空気猫
空気猫
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今回は三人称です。
「ナルト。飛び降り志願者はあそこだ!」
「おう!」
月夜に金と黒の暗部が暗躍する。二人とも年若く、まだ十代後半のようだ。
二人が見ている前で、ワンピースの女性が、建物の上から飛び降りた。
「ちっ。出来るか…!?」
「出来るか、じゃなくて、―――やるんだってばよ…っ!」
目標物を発見したのは、サスケと呼ばれる青年で、次に金髪の青年が屋根を跳ねて、疾走を開始した。そして、地面に向かって真っ逆様に落下していく女性を受け止める。
「おっしゃーっ」
見事に、女性を受け止めて、金髪の青年―――ナルトがガッツを決める。
「大丈夫だってば、姉ちゃん?意識があるなら、応えてくれってばよ?」
ナルトは、地面に女性を横たえると、その顔を覗き込む。が、女性は「うっ、うっ、うっ」と嗚咽を漏らすばかりで何も応えない。
「なんで助けたのよぉ」
「これが任務だからだってば。姉ちゃん、自殺の常習犯だって、この紙に報告がきてるってばよ」
任務依頼書をチラつかせて、ナルトが言う。ナルトの答えに女の嗚咽は一層酷くなるばかりで、ナルトはサスケと顔を見合わせるとため息を吐いた。
「迷惑かもしれねぇ。余計なお世話かもしれねぇ。だけど、オレたちってば、姉ちゃんがこういうコトしようとする限り何度でも止めに入るからな」
「はぁ。ボランティアの任務も辛いものがあるな」
「しっ。サスケ!―――ったく」
自分より数センチ背の高い黒鳥頭を殴ると、ナルトは地面に蹲る女と向き合った。
「なぁ。姉ちゃん、今日は死にたいくらい辛い日だったかもしれねぇ。だけど、明日はいい日かもしれない。オレはそう思うんだってばよ」
金髪の青年の言葉に、女の嗚咽が止まる。自分に語りかける忍の顔をやっと見ようという気になったのだろうか。女が暗部の一人を見上げた瞬間、その顔が醜く歪んだ。
「あ、あ、あぁ…、おまえは……」
「……!」
女の表情の変化に、ナルトは全てを察知する。
「化け物……!!」
諦めにも似た表情で、ナルトは女の罵倒を受ける。女に差し出していた手は、パシンという音と共に払われた。
「今更、人助けをして、いい気にならないで。わたしは…、わたしは…、あんたのせいで人生をめちゃくちゃにされたのよ。あんたさえいなければ、今頃わたしは幸せに暮らしていたはずなの。わたしが不幸なのも、死にたくなるのも、全部、全部、あんたのせいなのよ!」
「うん…。そっか…」
女は、狂ったかのように、ナルトを罵り出す。それはまるで、鬱屈した怒りをぶつける相手を見付けたかのようで。
「ちょっと、そこの黒髪のあなた。何をボケっとしているの。この化け物を二度とわたしの前に現れないようにしてちょうだい!」
「………」
「どうして、黙ってるの。わたしは被害者なのよ!」
金髪の青年の言葉に、女の嗚咽が止まる。自分に語りかける忍の顔をやっと見ようという気になったのだろうか。女が暗部の一人を見上げた瞬間、その顔が醜く歪んだ。
「あ、あ、あぁ…、おまえは……」
「……!」
女の表情の変化に、ナルトは全てを察知する。
「化け物……!!」
諦めにも似た表情で、ナルトは女の罵倒を受ける。女に差し出していた手は、パシンという音と共に払われた。
「今更、人助けをして、いい気にならないで。わたしは…、わたしは…、あんたのせいで人生をめちゃくちゃにされたのよ。あんたさえいなければ、今頃わたしは幸せに暮らしていたはずなの。わたしが不幸なのも、死にたくなるのも、全部、全部、あんたのせいなのよ!」
「うん…。そっか…」
女は、狂ったかのように、ナルトを罵り出す。それはまるで、鬱屈した怒りをぶつける相手を見付けたかのようで。
「ちょっと、そこの黒髪のあなた。何をボケっとしているの。この化け物を二度とわたしの前に現れないようにしてちょうだい!」
「………」
「どうして、黙ってるの。わたしは被害者なのよ!」
「おい。ナルト。こんなつまらない女、このまま放って帰ろうぜ。助ける価値もない」
鳥面の暗部は怒っているのか、呆れているのか、どっちとも取れない口調であっさりと言い放った。それを制したのは金髪の青年本人だ。
「だめだ、サスケ。これは任務だってばよ?その姉ちゃんを送るのはおまえに任せた。ちゃんと送り届けてくれってばよ。オレは先に任務報告書を出して来るからさ」
「あんたの顔なんて二度と会いたくなんてないわ!」
「うん。オレも、こういうふうな夜に姉ちゃんと二度と会うことがないといいなって思うってば…」
鳥面の暗部は怒っているのか、呆れているのか、どっちとも取れない口調であっさりと言い放った。それを制したのは金髪の青年本人だ。
「だめだ、サスケ。これは任務だってばよ?その姉ちゃんを送るのはおまえに任せた。ちゃんと送り届けてくれってばよ。オレは先に任務報告書を出して来るからさ」
「あんたの顔なんて二度と会いたくなんてないわ!」
「うん。オレも、こういうふうな夜に姉ちゃんと二度と会うことがないといいなって思うってば…」
だから、明日も頑張って生きてってば。そう言い残して、金髪の青年は月夜に消えた。
「ナルト…。大丈夫か?」
「なんだ。サスケ。もうあの姉ちゃんを送り届けて帰って来たのかってばよ?」
「あぁ…。一応、病院に預けて来たが、あの手のタイプはまたすぐ繰り返すだろうな」
「そっか…」
「被害妄想と自己顕示欲の強いタイプだ。そのうえ、誰かが救助に来るとわかってわざとあんなわかりやすい場所から飛び降りることを繰り返す…。手に負えないな、胸くそ悪りぃ」
「そんなこと言うもんじゃねぇってばよ。誰だって、弱いところはあるだろ?」
眉根を寄せたナルトに、鳥面の暗部が舌打ちをした。
「てめぇは、どこまでお人好しなんだよ」
煩わしげに鳥面を外したサスケは、ナルトとごく近い距離で向かい合う。
「ナルト…。例の連中のことなんだが……」
「うん。わりぃけどサスケに任せていいってば?オレが出て行くと余計にややこしくなりそうだし…」
「ああ。それはいいんだが。カカシのこともそうだが、あまり無理をするなよ」
ニシシ、とナルトが笑うと、サスケが眉を跳ね上げる。
「なんだ…?」
「だってさぁ、サスケがあんまり親切だと珍しくってさ。今度、サクラちゃんに報告しちゃおうかなーって」
「おまえな。人の好意を…」
「ぷっ。くははははっ」
サスケがこめかみを引き攣らせると、金髪の青年が盛大に笑い出した。
「ナルト…。大丈夫か?」
「なんだ。サスケ。もうあの姉ちゃんを送り届けて帰って来たのかってばよ?」
「あぁ…。一応、病院に預けて来たが、あの手のタイプはまたすぐ繰り返すだろうな」
「そっか…」
「被害妄想と自己顕示欲の強いタイプだ。そのうえ、誰かが救助に来るとわかってわざとあんなわかりやすい場所から飛び降りることを繰り返す…。手に負えないな、胸くそ悪りぃ」
「そんなこと言うもんじゃねぇってばよ。誰だって、弱いところはあるだろ?」
眉根を寄せたナルトに、鳥面の暗部が舌打ちをした。
「てめぇは、どこまでお人好しなんだよ」
煩わしげに鳥面を外したサスケは、ナルトとごく近い距離で向かい合う。
「ナルト…。例の連中のことなんだが……」
「うん。わりぃけどサスケに任せていいってば?オレが出て行くと余計にややこしくなりそうだし…」
「ああ。それはいいんだが。カカシのこともそうだが、あまり無理をするなよ」
ニシシ、とナルトが笑うと、サスケが眉を跳ね上げる。
「なんだ…?」
「だってさぁ、サスケがあんまり親切だと珍しくってさ。今度、サクラちゃんに報告しちゃおうかなーって」
「おまえな。人の好意を…」
「ぷっ。くははははっ」
サスケがこめかみを引き攣らせると、金髪の青年が盛大に笑い出した。
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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