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空気猫

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秋のオンリーに発行した小説です。これだけでも読めるように編集出来てると思います(おそらく)。






 
 
自分が死んだら、皆が幸せになるって本当だろうか、ともう随分前に言われた台詞を繰り返し考えて、今現実世界で起こってる痛みから逃れようとする。どうして突然、殴られ罵倒されるのか、今より幼い時はわからなかった。だけど、もう知っている。狐が腹の中にいるから、自分が嫌われ者なのは当たり前なのだ。うずまきナルトはたくさんの人間を殺した憎き九尾なのだとそう言われたら、何も言い返せなくなった。ごめんなさい。ごめんなさい。どれだけ謝っても罪が消えないというなら、オレはどうしたらいいのだろうか。
 買い物に行った帰り道、路地裏に引きずり込まれた。男たち五人に、殴られて、蹴られて、あまりにも痛いところが多過ぎて、ナルトの痛覚が麻痺する。降ってくる拳から少しでも逃れたくて自然と丸まるような形になるが、腹を蹴った足に、ナルトは思わず悲鳴を上げた。
「ははは。助けて、だって!!」
 男たちがナルトのマネをして笑っている。早く、終わらないかな。家に帰って夕御飯を作らなくっちゃいけないんだ。まったく関係のないことを考えて、今殴られている自分の身体から意識を遠くに置く。そうすると、痛みが少しだけマシになるような気がした。うずまきナルト、八歳。この里で〝狐憑きの子供〟の彼の名前を呼ぶ者はほとんどいない。
 地面にいいだけ身体を打ちつけ、意識が遠退きそうになった時、唐突に男たちから断末魔のような悲鳴が上がった。気が付けば男たちが壁だとか、ゴミバケツだとかに衝突して倒れている。痛みが止んだことに驚いた。
「おい」
 ぼんやりと見上げれば、銀色のお月様がナルトを見下ろしていた。――ああ、違う。月を背負うようにして、建物の上に誰かがいた。数日前に見たことのある犬面の男が、あの時と同じようにナルトを見下ろしている。銀髪が月の光でキラキラ輝いていた。面を被った人々なんて大嫌いだったのに、単純に綺麗な人だな、と思った。
「生きてるか…?」
どこか掠れたような低い声が、ノイズがかっていて、いつまでも聞いていたくなった。それが「犬面の兄ちゃん」と子供の初めての会話だ。
「兄ちゃん。誰?」
「おまえ、そんなことも知らないの。オレは悪い奴等をやっつけた正義の味方だよ」
犬面を付けているくせに、その暗部は酷く背が丸まっていた。背が高いことを気にしているのだろうか?
「オレ、犬面の兄ちゃんのこと知ってる。前に建物の上にいただろ?」
「ああ、やっぱり見つかっていたか」
 あっさり肯定され、ふっと犬面の暗部の空気が和らいだ気がした。雰囲気からして、まだ若い青年らしい。
「送る」
 表情の見えない犬面越しに短く一言、宣言された。暴力を振るわれることなく小脇に抱え上げられ、世界が高くなった。ぽかんとヒヨコが豆鉄砲を食らった顔で見上げると、銀髪の青年は無口なのか性格が暗い性質なのか、無言でナルトを抱えたまま屋根の上を疾走し出した。訳のわからないナルトはただ運ばれ、やがて見知ったアパートに到着した。
 ベッドに転がされ、呆然とした顔のまま犬面の男を見上げていると、「次から買い物に行く時は言え」と短く宣言され犬面の暗部は消えた。
ナルトは口を半開きにしたまま、暗部のいなくなった窓を見つめた。「変な人…」自分を家まで送り届けてくれたお面の人なんて始めてだった。
おそらく、三代目火影に頼まれ自分を「監視」してる人だ。今までの監視者は自分と関り合いになろうなんて奴いなかった。それどころか里の人たちを手引きする暗部もいたくらいで、大概いつもより酷い目に遭うから、嫌だった。皮膚をクナイで少しずつ剥がされた時は思わず悲鳴をあげてしまったっけ。だけど、犬面の暗部は全然違う。前の世話係の人のことも家のことも、あの人が報告してくれのではないだろうか。
お面から見える色違いの目が、とても綺麗で、凄く綺麗で、暴力を奮うわけでもなく、おかしな人だと思った。
 
 
 
 
 
 
 
 










 
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
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名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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