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空気猫

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赤い風船と悪魔

ナルトの前で音を立てて割れた風船。せっかく商店街でもらった風船は、帰る途中で3、4人の男たちに取り上げられてしまい、とりかえそうと手を伸ばせば、子供の前であっけなく弾けてしまった。ケタケタと笑い声を上げて去って行く男たちの足音はどこまでも素っ気なく、その際に足を引っかけられ、地面に転がされる。すり剥けた右頬が痛い。それでも腕を突っ張って起き上がろうとすれば、自分の服を踏んづけて顔から転んでしまった。先程までのしあわせな気持ち消え、惨めで情けなく、涙が込み上げてくる。
「あー…。泣いちゃった」
九尾の監視について三日目。一部始終を見ていたはたけカカシは給水塔の上でため息を吐いた。数日前から里にやって来てるサーカス団。興行のためピエロが子供たちに風船を配っており、他の子供と同じように少年に風船を渡した。この里で「例の子供」に風船を上げようなんて思う奴なんていないので、それが子供にはうれしかったのだろう。いつになく明るい表情で帰路に着いた。ただでさえ、この里には子供のしあわせを潰そうとその機会を虎視眈々と狙っている輩がたくさんいるというのに、この無防備さはいっそ罪だろう。馬鹿だねぇ、そんなしあわせそうな顔をして歩いていたらだめでしょ?この子、この調子で生きていけるのかねぇ、などと余計な心配をしてると、カカシの思った通り、子供はすぐに目を付けられた。男たちが子供の行く手を塞いで、「おい、キツネ」から始まるお決まりのパターン。
子供相手にいい歳した大人が、と呆れしまうが、昼間から暇な奴らだなと思うくらいで、カカシはぼんやりと傍観を決め込むことにした。だって、所詮〝監視任務〟なのだ。助けろ、とまでは言われていない。ここでカカシが出て行くのは任務外というものだろう。
そんなことをつらつらと考えているカカシを余所に眼下では、風船を取り返そうとした子供の身体が触れたのが不快だったのか、男の容赦のない暴力により小さな身体が地面に叩きつけられた。それでも、まだ諦め切れなかったのか、立ち上がってふわふわ揺れる風船を追いかける子供の手はいっそ未練たらしい。だけど、上背のある男たちに丈の短い子供の手が届くはずがなく、破裂音と共に風船は弾けた。ついでとばかり小突かれて、また地面に倒れる憐れな九尾の子供。なぜかそのあと自分の服の裾で蹴躓いて、目も当てられない始末だ。俯いたまま泣いている子供を見下ろす。通行人は誰も助け起こそうともしない。誰も子供を見ない。
「ま。接触しても問題ないかな?」
うーんと背伸びして、しばらく悩んだあげく、舗装のされていない地面に着地。ちぎれた風船を握り締める子供は、肩を僅かに震わしている。ちらばった紙袋の中の食料品。転がったカップラーメンをひとつ取ると、カカシは子供の前に立った。
やはりここはセオリー通りでいいかななんて考えて、もう片方の手を子供に差し出す。
「大丈夫?」
驚いたように顔を上げる子供。ぽかんと目の前の犬面の男を見上げる。愛情に飢えた子供が、欲しくて欲しくて、しょうがなかった手が今、差し出された。これが子供と大人の最初の出会い。ふわふわ揺れるこの気持ちはなあに。


















里随一の変態が誕生した瞬間。

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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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