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空気猫

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日常編―パンツの話2―





 

「カァシ――。なうとってば木の葉レンジャーのパンツがいい!」
「うん。それじゃあ、それで」
「あとコンコンの模様の付いた奴に、カァシの額当てと同じ葉っぱの模様が付いたの!」
「うん。それじゃあ、それで」
木の葉ファッションセンターに静かな激震が走っていた。ボー…とした顔で耳付き尻尾付きの子供を小脇に抱えて、ショッピングに興じている銀髪の上忍。銀髪の忍が誰であるか、木の葉の里の者ならすぐにわかる。写輪眼のカカシ。千の技をコピーしたという天才忍者である。
その彼が、得体の知れない獣耳尻尾付きのコスプレをした子供を連れだって歩いているのである。それも子供の言いなりになって、子供用の下着を買い物籠に吟味することなくぽんぽん入れていく光景は余人には奇妙でしかない。
あの写輪眼のカカシを顎で使っているお子様は何者なのだろうと、彼等が去ったあとの店内はセンセーショナルな話題で持ち切りだった。



結局はたけ家の箪笥にはカラフルな下着と共に子供用のカボチャパンツが収納されることになった。大量のドレスはあまり袖を通される機会もなく、ビニール袋に入れられたまま放置されている。
「カァシ。カァシ。なうとのパンツにカァシのマーク書いて欲しい」
「?」
「だめ?」
「いいけど、まだ新品なのにこれに書いちゃっていいの?」
真っ白なカボチャパンツを顔前に広げられ、押し付けられるように油性マジックを渡される。碧い瞳をキラキラさせたナルトに見守られ、釈然としないまま、カカシはノロノロとペンを走らせた。ナルトは、テーブルに手を付いて、時々堪え切れないという様子でぴょんぴょん跳ねていた。どうやら嬉しいようだ。カカシの買ってきた、衣服の下のズボンはわりと股下がローラインのデザインのため、ナルトの尻尾は服の境目からちょうど飛び出す形になっている。なので、ナルトがジャンプするたびに上下揃いの衣服の裾から背中がぺろりと見える。それは尻尾がふりふりと高く上げられても同じだった。
「カァシのそのマークだっせぇってば」
「なら、なんで書くの」
「シシシー」
へのへのもへじの、〝も〟の部分まで書き終わった直後、壊れかけのチャイムが鳴る。
「おい、木の葉商店街でおまえが財布にものを言わせて、小さな子供を買収しているって噂が流れてるぞ。本当か?」
「なに、その噂……」
訪ねて来た猿飛アスマの開口一番の言葉に、はたけカカシはがっくりと肩を落として項垂れた。
「また平和なことをしてそうだな、てめぇらは」
カカシの右手に握られた油性マジックと、子供が落書きしたと思われる画用紙が散らばった奥の部屋。玄関前でしばし固まる二人の足元にナルトがとてとてとやって来る。
「カァシ。お客さん?」
「よぉ、チビ」
「あしゅま……」
客人の姿を見て、呆然とナルトは立ち尽くした。
「い、いまカァシは忙しいってばよ。じゅーだいな任務の最中なんだってば。横入り禁止だかんな!」
「ほぉ………?」
泣きそうな顔で、酷く馴染みのあるマークのパンツを握り締める子供に、本当こいつら平和だよなぁ…と外で流れてる噂とのギャップに力が抜けた。
「おい、カカシ。せっかく来てやったんだ。茶くらい出せや」
「あー…。おまえ、相変わらず遠慮というものがないね」
「……!!いま、カァシ忙しいってば。いま、カァシ忙しいも……!!」
「はい、はい。ナールト?あとでちゃーんと書いてあげるから騒がないの。ね?」
カカシに抱きあげられ、ナルトが耳と尻尾を垂らしてしょぼくれる。
「ほら、ここでこのままお喋りするからね?」
ちょこんとカカシの膝の上でだっこされて、上を向いた瞬間におでこにキスを落とされる。ナルトはぷくぷく膨れながら、黙りこむ。ナルトのご機嫌が一気に直って、カカシの顔をアスマの前で舐め出すまでさてあと何秒?








 
 
 
 
 
 
 
 
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名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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