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空気猫

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お隣さんシリーズ。
終わったつもりでしたが、ネタが出来たので。ネタが去年風味なのはそうです、だらだら書いてたら時期を逃したのです。ナルトの言ってる事はセルフで「なーんちゃって」と付け足すこと推奨。






シュガー&スパイス

どうしてかな、最近世の中の事を怖いって思うようになってきたんだ。巷は今年の夏くらいから新政権誕生に沸いてるみたいだけど、オレの周りでは相変わらず変わり映えのしない生温い風しか吹いていない。ま、世間様で、不況、不況って、言っているわりに、いつも通りそこそこ平和ってこと。
テレビの中では、また偉い政治家のオッサンの秘書が首を吊って死んだらしいけど、どうして政治家の秘書や税理士の人って自殺したり、一家で行方不明になったりするんだろうな。不思議。あと「全部秘書がやりました」っていい加減聞き飽きたんだけど。
オレにしてみれば、報道の風向きこそ胡散臭い。偏った報道で、どちらかの味方をして、散々もて囃していた人をいとも簡単に引きずり下ろす。これでは、どっちが主権を握っちゃってるかわかったもんじゃない。
テレビというものは、ある程度、作る手側の都合の良いように選別された情報を流す媒体である事はオレもわかっている。誰かの手が加えられた時点で、それは100%生の声とは言えなくなるのだ。夕方のローカルニュースの街の人々の特集なんかでも、ええ~、そりゃないだろっていう極端な意見が取り上げられたりしている事もあるよな。それは一般的に言えば極端であったりして、またわかりやすくもある。しかし、作る側の都合の良い展開に持って行くために選別された意見であるともいえるのだ。オレは、むしろカットされた、人の意見を聞きたいんだけどな、我儘かな。
それをカカシ先生に言ったら「1人1人の意見を直に聞きたいって…おまえって王様みたいに面倒臭い考え方するね」だって。別に、そんなつもりはないんだけどさ。
でも、あったまの良いシカマルが言ってたけど、前に大国でテロが起きた時に、各国のニュースが国ごとにまったく違う報道をしていたんだって。国家間の外交的に戦争反対を強く言えず報道統制がされた国なんてものもあったりしたらしい。
自分で考える事が出来なくなる事が怖い。誰かの価値観に影響されて話すのって、簡単だけど流されちゃいけない気がする。自分の代わりに考えてくれる教師がいて、料理を用意してくれる料理人がいて、自分の代わりに思想を植え付けてくれる思想家がいる。それは、果たして人間として目覚めている状態だと言えるのだろうか。名前は忘れたけど、昔どこかの国で革命を起こした変な顔のオッサンが書いてた。その時代にんな事を言ったらそれこそ命が危なかったかもしれねぇのに、自分の意見を曲げなかったんだから、偉いよな。本の内容は恐ろしく難しくって意味は半分も理解出来なかったけど。
今日、近所のファーストフード店で、セールスマンのオッサンと、生活に疲れたって感じの化粧っけのない感じの女の人がオレの隣に座っていた。オレってば、人通りの多い外に出る時は大体ヘッドフォン着用が定番なんだけど、なんでか隣の会話が気になっちゃってさ、トレイを持って座る時そのスーツのオッサンにわけもなく睨まれたっていうのもあるんだけど、思わず聴き耳を立ててしまった。だって、あれはさ、後ろ暗いことしてる奴がコソコソしてる時の目だってばよ。買ったばかりの音楽雑誌に視線を落としながら、オレは気分は忍者よろしく諜報活動を開始した。(この間、進路希望調査書に〝忍者〟って書いたらイルカ先生に頭をぶったたかれたけどな)
女の人は、もうちょっと明るい色の服を着たり、暗い表情を止めたら、綺麗になるんだろうなぁっていう感じの人で、男のオレから見れば非常に惜しかった。
セールスマンの男の方は、顔は一般的に見て伊達男っていうの?合格点なんだろうけど、やたら胸元の開いたシャツを着た、オレから言わせれば下品な男。
で、セールスマンのおっちゃんが言うには次のような通りだった。すぐには効果が現れないけど、この化粧品は5年後、10年後に違いが現れます。外国ではすぐに広まりましたよ(だからなんだっつーの)。
私も本当に良い商品だと思っているから自信を持ってご紹介するんです。これを買わない人は馬鹿ですよ。今を逃すと、在庫切れになってしまうほどの人気商品です。とてもお買い得です。だけど、貴方には特別に破格の値段でご提供します。
その後も小1時間、よくもまぁペラペラ口が回るというものだ。そして、困った時はぜーんぶこちらに任せて頂ければ結構ですの決まり文句。
それだけで、女の人が安心した顔になっちゃうんだから、ちょっと切ない。これって、傍目から見れば悪徳商法の定番の話術。
本当、マニュアル通りって感じで感心しちゃうってばよ。こんな安っぽい手口、オレでも知ってる。その女の人だって、テレビとか本でもなんでもいい、知ってるはずだろ?
そんなのに引っかかる奴なんているのかよー…と思ったら、目の前の女の人は熱心に男の話を聞いてるんだ。
世の中、不思議だよな。その女の人の目は盲目的に何かを信じるもののそれだった。ええと、オレが聞き齧ったところではその商品って届いて、試用期間が2、3カ月なんだろ?クーリングオフ期間が勝手に過ぎるってカラクリじゃん!あわわわ、そんなわけでオレってば音楽雑誌を片手に思わず席から立ち上がってしまったのだ。ご愁傷様。
「オレは、正義のためを思って行動したんだってばよ」
「そうですねぇ」
「なのにさ、女の人には泣いて喚かれるし、男にはキレられるし、すげー理不尽」
「そりゃ、その女の人もおまえみたいな金髪男子高校生に詰め寄られたら怖いでしょ」
「むうううう、見掛けだけで判断されるのかよ」
「まぁ、外見って一番わかりやすい判断基準だからな」
そうか。それならアンタもオレを見掛けだけで判断して付き合ったんだなー、とオレはオレの隣でパソコンと共に涼しい顔をして座ってるはたけカカシに殺人光線を送る。
大体、カカシ先生が待ち合わせの時間に2時間も遅刻してくるから悪いんだ。オレってばツーンとしてしまった。
「カカシ先生と話していてもつまんねえってば。ぜーんぶ〝大人の答え〟って感じでさ」
「それなら、キバくんとかに話をすればいいでしょ。頷いてくれるんじゃない?」
「………」
オレは、ファーストフード店のテーブルの上に顎を載っけてぶすムクれてしまった。…別に、そんなに突き離さなくてもいいじゃんか。
「なぁ、カカシ先生って本当にオレのこと好きなのかよ」
「好きだよー」
「大切だったりする?」
「大切、大切」
そういうことは、ちゃんとこっちを見て言え。オレが話しているというのに、カカシ先生といえば見慣れない眼鏡なんて掛けて先程からパソコンの画面を見てばっかなのだ。
「う~~~…」
オレは主人に素っ気なくされた犬よろしくいじけて唸ってしまった。パソコンの画面を見るより、近くに居る恋人のオレを見てくれてもいいじゃないか。バカ野郎。電気オタク。もうパソコンと結婚してしまえばいいんだ。
「カカシ先生のばかーーー」
「うわ。おまえ、なに一人で爆発してるの…っ」
ファーストフード店のボックス席から立ち上がると、やっと色違いの瞳がこちらを見てくれた。
「あのねぇ。落ち着きなさい、ナルト。オレは何もおまえのことがどうでもよくて、冷たい態度をとってたわけじゃないよ?」
「っ?」
「オレだってそれなりに怒ってる」
なんだと。どこまでも身勝手男めー、と再び反旗を翻してオレが腕を捲り上げようとしたら、カカシ先生が結構深刻な表情でぽつりと呟いた。その顔はちょっといやかなり怒っていた。
「オレが来なかったら、おまえが殴られてた」
カカシ先生の言葉にオレってば動きを止めてしまった。ファーストフード店の雑音がやけに大きく聞こえるようになった気がする。
「嫌な言い方をするようだけど、なんの縁も所縁もない通りすがりの女のせいで、オレの大事な子が危ない目に遭うところだった」
「………」
「オレが、後でこの店に来る事がわかってるのに、そんな身勝手な行動をとったおまえに対して凄く怒ってる。オレは怪我をしたおまえなんて見たくない」
「そんなの、カカシ先生のオーボーだってば…」
「ああ、偏った意見である事は承知だよ。でも、許さない」
カカシ先生はまた冷静さを取り戻したらしく、温度があるんだかないんだかわからない視線をパソコンに向けたままだけど、公衆の面前でなかったらキスなんてものをされていたかもしれない。オレは捲り上げていた拳を力なく降ろした。
「オレは冷たいし、偏った人間だから、見知らぬ誰かのためにとか、おまえのように熱く行動は出来ない。手が届く範囲の、大切なものだけ守れれば万々歳かな、ってのがオレの信条でね」
「……おう」
「だから、周囲の事や、結果を顧みないおまえの行動に苛立ちを覚える時も確かにあるよ」
「……う、うん」
「でも、ま。それと同じくらい、おまえのそういう無茶なところとか、真っ直ぐなところが、オレにとっては眩しくもあることはまた事実でもあるわけだ」
すっかり落ち込んで溶けてしまったシェイクをストローで啜っていると、オレに殴りかかろうとした悪徳商法の男を見事に返り討ちにしてくれた大人は、ちょっと笑顔になってオレの頭をぽふんってした。
「今度の休み、旅行に行こうか?」
「マジ!?」
「ま、二泊三日の小旅行だけどねぇ~」
「行く、行く、行きますーーー!」
オレが周囲も気にせず、ガバっと抱きつくと、カカシ先生がオレごとくるんと一回転して、
「おい。こら、よせって」
と困り切った顔をしている。パソコンの画面を見ると旅行プランが載った情報サイトと、さっきのサラリーマンのおっちゃんが持っていた名刺の会社。あれ、カカシ先生ってば、もしかしていけないことしてた?
「……カカシセンセー、犯罪には手を染めるんじゃねぇってばよ?」
「さて、なんのことでしょうか。ナルトくん」
あーあ、いやだな。大人っていやだ。何もかも恰好良くてズルいんだ。だけど、速くオレはこの人に追い付きたいんだ。






+     +


あ、そういえばなんだか兄弟のせいで、この間サラリーマンがショック受けたんだって。へー、へー、ふーん。
「大体、好景気の頃に戻りたいにしたって、あれが元々規格外の世界だったんだよ。本当はカップラーメンしか作れない奴のテーブルの上に勝手に一流シェフが用意した豪華な料理が載っていたようなもん。そんなもんにいつまでも縋ってるから、足元の大事なものが疎かになっちゃったりするんだよな」
オレがペラペラ薄っぺらいことを喋ってると、
「でもさ、普通に暮らしてる人たちって、結構それぞれで幸せだったり、ちょっと不幸だったりするもんだって、オレは思うよ」
「それは…、オレもそう思うけど…」
やっぱりカカシ先生には敵いませんでした。店を出る時、隠れるようにコート越しのキス。










 
 
 
 


周りにリーマンショックをサラリーマンがショックを受けたと思ってた奴がいたという話。
まぁ、ある意味当たってる。けど…!けど……っ!!!
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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