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空気猫

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 二部ナルト。





 
「ああ、いいなー。うん、ほんとにイイよ」
「……カカシ先生さっきから気持ち悪りぃってば」
怪しく背を丸めて含み笑いをしている恋人に、一抹の不安を感じつつ、ナルトは今年木の葉で初めての新雪を踏み締めていた。凍った空気の中、二人の吐く息は白い。
閉店間際の店に駆け込んで、買い物を済ませて、カカシの家に帰る道のり。ナルトの右手には買い物袋がカカシの左手にもナルトのものより少し重めの買い物袋が、ぶら下がっている。
ひと気のないのをいいことに二人はお互いに余った手と手を繋いで帰っていたのだが、くふくふと笑いを噛み殺している恋人に何があったのかと思う。
二年半の間に、ついに壊れたってば?
「だってさ」
「うん?」
「おまえがいない二年半、さびしかったわけ」
「…うん」
やっぱりカカシ先生ぶっ壊れちゃったんだ、とナルトは半ば泣きそうになってしまった。
「帰ってきたら帰ってきたらで えらい美人さんになっちゃってるし?」
「そ、そんなことねぇよ」
「そんなことあるんですー」
カカシが歩幅を大きくしたので、ナルトは慌ててそれに合わせる。するとカカシが「ああ、ごめんね?」と言ってすぐにナルトの歩幅に合わせてのんびり歩き始める。
「オレの愛した、手も足も全部大きくなっちゃってるし。髪の毛の質も匂いも少しだけ変わって、声は低くなっているし、何より纏っている雰囲気が落ち着いて…おまえ、別人みたいだったよ」
「…カカシ先生はちっちゃいオレのほうがいいってば?」
カカシに限ってそんなことはないと信じたかったが、ナルトは顔を顰める。
しかし、ナルトの心配は杞憂に終わる。「失礼なこと言わないでくれる?」とぽふぽふとカカシに頭を撫でられたからだ。
「そんなわけないでしょ。中身がナルトだったらミジンコでも愛せるよオレは」
「…………………」
そんな愛されかたイヤだとは賢明なことにナルトは言わなかった。彼も成長したものである。
「そりゃ、ちっちゃいナルトは抱っことかほっぺにちゅーとか出来て可愛かったけどさ~…」
ナルトの頭の中で「はたけカカシ変態説」が通算うん回目を浮かび上がったところで、口布を下ろしたカカシの顔が視界のど真ん中にやってくる。
「今のナルトとは」
「うわ…っ」
「キスも屈まなくても出来るしね?」
「!」
カカシが顔を傾けて、ナルトに接近する。そのままお互いの唇と唇がくっつく。
「んーーーっ」
「ん。ナルト、オレのこと口の中に入れてよ」
「んーんーんーっ」
頑なに口を引き結んだナルトに苦笑してカカシは仕方なく口布を引き上げる。
「オレは常識とかにはあんまり囚われない方だったけど、流石に前のおまえはちっちゃすぎだったでしょ。密かに気にしてたわけ。オレとの付き合いや肉体的な行為も含めて、おまえの負担になってるんぢゃないかってね」
たしかに、以前のカカシとナルトは犯罪的な体格差だったかもしれない。―――なんかエッチしたあとあちこち痛かったし。と、非常に即物的なことを思ってナルトは複雑な気持ちになった。やはり身体に無理が掛っていたことは否めない。
「それがさ、二年半たって大きくなって里に帰って来たおまえとは」
握り合っていた手が強められる。
「あの時よりも近い視線で」
ナルトの心臓が高鳴り、
「こうやって手を繋いで」
カカシの視線が向けられる。
「オレのポケットにおまえの手をお招きしちゃうこともできちゃうわけ」
そこにはいつもの笑みが広がっていた。
「オレとしては、おまえとこうして並んで歩いている時に、保護者と子供でなくて、ちゃーんと恋人同士にちゃーんと見えるのかなーとか思っちゃったりするわけですよ」
カカシの上機嫌の理由を知って、ナルトはもごもごと口の中で言葉を選んだ挙句、はぁと白い息を吐いた。
「先生ってけっこう幸せ者だよね」
「ん」              
「オレも、幸せだけどさ」
ニシシと笑って、ナルトはカカシに擦り寄った。
「今日、帰ったらカカシ先生とシタいな」
「!」
「だめ…?」
「いいよ、全然大丈夫。大歓迎!」
「センセー…がっつき過ぎ。ケーキ食べてからな?」
「ふふふ、待ち切れるかな~」
「フライングしたら、口きかねぇから」
「そんなぁ、ナルトォ…」
「大人のくせに情けない声出すなってば」
 
 


 




BUMP OF CHICKEN/スノースマイル
任務帰りでクリスマスの夜のお話。二人が持っているのはケーキとかローストチキンとか。
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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