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空気猫

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デリバリヘルス! 33
「………キスは八千円ぢゃなかったの?」
「………あ」
「ナールト?」
カカシの腕の下でナルトが「うううう…」と唸って、精一杯首を自分から逸らして誤魔化そうとしていた。
「嘘吐いたでしょ」
「……―――」
「それとも、初めてが嘘だった?」
「ち、ちが…っ」
カカシの言葉に、泣きそうな顔でナルトの首にしがみ付く。
「ごめんってば。八千円が嘘…、キスは本当にシタことなかった、からっ」
カカシに疑われてると思ったのだろうか、信じてもらおうとナルトは必死に言葉を並べる。自分の言葉は、信じてもらえないと思っているのだろうか、可哀想なほどナルトは焦ってた。
そんなに、必死にならなくても、ちょっと意地悪のつもりで言ってやっただけで、疑ってやしなかったのに。
カカシは「ごめんな」と震える金糸を撫ぜ、そして尋ねた。
「………おまえの方こそオレとキスして良かったの?」
「?」
今度は、ナルトが不思議そうにしがみ付いていたカカシから顔を放して大人を見上げる。
「これから初めてのキスは誰とだって話になったら、相手は男のオレだよ」
「……っそんなこと」
ナルトが喉を詰まらせたように瞳を潤ませた。
「そんなこと、この歳でヘルスやってる奴相手に気にすることぢゃね…―――」
そこでナルトはカカシに口を覆われる。
「おまえ」
「なに」
「―――自分の仕事を卑下するなって言ったのはだあれ?おまえでしょ?」
「だって…」
ナルトの顔が歪む。
「前にさ、言われたんだヘルスなんてやってる人間は そのぶん人間以下の扱いを受けなきゃいけないって」
ある時、出張ヘルスを終えて家主の部屋から出るとその家の奥さんが帰ってきて、ナルトは彼女と鉢合わせしてしまった。修羅場になるかとひやりとした思ったナルトだが(実際何度か奥さんなどに鉢合わせしてヒステリーを起こした女の人にナルトは髪の毛を引っ張られたりしていた)、綺麗に手入れした髪の長い毛をシニョンにした、彼女は痩せたナルトの身体を見ると小馬鹿にしたようにせせら笑ったのだ。「仕事であんな男のを咥えなきゃいけないなんて大変ねぇ」と、彼女は笑った。
ヨーロッパピアン風の豪邸に住んでいる四十歳半ばほどの夫婦の仲は冷め切っていたらしく、妻は夫の性癖にも辟易していた。ナルトは当て馬になったわけだが、「わたしならいくらお金が貰えるからって男に媚びへつらうなんてごめんだわ。アナタの仕事ってそういうことでしょ?風俗ってたくさんお金は貰えて華やかでちやほやされるもしれないけど、お金の分だけ人間以下の扱いを受けても我慢しますってことなのよ」ナルトは、何も言い返すことなく、お金を貰って、履き潰したスニーカーを履いて豪邸の玄関を出た。
「そいつのことちょー殴りたいって思った。んで同じくらい羨ましかった。その人は、黙っていてもおいしいご飯とか家があるんだろ、温かい家族もいるんだろ。だけどヘルス以外の道が選べなかった奴がいるってことも、わかって欲しかった」
「…………ナルト」
「オレだって、好きでデリヘルやってるわけぢゃない。仕事はやりがいはあったけど、好きで汚れたわけぢゃな…っ」
カカシに抱き締められて、ナルトは再び息を詰まらせた。
「おまえは人間以下なんかぢゃないよ?おまえは、綺麗だよ?」
「かぁ・・・し先生」
きゅう、とナルトの眉の根が寄る。
「なんで、カカシ先生は、そんなによくしてくれるんだってば。オレってばカカシ先生に何もお返しができない。オレってば何もできねぇからせめてカカシ先生のことを気持ちよくさせようっていっぱい頑張ったのになんかちっとも効果なかったし、なんかオレ悔しかったってば」
「それって、もしかして昨日の夜とか朝のことか…?」
「うん。このチャイナ服もお色気大作戦なんだってば・・・」
「なにそれ・・・。いや、それはともかく夜とか朝・・・もちろん今もサイコーに効いてるよ?」
「へ………?」
「可愛いよ、ナルト」
「・・・・・・・・!」
「今も、とても可愛い」
ぼん!とナルトの顔が音を立てて赤くなる。「んんんな、可愛いって・・・・っ」色んな人に「可愛いね」とナルトは言われていた。お世辞はもちろん、心から言われている時もあったが、ナルトは「可愛い」という単語に慣れていた。男が男に可愛いなんて単語を使うのに、最初は戸惑ってこいつら頭おかしいんぢゃねーのと思ったが、言われ慣れ過ぎてだんだん安っぽい響くようになったのはお愛想。だけど、カカシの腕の中に囲われて言われた「可愛い」は、どんな時に言われた「可愛い」より特別に響いた。
「・・・・・どうしよう、先生のことまぢで好きになっちゃったってば」
どくどくと脈打つ鼓動が飛び出してしまわないように、ナルトは、シーツの中に包まって、困ったってばよう…と「うううう」と唸りだしてしまった。
「ナルト。どうして、困るの?」
「ううう、だってぇ・・・借金」
「?」
「カカシ先生、オレの家ってば借金あるんだってば。父ちゃんが死んぢゃった時に、それが始めてわかってさ」
「は?」
「なんかオレに借金返済義務っつーものが回って来たみたいなんだってば。難しくてわからねぇけど」
「いくら?」
「んー、1億くらい」
「は?」
軽く面食らったカカシに、だからデリヘルやめるのは無理なんだってば…とナルトは困ったように笑った。
「先生、ごめんってば。カカシ先生のこと好きになっちゃったけど、借金あるから付き合うのとかやっぱなし!」
 
 
 
 
 
 
 
★デリバリもう一波乱。いや、八割は終わってますよ?お返事17日~。



ふぉおおおお美肉論議八封さんvv
スプーンはやっと出せました父ちゃんの伏線、あとクシナさんはそう思われるのを狙ってました笑。世を儚んで消えそうに見えて誰よりも強いぜ!な隠れ最強設定です。そしてデリヘルに「このナルトは受けです!」という大事な注意書きを忘れてましたびっくりさせちゃってごめんなさい地面に頭ごっつん!
いつもコメントありがとうございます!八封さんのコメントが来るとほっとします^ⅴ^


追伸:B型の人って愛すべき人が多いですよね。






ぱちぱちありがとうございました!
いつか「B型の彼氏」というタイトルでカカナルで何か書いてみたいです言うだけはただ。





















 
 
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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