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空気猫

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灰色ねずみに食べられた子供。おなかの中でいつも一緒。
一人と一匹はいつまでも幸せに暮らしました。
本当に?





「なんていうか、カカシ先生の部屋って人間がきちんと住んでる部屋って気がしないよな」
レトロな戸棚の中を覗き込みながら、ナルトは欠けたグラスの中に映った自分の像に苦笑する。
「コップとかも不揃いだし…」
色取り取りのグラスは、形も大きさも全てバラバラだった。使用している形跡がないので、まるでどこかのガラス工房に迷い込んでしまったような錯覚さえある。
「あんまり仕事場に人をあげるの好きじゃないんだ。気持ち悪いでしょ、絵のことよく知りもしない人間がウロウロするの」
後頭部に顔を埋められたナルトは、驚いたように背後の大人に向かって振り返った。
「……それってさ」
「ん?」
ナルトは改めて、整理整頓されたカカシの部屋を見渡す。床に置かれているものはナルトの飲みかけの炭酸飲料くらいだ。
カカシは冷えた空気に気付くことなく、ナルトを後ろ抱きにして床に腰を下ろした。
「オレも、邪魔?」
窺うように、見上げられた碧い瞳にカカシは笑みを零した。
「何言ってんの、おまえ。馬鹿だねえ」
色違いの瞳が愛しいものを映して細められる。
「ほら、ナルト。こっちにおいで?」
「………」
「ナルトは全然良いんだよ。ナルトはオレの特別だから、オレが言ってたのは他のニンゲンの話ね」
「オレ、特別?」

「そうだよ。おまえは特別。何を今更」
好きだよ、とカカシの唇が首筋を辿って行く。甘くなった部屋の空気に、ナルトの声がひっくり返った。
「っ。あのさ、前から思ってたんだけど、カカシ先生ってなんでそんなにオレに甘いんだよっ」
「おまえはオレの全てだから」
「!」
「オレの大事なナルト…」
「――カ、カカシセンセ?」
戸惑いを隠しきれないナルトは後ろの大人に問い掛けた。
「それってオレ以外の人間はどうでも良いように聞こえるんだけど」
「当たり前でしょ。オレはね、ナルト以外の人間はどうでもいいんだ」

「………」
他の人間は全員嫌いということなのだろうか。それは酷く寂しいことではないだろうか。
カカシの周りには先生を心配してくれる人たちがたくさんいるのに、それをいらないと拒否するのだ。
「カカシ先生、それはだめだってば。周りの人のことちゃんと見ないと、いけないってばよ」
「どうして。ナルトさえいれば他に何もいらない」

「そ、そんなこと言っちゃ駄目だってば」
フラッシュピンク、コバルトブルー、モスグリーン、ワインレッド、卵の黄身を落としたような黄色、音のない部屋の筈なのに、何かが騒いでいるように思えた。
「オレ、カカシ先生のこと、好きだってばよっ?だけど…――」
カカシの腕の中からもがこうとしたナルトを、カカシは片腕で引き寄せる。そのままカカシは、金糸の前髪を掻き揚げおでこにキスをした。「んっ」と短く、鼻掛った吐息がナルトから漏れる。二人の足元で、踏みつぶされそうになった絵具が転がった。
「カカシせんせぇ…」
油絵具の匂いが酷くなったような気がした。二人の身体が密着した。
「おまえがいなくなったらと思うと気が狂いそうになる…」
「か、かしせんせい…」

優しく肩に吐息が落とされた。向かい合った体勢で、頬を優しく撫でられる。どうしよう。ナルトは拳にじんわりと湧き上がった汗を握り締めた。カカシは本当にシカマルの言うように、少し何かがおかしいのかもしれない。
だけど、自分の頭を撫でる手も、髪を弄る指も、囁き掛けてくれる声も、抱き締めてくれる腕も何もかもが優しい。できない。カカシを捨てることは、できない。呼吸が苦しくなる。息ができなくなる。だから――……。
「ごめん、ナルト。我慢してあげたかったけど、我慢できないみたい。――セックス、していい?」
「……おう」
抱き締められた時からカカシの股間の感触には気付いていた。
「今日、わかってて来てくれたんだよね……」
「……おう」
一拍置いてからカカシはナルトに蕩けるような笑みを落とした。
「好きだよナルト。嬉しくて、死にそうだよ」
自分の感覚が、悟性が、このまま抱かれてしまっては駄目だと告げているのに、ナルトはカカシを拒むことができなかった。













 
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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