空気猫
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カカシとナルトがファミレスにいるだけの話。カカ→→→→→ナルト
ストロベリーパフェの誘惑にご注意
木の葉茶屋通りに面するファミレスのボックスの席に、はたけカカシは教え子の金髪の子供と向かい合うようにして腰掛けていた。
もちろん任務が終われば何かの一つ覚えのように「シュギョー、シュギョー!」と騒ぐ子供を「今日はせんせぇとデートしようねぇ」等、頭の螺旋が弛んでいるとしか思えない発言と供に拉致するように連れて来たからに他ならない。
「ナールト、何食べたい?」
今日はせんせぇの奢りだよー、と薄っぺらな笑顔を貼り付けて目の前の子供に笑いかける。子供が大好きな優しい大人の笑顔だ。
「なんでも好きなもの頼んでいいよ♡」
もちろん、片肘を突けながら語尾にハートマークをつけることも忘れない。顔が良いということは何かと得である。例え顔の80%が額当てやら口布に覆われていようと傍目にはいい男。黙っていれば、大概の女は騙されるんじゃない?(可哀そうに)とは、アンコと紅コンビ談である。
――だから、ほら。即座に真っ赤になって俯いた子供を見て、可愛いなぁ等、自分の笑顔がもたらした効果について、確信犯の笑みが抑えられない。まだまだナルトとは教師と生徒の間柄ではあるが、自分に対して意識をしてくれることはかなり嬉しいし、最初は優しい大人としてでいいから、この子の警戒心が少しでも解ければいいと思う。
「先生、上忍だからねー。お財布の中身のことは心配しなくていいからねー♡」
暗にどこかの中忍と違うんだよ、と刺のある発言をかましつつ、傍目にはどこまでも優しい大人を演じる。
「なんでもって言われたって…オレってば今日はいっぱいしゅぎょーしようと思ってたのに…」
「んーなぁにー?」
「なんでもねぇってば…」
ニコニコした大人の向かいで、初めてのファミレス、それも誰かと一緒の食事に緊張していたお子様は、メニューに視線を落としたまま、ぷっと膨れた。ふくれっ面になっているのは、おそらく無理矢理連れて来られた建前状、不機嫌ですよ、というポーズを取っているのだろう。
そんな顔をされても可愛らしいだけで、目の前の変態上忍の表情を弛ませるだけなのだが、天然気味なお子様はいまいち気が付いていないようだ。カラフルな写真付きのメニューに視線を彷徨わせたあと、ひときわ夢が溢れているデザート欄のところをちょこんと指を指した。
「んじゃ、すとろべりぃぱふぇがい…」
「っっっか」
「……?」
テーブルに突っ伏したカカシをきょとんとした顔でナルトがこちらを見ている。
「いや、ごめーんね。なんでもなーいよ♡」
あははは、と軽やかに笑った大人をナルトは不思議そうに見詰める。
「ナルトはストロベリーパフェ、ね…。それじゃあ、先生はコーヒーにしようかな~」
頭にハテナマークが飛んでいるお子様を余所に、カカシは傍目には格好の良い大人を演じつつ、店員に注文を告げる。しかしその内心と言えば…。
ストロベリーパフェって!
ストロベリーパフェって!
ナルト。おまえ、かわいすぎデショっ!!
オトコノコなのになぁ…。なんでこんなにかわいいんだか。
(はぁ…。食べるものまでかわいいなんて反則過ぎ…)
変態的な嗜好を持つ大人の腐った頭を一般公開したならば、きっと今頃この大人は警邏隊に捕まっている。火影が知ったならば、暗部を出動させる騒ぎに発展するに違いない。しかし、そこは感情を殺すことに長けた上忍なのである。卒がない。
「おいし~い?」
自分の顔と同じくらい大きなパフェと格闘を始めたお子様に、にこにことした笑みを崩さないまま問いかければ「もきゅ」と生クリームをたっぷり口の回りに付けたお子様が首を傾げた。カカシは危うく鼻血を出す寸前で思い留まる。ナルト+ストロベリーパフェ=破壊力ぱねぇ。上忍の持てるだけの理性を総動員してふるふると小刻みに震えるだけで留めているが、いつ暴走してナルトを押し倒してしまうかわかったものではない。
何故か犯罪が起こるか起こらないかの瀬戸際に立たされたファミレスだが、傍目にはカップルと家族連れの客で賑わい長閑な雰囲気を保ってる。ただこの店の店長だけが厨房の陰からボックス席に座る大人と子供を発見し、「写輪眼のカカシーーーっ!?」と絶望的な悲鳴を上げた。
――忍と手裏剣は避けて通れ。
木の葉商店街に出店するにあたって前任者から忠告された注意事項が頭をよぎる。怪しげなチャクラを発散させる上忍を前に店長は店の治安の危機に震えた。彼は何故こんな店にいるのだろう。もしや、この店が任務の戦場に?
もし、上忍が暴れ出したとしても、彼やスタッフに止める力はないし、里が稼ぎ頭である上忍が起こした騒ぎについて火影が関知してくれる保証はないのである。最悪は泣き寝入り。実家の母が「おまえは自慢の息子だよ」とニコニコ笑ってる幻覚が、走馬灯のように浮かんでは消える。ああ、もう駄目だ!
「せんせーは他に食べねぇの?」
そんな店舗の危機を余所にパフェ用の細長いスプーンをもむもむと咥えたまま、ナルトは上目遣い気味にカカシを見詰める。とろりとストロベリーベースのソースがアイスと共にナルトの唇の端でとろけた。
「んー。コーヒーで十~分かなぁ?」
「………」
お子様の魅惑的な光景に笑みを張り付かせたカカシの返事に、ナルトは何事か考え込んでいるようである。
「それ、おいしいんだってば?」
「ま。美味しいと言えば美味しいよ。おまえには不味いと思うけどねぇ」
「む…オレってば、こーひー飲めるモンっ」
ちんまりと縮こまり、ストロベリーパフェを咀嚼していたナルトは、貸してくれとばかりにカカシのコーヒーに手を伸ばす。
「飲むの?飲んでもいーけど、おまえの飲めるコーヒーってコーヒー牛乳じゃ…」
大丈夫だってば!と両手でカップを掲げたナルトは、男らしくグイッとブラックコーヒーをひと飲み。
「ふっっぐ※☆△×~っ」
「どぉ?おいしかった?ははは、かわいー。ナルト、ぷるぷるしてる」
「んっっっまく…な。ふぇ…笑うなーせんせぇ」
はははー、と笑う大人の大人らしい仕草が余裕という感じで面白くなくて、涙目になって大人を見上げると、目の前にスプーンが出された。
「はい。あーん?」
かぽっと口の中に半ば無理矢理差し込まれたスプーンの上にはたっぷりの生クリーム。スプーンの柄から、大人の指を辿って大人の顔を見れば、これ以上ないほど優しい顔をした大人がいて、「ん?」と片目だけ細められた瞬間に何故かナルトが真っ赤になっていた。
「だっっもっっ。せんせぇこっち見んなっ、てば」
「えええっ!?なんでえええええナルトぉ!?」
テーブルに手を突いて立ち上がった大人と、ゆでだこのようになったお子様のせいで一時店内は騒然となり、ウェイトレスは皿を何枚が落とした。カカシが立ち上がった瞬間、店長が泡を噴いて床に卒倒した。
何故か引き攣った笑みを浮かべるファミレススタッフからおつりを受け取り、いくらかチップを上乗せし、またヨロシクと声を掛けると店長らしき人物が小さく悲鳴を上げた。
小首を傾げつつ、会計を終える。
本当は、カカシの財力ならもっと別の店に連れて行ってもいいのだけど。
(だって、ナルトってこういう店好きそーなんだもんなぁ)
きっと値段の高い料亭より、ナルトの場合はファミリー向けのありふれたチェーン店のほうが何倍も喜んでくれるような気がしたのだ。
(あこがれっていうのかねぇ。あの子の場合、そういうのがいちいちありそ…)
自分もどちらかと言うと家庭環境に恵まれたほうではなかったから、ファミリーレストランなどに入ったことなどなかったが、(そもそもこうした店は近年木の葉に進出して来たためカカシの幼少時代にはなかったような気がする)もし入る機会があったとしてもカカシは可愛げのあるお子様とは程遠かったから、ああした子供っぽい料理の数々を前にしても他の子供のようにはしゃがなかっただろう。小さな頃から父のマネをしてか嗜好の遺伝か魚系の淡白な食事が好きな渋いお子様であったのだ。
一方ナルトといえば、ジャンク系の食べ物が一等好きなお子様であることがよく調べなくてもわかる。だから、こうした店はナルトの好む傾向にあるだろう。
だが、ファミリーレストランは本来なら、子供が親に強請って連れて行ってもらう場所だ。そのため親のいないナルトは滅多に来る機会がない。いや、まったくなかったに違いないのだ。それどころか、ナルトはこの里にあっては普通の店ですら出入り出来るか怪しい状況だ。
興味がないから入らないと、興味があっても入れない、ではかなり違うと思う。任務帰りに何度かファミレスのガラス窓を気にするお子様に気付いてからは尚いっそうだ。
黄色いお子様フリークの大人がこの状況を放って置くはずがない。
(そういえばあの人もいい年してお子様ランチが好きだったよねぇ)
そんなことを自宅で何時間かつらつら考えた結果、ナルトをファミレスに連れて行こうと結論に達した。もちろんナルトの意見はまったく聞くつもりなどなかった。カカシの独断である。
そんなわけでお子様に合わせた場所を選んだつもりだったのだが、果たしてあの子は喜んでくれただろうか。自分の独り善がりでなければいい、と思うばかりである。ポケットにくしゃくしゃにしたレシートを入れ手を突っ込んだまま店外に出ると、きゅっと忍服の裾を引かれた。
「せんせー、今日はありがとってば」
後ろに気配を感じて振り返ると先に店外に出ていたナルトが自分の服の裾を掴んでいた。
「オレってばこーいうお店に入んの初めてで、うれしかった…」
真っ赤になった頬。ちょっと尖った唇。恥ずかしげに彷徨う伏し目がちの視線。
「―――っ!」
クる。これは。既に物理的な攻撃だ。
こんな何番煎じかわからない手も、この子から使われるとそれだけで新鮮で、簡単に引っ掛かってしまう自分に苦笑するしかない。
「っっっかっっわっっ」
己の頭上数十センチ上で口布を覆うように赤面した上司にナルトは、こてんと首を傾げる。カカシは「へ?」と「え?」の間で固まっているお子様の頭を痙攣する指先に気付かれぬようくしゃくしゃと撫でつつ「なんでもないよ」と笑った。
「にしし。変なせんせー」
この、はにかんだ笑顔を見れただけでも今日、この子をこの店に連れて来て良かった。
「あー、マジで食っちゃいたい」
「なにがだってば?」
「ナルトって何歳だっけ」
「12歳だってば」
「あー、そー…じゅうにさい…」
ガックリと項垂れた大人は「手ぇ出したら犯罪かなぁ」だなんて当たり前のことをブツブツと呟いて今日も自分の商店街での風評を悪くする。
木の葉茶屋通りに面するファミレスのボックスの席に、はたけカカシは教え子の金髪の子供と向かい合うようにして腰掛けていた。
もちろん任務が終われば何かの一つ覚えのように「シュギョー、シュギョー!」と騒ぐ子供を「今日はせんせぇとデートしようねぇ」等、頭の螺旋が弛んでいるとしか思えない発言と供に拉致するように連れて来たからに他ならない。
「ナールト、何食べたい?」
今日はせんせぇの奢りだよー、と薄っぺらな笑顔を貼り付けて目の前の子供に笑いかける。子供が大好きな優しい大人の笑顔だ。
「なんでも好きなもの頼んでいいよ♡」
もちろん、片肘を突けながら語尾にハートマークをつけることも忘れない。顔が良いということは何かと得である。例え顔の80%が額当てやら口布に覆われていようと傍目にはいい男。黙っていれば、大概の女は騙されるんじゃない?(可哀そうに)とは、アンコと紅コンビ談である。
――だから、ほら。即座に真っ赤になって俯いた子供を見て、可愛いなぁ等、自分の笑顔がもたらした効果について、確信犯の笑みが抑えられない。まだまだナルトとは教師と生徒の間柄ではあるが、自分に対して意識をしてくれることはかなり嬉しいし、最初は優しい大人としてでいいから、この子の警戒心が少しでも解ければいいと思う。
「先生、上忍だからねー。お財布の中身のことは心配しなくていいからねー♡」
暗にどこかの中忍と違うんだよ、と刺のある発言をかましつつ、傍目にはどこまでも優しい大人を演じる。
「なんでもって言われたって…オレってば今日はいっぱいしゅぎょーしようと思ってたのに…」
「んーなぁにー?」
「なんでもねぇってば…」
ニコニコした大人の向かいで、初めてのファミレス、それも誰かと一緒の食事に緊張していたお子様は、メニューに視線を落としたまま、ぷっと膨れた。ふくれっ面になっているのは、おそらく無理矢理連れて来られた建前状、不機嫌ですよ、というポーズを取っているのだろう。
そんな顔をされても可愛らしいだけで、目の前の変態上忍の表情を弛ませるだけなのだが、天然気味なお子様はいまいち気が付いていないようだ。カラフルな写真付きのメニューに視線を彷徨わせたあと、ひときわ夢が溢れているデザート欄のところをちょこんと指を指した。
「んじゃ、すとろべりぃぱふぇがい…」
「っっっか」
「……?」
テーブルに突っ伏したカカシをきょとんとした顔でナルトがこちらを見ている。
「いや、ごめーんね。なんでもなーいよ♡」
あははは、と軽やかに笑った大人をナルトは不思議そうに見詰める。
「ナルトはストロベリーパフェ、ね…。それじゃあ、先生はコーヒーにしようかな~」
頭にハテナマークが飛んでいるお子様を余所に、カカシは傍目には格好の良い大人を演じつつ、店員に注文を告げる。しかしその内心と言えば…。
ストロベリーパフェって!
ストロベリーパフェって!
ナルト。おまえ、かわいすぎデショっ!!
オトコノコなのになぁ…。なんでこんなにかわいいんだか。
(はぁ…。食べるものまでかわいいなんて反則過ぎ…)
変態的な嗜好を持つ大人の腐った頭を一般公開したならば、きっと今頃この大人は警邏隊に捕まっている。火影が知ったならば、暗部を出動させる騒ぎに発展するに違いない。しかし、そこは感情を殺すことに長けた上忍なのである。卒がない。
「おいし~い?」
自分の顔と同じくらい大きなパフェと格闘を始めたお子様に、にこにことした笑みを崩さないまま問いかければ「もきゅ」と生クリームをたっぷり口の回りに付けたお子様が首を傾げた。カカシは危うく鼻血を出す寸前で思い留まる。ナルト+ストロベリーパフェ=破壊力ぱねぇ。上忍の持てるだけの理性を総動員してふるふると小刻みに震えるだけで留めているが、いつ暴走してナルトを押し倒してしまうかわかったものではない。
何故か犯罪が起こるか起こらないかの瀬戸際に立たされたファミレスだが、傍目にはカップルと家族連れの客で賑わい長閑な雰囲気を保ってる。ただこの店の店長だけが厨房の陰からボックス席に座る大人と子供を発見し、「写輪眼のカカシーーーっ!?」と絶望的な悲鳴を上げた。
――忍と手裏剣は避けて通れ。
木の葉商店街に出店するにあたって前任者から忠告された注意事項が頭をよぎる。怪しげなチャクラを発散させる上忍を前に店長は店の治安の危機に震えた。彼は何故こんな店にいるのだろう。もしや、この店が任務の戦場に?
もし、上忍が暴れ出したとしても、彼やスタッフに止める力はないし、里が稼ぎ頭である上忍が起こした騒ぎについて火影が関知してくれる保証はないのである。最悪は泣き寝入り。実家の母が「おまえは自慢の息子だよ」とニコニコ笑ってる幻覚が、走馬灯のように浮かんでは消える。ああ、もう駄目だ!
「せんせーは他に食べねぇの?」
そんな店舗の危機を余所にパフェ用の細長いスプーンをもむもむと咥えたまま、ナルトは上目遣い気味にカカシを見詰める。とろりとストロベリーベースのソースがアイスと共にナルトの唇の端でとろけた。
「んー。コーヒーで十~分かなぁ?」
「………」
お子様の魅惑的な光景に笑みを張り付かせたカカシの返事に、ナルトは何事か考え込んでいるようである。
「それ、おいしいんだってば?」
「ま。美味しいと言えば美味しいよ。おまえには不味いと思うけどねぇ」
「む…オレってば、こーひー飲めるモンっ」
ちんまりと縮こまり、ストロベリーパフェを咀嚼していたナルトは、貸してくれとばかりにカカシのコーヒーに手を伸ばす。
「飲むの?飲んでもいーけど、おまえの飲めるコーヒーってコーヒー牛乳じゃ…」
大丈夫だってば!と両手でカップを掲げたナルトは、男らしくグイッとブラックコーヒーをひと飲み。
「ふっっぐ※☆△×~っ」
「どぉ?おいしかった?ははは、かわいー。ナルト、ぷるぷるしてる」
「んっっっまく…な。ふぇ…笑うなーせんせぇ」
はははー、と笑う大人の大人らしい仕草が余裕という感じで面白くなくて、涙目になって大人を見上げると、目の前にスプーンが出された。
「はい。あーん?」
かぽっと口の中に半ば無理矢理差し込まれたスプーンの上にはたっぷりの生クリーム。スプーンの柄から、大人の指を辿って大人の顔を見れば、これ以上ないほど優しい顔をした大人がいて、「ん?」と片目だけ細められた瞬間に何故かナルトが真っ赤になっていた。
「だっっもっっ。せんせぇこっち見んなっ、てば」
「えええっ!?なんでえええええナルトぉ!?」
テーブルに手を突いて立ち上がった大人と、ゆでだこのようになったお子様のせいで一時店内は騒然となり、ウェイトレスは皿を何枚が落とした。カカシが立ち上がった瞬間、店長が泡を噴いて床に卒倒した。
何故か引き攣った笑みを浮かべるファミレススタッフからおつりを受け取り、いくらかチップを上乗せし、またヨロシクと声を掛けると店長らしき人物が小さく悲鳴を上げた。
小首を傾げつつ、会計を終える。
本当は、カカシの財力ならもっと別の店に連れて行ってもいいのだけど。
(だって、ナルトってこういう店好きそーなんだもんなぁ)
きっと値段の高い料亭より、ナルトの場合はファミリー向けのありふれたチェーン店のほうが何倍も喜んでくれるような気がしたのだ。
(あこがれっていうのかねぇ。あの子の場合、そういうのがいちいちありそ…)
自分もどちらかと言うと家庭環境に恵まれたほうではなかったから、ファミリーレストランなどに入ったことなどなかったが、(そもそもこうした店は近年木の葉に進出して来たためカカシの幼少時代にはなかったような気がする)もし入る機会があったとしてもカカシは可愛げのあるお子様とは程遠かったから、ああした子供っぽい料理の数々を前にしても他の子供のようにはしゃがなかっただろう。小さな頃から父のマネをしてか嗜好の遺伝か魚系の淡白な食事が好きな渋いお子様であったのだ。
一方ナルトといえば、ジャンク系の食べ物が一等好きなお子様であることがよく調べなくてもわかる。だから、こうした店はナルトの好む傾向にあるだろう。
だが、ファミリーレストランは本来なら、子供が親に強請って連れて行ってもらう場所だ。そのため親のいないナルトは滅多に来る機会がない。いや、まったくなかったに違いないのだ。それどころか、ナルトはこの里にあっては普通の店ですら出入り出来るか怪しい状況だ。
興味がないから入らないと、興味があっても入れない、ではかなり違うと思う。任務帰りに何度かファミレスのガラス窓を気にするお子様に気付いてからは尚いっそうだ。
黄色いお子様フリークの大人がこの状況を放って置くはずがない。
(そういえばあの人もいい年してお子様ランチが好きだったよねぇ)
そんなことを自宅で何時間かつらつら考えた結果、ナルトをファミレスに連れて行こうと結論に達した。もちろんナルトの意見はまったく聞くつもりなどなかった。カカシの独断である。
そんなわけでお子様に合わせた場所を選んだつもりだったのだが、果たしてあの子は喜んでくれただろうか。自分の独り善がりでなければいい、と思うばかりである。ポケットにくしゃくしゃにしたレシートを入れ手を突っ込んだまま店外に出ると、きゅっと忍服の裾を引かれた。
「せんせー、今日はありがとってば」
後ろに気配を感じて振り返ると先に店外に出ていたナルトが自分の服の裾を掴んでいた。
「オレってばこーいうお店に入んの初めてで、うれしかった…」
真っ赤になった頬。ちょっと尖った唇。恥ずかしげに彷徨う伏し目がちの視線。
「―――っ!」
クる。これは。既に物理的な攻撃だ。
こんな何番煎じかわからない手も、この子から使われるとそれだけで新鮮で、簡単に引っ掛かってしまう自分に苦笑するしかない。
「っっっかっっわっっ」
己の頭上数十センチ上で口布を覆うように赤面した上司にナルトは、こてんと首を傾げる。カカシは「へ?」と「え?」の間で固まっているお子様の頭を痙攣する指先に気付かれぬようくしゃくしゃと撫でつつ「なんでもないよ」と笑った。
「にしし。変なせんせー」
この、はにかんだ笑顔を見れただけでも今日、この子をこの店に連れて来て良かった。
「あー、マジで食っちゃいたい」
「なにがだってば?」
「ナルトって何歳だっけ」
「12歳だってば」
「あー、そー…じゅうにさい…」
ガックリと項垂れた大人は「手ぇ出したら犯罪かなぁ」だなんて当たり前のことをブツブツと呟いて今日も自分の商店街での風評を悪くする。
ナルトを可愛くし過ぎたかんがありますが、きっとそんな需要もあるんだって…信じてるんだからね!!あとカカシにぱねぇって言わせたかっただけ。
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ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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猫耳探偵事務所
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
足跡