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空気猫

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ハヤテさんが綱手さんの時代に生きていたりしますが、気にしないで下さい彼を出したかったんだ。ようはカカシ先生を筆頭に大人たちがナルナルを愛で尽くす話です。尚、この物語は、空気猫にもう一つあるカカカカナルとは別次元にあります。まったく意味のない注釈だったかもしれませんが一応。










緑のプルプルした液体を飲んでナルトが二人になってしまいました。



「んぎゃああっ」
ここは木の葉の里にある科学班の実験室。金髪碧眼のちみっこ下忍は、床にコロコロと転がったビーカーを前に頭を抱え驚愕した。
「おまえ、〝オレ〟だってば?」
「そ、そうだってばっ。おまえこそ、〝オレ〟だろっ?」
二人でお互いの顔を見つめ合ってぷるるんとした頬を突き合わせ、一拍の間のあと。
「ふぎゃああああ」
と、ドタバタ忍者の絶叫が、火影邸から木の葉の青空を駆け抜けた。





「ナルトくん。どうしたんですね、ごほっ」
お子様の悲鳴を聞き付けて、白衣を着用した月光ハヤテが新薬の研究室へと入ってくる。顔色が悪そうなこの男は、別に大病などを患っているわけではない。ただ咳が止まらない体質なだけなのである。
「ハヤテ兄ちゃん~、オレってば二人になっちゃったってば~」
「メロンソーダだと思ったのに、飲んだら変なことになっちゃったってばよ~」
うるうると瞳に涙を溜めた、小さな子供たち。髪の色はけぶるように眩しい金髪。瞳の色は空よりも綺麗な碧色。ミルク色の肌に、おまんじゅうみたいにふくふくしたほっぺ。
ハヤテは、一時目を見開いたあと、ごほ…っと咳き込んだ。大人の目元は、何故か僅かに赤くなっていた。
「これは大変ですね、ごほっ」
満更でもなさそうに視線を反らしつつハヤテが述べた。
「おまえ、影分身じゃないんだってば?」
「無、無理だってば。頑張っても元に戻れないってばよォ」
一人のナルトがもう一方のナルトを指差しつつ怒鳴り、叱られたもう一方のナルトは一生懸命力を込めて本体へと戻ろうと試みているようだが、ウンウン唸るばかりで上手くいかないらしい。
「どうしようってばぁあああ~っ」
見事なシンメトリーの悲鳴。お子様たちからすれば、阿鼻叫喚。地獄絵図(?)。
「しばらくこのままですね…」
ごほ…、と籠った咳をして、ハヤテが冷静に分析をする。
「ナルトくんのチャクラの量を考えると、…九尾のこともありますし、まったく未知数ですね」
「え!?今、なんか言ったってば。ハヤテの兄ちゃん?」
「なんでもないですね、ごほ…」
目の下にクマを作ったハヤテは、表情を険しくして愛らしいお子様たちを見詰める。びくんっとナルトたちが震えた。
「ハヤテの兄ちゃんっ。お、おれたちの命はいったいいつまで持つんだってば!!」
「オトコ、うずまきナルト。か、覚悟は出来てるってばよ!!」
ハヤテの表情にあらぬ妄想を膨らませた2体のナルトは、拳を握ってううう~と丸まったあと。
「さぁ、どーんっと教えてくれってば~~~!」
声を揃えてまったくトンチンカンなことを叫んだ。同チームの黒髪の少年が聞いたら、このウスラトンカチが…、と呟いたことだろう。
「はい…?」
まるで余命宣告を告げられる前のような子供の様子に、ハヤテはつつつと首を傾ける。夜道で出会ったなら思わず、ひぃ!っと悲鳴を上げてしまうような不吉な顔。それが月光ハヤテの素の表情なのではあったのだが、誠に残念な話である。





人生色々が騒がしいな、という印象はあった。馴染みのある黄色のチャクラが二つに分裂しているのも奇妙だな、と思った。しかし、同僚たちの膝の上で、頭を撫で繰りされつつ可愛がられているナルト(×2)を見た時、何故だかわからないが、はらわたが煮え繰り返った。
「あー…。ナルト…?」
内心の怒りを億尾も出さずに、カカシはのんびりとした様子で笑う。かまぼこ状になった上司の瞳に、二対の大きな碧玉は、目に見えてぴかぴかと輝き出した。
「カカシせんせぇーっ!」
ドタバタとしてカカシの腰に突進した衝撃はいつもの二倍。カカシは眠たそうな瞳を僅かに見開いて、部下の生徒を見降ろした。
「んー。おまえ、随分変なチャクラの発動の仕方をしてるねぇ?」
「これには壮大なわけがあるんだってばよ!」
「聞いてくれってばよ。カカシせんせぇ!」
左と右のスピーカーから最大音量で訴えられたカカシは、やれやれといった調子で、人生色々の床にへたり込む。そこに、子犬ヨロシク二人のナルトが膝の上に飛び乗った。
「へへへ。カカシせんせぇ!!」
「つーかまえったってばよ!!」
左右から満面の笑顔。まったく同じシンメトリー。
「ぎゅうう~~っ」
「ぎゅうう~~っ」
二体のナルトに懐かれたカカシは、はぁ…と疲れたようなため息を落とした。
「はい、はい。聞いてやるから、順番っ子に喋りな」とナルトの頭に手を置きながらカカシはカシカシともう一方の手で頭を引っ掻く。
「んでねー、緑のプルプルした液体を飲んじゃったら、オレたちってば分裂しちゃったんだってば!」
「しばらく戻れないみたいなんだってばよ!」
「はぁ。どうも、面倒なことになったみたいだねぇ」
カカシは、金髪のぽわぽわ頭を撫でくりながら、さてどうしたものか、と思案に暮れる。しかし、一上忍に適切な答えが見つかるわけもなく、ただ無為にぽわぽわ頭の撫でくりを繰り返すばかりである。
「こんなところにいたのかい、ナルト。随分と探したんだよ」
「あ、綱手のばぁちゃん!」
「どうしたんだってば!?」
そんな時、人生色々に颯爽と登場したのは里のセクシーダイナマイツ、綱手姫である。綱手は、カカシにぎゅうぎゅうと抱き付く二対のナルトを見降ろして、呆れたようにため息を吐いた。
「まったく。ハヤテからの報告で来てみれば、思っていたより楽しそうじゃないかい?しかし、――随分と厄介なことになったねぇ」
五代目火影は腕を組んで、分裂した二人の子供たちを観察する。難しい顔で上から下まで視線が行き来したところで、「仕方ないねぇ」と五代目火影は最も手っ取り早いであろう結論に達した。
「カカシ。しばらくナルトの面倒を見てやりな」
「は!?私がですか!?」
突然の里長の命令に、カカシは瞠目する。どうしてオレが!?と、物語る銀髪の上忍の顔を綱手は睨みつける。
(いいかい。カカシ。今、ナルトは自分のチャクラを使って、分身を作りだしている。そしてナルトの飲んだ新薬は、己の分身を固定するための強力な接着剤のようなものでねぇ)
(はぁ…?)
(ま、いわば不安定な影分身をより実践で使いやすくするために開発されていた代物でねぇ)
(なるほど。それで?)
頭上で読唇術で持って会話をする大人たちを、ナルトは糸目になりつつ見上げる。コテン、と首を傾げた仕草が可愛らしい。
(このままではナルトのチャクラを使い切った時、九尾のチャクラが漏れ出すかもしれないだろう。そうなれば、封印の印を結べるおまえがすぐ傍に居た方が好都合だろう)
(なるほど。しかしまぁ、監視だけなら忍犬に見張らせるだけでもいいんじゃないでしょうか。オレにだってプライベートがあるんですよ)
(カ ・ カ ・ シ)
カカシとて、生徒であるナルトが可愛くないわけではない。が、これは超過労働という奴ではないだろうか。抗議の声を上げとするカカシに、綱手姫は聞き分けのない子供の頭の天辺に拳を落とすが如く重低音を出した。
「いい機会じゃないかい、カカシ。少しは女遊びを控えな。ナルトが居ればおまえもそうそう下手なことはしないだろう?」
「そ、そんな綱手様。あんまりです!」
「ほほぉ?どうやら、おまえの花街での派手な噂は本当だったようだねぇ」
「うぐっ」
「カカシせんせぇ…?」
蒼褪めたカカシを、きょとんとしたナルトたちが見上げている。
「カカシ。いいかい、火影命令だ。これよりうずまきナルトの警護を命じる。もちろん、ナルトの新薬の効き目が切れるまで、だ。わかったな?」
五代目火影は鮮やかに言い放つと、くるりと背中を向けた。そりゃないですよ、火影様。と、銀髪の上忍が肩を落としたものの、この里の最高責任者にしてナイスなバディを持つ女性は発言を撤回をしてくれる気は毛頭ないらしい。
はぁ…とため息を吐けば、二人分のまなこがカカシを見上げる。「カカシせんせぇ、オンナアソビするんだってば?」じぃっと見詰める視線の熱さに、いきなり二児の父親になった気分になるのは、どうしてなのだろうか。





「なぁ。なぁ。カカシせんせぇの家にお世話になっていいって本当!?」
「オレってば、お風呂セット持って行っていい?お風呂に浮かべるアヒルちゃんと、カエルちゃんのスポンジなんだってばよ~!」
きゃーっと手を合わせて喜ぶナルト´Sに、カカシはハァと疲れたようにため息を吐く。このままでは、ため息で、胸が一杯になってしまうほどだろう。
「どうしてオレが、お子様の世話なんか…」
別に。上忍師となった時点で、ある程度の子供と関わることは覚悟はしていた。むしろ、子供たちの厄介事に巻き込まれてこそ、善き上忍師と言えるだろう。しかし、カカシとしては己の自宅まで過剰に生徒を介入させる気はないし、ましてや長期間共生活をするなど、未だかつて誰とも行ったことはないのだ。
それが、なぜ。いくら生徒の中でもわりと共にいて気楽な部類に入るナルト相手とはいえ、一緒に暮らさなくてはならないのだろうか。
「はぁ、災難」
カカシがガックリ肩を落とすと、二人のナルトがぷっくりと頬を膨らませた。
「むぅうっ。カカシ先生ってば、オレがお泊りしても嬉しくねェの?」
「そのロコツに嫌そ~うな顔はなんだってばよっ。シツレイだってば!」
「そりゃ、色気もへったくれもないがきんちょが家に来てもねぇ。はぁ」
再度のため息に、ナルトはむううっと頬を膨らませ、次いでしゅんと俯いた。
「オレってばカカシ先生家に行けると思ったら嬉しかったのに…」
ぽつりと呟かれた台詞にカカシはどきりと鼓動を鳴らす。
(可愛いところもあるじゃない…)
昼間の任務の時は小うるさいほど騒がしいくせに、二人きりになるとナルトは、なかなか可愛らしいことを言うことが多い。こうしていじましくもしゅんっとされると、普段が普段だけに、余計にそう思ってしまう。
「ナルト…」
視線を伏せていると、ナルトは酷く静かな子供だった。目の力強さが、あまりにも物事を語り過ぎる少年だから尚更だろう。意外に睫毛が長いのだな、と妙にどうでも良いことで感心しいると、
「イルカ先生だったら、すぐに〝いいぞぉ~。いつでも泊っていけ~〟って行ってくれるってば」
ぷいっと子供らしく反らされた真ん丸い頬に、なぁんだ、と思ったのが正直な感想。自分は所詮、子供にとって二番煎じであったのだ。何故だか酷くがっかりした己の気持ちに気付かずカカシは、身体の力を抜く。
「……おまえのイルカ先生と一緒にしないでよ」
げんなりとした様子で、カカシが言う。そして、もののついでに、もう一言続けた。
「そんなにイルカ先生が好きなら、イルカ先生のところに行けばいいでしょ?」
思っていたより素っ気ない声色になって焦ったが、別に己は間違ったことは言っていない、と自分自身に言い聞かせ、カカシはそっぽを向いた。大人げない態度を取っているとわかったが、何故かイライラとして、落ち着かなかった。自分のペースを崩されることを良しとしなかったはずなのに。
一方、ぷうっとムクれたナルトは、何を考えているのか、俯き気味に地面を睨んで酷く不満そうな顔である。
何故だか酷く切ないような狂おしい気分になって、カカシがぴょんぴょん跳ねている寝癖気味の髪の毛に手を伸ばしそうになった時だった、
「よぉ。ナルト。ハヤテから聞いたぜ。災難だったな。二人に分裂しちまったんだって?」
人生色々に現れたのは、オカンが被るようなほっかむりのような額当てを頭に巻いている不知火ゲンマだ。
「なぁ、オレの家に来いよ」
「へ?」
「カカシさんはお忙しい御身分のようだからな。おまえさえ、よければオレの家に来てもいいんだぞ?ちゃーんと二人まとめて、贔屓せずに面倒見てやるからよォ?」
聞くものが聞けばソレとわかるような単語をわざと使って、ゲンマは楊枝を咥えながらニヤっと片頬を上げる。この場合、牽制を掛けている相手は、子供というよりもはたけカカシだろう。
ビキッとカカシのこめかみに青筋が浮かぶ。
「ゲンマ。おまえねぇ―――」
「ナルトくん。探しましたよ」
カカシの言葉を遮って、咳き込みながら登場したのは、月光ハヤテだ。
「ハヤテ兄ちゃん!」
二人のナルトが声を揃える。
「ああ、見つかって良かった」
「どうしたんだってば、ハヤテ兄ちゃん?」
「どうしたんだってば、ハヤテ兄ちゃん?」
「ああ、ええと。ナルトくん。元はと言えば、私が新薬から目を離したのがいけなかったんですね。良ければ、ウチに来ませんか?ナルトくんなら、何人だろうと大歓迎です。ごほっ」
視線を反らしつつも、しっかり言いたいことは主張するのは、流石というべきか。何故かハヤテに睨まれた、カカシは頬を引き攣らせる。
「ゲンマ兄ちゃん、ハヤテ兄ちゃん…!」
一方ナルトたちと言えば、素直に感動を身体全体で表し、ふるふると小刻みに震えていた。
なんて親切な兄ちゃんたちだろう、と思っているのだろう。
「よぉ。うずまき。今、難儀なことになってるんだってなぁ。別に、オレの家に泊めてやってもいいんだぜ。大したもんはないけどな。…おまえが来たら毎晩、鍋パーティをするくらいだ」
「ナルト。コテツのバカはおかしなことを言ってるけど、もちろんオレも歓迎だよ?ちょうど、コテツとオレ、きみときみで人数も合ってるし、オレたちコンビが最適だと思うんだよねぇ」
鼻と顎のエリート中忍コンビが揃って、ニコニコと待機所に現れ、再び場が騒然となる。特別上忍や、上忍から発される渦巻く殺気にもなんのその、中忍‘Sは大胆不敵である。
ゲンマやハヤテに続き、中忍コンビまで、自分を心配してくれるとは。大人から可愛がられた経験の少ないナルトは、あまりのことに泣き出しそうになってしまった。
「兄ちゃんたちっ。オレってば感激だって―――――…っばぁ!?」
一斉に大人たちに飛びつこうとしたナルトは、首根っこを掴まれ釣り上げられた魚のように弧を描いて、すっぽりとカカシの腕の中に収まった。
「――ナルト。二人まとめて先生の家に来なさい?」
ナルトのあまりの人気っぷりに、カカシは何故かやたらと焦りを感じて子供たちを己の家に誘うことになった。

















ナルトが二体もいるなんて幸せ過ぎて失神してしまいそうです。
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自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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