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空気猫

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アスマさんの職業とか。






「ところで、カカシくん」
「なんですか、先生」
「やけにナルくんと親密だね」
「………」
「オレに言わないといけないことがないかい?」
「何がですか…」
ジャズの流れる店内が緊張感で満たされた。ナルトも知らず肩を竦ませて傍らのカカシを見上げる。次の瞬間、酷いよ!とミナトが嘆いた。
「アスマくんから全部教えて貰ったよ。カカシくんはオレに黙ってナルくんに会いに行ってたんだってね。酷いよ、抜け掛けしてナルくんと会っているなんて!それもオレに黙って!」
「え…?」
別の叱責を覚悟していたカカシは拍子抜けだ、と言った表情で固まった。
「もうびっくりしたよ。カカシくんとナルくんが仲良しさんだなんてカカシくん今まで一度も言ってくれなかったでしょう!」
「あらあら、そうなの。ナルト。カカシくん?」
「………」
「……あれ。どうしたの。カカシくん。それとも他に何かオレの怒りを買うことでもしてるの?」
「なんだか鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしてるわねぇ」
「え、いやその…」
「カ、カカカカシ先生は何もしてないってばよ…!!」
慌ててナルトが二人の間に割って入って、ミナトとクシナが目を開く。
「ナルくん?」
「ええとオレってばカカシ先生と超仲良しでさぁ…?なっ、カカシセンセぇ?」
「あー…。はい、はい。そ、そうでした…。ご報告が遅れてすいません、四代目、クシナさん」
ミナトは愛弟子と息子の様子を計り兼ねる様子で腕を組んでいたが、余りにも二人が冷や汗気味に説明をしていたものだから、やがて息を吐いた。
(どうやらアスマが上手く誤魔化してくれたみたいだねぇ…)
カウンターの端でアスマが素知らぬ顔で座っている。四代目の様子を見る限り、カカシがナルトと付き合い、キスまで済ましていることはバレていないらしい。もし、本当の自分とナルトとの関係がバレた暁にはこの世から抹殺されることは必須だろう。
「あれがアスマさん……?」
ナルトが不思議そうに、カウンターの端に座る大男を見詰めている。
「あれ。ナルトってアスマとは初対面だっけ?」
「前に一回会った切りだってば」
ナルトは首を捻るが、どうやら記憶が曖昧らしい。無理もない。以前、ナルトがアスマに遭遇した時は暗闇の上に、ナルトは酷く混乱した状態にあったのだから。
アスマはナルトの視線に気が付くとガシガシと後頭部を掻いて立ち上がった。如何にも仕方ねえなぁと言った風情でやって来た身長180cm以上の男を見上げてナルトは「うぉお」と驚きとも知れぬ声を上げた。
「あー…そういやお姫さんとはほぼ初めましてだったな。オレは猿飛アスマ。なんつぅーかそこのカカシのダチみてぇなもんだ、腐ってるがな」
「はぁ…?」
「ま、腐れ縁ってこと」
くくく、と苦笑してカカシが相槌を打つ。
「こいつ、これでもスタジオミュージシャンなんだよ。下のスタジオで仕事してるんだよねぇ?」
「うっそ。すっげー…!」
ナルトは驚いてアスマを見返す。ナルトの羨望の視線を受けてアスマは気不味そうに、頬を引っ掻いた。
「へえ、ナルト。音楽に興味あるの……?」
「いや、オレってば詳しいことはよくわかんねぇけど、音楽やってる人なんて知り合いに居ねえからびっくりしたんだってば。アスマさん、ギター弾ける?」
「ま、……そりゃ一応な」
「すげー!」
「………」
「ナルト~…。実はオレ凄く卵掻き回すの上手いんだぁ~。人の脳みそみたいにこうグチャグチャってさぁ――…」
「へぇ、そうなんだ。――なぁ、アスマさん。今度ギターの弾き方教えてってば!」
「………」
おい、あんまりオレに興味を示さないでくれ。アスマは、ジリジリとした視線を送って来る友人に冷や汗を掻きつつ、アスマハ金髪のヒヨコ頭の少年を見下ろしたが、「すげーすげー」と無自覚な少年は横でおんぶお化けのように被さっている大人に気付くことなく喋り続ける。
「でもさ――…」
「ん?」
「オレってば、ミュージシャンの人はもっとこうヒョローとして死にそうな人ばっかかと思ってたってばよ」
「どんな偏見だ」
「ぶっ、―――あっはっはっはっ」
ナルトの一言にカカシが大爆笑をした。くくくと悶絶して背を折ったカカシを見て、アスマは驚いたように目を見開いた。
「んだよ…カカシ先生ってば相変わらず笑い上戸なのな。またオレのことバカにしたんだってばよこの人は。なー、アスマさん」
「あ…あぁ?」
喫茶店のカウンターで、始まった波風(うずまき)親子の重いんだが軽いんだか、コメディ何だか分類に困る珍騒動に巻き込まれ、さながら風景と化していた猿飛アスマは、何とか退出の機会を窺っていたのだが、思わぬ友人の一面を見て片眉を跳ね上げる。
「……なるほどな」
「へ?」
「いんや、なんでもねぇ。――それじゃあカカシ。オレはもう行くぞ」
――結局、昼飯は食えなかったがな。
「え、もう行っちゃうんだってば」
「おう。また今度な、坊主。ギターの弾き方もその時に教えてやるよ」
「やりぃ。サンキュってばアスマさん!」
「―――――……」
極上の笑顔がアスマに向けられる。煙草を取り落としそうになった自分に驚きながらも、アスマは片手を上げる。
はっきり言ってアスマは今までナルトのことを、可愛いがられているばかりのお稚児さんだとばかり思っていたが、今起きた一件で、惹き付けられるものを感じた。
何より金髪碧眼の目に引く容姿はもちろん、どこか構い倒したくなる雰囲気を持っている少年のようだ。面白いものを見れたなと、「またな」と言ってアスマは木の葉喫茶から去って行った。
カランカランと扉に取り付けられているベルの音が消えて、また喫茶店内に静寂が訪れた。















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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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