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空気猫

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我儘で子供っぽいカカシ先生。







 

目が回るくらいの早さで屋根の上を移動して、あっという間にカカシ先生の家のベッドの上に転がされていた。両腕をシーツに縫い止められ、抵抗したところでまるで無駄で。
「ちょっと、ナルトっ。どーいうこと!?おまえ、オレ以外のオトコに抱かれてたわけ!?」
ヒステリックに喚くカカシ先生の声がやけに他人事のようだった。せんせぇ、それは変だってば?せんせぇだってオレ以外の人とセックスしてるのに、せんせぇは良くてなんでオレはダメなわけ?そーいうのって不公平っていうんだってばよ?
「オレが誰と話そうと、どこで誰と逢おうとカカシ先生には関係ないことだってばよ?」
そうでしょ?
「関係なくないっ」
「なんでだってば?だってオレと先生はもう――、」
「っ。うるさい!もうそんな言葉なんて聞きたくもないよ!――オレから離れていくなんて許さない。誰にも渡さないっ」
「ひあ? かか、せんせぇ!?」
そのままオレはカカシせんせぇに無茶苦茶に犯された。解されもしないでいきなり昂ったものを突っ込まれて、いつも以上に余裕も遠慮もないセックスが始まる。
「やだっ、カカシ先生としたくないっ。はなしてっ」
「ナルト、ナルト、ナルト、ナルト――」
朦朧とする意識の中で、やけに切なそうな顔をしたカカシ先生の顔だけが印象に残った。
なんでそんな、今にも泣きそうな顔をしているの?
 
 
 
もう何時間揺すぶられたのかわからない。口から漏れるのは意味不明な喘ぎ声ばかりで、何度目かの精が吐き出されて、含みきれなかった白い液がオレの内腿を濡らす。
「ねぇ、どうやって他のオトコに抱かれたの?どんな顔をして、どんな声でそいつに甘えたの?」
さっき猫面の兄ちゃんが付けた赤い痕にカカシ先生の唇が重ねられる。チリリとはしこいような痛みが走り、カカシ先生の口の中の温度にドキリとする。
「ち、ちが…カカシせんせぇ…」
「ナルトは、オレのモノなのに……っ」
「あぁ……っ」
「くそっ。おまえの中はいつでも気持良いねっ?」
「聞いて、センセ…」
「いったい何人ここに咥え込んだっ?」
カカシ先生の、悔しそうな顔。そのまま、乱暴にガクガクと揺すられる。
オレは……、いつかの夕暮れ刻出来事を思い出した。
この里では、九尾というだけで差別されることはよくあった。道を歩いるだけで足を引っ掛けられる。擦れ違いざまに浴びせられる罵詈雑言。肩がぶつかっても謝れもしなくて、逆に舌打ちをされる。石を投げられたり、殴られたり蹴られたりすることも当たり前。
だけどなにより辛かったのは、針で刺すようなあの視線。優しそうに笑っていた女の人の顔が、オレを目の端に入れた瞬間怒りで染まり歪むのを目撃した時、オレは自分の中にいるものの業の深さを知った。綺麗な顔をした女の人の顔を醜くさせてしまう何かがオレの中にはあるのだと思うと、いつかは本当のオレ自身を見てもらうんだと決意する一方で罪の意識が芽生えた。だから商店でいちゃもんをつけられることも日常茶飯事だといえば、そうだったのだ。
「このガキッ、万引きしたものを大人しく出せ!」
「オレ、盗ってないってば。離せってば!」
「嘘を吐け!おまえが盗んだところを見たってお客さんがいるんだよ」
「ちがっ、オレしてないっ。そんなことしないってば」
嵌められたのか、嫌がらせか。今でもわからない。小さな商店で買い物の途中、商品棚を見ていたオレは突然、腕を掴まれ、店の奥にある小部屋に連れて行かれた。いいから後ろを向いて手を机につけ!と言われて従うと、店主らしきおじさんの手が後ろから回された。
「………!」
執拗に躯を這う汗ばんだ手の動きに、身体が強張る。…この人の触り方嫌だってば。そのうちジャケットの中に手が入ってきて、耳元にかかる荒い息に、オレはゾクリと背筋が震えた。
オレがやめろ嫌だと暴れだすと、店主のおじさんは顔を真っ赤にして怒鳴り声を上げた。
「うるさい、いいからおまえは黙って机に手を付いていろっ。大人しくしていないと殴るぞ!」
「っ!!」
「人間サマの店で買い物できるだけでも有り難いと思え、このキツネ!」
はぁはぁ、と息を荒げながらジャケットに手を掛けられた瞬間、店主のおじさんの手が捻り上げられる。カカシ先生だった。物凄く怒っている。カカシ先生が店主のおじさんの背後に立っていた。
「カカシせんせぇ…」
オレの言葉に店主のおじさんの顔がザーと蒼褪める。「いや、先生。これはそのう…」おじさんはどうやらカカシ先生のことを知っていたようで、上忍のそれも写輪眼のカカシに怯えたように媚を売り始める。
「この子がうちの店で万引きをしましてねえ、ちょっとこの子から事情を聴いていたんですけど、強情な子でなかなか口を割らなくて。それで仕方なく身体検査を…」
「せんせっ、オレなんも盗ってないってばよ。本当だってば、信じてってば!」
「このガキ、おまえは黙ってーー…」
「ナルト、こんなとこで何してるの?」
カカシ先生の言葉にオレと店主のおじさんが「え?」と同時に固まる。
「今日は家に来る約束だったじゃない。なんで来ないの?待ち合わせの時間、とっくに過ぎてるよ?」
「えっとカカシ先生?」
「オレがせっかく待っていたのに、こんなとこで道草してどういうつもり?」
店主のおじさんに目もくれないで、カカシ先生はオレだけを真っ直ぐと見ていた。カカシ先生は他のことはどうでもいいらしく、なぜ時間に遅れたのだと怒っていた。
「随分とそいつと楽しそうだったじゃない」
剣呑な表情でカカシ先生に睨まれて、ヒ、と店主のおじさんが悲鳴を上げて、腰を抜かす。
「えと、せんせ…、オレ何も盗ってないってば…?」
「そんなの当たり前でしょ」
なんでそんな当たり前のこというの?とあっさり言い放つカカシ先生にちょっとびっくりしてしまった。信じるとか、信じないとかの前にいっさいの疑問を抱くことなくカカシ先生の中で出されていた結論。店主のおじさんが何か言いたそうに口を開きかけたけど、カカシ先生の凍りつくような一瞥で黙る。
「ほら、いいから早く家に帰るよ。おまえとシタい」
あけすけな物言いにオレの頬が熱くなった。カカシ先生はそのままオレの手を引っ張って呆然としている店主の前を横切る。足も浮かんばかりにカカシ先生に手を引っ張られる。転びそうになりながら付いて行くオレなんて前を歩く先生はお構いなしで…
ああ、この人には関係ないのだとオレはカカシ先生の背中を見上げた。周りの評価も、九尾も、過去も、何も。躊躇いもなくオレ自身だけを映す瞳。
自分の本能にだけ忠実で、思いのままに行動する。そんなカカシ先生は忍としては一流なのかもしれないけれど、たぶん人間としては欠陥だらけで。6歳で中忍になったという先生は、本当に誰にも叱られずに育った人なのだろう。ううん、もしかしたら怒ってくれる人はいたのかもしれないけど、それもすぐに失ってしまって。あとに残されたのはカカシ先生だけで。道標もなく、大きくなった、なんて我儘で傲慢で傍若無人で可哀想な子供。――そういつだってカカシ先生は我儘で大きな子供だったのだ。




 










 
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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