空気猫
空気猫
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
誘拐犯と子供6
男の外套はやはり上質なものであるらしく暖かった。そのうえ、なんだか嗅いだことのないいい匂いがする。
しかし。
「……………」
不自然なほど長く手を握られ、ナルトが瞳を瞬かせると「ごめん」と謝罪されながらも、ナルトの頬を素手で撫ぜた男が「やわらかい」と陶酔しきった声で感想を漏らしている。
不自然なほど長く手を握られ、ナルトが瞳を瞬かせると「ごめん」と謝罪されながらも、ナルトの頬を素手で撫ぜた男が「やわらかい」と陶酔しきった声で感想を漏らしている。
隣にいたホームレスの男が「坊主、その兄ちゃんに買われ時な」と下品な笑いを漏らした。
余程、自分たちのやりとりが滑稽であったらしい。
余程、自分たちのやりとりが滑稽であったらしい。
余計なこと言うなってば、と顔を顰めていると、銀色の男に足を持ち上げられ、足の裏に接吻を落とされた。
これには、ナルトも吃驚仰天してしまい、隣にいたホームレスの男も口を開けたまま固まってしまった。
おそらくそれなりに社会的な地位もあるだろう紳士が、浮浪児に膝を付き、足を舐めている?
おそらくそれなりに社会的な地位もあるだろう紳士が、浮浪児に膝を付き、足を舐めている?
「あのさ、銀色のお兄さん。なにしてるの?」
「カカシだよ。カカシって呼んで? 可哀想に。こんなに綺麗な足なのに、しもやけになっちゃうよ?」
「あのさ…オレの足、汚いと思うってば。裸足でそこら中歩いてたから。だから、離して?」
ちゅ、と口付けられ、這いずって後ずさるナルトの後頭部を引き寄せ、カカシと名乗った男は手早く自分の靴を履かせた。〝助けて!〟と悲鳴を上げそうになったナルトは、自分の足を恐る恐る見上げる(ナルトの足は男の手によって持ち上げられていたのだ)。
「カカシさん…?」
「そこの靴屋で、靴買ってあげようか。おまえに合う靴があるといいんだけど…」
「いりませんってば!」
「それぢゃあ、オレの靴でいい?」
「え?へ?いやその……。お、おう」
「そっか」
仕方なくナルトが頷くと、銀髪の男はニッコリとうれしそうに笑った。
男の靴は、履いてみる間でもないことだがぶかぶかだった。身長150センチに満たないナルトが履くと小人が巨人の靴を履いているようで、まるで不格好だった。
「はたけさま。何をなさってるのですかっ」
「そのような浮浪児に施しをなされて」
「靴はどうなされたのですか!」
裸足のカカシの様子に吃驚仰天してわらわらと集まってくる使用人らしき男たちがいた。
「見て、この子。凄く可愛いんだ」
外套も手袋もマフラーも靴すらも子供に与えてすっかり身ぐるみを剥がれてしまったカカシがお気に入りの玩具を見つけた子供のように笑みを零すと、若い使用人は蒼褪め、年寄りの執事は卒倒しそうな形相で口から泡を噴いていた。
「あんた、バカな人だってば。利用してぽいっするってばよ」
「そのような浮浪児に施しをなされて」
「靴はどうなされたのですか!」
裸足のカカシの様子に吃驚仰天してわらわらと集まってくる使用人らしき男たちがいた。
「見て、この子。凄く可愛いんだ」
外套も手袋もマフラーも靴すらも子供に与えてすっかり身ぐるみを剥がれてしまったカカシがお気に入りの玩具を見つけた子供のように笑みを零すと、若い使用人は蒼褪め、年寄りの執事は卒倒しそうな形相で口から泡を噴いていた。
「あんた、バカな人だってば。利用してぽいっするってばよ」
毒を吐いた子供に使用人一同が悲鳴を上げる。はたけさま、今すぐその子供から離れて下さい!!と涙を零さんばかりに老執事が懇願した。
「お兄さん。あのじいちゃん等の言う通りだってばよ。オレなんかに関わるとロクなことが起きないってばよ」
「オレ、お金だけはあるんだよね」
寂しそうに男が笑う。彼の背後では「はたけさま、はたけさま」と騒ぎ立てる使用人一同がいた。なるほどたくさんの人々に囲まれてるというのに、誰も一定距離以上カカシに近寄って来ようとしない。
「広い屋敷の中に、おまえみたいなきらきらした金色の子がいたら部屋が明るくなると思うんだ」
今度はナルトが顔を赤くさせる番だった。
「おまえ、名前なんて言うの?」
「………ナルト」
「名前も可愛い」
うっとりとした表情で男が囁く。恭しく手を差し伸べられて手を伸ばした瞬間、抱き上げられる。
「一目惚れなんだ。おまえのこと連れて帰っていい?」
頷く前に、ナルトは羽織っていた男の外套の中に包まれてしまった。街の灯りすらも見えない真っ暗闇。「もう、おまえはオレのモノ」とぽつりと落とされた言葉。男の行動は迅速で有無を言わせぬものがあった。ナルトは、もう地面に足を付けることなく馬車に押し込まれると、高い塀と分厚い扉の屋敷の中に連れ浚われてしまった。それ以来、その路地で金色の子供の姿を見た者はいない。
しばらくして、12歳にして金持ちの男にかどかわされ、涙を零しながら毎晩ベッドの相手をさせられている美しくも憐れな金児の噂が流れた。
寂しそうに男が笑う。彼の背後では「はたけさま、はたけさま」と騒ぎ立てる使用人一同がいた。なるほどたくさんの人々に囲まれてるというのに、誰も一定距離以上カカシに近寄って来ようとしない。
「広い屋敷の中に、おまえみたいなきらきらした金色の子がいたら部屋が明るくなると思うんだ」
今度はナルトが顔を赤くさせる番だった。
「おまえ、名前なんて言うの?」
「………ナルト」
「名前も可愛い」
うっとりとした表情で男が囁く。恭しく手を差し伸べられて手を伸ばした瞬間、抱き上げられる。
「一目惚れなんだ。おまえのこと連れて帰っていい?」
頷く前に、ナルトは羽織っていた男の外套の中に包まれてしまった。街の灯りすらも見えない真っ暗闇。「もう、おまえはオレのモノ」とぽつりと落とされた言葉。男の行動は迅速で有無を言わせぬものがあった。ナルトは、もう地面に足を付けることなく馬車に押し込まれると、高い塀と分厚い扉の屋敷の中に連れ浚われてしまった。それ以来、その路地で金色の子供の姿を見た者はいない。
しばらくして、12歳にして金持ちの男にかどかわされ、涙を零しながら毎晩ベッドの相手をさせられている美しくも憐れな金児の噂が流れた。
☆もう少しで終わります。「誘拐犯と子供」の番号を振り間違えてました。お話的にはまったく問題ありませんがすいません!「誘拐犯と子供」これは猫さんが地下鉄の待ち時間とかに携帯でちまちまちま打っていたものです。ぱちぱちありがとうございます。お返事不要の方→ふおおおお本当ですかまったく知りませんでした光栄です地面にのめり込みそうです!!!
ではお返事17日です。ぱちぱちだけもありがとうございます元気出ます。
誘拐犯と子供5
カカシは、呆気に取られて、子供を見下ろしていた。
カカシは、呆気に取られて、子供を見下ろしていた。
〝化け物付き〟と子供は言っただろうか。文明開化を謡うこの首都では、なんとも時代錯誤な言葉だ。そんな迷信を信じてるのは、今や頭の固いインテリ軍団くらいではないだろうか。そこまで考えて、カカシはハハァと事の成り行きに見当を付けてしまう。
次の瞬間、カカシは鼻の頭を赤くして縮こまる子供に膝を折った。
「構わないよ」
ふわりと暖かいものに包まれてナルトは、目を見開く。
マフラーでぐるぐる巻きにされて、つま先に落としていた視線を上げる。
そこにいたのは、子供を買う人間には似つかわしくないほど綺麗な顔の男だった。
「おなか空いてない?おまえ、金平糖好き?」
小さな小袋に入ったとげとげの砂糖菓子を手の中に落とされる。
「あげる」
「……………」
「参ったな。好きぢゃない?今、これしか持ってないんだ。……宝石のほうが良かったかな」
本当に困りきった様子で、男が言う。
そこにいたのは、子供を買う人間には似つかわしくないほど綺麗な顔の男だった。
「おなか空いてない?おまえ、金平糖好き?」
小さな小袋に入ったとげとげの砂糖菓子を手の中に落とされる。
「あげる」
「……………」
「参ったな。好きぢゃない?今、これしか持ってないんだ。……宝石のほうが良かったかな」
本当に困りきった様子で、男が言う。
答える代わりにナルトは、はくんと口に金平糖を含んで舌で転がした。
「おいしい?」
手のひらに口付けた時の舌の感触に、男が背筋を震わせていることに気付かずに頷くと、また口の中に金平糖を放り込まれる。
「可愛い…」
「はくしゅんっ」
「寒いの? 可哀想に…オレの手袋で良ければあげるよ」
手袋どころか男は着ていた外套までも脱ぎ出してしまった。
☆ぱちぱち&コメントありがとうございます。
「おいしい?」
手のひらに口付けた時の舌の感触に、男が背筋を震わせていることに気付かずに頷くと、また口の中に金平糖を放り込まれる。
「可愛い…」
「はくしゅんっ」
「寒いの? 可哀想に…オレの手袋で良ければあげるよ」
手袋どころか男は着ていた外套までも脱ぎ出してしまった。
☆ぱちぱち&コメントありがとうございます。
リンク先追加。以前も、リンクを貼らせて頂いていたサイトさまです。今度はちゃんと(?)ご挨拶することが出来ました。
うちのサイトに来てくださっていただけでも感激でした。そのうえ…!?うわわわ、本当ですか。あのチマナルが!?それだけでもペットライフ書いてよかったです。私自身は書いたものを読み返すことはしないので(問題発言ですいません)どんな状態で自分の書いたものが伝わっているのか把握出来ませんが、嬉しいです。本当にこのあとタライとか落ちて来るんぢゃないですか!
うちのサイトに来てくださっていただけでも感激でした。そのうえ…!?うわわわ、本当ですか。あのチマナルが!?それだけでもペットライフ書いてよかったです。私自身は書いたものを読み返すことはしないので(問題発言ですいません)どんな状態で自分の書いたものが伝わっているのか把握出来ませんが、嬉しいです。本当にこのあとタライとか落ちて来るんぢゃないですか!
「Vivid Rosiness*」の呉羽 希さまです。
甘々カカナル小説に床をゴロゴロすること間違いなしですよ。猫さんはしばらくごろごろして毛玉をまきちらしていました。汚い奴め。誘拐犯と子供4
端正な顔の男の瞳がぱちぱちと見開かれるのを見て、ナルトは、かじかんだ手のひらを温めるためにまた、はぁと息を吐いた。ついこの間、同性の仲間が、金のために風変わりな趣味の金持ちに身体を売っている場面を見てしまった。ナルトより一歳か二歳年上の少年は、路地裏で下半身だけ寛げた中年紳士に真っ裸で身体を貫かれていた。あんあん、響く喘ぎ声に恐怖して、ナルトは路地裏を飛び出してしまった。その少年にパンを貰ったことが何度かあったが、それが少年がそうやって身を堕として稼いだものだなんて、知らなかった。
だが、冬を乗り切るために、自分も売春に身を投じなくてはいけなくなるのも時間の問題だろう。ここ二、三日、ナルトは自分を買ってくれるお客を見つけるために街灯の下で座り込んでいた。
不思議なことに、ナルトの前で立ち止まる男は多く、ナルトは彼等に手を引かれ、路地裏に連れてかれた。
性急に衣服を剥ぎ取られ、性行為を強要される。
しかし、男たちはナルトを裸にしたところで、腹に浮いている模様に悲鳴を上げて逃げてしまった。化け物!と腰を抜かして、逃げ出す者や、「化け物憑きか…」とうんざりしたように吐き捨てられることもしばしばだ。ナルトはその時になって初めて、自分の腹の中にいる妖しについて理解した。
上流階級の人間の間ではオカルト知識に精通したものが多く、ナルトが俗に言う妖し憑きであることを、知っている者が多過ぎた。
思えば、自分が「三代目」と呼ばれていた老人に捨てられたのも、この腹の中のものが原因であったのかもしれない。自分を路地裏に放り出したのは、彼の部下たちであったが。
服を剥かれたまま路地裏に転がったナルトは、ああ自分はこの商売では食べていけないのかと、空腹のため、ため息を吐いた。最悪なことに、その日から雪まで降って来て、冬服を買うお金のないナルトは膝小僧を出したまま冬を迎えてしまうことになった。
自分に声を掛けてきた銀髪の紳士。
男が、そんなつもりで声を掛けたわけではないと知っている。
彼の身のこなしは優雅で品があり、稚稚趣味だなんて、とても下品なことをするようには見えなかった。
彼の身のこなしは優雅で品があり、稚稚趣味だなんて、とても下品なことをするようには見えなかった。
ふう…とナルトはまたため息を吐く。
住む世界が違うんだってばよ。世間知らずな優しいお兄さん。
☆忘年会では無料配布用の小説1本とギフト用2本。計3本書き下ろしした猫ですバカなんですか猫さんは。木曜日に思い付き土曜日完成やれば出来る。参加者全員に配った無料配布のはカカシ先生がナルトに告白するというのがテーマのオーソドックスなものを書きました実はここまで完結だったのは初めてだったかもしれません。お返事14日です。コメントありがとうございます。
空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
猫耳探偵事務所
仔猫ちゃんたちがキーワードから記事を探索してくれます。
管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
足跡