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空気猫

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―Tuesday―


1週間ぶりの七班任務。その日のはたけカカシは…1分とて遅刻せずに集合場所へやって来た。カカシからナルトを守るように前に立つサスケとサクラ。自分を底辺に逆三角形になっている下忍たちを前に、カカシはニコニコと表面上は笑みを崩さない。
「さー、任務を始めるぞー」
「カカシ先生、ナルトに近付かないで下さい!」
「ドベから離れろ、ウスラトンカチが!」
小動物を捕食しようとする肉食動物のように、ジリジリと背中を丸めてナルトに近付こうとしたカカシに、サスケとサクラの激高が同時に飛んだ。ニコニコと表面上は笑みを崩さないまま、カカシの後頭部に青筋が浮かぶ。本日の七班、草取り任務。早くも波乱の予感。





ナルトを除く七班下忍二名には三代目火影自身から直々に秘密裏の任務が与えられていた。――すなわちはたけカカシからうずまきナルトの身の安全を確保せよ。ランクは特S。上忍の、それも写輪眼カカシを相手にするのならば、妥当な割り当てだろう。もちろん、両者ともそれぞれに、ナルトのことを思ってこそ里長から一つ返事でこの任務を請け負ったのだが、図らずもここにサスケとサクラの固い団結力が生まれた。
「カカシ先生、3メートル以上ナルトに近付かないで下さい」
「いつものように本読んで居眠りしてればいいだろ。あっちへ行け」
「サクラちゃん…、サスケ…。どうしたんだってば…?」
「ナルトは黙ってて」
「ドベは黙ってろ」
目を逆三角にされてサクラとサスケに睨まれたナルトは、ごくんと唾を飲み込んで黙る。二人のあまりの剣幕に首を傾げたナルトだが、原因がわからないことには仕方ない。元来物事を深く考えない性質のナルトはしぶしぶとではあるが雑草を引き抜くことに専念することにした。


はたけカカシの機嫌は最高潮に急降下していた。もう一週間も、ナルトに触っていない。あの子に出会ってからというもの過去最高記録だ。
今日の任務は草むしり。しゃがみ込んで、雑草を引っこ抜くナルトの真ん丸い背中。ぬいぐるみみたいで非常に可愛らしい。
カカシの位置からでは確認することは出来ないが、きっと少しばかり頬を高潮させて、一生懸命草を引っこ抜いているのだろう。そんな可愛い生物を目の前にして飛び付くことができないなんて、世の中不条理だ。
ああ、シャンプーとお日さまの匂いのする髪の毛に顔に顔を埋めたい。血色の良いほっぺは、お預けを喰らった状態だといっそう柔らかそうに見えるから不思議だ。
せめて、抱き上げるくらいなら、とカカシの体はナルト不足の禁断症状で悲鳴を上げる寸前なのだが、指一本すら触れることも許可されない今の現状。いや、何も部下二名相手を蹴散らすことに躊躇して手出しを出来ないわけではない。サクラはある意味、厄介かもしれないが、だからと言ってカカシに成す術がないわけではない。
そう。カカシの邪魔をする輩は他にもいるのだ。例えば、そこらの木の上とかに控えている暗部とか。
(あー、やだやだ。人のことをケダモノか何かみたいにさぁ)
もちろん、彼等を手配したのは他ならぬこの里の長であろう。カカシが暴走すると見越したのか、まったくご苦労なことである。
それとて実力から言っても暗部数名よりカカシの方が上だ。しかし、火影の命で彼等が動いていることが、カカシに抑止力を与える。
イライラする。元来カカシは我慢強い方ではなかった。カカシは最近になってそうした己の本姓に気が付いた。淡白だ粗野だと周囲に認識されていたのは本当に手に入れたいとか欲しい物がなかったからだ。
今、はたけカカシの欲しいもの。それはうずまきナルト。一目惚れ。初恋。そんな安っぽい言葉で終わらせないないで頂きたい。
こんなに欲しいのに、なんでどうして自分の恋の邪魔をする輩がわんさかといるのだろうか。
大体、好きだという気持ちが綺麗ごとだけで済ませられるはずがない。欲も含んでこその恋愛でしょ、というのがはたけカカシがここ数ヶ月で到達した恋愛感だった。
だから自分の欲するまま正直に行動しているだけなのに。もちろん、相手が十二歳で男ってのはちょっとはいや多少、かなり倫理に反してるかもしれないが、カカシはそれ以上にナルトを欲していた。
―――つまり、今のカカシの状態は非常に危険な状態であった。
木の幹に腰掛けた一見草食動物のような男から発される邪悪なチャクラを感じ取った暗部等の背中に冷や汗が伝う。
ナルト断ち約一週間。ついに、はたけカカシの理性は臨界点を突破した。
イライライライライライライラ……ブチ。
「きゃーーーーカカシ先生なにしているんですか!!!」
サクラの悲鳴が草原に響いた。
「く、苦しいってばカカシ先生」
「ああ……、やっとナルトの感触。抱き心地も文句なし。ジャストサイズ」
「カ、カカシせんせぇ…?」
「はぁ。ナルト、待たせちゃってごめんね。やっとこの間の続きが出来るよ。先生と気持ち良いことシヨ?」
「へ?」
もう我慢の限界。こんな美味しそうな子を前にして飛びつかないなんて男が廃るってもんデショ。カカシは荒い息でナルトを押し倒した。
「ぎゃあん、カカシ先生!?」
くちゅりと性感を刺激するように、耳を丸ごと舐られる。
「あ、あんっ?」
「んー、いい声」
カカシの巧みな愛撫ではふはふとナルトの息が上がる。力の抜けたナルトの身体を見下ろして、カカシは舌舐めずりをした。
「ナルト、力抜いてて?」
「あ……」
「ん、いい子」
首筋に軽く歯を立てられ「あ、ふぁ…ん、あ」とナルトから色めいた声が上げり始めるが、
「ナルトォオ。流されてるんじゃないわよしゃーんなろ!!」
金髪碧眼の部下のジャケットに手を掛けた上忍に、サクラの鉄拳とサスケの飛び道具が投げつけられたのは言うまでもないことだった。



「サクラちゃん、あとサスケも。あのさ、あのさありがとうってば…?」
草を引っこ抜きながらナルトが口を開く。
「カカシ先生から庇ってくれただろ、ありがとう」
オレってばまたカカシ先生の気に障ることしちゃったのかなぁ、と未だにカカシに嫌われていると思い込んでいるナルトは、担当上忍に押し倒されたとも知らず素直にサクラやサスケに感謝しているようである。ナルトはブチブチ雑草を引っこ抜きつつ、自分の正面にいたサスケにニカと歯を見せて笑う。
「サスケ。おまえってばけっこー、いい奴なのな」
ナルトに、微笑みかけられて、サスケは耳まで赤くなる。普段のサスケはナルトを怒らせて喧嘩することはあっても、感謝されることなどほとんどない。慣れない状況にサスケはモロに動揺した。
「オレは別に大したことはしてねぇよ」
「サスケってばなに赤くなってんだってば。熱あるんじゃねーの」
眉を潜めてサスケの顔を覗き込んだナルトに、サスケはぷいとあさっての方向に視線を逸らした。水分過多な碧い瞳に、ふっくらとした唇。サスケより若干背の低いナルトが、サスケを見つめると自然と上目遣い気味になるわけで、常人より視力のいいレンズいっぱいにナルトのドアップ。
「サスケ…?」
「うわっ」
ドタとサスケが転倒する忍者らしからぬマヌケな音が響いた。
「オレのナルトに手を出すなぁ~~~~~っっ」
その光景を見てキレたのは大人らしからぬ大人。木の幹に縛り付けられたカカシがぎゃーぎゃー吠えている。「カカシさん落ち着いて下さい」と現役暗部一同がカカシの周りでオロオロと取り成すも、それでカカシが平常心を取り戻すはずもない。
それなりに太さある大樹がカカシの力でミシミシと音を立てるたびに、カカシの元部下たちは戦々恐々だ。もしもの時、暴れたカカシを全力で取り押さえる役目を担っている彼等は、どうか下忍任務終了まで、本来里内の味方である筈の「写輪眼のカカシ」を相手にする部の悪い事態になりませんようにと天に祈ったという。




結局、縄を千切って暴走したカカシを暗部たちは半死半生の末に取り押さえ、その日の任務は担当上忍不在により明日へと持ち越しになった。
「本当にカカシ先生ったら邪魔しかしないんだから。そのうえナルトに襲いかかるし…。油断も隙もあったもんじゃないわ。ねぇ、サスケくん?」
「まったくだ。あのウスラトンカチが」
「………」
ぎゃいぎゃい騒いで文句を言い合う二人の背中を追いかけながら、ナルトは誰かがいるわけでもないのに草原を振り返る。よくわからないお面の男たちにどこへやらに連れてかれた自分の担当上忍。
ナルトは少し傾いた、銀髪の大人の背中を思い出していた。
「……―――んせ」
―――今日、カカシ先生に頭撫ぜて貰えなかった。たったそれだけのことなのに、とても残念だった。ちくりと痛んだ胸。それは小さな恋心の芽生え。これが火曜日の正午のこと。






 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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