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空気猫

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スレナル。こんな大人になっちゃダメ。









素晴ラシキカナ、駄目犬人生

「はぁ~。ナルトとイチャパラした~い」
「十分しているだろうがよぉ。まだシ足りねぇのか?」
「同僚に性犯罪者が居るだけでも我慢ならないのに、これ以上何かやらかしたら承知しないわよ。カカシ?」
ここは人生色々。上忍の寛ぎの空間でもあるここで、3人の上忍たちが並んで座っていた。右から、はたけカカシ、猿飛アスマ、夕日紅。三者とも里を代表する優秀な上忍ばかりである。
その中でも抜きんでた能力を持つのが、はたけカカシだ。しかし、彼は12歳の少年相手、それも己の生徒に不埒な懸想をしている教師としてあるまじき男である。
「だって、ナルトって全然隙がないんだもん。邪な気持ちを思って近付こうものなら、キスどこか指一本だって触れさせてくれないわけだし?」
「まぁ、あのドベっぷりは演技だからな。あの実力相手にそう簡単にはいかないだろう」
「こんなことがあると、うずまきも本当に必要があって力を尽けたって感じよね。うずまきが実力ある子で良かったわ。でなきゃ、簡単に変態の餌食になっていたかもしれないものね」
「変態って誰のこと!?誰がナルトの貞操を狙ってるの!?」と変態が鬼気迫る顔で、紅に詰め寄り「…あんたのことよ」と顔を押し退けられる。
「本当にどうしようもないわね」
紅が唇の端を引き攣らせると、カカシがめそめそと人生色々のソファーでのの字をかいている。
「この間のデートだって、オレがリードしようと思ったのにナルトったらどんどん一人で歩いて行っちゃうしぃ~」
荷物持ちと称して、ナルトの買い物に付き合い忍具屋や、上忍御用足しの薬屋を回ったカカシ。前を歩くナルトの小さく形の良い尻を追い掛けていたら、うるさい、とど突かれた。喋るな、との命令のため、一言も喋っていなかったにも、関わらずだ。
「手も繋がせて貰えなかった…。あぁ、ナルトのすべすべの手に思う存分、頬ずりしたい…」
「おまえ、本当に終わってるな」
流石のアスマも友人の世迷言に帆を尾を引き攣らせる。
「夜だってベッドの中の可愛いナルトの寝息を感じながら、オレは窓の外で簀巻きにされてお預けを喰らう毎日。そんなオレに許されるスキルといえば…」
「あやまる」
「お願いをする」
「命令を待つ」
のみ。上忍はナルトが捨てた紙コップを拾っては、はふはふしている日々である。
「おめぇは犬以下か!!おまえ、そりゃ男として情けなくねぇのか」
「だぁって、ナルト可愛いんだもん~。あの冷たい視線で射抜かれて、〝役に立たねぇ駄犬だな〟って罵られるだけでも言い知れぬ、快・感…」
「だめだ。こいつぁ、完全に変態だ…」
「うずまきもまだ若いのにこんな奴に目を付けられて可哀想に…」
エリート街道を歩いて来た天才上忍は、職場ではもちろんプライベートでも罵られることなど、皆無。怒られたことのなかった上忍が出会ったのが、里の犠牲となり九尾の器になった子供で。
最初は守ってあげようと思った。可愛くて稚い。だけどいつも一生懸命な姿を見て、胸がドキドキとした。
12歳という年齢に迷うこともあったが、それもすぐに関係ない、と感じるようになった。
カカシが好きになったのは、最高に真っ直ぐ愛らしく成長したお子様で。
下忍任務終了後。愛の告白をして、我慢できずぎゅうっと抱き締めたところでまさかの反撃を食らった。
いきなり飛んできた手裏剣。叩き伏せられた時の地面の感触。180度違う性格に、口の悪い喋り方。そのうえ、上忍のカカシが、身震いしてしまうほどの実力…。
カカシが好きになったのは、本当は、最高に強く気高くに成長した孤高のお子様で。
変態!死ね!と少年に罵られた時、確実に何かに目覚めてしまった。
だって、涙目になって真っ赤になった顔があんまりにも可愛かったから。
そんなに震えて、強がって、だけどそれ以上に怯えて怖がって。今まで、どれだけ我慢していたの?
きっと、オレなら、おまえの期待に応えられる。
もう、そんなに虚勢を張らなくてもいい。安心していいんだよ?
カカシは別の意味でこの子供を守ってあげたい、と思ったのだ。
「おい。カカシ」
噂をすれば本人の登場だ。この里で唯一狐の暗部面を付けた小柄な少年暗部。不機嫌全開の声であるが、これがナルトの本当の地声だ。カカシはすかさず、少年の足元に駆け付けるとふはふと尻尾を振った。
「やっぱりこんなところで油を売ってやがったか。下忍任務はともかくまさか暗部任務の時間、忘れたとは言わせねぇぞ遅刻魔上忍」
ナルトは自分の足に擦り寄って来た変態を蹴りあげてから、待機所内を見渡す。
「こいつが迷惑をかけた。貰って行くが、いいか?」
「いや、いつものことだ。気にするな」
「そうよ。あまりにも我慢できな嫌なことされたらすぐに言うのよ」
何故か協力的な発言を返され、ナルトはきょとんと首を捻る。元来、この子供は自分に対する好意に鈍感なのである。
「じゃぁな」
「おう。またな」
「さようなら」
大人たちに手を振られ、ナルトはぎこちなく手を振り返す。
「――あ、紅」
カカシの首根っこを掴んで大人の身体をずるずると引きずりながら、待機所の窓に再び手を掛けたナルトだったが、そこで何か思い出すことがあったのか、ふいっと背後を振り返った。
「この間の、菓子。んまかった。さんきゅ」
無口な少年から挨拶以外の言葉を掛けられて、首を捻っていた紅だが、その内容にすぐに合点したようだ。
「ああ、リキュール入りのチョコレートね。また、中心部に行く用事があったら買ってきてあげるわ」
紅が微笑むと、ナルトはカカシが今まで見たことないほど可愛い顔で頬を染めた。
「悪いからいいって…」
「いいのよ。自分の分のついでだから。美味しいわよね、あそこのチョコレイト。私も甘いものは苦手だけど、あの店のチョコだけはイケるのよねぇ」
ナルトは紅と話す時に、妙に照れているようだ。そう言えば、ナルトは母親という人に無縁だったせいか大人の女性や、女の子などに裏表関わらず優しい。
「!???」
地べたに這いずっていたカカシは、紅とナルトのやりとりに大きく目を見開いた。
「ナルト、紅と仲が良いの!?」
「はぁ?なんだよ、それ。フツーだ。フツー」
「そうよ、カカシ。普通でしょ?」
「オレも、ナルトの〝普通〟欲しい!!まだ貰ってない!!」
「そりゃ、てめぇは毎回、オレを怒らせることばかりするからな。普通に接してくる奴にはオレだって、いつも怒っては接しねぇよ」
「だっははは。自業自得って奴か、カカシ。残念だったな」
キョロキョロと視線をアスマとナルトの間で彷徨わせるカカシ。ナルトは、スパスパと煙草を吸うアスマにも「その通り」などとくつくつと笑みを零している。
「っ!?っ!?っ!?」
どうして!?
あの冷たくクールなナルトがオレ以外にとびきり可愛く笑っている!!
ていうか、クマも紅もいつの間にナルトと仲好くなったわけ~!?
「ナルトっ。こんな化粧濃い年増のどこがいいわけ!?オレの方が100倍ぴちぴちだっつーの!!」
「なんですってぇ、カカシィ!!」
カカシと紅から殺気が飛び合ったが「はぁ?馬鹿言ってないで、さっさと任務行くぞ」とナルトからの天使の一声で、カカシがナルトの懐に飛びつく。
「ナルト~、ナルト~」
きゅうぅん、と鳴く上忍。それを受け入れる少年。
「すまん。駄犬が、粗相したな」
己の身体にすりすりと頬づりするカカシの頭を撫でながら、「ほら、行くぞ」と上忍を引っ張って行く少年の後姿は、どこか満更でもなさそうだった。
「………」
「………」
飼い主と飼い犬の光景を目撃しながら、もしかしたら、あの男は酷く少年に愛されているのかもしれないと思ったアスマと紅であった。













 





とりあえずスレナル更新はここで一旦ストップ。楽しかったな。
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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