名前と同じぐるぐるの練り物をつけた子供は、ちろりとカカシを振り返ると、ケン!と鳴いて舌を出す。
「おまえ、その生意気な顔は誰に教わったの」
「あしゅま」
「あいつか」
アスマがこの場にいたら、オイオイんなこと教えてねぇよ、と焦りそうな発言をした狐っ子は〝カカシの怖い顔〟を見て形勢が不利だと判断したのか、「めんしゃーい。カァシ、めんしゃーい」とカカシの腰元に擦り寄って来る。
「それじゃあ、ちゃんと野菜を食べること。シチューにしたから食べられるでしょ?」
「それはいやだってば!」
「野菜、食べないと大きくなれないでしょ」
「なうと、大きくなれるもん。毎日、牛乳飲んでるんだってば!」
テーブルの上に乗ってるナルト専用のマグカップをビシ!と指差して、得意満面な顔でナルトが答える。「へー?」「ほー?」とカカシは相槌を打ったあと牛乳パックをずしんとナルトの頭に乗っける。
「ミジンコサイズでよく言えるね」
「ううう、本当だも…。今にカァシよりおっきくなって見降ろしてやるんだってば!」
「そう。おまえの目標はわかったから、それならオレを追い抜かすためにも野菜食べなさい」
「それはノーセンキュー!」
「だめ、食べなさい」
「いやーーーーっ」
ジタバタと手足と尻尾を振ってナルトが暴れる。
「ふーん。オレは?別にいいけど?ナルトがミジンコサイズでもちっとも困らないし?だけど野菜食べないともったいないお化けが来るよ」
「………も、もったいないお化け?」
「そう。ほら、もうナルトの後ろに」
「んぎゃーーー、カァシ助けてってばーーーーっ」
「ほら、一口だけでも食べなさい」
シチューの皿からニンジンを掬い上げながらカカシは、自分の腹の辺りでぷるぷると震える狐っ子を見下ろす。ナルトは、「ごめんなさい、ごめんなさいってば」とカカシの忍服の中に入り込み、尻尾を丸めていたが、蒼褪めて怯えながらも頑なに野菜を食べようとしなかった。



「ナルト。お片付けしなきゃだめでしょ」
「んー……」
「玩具出しっぱなしだよ」
「んー……」
「ナルトー」
三秒後、カカシの雷が落ちて、ナルトは大いに頬を膨らませた。
「カァシ。うっさいにょー」
最近、カカシはナルトの躾に厳しい。可愛いからこそ口うるさくなってしまうのだが、まだ幼いナルトにはカカシの気持ちがわかるはずもない。
〝カァシ、きあーい〟
怒ったカカシは怖い。ナルトも人一倍(狐一倍?)意地っ張りな方だ。
ナルトは〝カァシ、きあーい〟と繰り返すと部屋の隅っこに引っ込んだままご機嫌斜めになってしまった。
たぶんそれは一人と一匹には珍しいほんの些細なすれ違いであるはずだったのだ。




今日もナルトはカカシに叱られてしまって機嫌が悪い。
「ナールト。ちょっとこっち来て」
「………」
「ナルトー」
床にぺたんと座り込んで、木の葉レンジャーの絵本に目を落としたままナルトは振り返らない。ただ、カカシが喋るたびに、三角耳がぴくぴくと動いているだけだ。
「オレはこれから長期任務に行かなきゃいけないんだ。ナルト、おまえ一人でお留守番出来る?」
ナルトは答えない。その代り本のページを食い入るように睨んでいる。
「いつもの一日や二日の任務じゃないの。二週間も掛るんだ。オレはその前におまえと仲直りしたいんだけど、どーかな?」
ナルトと暮らすようになって、カカシは長期任務をなるべく入れないようにしていた。まだ幼いナルトを一匹で残していくには抵抗があったのだ。
しかし、カカシほど優秀な上忍を遊ばせておくほど里は平和ではなく、一人の我儘もそう長く通らなかった。
「ナールト」
「………」
返事は相変わらずなかった。カカシはため息を吐くと、支度を始めた。額宛てを装着し、口布を引き上げる。ナルトの意識が、ちらちらとこちらに向いていることは上忍のカカシには手に取るようにわかったが、カカシは敢えて何も言わなかった。
とりあえず、カカシがいない間の食事を冷凍庫に入れ、不本意だがカップラーメンも戸棚に補充しておいてやる。
「オレがいない間はたまにアスマが来てくれることになってるから、何かあったらあいつに言いなさい?」
「………」
「ナルト。オレ、もう行くよ?」
ナルトはぷくうと頬を膨らませると、尻尾で床をぱたんと叩いた。
「カァシなんて知らないもん。勝手にどっか行っちゃえってばよ」
「……ナルト」
行ってきます、と言ったカカシの声が聞こえたが、ナルトは振り返らなかった。
















 

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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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