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空気猫

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立場逆転~。





 
 

カカシ先生と別れて1週間。あんなに辛かったのが嘘みたいに、オレの気分は晴れ晴れとしていた。
「サスケ、サスケェ。一緒に修行いこうってば!」
カカシ先生が来ないから家で待っている必要もないし?なにより先生とセックスした後って疲れちゃうから何もできなくなってたんだけど、好きなだけ動けるからオレってばスゲー調子がいいっ。そんな絶好調のオレの唯一の悩み事といえば。
「ねぇ、ナールト。またサスケと修行なの?」
そう。カカシ先生その人だった。
「………」
いきなり気配を消して出てくんなってばよっ。突然出てきたカカシ先生にオレってば思わず仰け反っちゃった。
「最近、多すぎじゃない?ほとんど毎日でしょ?」
「カカシ先生には関係ないってばよ」
「担任だから気にかけるくらいいいじゃない。ねぇ、サスケと修行いくの?」
「そうだってば。……だから離してってば」
「なにが?」
「手!」
「手?」
オレの右手には先生の左手がちゃっかり握られている。カカシ先生は「ああ…」なんて如何にも今気付きましたなんて顔で、頭を掻いている。
「なる…」
「もう。そこどいてってば」
あんなに居た女の人たちはどうしたんだってば?カカシ先生ってばここのとこ毎日こんな調子だってばよ。ぶんっと手を振ったけど、逆にもう片方の手も取られて。
「やっぱ、ダメ。おまえこれからちょっとオレにつきあってよ」
あっさりと言い放ったカカシ先生に荷物よろしく小脇に抱き上げられる。付き合っていた時も今も、こんなふうに強引で人の話を聞かないところは満遍なくいつものカカシ先生だった。
「離せ、離せってばぁ。ぎゃあああ人浚い~~~~!!!」

 

「食べないの?ナルト甘いもの好きでしょー?」
「………」
ファミレスのボックス席に向かい合ってオレが黙ってチョコレイトパフェを睨んでいると生クリームがたっぷり乗っかったスプーンを無理矢理口の中に押し込まれる。口の周りがチョコと生クリームでベタベタになってオレが顔を顰めているのに、カカシ先生といえば満足そうにオレの口に生クリームを塗り付けていた。
「アイス熔けちゃうよ?」
「・………」
「ナールト、気まずいからなんかお喋りしない?つまんないんだけど?」
「………しねぇ」
「ナル、」
シツコイってばよ!!
「もー、いい加減にしろってばカカシ先生っ。オレたち別れたんだってばよ!」
「うん、知ってるよ?」
「なら、なんでっ」
「別れたらナルトにパフェ奢っちゃいけないの?」
それはまあ、そんなことないだろうけど…。オレってばぐっと詰まってしまう。でもさでもさ、なんかおかしいってば。大体付き合ってる時なんか1度もこんなとこに連れて来てくれたことねーじゃん!
「ほら、ナルト。あーん?」
口を閉じたまま俯くオレにカカシ先生がぐりぐりとスプーンを押しつける。
「むぐ」
「ナールト、おいしい?」
「いらないってば!!無理矢理食べさせられたって全然おいしくないってばよ。カカシ先生ってば何が目的だってばっ」
「……ナルト、怒ってるの?」
「当たり前だってば。オレってばサスケと修行に行くって約束したのに、なん…」
ぎん!と殺気を感じでオレは言葉を飲み込む。
「……今はサスケのこと話さないで欲しいんだけど?」
なんだってばよ、それ。なんでカカシ先生にあれこれ指図されないといけないわけ。オレがサスケと何しようと関係ないじゃんっ。半眼で睨むカカシ先生を負けじと睨み返してオレはどん!とテーブルを叩いた。
「…オレってばこのあとも別の用事があるのっ。早くしないと待ち合わせの時間に遅れちゃうってばよ」
「ちょっと待ちなさいよナルト!」
オレが立ち上がるとつられてカカシ先生も腰を浮かす。だからついてくるなって!木の葉商店街をオレはずんずんと出来るだけ早足で歩く。そのオレの後ろをカカシ先生が寸分違わないスピードで息も乱さず追い掛けて来る。オレってば全速力なのにカカシ先生は長い足でゆったりと付いて来るんだってば。くうう悔しいってば。
なんだなんだという顔で道行く人たちがオレとカカシ先生を振り返ってくるけど、オレってば気にしてらんねぇ。
「もーついてくんなってば」
「ナルトー、誰に会いに行くの?」
「カカシ先生には関係ない人だってばよ!」
「だから誰」
「誰でもいいじゃん!」
本当にシツコイってばっ。それにしてもどうしよう。てっきり用事があると言えばカカシ先生が諦めてくれると思ったのでつい嘘を吐いちゃった。困ったってばと、シカマルやキバやチョウジがいねぇかなときょろきょろと辺りを見回していると。
「あ、猫面の兄ちゃん!」
もうすぐ商店街を抜けるっていうところで、見覚えのある背格好を発見した。なんで、なんで兄ちゃんがいるの?オレってば嬉しくてここぞとばかりに猫面の兄ちゃんに飛び付いちゃった。ナイスタイミングだってばよ猫面の兄ちゃん!
「兄ちゃん、久しぶりっ。こんなとこでなにしてんの!?」
オレに首を絞められて猫面の兄ちゃんが「ぐぇ」と変な声を上げる。
「……き、きみこそどうしてここに」
「オレってば任務の帰り道なんだってばっ」
「凄い偶然だね。まさかこんなに早くまた逢えるとは予想外だよ」
それはオレの台詞だってばよ!見れば、猫面の兄ちゃんの視線の先にはボロボロになった商店が1軒。粉々になったガラス。傾いて焦げた看板。そーいえば〝不審火〟が起きたって今日サクラちゃんが言ってたっけ?猫面の兄ちゃんってばそれの調査なのかな?猫面の兄ちゃんの首にぶらさがったまま視線を下げると、兄ちゃんの手には燃えカスらしき木片が握られていた。この間も木をにゅるにゅるって出してたし、木が好きな兄ちゃんなのかな?あんぶなのにいろいろ駆り出されて大変だってばよ!
「兄ちゃん、仕事中?」
「…まぁ、そんなところかな。こんなに短期間で何度も逢うなんて僕たちは縁があるのかもしれないね」
「ほんと!?オレもまた会えて嬉しいってばよ!」
いや僕は嬉しいなんて一言も…と猫面の兄ちゃんはあさっての方向を向いてぼそぼそ呟いている。だけど猫面の兄ちゃんってばオレが落ちないようにしっかり向かい合わせで抱っこしてくれてるんだってばよ?へへへ、兄ちゃんってば、やっぱやさしーってばよ!
猫面の兄ちゃんの首筋に齧りついて喋りかけていると。
「テンゾウ。なんでおまえがナルトと一緒にいるの!?」
「あ、カカシ先輩お久しぶりです。これはそのう…」
カカシ先生が目を真ん丸く見開いて立っていた。
「ねえねえ猫面の兄ちゃん、兄ちゃん、仕事終わったらラーメン食べにいかねぇ?」
「ああ、この間の?」
「そ!今度はオレが奢ってやるってばよ~」
「この間!?なに、なんなのナルト…テンゾウ!?どーいうことか説明してくれる!?」
猫面の兄ちゃんがカカシ先生によくわらかないことを早口で一方的にわーわー言われている。そのうち猫面の兄ちゃんが何か考えるように口元に指を当ててふと視線をオレに下ろす。
「ちょっとテンゾウ聞いてるの?!」
「…これは試してみる価値あるかな?」
「うぁっ。な、に?」
「しぃ…黙って」
「????」
「いいからじっとしてて」
「…へ?ひあっ」
首筋にちくりと痛みが走る。肩口に顔を埋められてよく見えないけど、どうやら猫面の兄ちゃんはお面をズラしているようで。近くで聞こえる兄ちゃんの声にオレってばどぎまぎして顔が真っ赤になってしまう。
「…ん、んう。にぃ、ちゃん??」
「たぶん僕の予想通りなら面白いことになるよ」
「へ?」
オレってば、猫面の兄ちゃんの首に腕を巻きつけたまま、猫面の兄ちゃんを見上げて首を傾げる。カカシ先生より少しだけがっしりしている猫面の兄ちゃんを見つめていたら、
「ナルトっ。おまえ、何黙ってテンゾウにされるままになっているわけっ?」
「えぇっ?」
「ちょっとナルトオレよりそんな顔を全部隠したような男がいいの?!」
カカシ先生が無理矢理兄ちゃんからオレを引き剥がす。
「なにすんだってばよー、はなせぇっ」
カカシ先生だって半分以上隠れてるじゃん!ごじゅっぽ、ひゃっぽだってば!そう言ったらカカシ先生ってば、
「五十歩と百歩なら、五十歩分だけ確実に差があるじゃない!!」
だって。なにそれ。もうその屁理屈についてけねー。カカシセンセーってこんなに子供っぽい人だったけ?
「カカシ先生、下ろしてってば!オレってば兄ちゃんと一楽いくの!」
「ふうん。そう。もしかしてこいつがナルトの新しいオトコなわけ!?」
「はぁ?っなに言ってんだってば、もういい加減にすれってばよ!!」
「許さないからね、ナルトっ。他の男なんかに渡さないからっ」
「わっ!???」
突然肺が潰れてしまうんじゃないかというくらいの強さでカカシ先生に抱き締められる。それはまるで縋り付くにも似た激しさで。
ち、ちちちょっと猫面の兄ちゃん、これはいったいどーいうことだってばよ!!あくあくとオレの口を開けて音にならない抗議を訴えると、
「うん、やっぱり面白いことになったね」
なぜか猫面の兄ちゃんが面白そう。わけわかんねーってば。
「僕もきみのことを気に入ってたんだけどね…。でも残念だけどカカシ先輩が相手じゃ分が悪いかな?」
「へ?へ?へ?」
大変だろうけど頑張ってね、とひらひら手を振られ、オレは恐る恐るカカシ先生を見上げれば、今までにみたことないくらい切羽詰まったような顔のカカシ先生がいて。突然、景色がぶれたかと思うと、オレは物凄いスピードでカカシ先生に持ち運ばれていた。
オレにはまったくなにがどうなっているのか意味すらもわからなかったのだけれど、お面を被っているはずの猫面の兄ちゃんの顔がなぜか笑っていたような気がした。
 
 
 
 
 
 










 
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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