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空気猫

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そんなわけで子狐を飼うことになりました編4




 
 ―寝床を与えてあげましょう―

「とりあえず、飯が終わったら次は睡眠デショ」
カップラーメンを平らげた狐の子供は、ペロペロと自分の顔の周りを舐めていた。まだ化学調味料たっぷりのスープの味が名残り惜しいのだろうか、床を舐め上げようとしたところを、脇を持って抱き上げる。
「ハーイ、そこまで。もう腹は膨れたデショ?」
三角耳の天辺から尻尾の毛先まで、総毛立った子供が、おっかなびっくりとした様子でカカシを見上げた。この子供は口が利けないだけで、おぼろげながらも人語事態は理解出来ているのかもしれない。
「はは…、何もしないからね。オレは部屋の掃除したいからおまえはこっち」
硬直した子供を持ち上げ、クッションの上に降ろす。自分が散らかした食事の後始末をするカカシを、子供は不思議そうに見詰めた後、己の下に敷かれているクッションを見詰め、更に部屋の奥に目を移した。ぱたりとふさふさの尻尾が揺れる。
「………――」




「……はぁ、やっと終わった。…って、おまえ何見てるの」
のろのろとした動作で掃除を終えたカカシは、フローリングの床にぺたんと座る狐の子供の顔を背後から覗き込んだ。三角耳の子供から少し離れた所には、まったく興味も関心も寄せられなかったクッションがぽつんと置かれていた。
視線を合わせ、カカシは合点する。子供の視線の先にあるのは、就寝具。すなわち家主たるカカシが就寝に就く際に使用するであろうふかふかのベッドだ。
「…………」
カカシとて任務明けで、ほとんど徹夜に近い状態である。幾ら上忍で数日眠らなくても耐えられる身体と精神を持っていたとしても、長期任務の後くらいは、自分のベッドでゆっくり寝たい、というのが人間の心理というもの。
だが、しかし。カカシは自分を見詰める碧いまなこの視線に、我知らず唾を呑んだ。
狐の子供が澄んだ両眼でじぃと己を見ている。物言わぬ瞳が、何かを訴えているような気がするのは気のせいか。いやきっと、気のせいに違いないのだ。大体、あんな小汚い所に転がっていた子供が、就寝場所などに頓着するだろうか。人語さえも怪しいというのに、沈黙したまま何も言わずにカカシに要望を訴えようとしようとしているのか。馬鹿らしい。―――が。しかし、万が一、本当に訴えていたとしたら?
目の前の子供を見下ろせば、多く見積もっても8歳程度の外見だ。世間一般の常識からすれば庇護すべき対象者である事はどう見ても間違いない。
季節は秋。室内だとしても夜は冷える。カカシの足元には、Tシャツを一枚だけしか羽織っていない子供が、肌寒そうに素足を晒し、眉を寄せている(ように見えなくもない)。
オレは非人間ですか?
結局、カカシは、何かを試すような子供の視線に耐えきれず、己のベッドとソファーを睨んだ結果、はぁ…とため息を吐いた。
「はいはい、わかりました。オレがソファーでおまえがベッドね。どうぞ、オレのベッドで寝て下さい」
カカシは諦めたようにタンスから毛布を引っ張り出しソファーに寝転がる。電気を消してしばらくすると、部屋の隅っ子で微動だにしなかった子供がベッドに載る軋んだ音が聞こえた。
(オレの目がないと元気に動けるわけね…)
小憎たらしい…ともそもそとカカシは寝やすい場所を探して、頭を移動させる。こんもりと盛り上がったベッドの形。シーツの合間からふさりと飛び出した尻尾と二本脚。どうにも、家の中に己以外の他の誰かが居る気配に慣れない。しかし、任務明けで疲れていたせいだろうか。ベッドの中で子供の寝息が聞こえて来た頃、睡魔はすぐに訪れた。





 









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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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