空気猫
空気猫
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まさか続くとは。コメント残した猛者たちの勝利。全2話。魔王カカシが全力で木の葉レンジャーの前に立ち塞がる敵をぶち倒すという恐ろしき悪の話。(精神面の圧迫含む)
「今日の木の葉レンジャーの任務は凶悪な脱走常習犯の捕獲だってばっ。ご近所の平和はオレたちが守る!!」
今日も今日とて、木の葉レンジャーは木の葉商店街の平和を守るため大活躍だ。俊敏な足を活かし、リーダーナルトを先頭に、商店街に紛れ込んだ凶悪脱走犯を追う。
「って、うわわ、引っ掻くなってばよ~、トラぁあっ。諦めて、セレブマダムの飼い猫に戻れってばぁああっ!!」
木の葉イエロー…正体は言わずと知れたナルトは、捕獲した猫を抱っこした途端盛大に顔を引っ掻かれ、悲鳴を上げる。
「だから、軍手を嵌めてから捕まえろって言ったのに。あのドベ」
「ナルト。今度からこの依頼の時はマスクぐらい被ればいいんじゃなぁい。ほら、ヒーロー戦隊なんだし?」
木の葉レンジャーの衣装は、市販のジャージだ。動き易いこととドジなナルトが毎回転ぶことを考えた結果、こうなった。黄色のナルトに始まり、サスケは青、シカマルは緑、チョウジは激辛カレーの色を採り赤である。女子のサクラだけはダサジャーの被害から逃れ(謹んで辞退をしたともいう)、学生服の下にスパッツを着用している姿だ。ちなみに全員ノー覆面である。なぜなら…。
「オレってば正義のヒーロー!みんなのためにいいことしているのに、顔を隠す必要なんてないってば!!」
ナルトは腕の中で暴れる凶悪な猫に奮闘しながらそう答え、イエローの暴走に遅れて追いついて来たサスケとサクラのコンビが、やれやれと言ったふうにため息を吐いた。
「あれぇ…。ナルトだぁ。今日って木の葉レンジャーのお仕事の日だったけぇ?」
そこに、気の抜けた男の声が掛かった。
「うわ、カカシ先生っ?どうしてここに居るんだってば!?」
「んー、夕飯の買い出しだよー。今は、タイムセールの帰り。今日は秋刀魚が安かったからねぇ」
漫画に出て来るような古典的な買い物籠を腕に引っかけたカカシはのんびりと笑いながら、ナルトと猫の傍に近寄った。
「ナルト。その怪我どうしたの?」
「え、あ。これは…」
ナルトの顔には猫に引っ掻かれたことが明白な傷があった。カカシはニコニコとした表情を崩さないまま、ひょいっと屈み込むとナルトの腕に抱かれた猫を覗き込んだ。
「ん。おまえ、ナルトに迷惑かけたらだ~めだよ♡」
にこぉ~…と元魔王のカカシが一見優しそうな笑みを向けると、ぞわわわ…っと猫が死にそうな顔で硬直した。どうやら、野生の本能で生命の危機を感じ取ったらしい。
「あ、あれ。こいつってば急に大人しくなったってば!?」
「ん。流石ナルトだねぇ。きっとこの猫もナルトの秘めた実力に恐れをなしたに違いないよ~」
「へ?は?そ、そうなの、かな?」
腕の中の猫は完全に放心したような表情のまま、固まっている。ナルトは、少し疑問に思ったが、「んー。今日も頑張るナルト、可愛い」ちゅう…、とカカシに不意打ちのキスをされ、そのまま固まってしまう。
「うわ。な、な、な、なっ。なにするんだってばよーーーっ!!」
どっかん、と活火山が噴火するかの如く、ナルトの顔が真っ赤になる。
「カカシ先輩。引退したとはいえ、流石は元魔王。立派な公共猥褻罪です…!」
ヤマト含め、イーッの動物面集団が静かに感動の涙を流す中、やはりマスクは付けた方がいいかもしれない、とほっぺにちゅうで戦慄く正義の味方の悲鳴が、今日も木の葉商店街に響いた。
「ナールト。はやく、家に入りなさいよ~」
建て付けの悪い扉を、ぶさいくな犬のキーホルダーがついた鍵で開けつつ、後頭部を引っ掻きながらカカシはナルトの方を振り返る。
「う、うん」
カカシに促されながらもナルトはやたらと音のうるさい階段を上る。築30年は経過しているであろうアパートは、ナルトの生家だった。
(やっぱさ、やっぱ似合わねぇよな…。引退したとはいえ、悪の組織のボスがこんなボロアパートでのほほんとしているとか…)
カカシが〝専業主夫〟として、一人暮らしのナルトのアパートに押しかけてきて早一カ月。以来、カカシは昼間は学校、放課後は木の葉レンジャーの仕事に忙しいナルトのため、炊事洗濯を一手に引き受けている。当初こそ、銀髪、オッドアイ、左目に傷付きの男を、ご近所にどう説明しようかと思い悩んだナルトだが、カカシが暇つぶしに取ったという本物か偽物か出所の疑わしい〝教員免許〟を大家に見せ、尚且つナルトに〝カカシ先生〟などという呼称で呼ばせたことで、事態は簡単に片付いた。
それに、カカシはああ見えて社交的な一面も持っているらしく、最近では近所の奥様方とも「夕飯の献立の話」をするなど、案外上手くやているらしい。
(カカシ先生って主夫とか言って実はなんでも卒なく出来るし、要領もいいし、オレより百倍くらい物知りだし…)
ナルトは、近所の主婦等に囲まれてきゃあきゃあと言われているカカシを思い出す。それに比べてナルトと言えば、近所の犬に追い掛けられて半泣きになる弱小ヒーローである。
(もしかしたらオレってば、カカシ先生にとってすげぇ足引っ張る存在…?)
「―――……っ」
ズキン…と心が痛む。なぜだかわらかないが、酷く哀しかった。
「どうしたの。ナルト?」
「うぁ、カカシ先生。顔が近いってばっ」
「だって、近寄らないと顔の傷の手当て、出来ないでしょ?」
「――あ。ごめんってば」
「ったく。こんな引っ掻き傷だらけで帰ってきて…。頑張るのはいいけど、あんまり無理しちゃだめだよ~?」
「う…」
「せっかく男前な顔が台無しでしょ?」
そう言って首を傾けると、カカシはニッコリ笑う。狭いアパートの部屋の中で、二人は向かい合って座って居たのだが、ナルトは恥ずかしさから思わず赤面してしまった。
「オ、オレってば男だし。顔の傷くらい大丈夫だってば」
「だーめ。おまえねぇ、せっかく美人な顔に生まれたんだから、傷なんか残っちゃったらもったいないでしょ」
「び、びじんなんかじゃないってば!!」
さらりととんでもないことを言うカカシに、ナルトは慌ててしまう。そのうえ、どさくさに紛れてカカシの顔が近付いているのは気のせいか。やけに近距離にあるカカシの顔をまともに見詰めることが出来ず、ナルトの顔はさらに火照る。
「ナルトはオレのヒーローなんだから、怪我なんてして欲しくないよ…。おまえが傷付いたら、オレ、哀しいよ…?」
「オ、オレ。カカシ先生にそんなふうに言って貰うほど、本当は偉くもなんともないってば…。ドジだし、まだまだ弱いし…っ」
「あのね、オレはナルトの一番のファンなの。おまえのこと、応援したいと思うのは当然でしょ?」
ニッコリと真顔で言われ、ナルトは真っ赤になってしまう。迫る来るカカシに対して、ナルトはワタワタと両手を使って防御をしたが、やがて両腕とも拘束され、あっさりと押さえ付けられてしまう。
「だから、おまえはこのまま夢を追いかけるキラキラしたヒーローでいてね♪」
唇に微笑をのせた元魔王は、正義のヒーローに伸し掛かると、そのまま柔らかな少年の唇に己の唇を合わせたのだった。
空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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