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空気猫

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お隣のカカシさんシリーズ第2弾







スバラシキ世界

年末年始っておめでたい行事なはずなのに、どうして暗いニュースばかりが続くのだろう。普段、あまり観もしないテレビを暇を持て余して観てしまうせいなのか、それともおめでたい雰囲気に変な気分になってしまう輩が湧いてくるからなのか、オレには今いちわからねぇが、中古で買った時代遅れの四角い電子の箱から送られてくる映像を観ていると、世も末って感じがする。いや、21世紀が始まってまだ10年も経ってやしないんだけどさ。
近所のホームレスのおっさんがどこかの頭がトチ狂った奴に鉄バットで殴り殺されたり、元同級生が学校の窓ガラスを割って警察に捕まって翌朝の新聞に載ったり、バラエティ番組を賑わしていたタレントがクリスマスの夜に孤独死したり、幼女を殺したサイテー変態野郎とか、どっかの国の偉い人たちが戦争を始めて民間人の犠牲者が沢山でたり、近所の人と最近おかしな関係になってぎくしゃくしたり。なんだか世の中暗いことばかりで救われないけど、とりあえずオレは腹が減った。
「あー……、油断した」
冷蔵庫の中身を覗いて、オレは人生に絶望した。1LDKのマンションの5階。薄暗い部屋で、空っぽの箱に成り下がっている冷蔵庫の前にしゃがみ込んだオレは、年末年始の買い出しに行くか、それともこのまま寝倒して、食費を浮かせるかで迷っていた。2日くらいなら、省エネモードで、生活出来るかも知れない。
遮光カーテンを開けると、床に薄っすらと積もっていた埃が光線を反射する。積み重なった雑誌の山と雪崩を起こしているCD。掃除しなきゃな、と思いつつ、明日にしようかな、と怠惰を起こす。暇な休みを持て余すってこういうことかもしれない。
オレは朝日を部屋の中に入れるついでに、窓を開けてベランダに出た。
「あ。おはよう…、かな?」
「………」
昇って来る太陽に目を細めているとベランダ越しにカカシさんがいた。
「ナルト…?」
「あ。おはようってば」
お隣のカカシさんは、いつになく眠たそうな半眼だ。よく見れば着ているシャツも少しだけくたびれている。缶ビール片手の姿はどう見ても起き抜けのビールというよりは、仕事明けの一缶の雰囲気だ。
「カカシさん、まさかまた徹夜?」
「そう。うちの会社、年末ギリギリまであるの。プログラミングの作成で死にそう」
「はは、働き過ぎだってば。そのうち身体壊すってばよ」
「ナルトは?」
「オレってばただいま絶賛冬休み中」
「ああ、いいねぇ学生さんは」
「カカシさんは休みいつから?」
「明日からかな」
「それじゃあ今日が仕事納めだってば?」
「そうだねぇ」
「ニシシ。カカシさん、お疲れ様~」
今の自分はちゃんと笑えてるだろうか。ぎこちなくなっていないといい。オレとカカシさんは何度かセックスした仲というなかなか微妙な関係なんだ。付き合ってはいない。カカシさんは何も言わないし、オレもそのことにはなるべく触れないようにしてはぐらかしている。
だってオレたち男同士だし、セックスしても何も産まれない者同士だし、お互い気不味いだろ。だけど、カカシさんからCDとかを貸して貰っちゃったりとかして、そのまま惰性でレンタルビデオ屋で借りてきたっていう映画を二人で観て、晩飯とか一緒に食うようになって、たまにお互いの部屋の中でセックスとかして、あれ、オレたちって結構仲が良いかもしれない。
ちょっと昼間のワイドショーで観た未成年搾取のニュースが頭を過ったけど、なんだか自分の身に降り掛かるといまいちリアリティがないんだ。だって、オレはうずまきナルトであって被害者少年Aなんかじゃない。カカシさんだって被疑者Hなんかではないだろ。
「ナルト。今日の晩飯、まだ決めてない?」
「おう…」
「うち来る?」
「そっち行っていいってば?」
「一人で食うの寂しいからさ、暇なら一緒に食わない?」
「カカシさん、ゴチ!」
本当はこういうズルズルした関係ダメだってわかってる。だけど、カカシさんはオレを拒まないし、オレも問題なことに嫌じゃないから、今のところ餌を貰うための通い猫を止められない。
「うおー、炬燵に蜜柑。カカシさん、入っていいの、入っちゃうってばよ!?」
「入ってから言わないー…」
大鍋を両手に持ったカカシさんが呆れた顔でオレを見下ろしている。オレの視線はカカシさんの手元に注がれた。
「嫌味のような野菜のてんこ盛りじゃん。オレってば野菜はノーセンキュー!」
「文句を言わずに食べなさい」
「だって、野菜とか食うの面倒いんだもん。あ、でも肉団子はウェルカム」
「おまえのことだからそう言うと思ったよ。たっぷり野菜を摂れるように鍋料理にしてやったんだから、食いなさい」
「オレってば絶賛成長期。肉を食って背を伸ばしたいってば」
「野菜食って血を綺麗にしなさい。ほら、白菜と水菜。野菜食え、野菜」
「うへぇ…」
なんだかカカシさんって母ちゃんみたいだってば。いや、母ちゃんってよくわかんねぇけど、土曜日に炒飯作ってくれたり夏には冷蔵庫に麦茶とか入れてくれる生き物なんだろ。
「あ。こら、野菜と肉の比率は3:1にしておきなさい」
「ニシシ、カカシさん隙あり。肉ダッシュー!」
「おまえな、野菜食わないとマジで死ぬぞ」
そのあと、オレたちは今世間で結構人気のクイズ番組をダラダラ見て、カカシさんがこの子可愛いよなっていうタレントがちょっと天然気味のおバカで可愛いって感じの子で、もしカカシさんがロリコンとかショタコンの変態だとかだったら、オレが責任を持って、社会から抹殺しねぇといけねぇとか思っていた。いや、マジな話、変態とかいくねえと思う。社会悪だ。オレがテレビを観ているカカシさんの命を虎視眈々と狙っていると、この子おまえに似てるよねって微笑まれた。…そうかなぁ。
そのあとも、オレたちは適当にテレビを観て笑った。ついでにオレはお隣のよしみで買ったばかりのパソコンの初期設定という奴をカカシさんにして貰い(カカシさんはコンピューター関係の仕事の人なんだ)、その間カカシさんの部屋にあった小難しい本を読んで三分で飽きたりしていた。あったかい部屋で、オレが蜜柑に手を伸ばす横でカカシさんが、お茶を啜っている。うーん、爺むさい。
「なに」
「いーえなんにも」
オレは、顎をテーブルの上に乗っけてもそもそと炬燵の中に潜り込んだ。この温かさは抜け出し難いものがあるってば。あー、ヤバい。なんだか眠たくなって来たってば。
『×××軍による×××地区への攻撃で死亡者は8000人、負傷者は12000人以上。そのうち子供の占める人数は…。×××軍側は人道に配慮している攻撃とPRしているが…』
ブラウン管から、また暗いニュースが流れる。
「ナルトー…」
『あのバラエティタレントの×××さんが電撃入籍。お相手はIТ企業の――……』
「ううんー…」
オレはカカシさんの呼びかけに応えるように頭だけで寝返りを打った。
その瞬間、ちゅっとキスをされる。
「………」
カカシさん、人の寝込みを襲うのはいくないと思う。
「どうしたの。おまえ、今日は何だか元気ないね」
ちゅ、ちゅ、ちゅ、って続けざまにキスを落とされる。なんだろう、この甘々の空気は。
「あー…、うん。んとぉ、ちょっとへコんだこと思い出してた」
「何?」
「や。本当に、くだらないことなんだから」
「そう?」
おう、って言おうとしたのに、なぜかカカシさんがパソコンから目を離して話を聞く体勢になっていた。
オレが元気ないって傍目だけで気付く人は滅多にいない。父ちゃんと母ちゃん以外では初めてかもしれなかった。それが、カカシさんだなんて、なんだかくすぐったくて気恥ずかしい。
「ええと」
「ん。なに」
「あー……」
オレは迷った挙句、頬杖を着いてこっち見てるカカシさんに口を開いた。
「近所でホームレスのおっさん殺されただろ。六時のニュースになってたの、知ってる?」
「ああ。確か回覧板が回ってきたな」
「そう、それ。オレ、そのおっさんのこと知ってたんだ」
どうして、オレ、キバとかにも話したことないこと、ここでカカシさんに喋ってるんだろ。キバとかとバカして騒ぐの面白いけど、なぜかカカシさんの部屋に来るとすげー落ち着くのと関係しているのかもしれない。
「オレさそのおっさんと仲良しだったとか、そういうわけじゃねえんだ。だけど、学校帰りとかたまにおっさんのいる公園通ってたの。今日もおっさん新聞紙巻いて寝てるなーとか、知り合いじゃねえけど、顔見知りっつーの」
「あー、いるねえ。妙に記憶に引っ掛かる人間って」
なぜか、カカシさんはオレの髪の毛を弄りながら答えた。
「それでさ」
「うん」
甘く相槌を打たれて、オレは促されるように話しを続ける。
「別にオレ、あのホームレスのおっさんとはなーんも関係ないんだけど、殺されたんだって知るとなんか哀しいよな。ブラウン管越しに、ナニ偉そうなこと言うなって感じだけど、おっさんただ公園で寝てたってだけで殺されるとかないよな」
どっかの遠い国の何千人の命とおっさんの命が失われるの、天秤に賭けるつもりはないけど、哀しい。
オレは顎をテーブルの上に乗っけたまま、カカシさんの部屋にあるキャラクターもののミニチュアフィギュア(忍犬八匹とかいう奴。)をなんでこんなものがこの部屋に…と思いながら、意外とゲーセンとか行ったりするんだろうかと眺めていた。
―――。
―――――。
――――――――ううん?
「ナルト……」
まどろんでいると鼓膜に直接響くみたいにカカシさんの声が聞こえた。ああ、ヤバい。なんで?いつからだろう?カカシさんが欲情した目をしてる。熱い視線。もしかして、オレってば、この部屋に招かれた時から、まんまと罠に嵌められてしまったのだろうか。
「んんん……っ」
迫って来るカカシさんを前に、オレの視界はシャットアウト。カカシさんってキス上手いのな。オレってば流されちゃうじゃん。ぎゅうぎゅうって胸を揉まれて「あっ、痛い」って言ったら「ごめん」って謝られた。いつの間にか、オレの服が胸元まで捲り上げられていた。カカシさんがオレの乳首に吸いついてくる。別に女の子みたいに膨らんでいるわけでもないのに、何がそんなに楽しいのかな。でも自分の胸元に一生懸命顔を埋めているカカシさんを見ていたら、どうでもいいやと思った。なんだかカカシさんって赤ちゃん見てぇ。オレよりずっと年上なのにさ、愛しい。男にも母性本能って芽生えるのかな。
カカシさんの張り詰めたもの、オレの太腿に当たった。うわ、カカシさん興奮してる…。オレもちょっとしてる、だって男だもんな。結局、オレってばそのまま、カカシさんに美味しく頂かれてしまいました。



男の事後ってなんでこんなにけだるいんだろ。出すもんを出したあとは、もぉどうでもいいんですかぁー…。「うう、また愛のないセックスをしてしまった…」大体どうしてホームレスのおっさんの話をしてたら、エッチに崩れ込むんだよ。もしかして微妙に落ち込んでたのを慰めてくれたとか、いやただ欲情されただけなのか、そうだとしたらどの点に欲情したのか、オレはちょっと大人の性癖というものを問いたくなった。だって、オレの身体好き勝手したくせに、カカシさんはポーカーフェイスなのだ。ぶすムクれてたら、気不味い感じで視線を逸らされた。うおおお、なんて無責任な男なんだ。だけど、カカシさんの背中って優しいんだよな。
「なー、カカシさん。オレのパソコン使えるようになった?」
「使えるというか…。おまえ、このパソコンってウィルス対策ソフト入れてる?」
「オレってばノーボーダーの男!」
「はぁ…。入れておいてあげる」
「えー、別にいってばよ。だってオレの個人情報なんて漏れても別に困らないもん。人に言えない恥ずかしいことも別にねぇし、映画観たり音楽聴くのに使いたいだけだから、ぱぱっと使えるようにしちゃってくれってば」
「はいはい、口だけは達者なんだから。おまえねぇ変なところからウィルス貰っても知らないよ」
カカシさんは、すっぽんぽんの状態でオレのパソコンを弄っている。もうちょっと格好とかを考えよう。顔はいい男だからって全裸は油断し過ぎだ。
そういうオレもパンツ一丁も履いてない状態なんだけどな。それに、カカシさんになんだか人には言えない恥ずかしいことされたあとなので、起き上がれない。
「なぁー、なぁー、前から思ってたんだけど、ウィルスってなんなの。パソコンが風邪引くようなもんなの。教えて、カカシセンセー!」
「はぁ…」
「む。その、バカを見るような目付きはなんだってば」
「今度、オレの会社のロビーで天然記念物の名札付けて飾ってやるよ。おまえは本当に現代っ子か」
今の子ってパソコンの必修授業あるよね?と本当に虫けらを見るような視線で見られて、オレは詰まった。
「ええと、友達のシノが頼んだら、ぱぱぱ~…とやってくれたというか。なんだか凄い速さでデータ作成してくれたっていうか。あはは。おかげでオレってば情報の授業はA評価だってばよ。習ったことは綺麗さっぱり忘れたけどな!」
「自慢にならん」
頭に拳を落とされてオレは悶絶した。
「いってぇ」
「おまえねぇ、国の教育政策をなんだと思ってるの。勉学を甘く見るとあとで泣きっ面を掻くよ」
うわ、マジでカカシさんって先生みたいだ。学校にこんな先生がいたら変態臭いけど、いやだって生徒に手を出したわけだから、あんなとこに突っ込んでお互いに気持ち良くなっちゃうわけだから、でもなんかカカシさんって先生っぽい。
「よし。オレってば、今決めた」
「……なに」
「オレ、今日からカカシさんのことカカシ先生って呼ぶってばよ」
「は?」
「カカシ先生。な、いいだろ。オレにパソコンの使い方教えてってば」
「はぁ…?そんなにせがまなくても、こんなことくらい説明書さえ読めばある程度自分で出来るでしょ」
「それはコンピューターがカカシさ…あ、間違ったカカシ先生の得意分野だからだろ。オレは機械関係お手上げだもん。なー、いいだろ。今度からカカシ先生の部屋にパソコン持って来るから使い方教えて」
「え。オレの部屋で?」
「おう。だめだってば?」
迷惑だったかな?と思いながら、カカシ先生を覗き込むと今までにないくらいそわそわとした表情のカカシ先生がいた。
「いや、別にいいよ…うん」
何故か、カカシ先生の雰囲気がいつもと違う気がする。気のせいだろうか。
「平日も残業がある日以外は空いてるから、暇な時に来なさい」
「え、マジで!?」
「ああ、いいよ。もちろん休日も」
「うわー、カカシ先生って優しいのな!」
「………」
「?」
「おまえ、単純だねぇ…」
また、何故か、カカシ先生が蕩けたような笑顔でオレのことを笑った。
「カカシ先生。今度、インターネットから音楽のダウンロードする仕方教えてってば」
「いや、それ凄く簡単だからね…?」
「え。どうやってやるの」
「ここをこうやって…、こう」
「おお…」
オレは蒲団から這い出して、カカシ先生の脇から顔を出して、画面を覗いた。ふと視線を感じれば、カカシ先生が真っ赤な顔になってオレから視線を逸らした。自分がマッパのくせに、オレの裸は駄目なんだろうか。なんだか、理不尽だ。嫌がらせにカカシ先生の方にぐいぐい擦り寄って、パソコンの画面を眺めていると、カカシ先生のあんまり日に焼けてない肌が真っ赤に染まった。んー?んんー……?
「なー、カカシ先生」
「な、なに…」
「………」
不自然な沈黙が部屋に落ちた。オレが見詰めると、カカシ先生がやっぱり真っ赤な顔になる。この反応はなんだろう。不思議に思ったオレは、顔を逸らしているカカシ先生の顔を覗き込んだ。だって、このカカシ先生の反応はまるで…
「カカシ先生ってオレのこと好きなの?」
「は?」
カカシ先生は驚いた顔でオレを見詰め返した。なんだろう、オレ変なこと言っただろうか。
「好きに決まってるでしょ」
「……へ?」
「好きだからセックスしてるでしょ…?」
カカシ先生の言葉にオレってば固まってしまった。パソコン用語で言うとフリーズ?
「…オレとカカシ先生って付き合ってたの?」
「は…?」
じゃあ、なんでおまえオレの家に来てるの、と逆に真面目な顔でカカシ先生に質問された。え、だって飯食わしてくれるっていうし…ラッキーかなとか思って。カカシ先生、優しいし。
「オレ、カカシ先生に好きだって言われたっけ」
「……言ってなかった?」
「言われてねぇっ!」
「そうだっけ?」
「そうだってばよ!」
オレが言うと、カカシ先生はカシカシと後頭部を掻いた。
「す…好きだよ、ナルト」
なんだこのぐたぐたな告白は。ロマンチックさもなければムードもない。しかし、よく見ればカカシ先生の顔はかなり真っ赤だった。
「そうなんだ。オレ、カカシ先生のセフレじゃなかったんだ…」
「セフレ…って。おまえ、そんなこと思いながらオレと一緒にいたの」
カカシ先生が険しい顔をしたけど仕方ねえと思う。だってさ、今って酒の勢いとか成り行きでそういうこと結構あるし、ただの性欲処理だと思ってた。男同士ってその点面倒がないし、それにしてはカカシ先生は優しいとは感じてたけど、それはガキの穴に突っ込んでるから、良心の呵責とかからかと思ってた。うわ、これは秘密にしておこう。カカシ先生に知れたらなんだか酷い目に合いそうだ。
「ナルトーー」
「うわ、ごめん」
非難の声を上げ、カカシ先生がオレに迫って来た。
「…そっか、カカシ先生ってオレのこと好きだったんだ。オレってば、これってどういう関係なんだろってずっと不思議だったんだよな。すっきりしたってば」
「………」
オレはカカシ先生の気持ちがわかって妙に晴れ晴れとした気分になった。
「ナルト。ごめん…」
「へ?なんで?」
なぜかカカシ先生がオレのことをぎゅうぎゅう抱き締めながら謝ってきた。変なの。
「きちんと、言葉にして、最初に言ってやるべきだったな。変なところ、臆病になって、オレのほうこそはぐらかしていた。ごめん」
「ニシシ。別に良いってばよ」
オレがあっさり笑うとカカシ先生は泣きそうな顔をして尚更抱きついてきた。変なの。
「カカシ先生。あのさ、カカシ先生ってオレのこといつから好きだったの」
オレは気になっていたことを聞いてみた。初めて、押し倒された時からからかな。それともそのあとから?オレの好奇心旺盛な態度に、何故か、カカシ先生のため息が落ちた。
「おまえねぇ、オレのことをどれだけ非人間扱いしてたの」
「えー?」
「最初から好きだったよ。おまえがここに引っ越してきた時から。廊下ですれ違った時に一目惚れしたんだ」
カカシ先生の答えにオレってばびっくりして目を見開いてしまった。
「…オレのこと、嫌いになったか?下心ありでおまえに親切にしてたんだよ」
「………」
「…軽蔑したか?」
「へ、なんで?」
「だっておまえ…」
「オレってば、カカシ先生が好きだって言ってくれてほっとした。それってカカシ先生がオレのこと好きで嬉しいってことだってばよ」
「……本当に、ナルト?」
「本当も何も、マジで嫌な奴だったらこうやって何度もノコノコ抱かれに来ると思うってば?」
その時、オレはその日、一番いい笑顔になったカカシ先生の顔を見た。嬉しい顔の代名詞見てぇな顔で、なんだかカカシ先生にはちっとも似合ってなかった。
世の中、暗いニュースばっかだけど、毎日たくさん人が死んでるけど、今日も誰かが不幸になってるけど、今部屋の中にいるオレたちは結構幸せかもしれない。こうした世間からは隠れた幸せがたくさんできるといいよな。
つまりは、世の中、暗いニュースばっかだけど、毎日たくさん人が死んでるけど、今日も誰かが不幸になってるけど、オレはカカシ先生に後頭部を引き寄せられて、キスをされた。
カカシ先生の指が何度もオレの髪の毛を弄ぶ。あ……。なんだろ、これ。愛されてるのだろうか。



















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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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