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空気猫

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はたけカカシは苛立っていた。連日、暗部に連行されて火影室に行った彼は厳重注意を受けていた。
このイライラをどうしてくれようと鬱憤晴らしの意味を含めて、人生色々にやって来た色んな意味で最低な男なのだが、そこに思わぬ人物の姿があって彼の表情が一気に明るくなる。
「ナ、ナルト……!」
「あ、カカシ先生」
「どうしてこんな汚いところにいるの。ほら、こっちにおいで!」
むさ苦しい男共に囲まれている愛しい子を見て、一瞬殺気立ったカカシだが、ジャガイモの山からぴょこんと立ち上がったナルトが己に向かって駆け寄って来たので、その場にいた上忍連中の身の安全はとりあえず確保された。
「カカシ先生のことを待ってたんだってばよ」
そのうえそんな可愛らしいことを言って、ナルトが駆け寄って来るではないか。
「ナルト~」
カカシの懐にぽふんと音を立てて、ナルトが飛び込んで来る。
久し振りのナルトの感触にカカシは傍目にもわかるくらい表情を弛ませた。
「あんまり遅いから待ちくたびれちゃったってば」
「ナルト、危ないデショ一人でこんなとこ来ちゃ」
「え。どうしてだってば。アスマ先生がここに来ればカカシ先生に会えるって教えてくれたんだってばよ?」
「いや色々と……」
「変なカカシ先生!」
頬を風船のように膨らませて、ナルトがカカシの腰に腕を回す。こんな愛らしい表情を他の誰かに見られては大変と、カカシは慌ててナルトを己の腕の中に隠した。
「んう、カカシ先生ってばぎゅうぎゅうしちゃヤダってば」
「あー…。すまん。苦しかった?」
やんわりと抱き締めつつも、腕の力を緩めると、ぷはっとナルトが息を吐く。
その姿にカカシが苦笑する。ナルトの存在一つで、不機嫌な気持ちなど吹き飛んでしまうから不思議だ。抱き締めるとナルト自体が安定剤みたいで、いつまでも離したくなる。
汚い自分には奇跡みたいな存在。あの路地裏でこの小さな陽だまりを見つけてからというもの、この世にナルト以外で綺麗なものなんていないとカカシは思っていた。
「おーい、うずまき。いつまでもはたけ上忍とジャレてねぇでにこっち戻ってこーい」
アイドルの独占は禁止とばかりに、奥の長椅子から声が掛かる。声の主を辿れば、不知火ゲンマ。カカシが殺気を込めて睨み付けるも、別に恋人ってわけでもないでしょうに、と見透かされたような視線が突き刺さってきて、渡してなるものかとカカシはナルトを抱き締める腕をまた強めてしまう。むぎゅっと腕の中のナルトが苦悶の悲鳴を上げた。
「いったいなんの話をしてたの?」
ナルトのことで自分が知らないことがあるのがイヤだとでも言うように、カカシがナルトに訊ねた。あ、ヤバいと誰かが呟いたかもしれないが、時すでに遅し。100%純真無垢なお子様は、残酷なもの。
「あのねー、オレの好きな人の話!」
満面の笑顔で放たれた言葉。場の空気がパキンと音を立てて凍りつく。
「オレの片思いで、一回しか会ったことない男の人なんだけどすげーカッコイイ人なんだってばよ!」
「………」
「へへへ…」
照れ臭そうにナルトがカカシを見上げるが、ナルトはカカシの変化に気付かない。「へぇ…、そうなの」とカカシが平坦な声で受け答えして、半ば手癖でナルトの頭を撫ぜる。
尚も〝好きな人〟の話をしようとしたナルトだが、せっかくカカシがいるので違う話題に切り替えた。
ナルトはうきうきした気分でカカシの腕に抱き付いた。
「あ、カカシ先生。このあと暇?あのね、良かったら一緒に―――」
カカシ先生に嫌われてるかと思ったが、気のせいだった。自分の杞憂だったと、ナルトはご機嫌だった。だっていつもどおりのカカシ先生。優しく頭を撫ぜてもらった…と思ったところで、ナルトはこてんと首を傾げた。カカシの瞳がこれ以上ないほど冷たくなっていたから。
「カカシ先生…?」
「あー…、ごめん。ナルト、ちょっとオレから降りてくれる?」
「え?」
一緒に一楽行こうってば!とおねだりしようとしたナルトが固まる。
ぽふぽふとおざなり頭を撫ぜられて、ナルトを包み込んでいた温もりは去って行ってしまう。カカシの表情はマスクと額宛で見えなくて、ぴしゃんと閉まった扉の音がやけに冷たく、ナルトの耳に響いた。









 
 
 
 
 
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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