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空気猫

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「おおい、ナルトー?」
木の葉学園の放課後。学校の廊下の端からイルカに手を振られて、ナルトは「なんだってば?」と振り向いた。またお説教かと思いきや、彼が持っていたのは一冊の薄っぺらい雑誌だった。
「ここを見ろ。これ、この記事に載ってる〝天才画家〟って、この間のカカシさんじゃないか?」
イルカが差し出して来たのは、開くとパリパリと音を立てて空気中の塵になりそうな雑誌だった。よく見ると図書館のコードが付いている。イルカの話によると10年ほど前に出版された雑誌らしい。
黄ばんだ雑誌の記事にはカカシに対する賛辞とその栄光とは裏腹にそれは見事な仏頂面のカカシの顔写真が載っていた。記事の内容は、カカシの見目の良さも賛辞していたが、本人はちっとも嬉しくなさそうだ。
目付きの悪いカカシの顔に「ぷっ」とナルトは久しぶりに吹き出した。
「カカシ先生って有名な画家だったんだな…」
「ああ。どこかで顔を見たと思ったんだ。だが、まさか美術雑誌とは思わなかったな。新聞にも掲載されたって書いてあるし、当時は結構な有名人だったんじゃないか。あのカカシさん」
「そうみてぇー…。凄い人だったんだな。カカシ先生。全然知らなかったってば。あのさイルカ先生、この雑誌借りてもいい?」
「おう。いいぞ。オレも学生時代は同年代なのに凄い人もいるもんだと感心したもんだなぁーと関心したもんだな。確かテレビのニュースでも取り上げられていてな、それで覚えていたんだ」
タイトルは〝腐った胎児〟。
腐敗した羊水の中を赤ん坊が浮遊している絵だ。見ていて気持ちの良い絵ではなかったが、カカシが描いたものであるというだけで、愛着が沸く。
批評では沢山の言葉を使ってその絵を飾り立てていたが、本当のところカカシは何を思ってこの絵を描いたのだろう。
「なんで絵が描けなくなっちゃったんだろ…」
バランスと振り子。
カカシの手から擦りぬけて消えたものはなんだったのか。
















 
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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