失踪ディズーmondayー
目をうさぎみたいに真っ赤にさせた少年の様子が落ち着いた頃を見計らい、大人の立場にいる人間としてやらなければいけないことを切り出した。
ナルトの年齢は十五歳。下手すればカカシは誘拐犯だ。愛しい子との関係をそんなふうに言われてしまうのは本意ではないのだから。
「ナールト、よく聞いて?家を出るにしても親御さんの許可がなくっちゃいけないよ。きちんとオレたちの今後のこと彼等と話し合おう?」
カカシの言葉にナルトの顔が弾かれたように上げられて真っ青になる。
「ど、どうしてそんなこというんだってば?―――カカシ先生もオレをあそこにまた引き渡すの?」
家出の経験が一度や二度ではないことは薄々を勘付いていたが、どうやらナルトは中学生の時に家出をして失敗してるらしい。同級生の家に転がり込んでいたところをすぐに見つかり、その友だちとは―――それきりらしい。いったいその友だちが何をされたのかなんて聞きはしなかったけれど。
「ダメだってば、話を聞いてくれるような人ぢゃないんだってば!―――カカシ先生が行ったらカカシ先生まで酷い目にあっちゃうってば!」
ナルトの碧い瞳が恐怖で凍り付いていた。
「オレを渡さないでってば?カカシ先生、あの家に帰るのはいやなんだってば!」
「ナルト?」
「オレのこと引き渡さないでっ。やだぁ!!」
「ちがうよ、ナルト」
また混乱を始めた性根を宥めすかし、涙で濡れた両頬を覆う。
「オレはナルトのことを真剣に考えてるから、それがたとえナルトにとってどんな親御さんだとしてもナルトを育ててくれた人だから、ナルトがその人たちに嫌われてしまう形で家を出て欲しくないよ、わかる?」
「・・・・で、でも。カカシせんせぇ」
「おまえの荷物もとりにいかないといけないしね?ま、オレの服だけで生活してくれてもそれはそれでいいけど?」
「・・・・・・・・せんせー、それってちょっとエッチィってばよ・・・」
「ちゃんとご両親と話し合ってみよう?ナルト?」
「んせ・・・」
ナルトは力なく首を振ったけれど、誤魔化すように唇に啄ばむようなキスをすればすんと鼻を鳴らして「わかったってば・・・カカシ先生がそうしたいならそうする・・・」と静かに頷いた。
助手席のシートで硬くなるナルトの手を片手で握ってやりながらカカシは車でナルトの養いの親がいるという住宅街に向かった。同じ形の家が、同じ工場のベルトコンベアーの上で生産されたように等間隔に並んでいる。「閑静な住宅街」そんな言葉が似合う地域だ。
「あの人はここに365日家に篭りっきりでいるんだってば・・・・・・・」
家族以外の誰とも会わずに。と、あの人、とは義理の母親のことなのだろう。どこか呆然としたふうにナルトが話す。
ゆったりとしたスロープの道の先、箱庭のようにこじんまりとした家が目的の場所だった。傍目にはどこからどうみても平和そうな中流家庭の家。
「汚いとこだから驚かないでってば?」とナルトが言うので首を傾げつつ、鍵を開けるナルトの後ろから敷居を跨ぐと、しかし扉を開けて入った瞬間、カカシは異臭を感じて鼻を覆った。玄関まで散乱しているゴミの山。横倒しになった家具や、あふれかえった衣類。階段に放置されている土がこぼれた鉢植え。
「ウッキーくん!」とナルトが駆け寄って大事そうに鉢植えを抱える。
「ごめんってば、オレのせいで・・・・・・」
しおれた植物はどうやらナルトが毎日水をやり育てていた植物だったらしく「カカシ先生、こいつのこと車に積んでおいて?」と涙で潤んだ瞳で見つめられ、カカシは黙って頷く。
外に出ると、家の中のあの現状が嘘のようにその家は静かに佇んでいた。
綺麗な外観をしていたのに、この小さな家の中は何かが歪んでいた。それをカカシはとても残念に思った。
「誰もいないってば・・・・・・?」
不審そうにナルトが家の中を見渡し、慣れているのだろうどんどん進んでいく。カカシが虫の湧いたキッチンに足を止めていると、二階に上がったいたナルトの悲鳴が聞こえた。
絹を切り裂くような声にカカシが戦慄する。
階段を上がれば、金髪の少年に掴み掛って、殴りつけている女の姿。抵抗すら見せず、頭を抱えて小さくなっている姿に、カカシは弾かれたように飛び出した。
「何をやってるんですか、その子から手を離して下さい!」
金糸の髪を引っ張り、悲鳴が上がるのにも関わらず、女は少年を蹴り、叩いていた。
「どこいってたの、どこいってたの!?ここから出て行くなんて許さないわよ!!」」
「この子を叩くのをやめてください!」
カカシが女の腕をひねり上げると、かっと見開いた眼はどこか焦点があっていなくて、常軌を逸していた。
「あんたがこの子をそそのかしたのね!」
廊下から半分開いたドア。女がいたと思われる寝室はやはりゴミや衣類で溢れかえり、ベットの上のシーツのくぼみが女が一日の大半を、いやナルトの話では365日、そこに座り続けていたであろうことを如実に表していた。
「もうこの子に関わらないと3回言いなさい!」
犬ぢゃあるまいし、とカカシはこれが本当に大の大人の言うことなのだろうかと若干呆れつつ、ナルトから女を引き剥がす。
「ナルトくんがここを出て行くのは彼の意思です、お母さんどうかオレたちの話を聞いてください」
「部外者は出て行きなさい!」
ごもっとも、というか言われると思っていたお決まりの台詞にカカシはため息を吐く。「部外者」とはなんて便利で都合の良い言葉なんだろうか。それだけで全てが拒絶できるのだから。使い勝手がよくて卑怯だと思う。
「たしかにオレはここの家の人間ではありません。だけど、オレが家の中に一緒についていくことが、ナルトくんがここに来ることをのんだ条件なんです」
カカシ先生、家の中に入ってきてくれるってば?不安そうにカカシを見上げた少年。むしろあの状況でナルトを送るだけ送って自分だけが車の中に入ってるのもおかしいだろうに。
「これは家族の問題なのよっ、おせっかいだと思わないの」
そのナルトがカカシの救護を望んでいるというのに、それがこの人には通じなかったのだろうか。
「おっしゃるとおりです。本来なら家庭内のいざこざは家族間で解決すべき問題ですから。だけどオレだって、まったく無関係ではないでしょう。貴方はオレとナルトのことで怒っているんですよね?」
「・・・・・・・・っそうよ!!あんたがこの子を誑かしたのね!」
ナルトに愛情がないわけではないのだろう、それは酷く執着にも似た感情であったのだけど。
「もういい。荷物をまとめるからどいてってば」
「ナルト・・・」
「これ以上話し合ってもわかりあえない。カカシ先生もわかっただろ?この人たちには言葉が通じねーの。オレはここを出て行くってば」
「育ててやった恩も忘れてなんて口の聞き方!勝手にすればいいんだわ!!」
「―――ああ、するってば?」
「!」
ナルトは凍りついた目で女を見下ろした。
それからの女の言うことはめちゃくちゃだった。ナルトの部屋の前にはすでにナルトの衣類がまとめられてあり、最初はそれを投げつけ「出て行け」と言ったくせにナルトが躊躇いもなくその荷物を持つと愕然としてナルトを引っ張り始めた。きっとナルトがこうもあっさりと家族を切り捨てるとは思いもしなかったに違いない。夫に養われ続けている彼女にしてみれば誰かの保護化を離れてまで外の世界に飛び出すナルトの決断など、選択肢の中にはなく、「家を追い出す」と言えばナルトが泣いて縋るのだと思ったのだろう。
「出ていくなら今までアンタに掛かったお金をおいていきなさい」
ぶあついノートがナルトに向かってぶつけられる。そこには細かい文字でびっしり掛かれた数字。
「ぜんぶ払いなさいよっ、今までアンタに掛かった〝料金〟よ!」
今この場面で金銭の問題を出すのかとカカシは目を見開いて、髪を振り乱した女の視線がカカシを射抜く。
「・・・っあんたなんかに誑かされなければっ」
「・・・・」
「この子が出て行ったぶんうちに入るお金が減るのよ!!その責任をどうとってくれるの!?」
「あなたって人は・・・」
そんなに金が欲しければ自分で働けばいい。喉元まで出掛かった言葉を飲み込む。
「よくも堂々とうちに入ってくれたものね、変態!男同士ですって?気持ち悪い。あんたみたいな男なんて―――」
カカシのシャツに女が掴み掛かる。そこで初めてナルトが声を上げた。
「カカシ先生にさわるなってば!!」
肩で息をしたナルトが女に飛びついて、廊下になだれ込むように共々倒れこむ。
「オレのことはいくらでも殴ったり蹴ったり罵ったりすればいいってば!だけどカカシ先生のことを悪くいうことは許さないっ」
涙をぽろぽろこぼしながらナルトが女の上に馬乗りになって、手を振り上げようとした瞬間、その腕をカカシがやんわりと掴んだ。
「は、離してってば、カカシせんせぇ・・・・っ」
「おまえ、声震えてるぢゃなぁーい?ナルト、よーく考えてごらん?おまえはその人を叩きたいの?」
「だって、だってさカカシせんせぇのこと・・・っ」
「ナールト、いいからこっちにおいで?」
潤んだ碧い瞳が頼りなげに揺れて潤む。いやだと首を振るナルトの手に自分の指を絡めて、廊下に座らせる。額にキスを落とすと、ナルトの身体から力がくたりと力が抜ける。
「オレたちは愛し合っているんです、それをわかってくださいとはいいません。だけど、どうかこの子をもう解放してあげてください」
カカシがどこまでも落ち着いて、屹然と言い放つと、女の視線がきょろきょろと忙しなく動き始め、ふらりと部屋に戻ったかと思うと、すぐに返ってくる。
「しゅ、主人に電話しました!怒られるといいんだわ」
陳腐な台詞を吐いて携帯電話を差し出す女にカカシがやはり呆れたようにため息を吐き、ナルトは諦めたように視線を伏せる。
「お電話代わりました、はたけですけど。お仕事中に申し訳ありません」
「ええと、はたけ・・・・・・さんですか」
電話に出た男はこの家の中のテンションについていけないというふうな、一歩遅れた対応。どこか機械的な声の持ち主だった。多少の話はわかるのかという希望を持ってカカシが事情を説明する。
だけど、全ての説明を終えても男の声はどこまでも平坦で。
「悪いけど、その子をおいて帰ってもらえますか?あとは『家族』で話し合いますので」
わざと強調された『家族』という単語にカカシがつまると、ナルトが絶望した顔でカカシを見上げる。錠前の外れた、部屋が見える。そこがナルトの部屋なのだろう。部屋の中が尋常じゃなく荒れているのは、女がナルトの部屋を勝手に漁ったからか。
廊下には髪を振り乱した女が立っていて、力なくへなへなと座り込んでカカシを見上げるナルト。今この状況で、ここにこの子をおいていけと?ニュースを騒がせるような事件が、現実のものとして起こるなんて思えないけど、もしそれに自分が直面しているとしたら、起こるはずがないなんて、楽観的な答えは出せなかった。
「カカシせんせぇ…いかないでぇ」
何度、この手が助けを求めて離されたのだろう。期待しては諦めて、失望して。
「・・・・。この状況でナルトくんを置いていくことはできません。お互い冷静になって時間を起きましょう」
「貴方も大人ならわかるでしょう。貴方の行動は貴方の社会的地位を脅かすことになりますよ」
「今はオレを脅すことよりもナルトの話でしょう。この子の話を聞いてあげて下さい」
「貴方さえ帰ればうちは丸く収まるんです。我が家を引っ掻き回して楽しいのですか?いいからその子をここに置いていきなさい」
威風堂々と電話の向こう側の人間は言い切った。アナタさえ、という言葉に引っ掛かりを覚えたが、男の喋っている言葉自体は正当な響きを持っていて、もしこれが別の場面であったなら、カカシでさえ頷いてしまったかもしれない。ただ、この場面で使う言葉として若干の齟齬が感じられるのはどうしてだろう。
会話選択ボタンをプッシュして出て来たような答えは、このゴミであふれた部屋や、ナルトの腕についていた縄のあと、さきほどの暴力で、全ての効力を失う。
「・・・・・・・・お父様とはお話し合いの機会を設けたいと思います」
「貴方は私の社会的地位まで脅かす気か!!息子が家出したとなったら私の出世にまで響くんだぞ!」
「・・・貴方にはできればナルトくんのお話を聞いてもらいたかったです」
女に携帯電話を返すとカカシに向かって携帯電話が投げかえされてガツといやな音がした。
「か、しせんせぇっ」
「なーると、おいで?」
これ以上、会話は無理と判断したカカシはナルトを懐に招き入れる。容姿端麗な長身痩躯の男の腕の中にいる少年を見上げて、女が僅かに目を見開く。
そこに微かな嫉妬を入り交えた視線を送ったのはまだ彼女がかろうじて女であったということの証だったのか。
「ここからこの子を連れて行くってことは貴方にも責任が生じるんですからね、覚悟はできてるの?警察にだって訴えますからね」
昨今の警察が家庭内の揉め事に迅速な対応をするとは思えないが、カカシは階段の上で仁王立ちする女を見上げる。
「……貴方は人に委任することしかできないんですか?なんでこんな事態になったのかよく考えて見てください。オレたちは今日ここに話し合いをしにきたんですよ?」
「それは主人が帰ってきてから主人から貴方たちに話すべきことですっ」
「・・・・・・・・・・」
だめだ。話しが通じない。会話の堂々巡りというか、そもそも回線がどこかで捻じ曲がっているのだろう。なんというか一個一個の台詞や言葉を聞いていると、正当なことを言っているように聞こえるのだけど、やっている行動やこちらに対する受け答えが微妙にズレて誤作動を起こしているのだ。一生懸命説明したところで、会話が成り立たない。どこが変なのか、本当に説明がしづらいのだが、同じ言語の言葉を喋っているはずなのに、こちらの熱意に対してもあらかじめ用意された言葉で(おそらくこんな事態に直面した時彼等が何度となく使い古した言葉なのだろう)、そこから選ばれた言葉でしか受け答えをしない、そこが、不気味で怖かった。
確かにこの手の人種を相手にするのはとても労力がいるし疲れることにちがいない。
「出て行くなら出て行ってみなさいよ、後悔させてやる!」
する、ではなく、させてやるか。
階段を下りて、玄関に向かう。ふらふらしていたもののナルトの足取りは確かで、二人揃って玄関を出ようとしたところで。
「いらないわよ、こんなものもう全部!」
階段の上から放り投げられたトランクケースをカカシとナルトは「げ」とどちらからともなく呟いて、慌てて避けた。ちょっと破壊的な音と共に、散らばるこの家の中にあったナルトの持ち物。
上でわけのわからないことを喚いている大人を残し、カカシとナルトは転がるようにその場から退場したのであった。
車に乗った瞬間、ナルトは大泣きして、カカシは黙って外の風景を見つつナルトの頭を数度撫でて、車を発信させた。
「結局、荷物持ち出せなかったねぇ」
「うんってば・・・」
「ま、しばらくはオレの服で我慢してもらうしかないな♪」
「カカシ先生、みょーに楽しそうぢゃねぇ?」
胡散臭そうに顔を顰めるナルトにカカシがクククと笑う。片手にハンドルを握ったまま、ナルトの頭を撫で、
「終わったね、ナルト」
「・・・・・・・」
ぐりぐりと掻き回してやる。安堵感とともに、カカシが車を発進させる。すると隣でうつむいていた少年が突然、顔を上げた。
「ううん、これがオレの始まりだってばよ!そうだよな、カカシ先生?」
泣いた子供がもう笑った、そんなことわざってあったっけ?
「ナルト・・・」
「オレってば、すげー前向きになってきた!」
「―――そうだな、これからがおまえの新しい人生のはじまりだよ」
「・・・・オレとカカシ先生の、ってば?」
上目遣いでぼそぼそと呟いた少年に、銀髪の大人はハンドルを切り損ねそうになったとかなかったとか。
「そういえばこの三日間まともなメシ食ってなかったってばー」
とのんきにのたまったナルトに、若干蒼褪めたカカシは急いでキッチンに立った。たまごのリゾット、コーンスープ、あとは冷蔵庫にあったものを適当に並べていく。
風呂場に放り込んでおいたナルトが頭から湯気を出して上がってくる。――ほんのり色づいた肌がなんとも魅惑的にカカシを誘う。
「すげー、カカシ先生ってば料理なんてできるんだってばね!」
「ほとんどあたためただけだけどねぇ」
ナルトがはふはふ食事に口をつけていると、ナルトの携帯が鳴って、怯えたように少年が顔を上げる。
「―――いいよ、オレが出る」
ナルトが何か言う前にカカシがナルトの手から電話を取り上げる。
「はたけですけど」
「貴方の存在があの子を不幸にするんだ」
「・・・・・・・・・・」
「私たちは絶対にアンタを許さない」
「・・・・・・・・・・」
呪詛のように続く言葉をカカシはただ耳に受け、静かな雨に打たれるように受けた。
「せんせ・・・?」
「なーんにも心配しなくて大丈夫だよ?オレが、おまえを黙って渡すわけないでしょ?」
携帯の電源を切ってソファーに放り投げる。笑みをつくったカカシを伺うように見上げるナルト。
貴方がたの方こそ二度とこの子と関われさせやしませんよ。
心を貰ったのは自分。勝者の笑みを浮かべてカカシは微笑する。ナルトを離すつもりなど自分には絶対にないのだから。
「ナールト、ホットミルクつくるけど飲む?」
ことさらに明るい声をだして、甘く囁けば、きらきらと碧い瞳が輝いた。
「飲むってば!!!」
カカシ先生大好きィ!とにぱ!と笑った少年がカカシの腕に抱きついてくる。この金糸を、けして手放したくないと思う。
「ナルト・・・・・・・っ」
「んっ」
気が付けば、両腕を床に縫いとめて少年を押し倒していた。噛み付くようなカカシのキスにナルトが驚いたように目を開いて、だけどすぐに成すがままになる。腕を絡めあい、食べ掛けのままの食器の横で、淫靡な交わりが始る。
「んせ・・・?ホットミルクは・・・?」
「ん、ナルトのこと愛し終わったらね?」
カカシの五指が内腿を滑り、軽く息を詰めた少年をやわらかく愛撫していく。カカシの渡したシャツしか身に付けていない少年を見下ろして、襟元から覗く白い肌にキスを落とす。ボタンを一つ一つ、焦らすように外すと、碧い瞳がこれからの行為を想像して揺らめく。
「カカシ先生・・・・・・・・ゆっくりしてってば?オレってばまだ慣れてねぇし」
カカシの下でナルトが不安そうに、だけど頬を染めて呟く。
「ごめん、ナルト」
「へ?」
「――――我慢できそうにないよ」
「・・・・・・・っんせ!!」
上がった悲鳴をキスで押さえつける。ナルトの爪がカカシの肩に食い込む。背徳的な気分は、今はただカカシを煽るだけで、カカシは性急に少年を求めた。
「痛かったら言って。オレに掴まってて」
「カカシせんせぇ・・・」
切なそうに眉を潜める少年は、徐々に快楽にのみこまれていって、痛みからかそれとも心が通じ合った人と結ばれている幸福からか涙をこぼす。
「好きィ、カカシ先生・・・」
「オレもだよ、ナルト」
たとえこの先、彼等にどんな試練が待っていたとしても。
この二人の続き知りたいですか?