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空気猫

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ナルトと別れた後、カカシはふらふらと街をうろついた。酒の味は不味く、女の笑い声は煩かった。ナルトのあの現状、どうにかしなければと思う。あれではナルトの笑顔が消えたのも当たり前だ。



カカシが、ナルトと再び会えたのはそれから五日後のことだった。頬に真四角にカットされた綿、それにテーピングテープが貼られていた。
カカシが声を掛けようとして、目の前で金色が地面に倒れる。砂埃が舞って、突っ伏したナルトは、だけど声も上げず立ち上がると、また無表情になって、てこてこと歩き始めた。
「―――っ」
胸を突かれるような感覚。
「ナルト」
名前を呼ぶと、金色のふわふわ頭がぴょこんと反応した。
「灰色ねずみの兄ちゃん!」
「おまえ、また転んで……痛かったでしょ?」
「全然、痛くなかったってばよ!」
「嘘」
「嘘じゃないってばよ!」
本当は聞きたいことはそんなことではない。だけど、その頃のカカシには子供を抱き締めることしか出来なかった。
「ナルト」
「なーに」
「キス、しない?」
「へ?」
「おまえの大好きなちゅーしようよ」
そう言うと、幼子はカカシの言いたいことを合点したらしい。
「したい!」
「ん、ナルトはいい子だね」
「オレ、ねずみと〝ちゅ〟するの好き」
ナルトは無邪気にきゃらっと笑うと嬉しそうにカカシに向かって自ら身体を伸ばして来た。
カカシはそっと真ん丸い頬を撫でて、薄っすらと目を細める。
二人に追加された危険な遊び。
〝大好きのちゅ〟
「ナールト、もう1回」
「んにょ……?」
「はい。〝んっ〟」
「〝んー〟」
カカシがちょんとナルトの唇を突く。別に、カカシはナルトとキスをしてもなんとも思わないが、嫌だとも思わない。まだミルクの匂いのする子供の感触は酷く温かかった。ただ口をくっつけているだけのこの行為にこんなにも安心するなんて、今までどんな女にも感じたことがない。
陽だまりを抱き締めているみたいだった。人間なんて肉の塊だと思っていたのに、この子には人間に対する嫌悪感も何も抱くこともなく、さらさらとした肌の手触りにうっとりするだけだった。
「ん……」
だが、ナルトが息継ぎをした時、小さな口が開けられる。その瞬間、そろりとカカシの舌がナルトの狭い口腔内に入った。
「………っ」
「にょ?」
偶然にもナルトの舌がカカシの舌を慰撫した。
「!!!」
ナルトがカカシと口をくっつけたままぱちくりと瞳を瞬かせる。
「ねずみ?」
ちゅ、とナルトの唇が無意識だろうが、カカシの唇を吸い上げる。ゾクリと背筋に何か得体の知れない感覚が湧き上がって、カカシは慌てて、子供から身を離した。
「……え」
「……?」
「…………え」
「ねずみ……?」
こてんとナルトが首を傾ける。なんだ、今の感情は。無邪気な子供とのスキンシップとは別の何か。自分はこの子の父親が好きであったはずだ。だがしかしそれと同じくらいの、いやそれ以上のまったく別物のこの感情はなんだ。
「どうしたの、ねずみ。オレとの〝ちゅ〟いや?」
不安そうな子供の瞳がカカシの胸を射抜いた。
「……………っ」
顔を赤面させて、はたけカカシ22歳、遅まきながらの恋愛自覚。











 
 
 
 
 
 
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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