空気猫
空気猫
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「何も今日シカマルくんたちの家に泊まりに行かなくてもいいじゃない」
せっかくの二人きりの休日。カカシは先程から寝転がった体勢のまま小さな恋人の背中に恨み言を一言も、二言も吐いていた。
「んー、何か言ったぁ。カカシ先生?」
「なんでもありませ~ん。どうせオレはいつもナルトに置いていかれる存在なので~す」
これ見よがしなカカシのお小言を余所に、ナルトは小さなカエルちゃんリュックに荷物を詰めている。妙にいそいそとしちゃってさ。何が悲しくて他の男の所に行く準備をする恋人の後ろ姿を眺めていなくてはいけないのか。
「ナルトのバカ~」
あーあ、わかっています世間様。オレの恋人はたった12歳。そりゃ恋人同士の甘い情事と同じくらい、もしかしたらそれ以上に友達同士の付き合いが大事な年頃であって、etc.
「だってさぁー、カカシ先生。今日を逃したら全班が揃って三連休になるなんてなかなかないってばよ」
「それはそうだけどさ。オレと休みを過ごしてくれてもいいじゃない…」
「だーめ。オレってば今からシカマルんちに行くからさ。カカシ先生はお留守番な」
ああ、きっとその可愛い顔のままで、男どもと遊びに行っちゃうんだろうねぇ。よよよ、と暗闇にスポットライトで悲劇のヒロインでも気取りたくなっちゃうよ。玄関を開けて出迎えたひっつめ頭の少年が、ナルトの愛らしさに赤面するだろうことが予想出来るだけに嫌になる。
だからと言って14歳も年の差があるそれもアカデミー卒業したての子供に「嫉妬しまくる大人の図」を理解しろと言っても、ピタゴラスだとか、ダーウィンの進化論だとかを理解しろと同じくらい難しい訳で、まったくカカシの恋路の坂は傾斜がやたらと急なようだ。
「だからさ、カカシ先生が怒ると思って今度は前もってちゃーんと報告しただろ。カカシ先生はオトナのお付き合いで飲み会に行くことがあるだろ。オレも友達と遊びに行くことがあるから、事前に報告するなら、オッケーって、前にオレたち、話し合ったじゃん?」
「確かに言ったけどさ。それとこれとはまた話が違うっていうか」
以前、馬鹿な喧嘩をして、ナルトを泣かせた過去を持つカカシとしては痛いところを突つかれた。確かに、なんの報告もせずに、ふらふら~と遊びに行ってしまうナルトを責めた過去があることは認める。大人気ない嫉妬であったとは反省しているが、納得はしていない。
三連休。上忍のカカシだって、久し振りの休みなのだ。日頃の上忍任務のストレスとナルトとの仲を妨害しようとする三代目火影のお小言を耐え抜いた分だけ、可愛いナルトとイチャイチャイチャイチャ…して過ごしたかった。
それを「ごめん。シカマルたちとお泊りだから、先生とは過ごすの、無理!」だ。肩ががっくりと下がってしまう。地面にのの字の一つでも書いてしまいたくなるというものだ。
「なぁーると」
だから、これくらいの我が儘は許されるでしょ?とばかりにおんぶお化けの状態になったカカシは、少しでもナルトを補給しようと、部屋の中でナルトがちょこまかと動くたびにあっちへ行ったりこっちについて来たり。文字通り下忍に振り回される様はこれでは名うての上忍の名が泣いてしまうだろう。
「うん、ももももう。カカシ先生、ウゼエってば!」
もちろん、ナルトの活火山も爆発するというものだ。
「しょうがないじゃん。先にシカマルたちと約束しちゃったんだから!」
「オレが不満なのは、恋人より友達を優先させるおまえの態度だって、いつも言ってるでしょ」
そう。事前にカカシと休日と過ごすからと、断る選択肢だって、ナルトには出来たはずなのだ。当然、カカシだって何も言わずともナルトがそうしてくれると思っていたのに、やはり12歳との恋は難しい。口で言わなくとも当然察してくれると思った事柄も、いちいち言葉にしてあげなくてはいけなくて、それが新鮮で、少々もどかしい。自分が今まで如何に簡単な恋愛をしていたか、突きつけられたようで、それ見たことか、とやはりぺしんと額を叩かれるが。
「おまえにとって、オレの存在ってなんなの?」
数年前、いや数ヶ月前の自分が女から聞いたらウンザリしそうな台詞だ。いつからこんなに女々しい男になってしまったのだろう。今まで女たちにしてきたこっぴどい仕打ちが十倍返しで己に返ってきているとしか思えない。
天罰だと言ってしまえばそれでまでだが、もし天罰を与えている神様がいるとしたら、そろそろカカシはその主に雷切を構えてしまいそうだ。
「うーんとね」
もし、ラーメン以下の答えが返ってきたら、この場で犯してやろう、と危険な思考に陥りそうになりながら、カカシは子供と視線を合わせて答えを待つ。
「カカシ先生はオレの宝物!」
ちゅ、とカカシのおでこに破裂音。ぎゅっと抱き締められる感触。
「へ?」
「ははは、カカシ先生。すげーまぬけ面」
目の前には、はにかんだ顔で歯を見せて笑うナルトがいた。
「休みの三日目はさ、空けてあるんだ。カカシ先生、部屋でイチャイチャしようってばよ」
「イチャイチャ…」
「うん。…それともカカシ先生はオレとイチャイチャすんの嫌だってば?」
「嫌じゃないです!」
ぶんぶん、とそれこそ音がしそうなほど激しくカカシの首が振られる。カカシの反応が面白かったのか、子供から笑い声があがった。
「そっか。良かったってば」
ふわふわの卵焼きのような笑顔が向けられて、カカシの頭の上にお花が咲く。恋人の機嫌が急上昇したことを確認すると、ナルトはニシシと笑ってくるんと体を反転させた。
「カカシ先生。行ってきます!」
可愛らしい音と共にナルトの足音が去っていく。カカシの家から、「行ってきます」と出て行ったのだから、ちゃんと「お帰り」と出迎えれるのだろう。
おでこにちゅうくらいで、一気に機嫌が治してしまう自分の恋愛的末期症状に呆れてしまわなくもないのだけれども。
これ見よがしなカカシのお小言を余所に、ナルトは小さなカエルちゃんリュックに荷物を詰めている。妙にいそいそとしちゃってさ。何が悲しくて他の男の所に行く準備をする恋人の後ろ姿を眺めていなくてはいけないのか。
「ナルトのバカ~」
あーあ、わかっています世間様。オレの恋人はたった12歳。そりゃ恋人同士の甘い情事と同じくらい、もしかしたらそれ以上に友達同士の付き合いが大事な年頃であって、etc.
「だってさぁー、カカシ先生。今日を逃したら全班が揃って三連休になるなんてなかなかないってばよ」
「それはそうだけどさ。オレと休みを過ごしてくれてもいいじゃない…」
「だーめ。オレってば今からシカマルんちに行くからさ。カカシ先生はお留守番な」
ああ、きっとその可愛い顔のままで、男どもと遊びに行っちゃうんだろうねぇ。よよよ、と暗闇にスポットライトで悲劇のヒロインでも気取りたくなっちゃうよ。玄関を開けて出迎えたひっつめ頭の少年が、ナルトの愛らしさに赤面するだろうことが予想出来るだけに嫌になる。
だからと言って14歳も年の差があるそれもアカデミー卒業したての子供に「嫉妬しまくる大人の図」を理解しろと言っても、ピタゴラスだとか、ダーウィンの進化論だとかを理解しろと同じくらい難しい訳で、まったくカカシの恋路の坂は傾斜がやたらと急なようだ。
「だからさ、カカシ先生が怒ると思って今度は前もってちゃーんと報告しただろ。カカシ先生はオトナのお付き合いで飲み会に行くことがあるだろ。オレも友達と遊びに行くことがあるから、事前に報告するなら、オッケーって、前にオレたち、話し合ったじゃん?」
「確かに言ったけどさ。それとこれとはまた話が違うっていうか」
以前、馬鹿な喧嘩をして、ナルトを泣かせた過去を持つカカシとしては痛いところを突つかれた。確かに、なんの報告もせずに、ふらふら~と遊びに行ってしまうナルトを責めた過去があることは認める。大人気ない嫉妬であったとは反省しているが、納得はしていない。
三連休。上忍のカカシだって、久し振りの休みなのだ。日頃の上忍任務のストレスとナルトとの仲を妨害しようとする三代目火影のお小言を耐え抜いた分だけ、可愛いナルトとイチャイチャイチャイチャ…して過ごしたかった。
それを「ごめん。シカマルたちとお泊りだから、先生とは過ごすの、無理!」だ。肩ががっくりと下がってしまう。地面にのの字の一つでも書いてしまいたくなるというものだ。
「なぁーると」
だから、これくらいの我が儘は許されるでしょ?とばかりにおんぶお化けの状態になったカカシは、少しでもナルトを補給しようと、部屋の中でナルトがちょこまかと動くたびにあっちへ行ったりこっちについて来たり。文字通り下忍に振り回される様はこれでは名うての上忍の名が泣いてしまうだろう。
「うん、ももももう。カカシ先生、ウゼエってば!」
もちろん、ナルトの活火山も爆発するというものだ。
「しょうがないじゃん。先にシカマルたちと約束しちゃったんだから!」
「オレが不満なのは、恋人より友達を優先させるおまえの態度だって、いつも言ってるでしょ」
そう。事前にカカシと休日と過ごすからと、断る選択肢だって、ナルトには出来たはずなのだ。当然、カカシだって何も言わずともナルトがそうしてくれると思っていたのに、やはり12歳との恋は難しい。口で言わなくとも当然察してくれると思った事柄も、いちいち言葉にしてあげなくてはいけなくて、それが新鮮で、少々もどかしい。自分が今まで如何に簡単な恋愛をしていたか、突きつけられたようで、それ見たことか、とやはりぺしんと額を叩かれるが。
「おまえにとって、オレの存在ってなんなの?」
数年前、いや数ヶ月前の自分が女から聞いたらウンザリしそうな台詞だ。いつからこんなに女々しい男になってしまったのだろう。今まで女たちにしてきたこっぴどい仕打ちが十倍返しで己に返ってきているとしか思えない。
天罰だと言ってしまえばそれでまでだが、もし天罰を与えている神様がいるとしたら、そろそろカカシはその主に雷切を構えてしまいそうだ。
「うーんとね」
もし、ラーメン以下の答えが返ってきたら、この場で犯してやろう、と危険な思考に陥りそうになりながら、カカシは子供と視線を合わせて答えを待つ。
「カカシ先生はオレの宝物!」
ちゅ、とカカシのおでこに破裂音。ぎゅっと抱き締められる感触。
「へ?」
「ははは、カカシ先生。すげーまぬけ面」
目の前には、はにかんだ顔で歯を見せて笑うナルトがいた。
「休みの三日目はさ、空けてあるんだ。カカシ先生、部屋でイチャイチャしようってばよ」
「イチャイチャ…」
「うん。…それともカカシ先生はオレとイチャイチャすんの嫌だってば?」
「嫌じゃないです!」
ぶんぶん、とそれこそ音がしそうなほど激しくカカシの首が振られる。カカシの反応が面白かったのか、子供から笑い声があがった。
「そっか。良かったってば」
ふわふわの卵焼きのような笑顔が向けられて、カカシの頭の上にお花が咲く。恋人の機嫌が急上昇したことを確認すると、ナルトはニシシと笑ってくるんと体を反転させた。
「カカシ先生。行ってきます!」
可愛らしい音と共にナルトの足音が去っていく。カカシの家から、「行ってきます」と出て行ったのだから、ちゃんと「お帰り」と出迎えれるのだろう。
おでこにちゅうくらいで、一気に機嫌が治してしまう自分の恋愛的末期症状に呆れてしまわなくもないのだけれども。
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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