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空気猫

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デリバリヘルス! 22
「あー、もうさっさと寝るよ」
カカシは疲れたようにため息を吐くと、ベッドに腰を下ろした。――・・・・一緒のベットに寝ることに抵抗と気恥ずかしさはあったが、カカシ宅のベッドは十分な広さがあったし、どちらかがソファーに寝るというもの、面倒だ。
ギシっと音がなって、枕を抱き締めたナルトの表情が少しだけ変わる。
カカシは暢気に欠伸を噛み殺していたのだが、
「カカシセンセ・・・」
熱っぽい声で囁かれ、背中に温もりを感じてカカシはぎょっとした。
もそもそと性的な意味でカカシの下肢にふれてくる手馴れた少年の手付き。
「ナ、ナルト・・・っ?」
「あのさ、泊めてくれるお礼。他のお客さんにはしたことなかったんだってばよ?特別サービスしちゃうってば」
首筋を甘く噛まれて、カカシの背筋がぞくりと震える。
媚びたような上目遣いで見上げられ笑みを浮かべられて・・・
「やめなさい、ナルト」
「―――なんでぇ?」
ぐいっとナルトを腕で遠ざける。
カカシに拒まれたナルトはおでこを抑えながら頓狂な声をあげた。
「いいから寝なさい」
「むぎゅっ」    
ばふ!と毛布を押し付けられ、真っ白なシーツの波間にナルトの身体が沈む。
「子供扱いすんなってば!」
「まだ子供でしょ、おまえは」
「オレってばもうイロイロ知ってるってば」
「精神追いついてないのに、生意気なこと言ってるんぢゃありません」
ぽふぽふと幼児か何かのように布団を叩かれて、ナルトは「ちぇ」と唇を尖らせた。
「せっかくイロイロサービスしてやろうと思ったのに。オレってばスゴいんだってばよ!」
「はいはい」
「ちょ、寝るなー!」
ナルトに背を向けて寝息を立て始めた大人をナルトは布団越しにぽふぽふと叩いていたが、カカシは「明日仕事だから」とさっさと寝てしまった。
―――し、信じられねぇ。
ナルトはぽかんと銀髪の大人を見下ろした。
フツー、据え膳とは食うものではないだろうか。
少なくとも、今までナルトの周りにいた大人はみんなみんなそうだった。身を差し出せば、喜んで飛びつくような男たちばかりで、ナルトは、彼等を汚い大人たちだと軽蔑していたが、そんな取り引きしか持ちかけられない自分をもっと軽蔑していた。
ヘルス業を始めてから、だめだと思いつつも、ナルトにはそういう身の売り方でしか、人と接することが出来なくなっていた。
「んだよう・・・・」
だからナルトが「いいよ」と言っているのに何もしないで眠る大人がいるなんて、嘘みたいだった。
それと同時に「何もしないで眠った」大人にむっとしてしまった。だって、それって、オレに、魅力がないってことなんだろうか。
それはちょっと悔しい。
ナルトは自分の平たい身体を見下ろす。
発育不良気味のナルトの身体は、大抵の客には喜ばれた。
しかし世の中にはボンキュンボンなお姉さんの方が魅力的だと思う男の人も当然いるわけで、
カカシはどう考えてもノーマルな方の人間であったはずだから、
つまり自分に手を出さないのは、食指が動かないということなのだろうか。
カカシに告白されたが、
さすがに同性との行為にはまだ抵抗があるのかもしれない。
いやしかし、とナルトはエッチなことは何も知りません、という顔で眠るカカシの横顔を睨む。
「昼間は手ぇ出してきたくせに。今更聖職者気取りだってばぁ?」
さっき、オレにエッチなことしたくせに。ちょっとその気だったのを、知っている。だから誤魔化すなんてズルい。
納得のいかないナルトはしばらくベッドの上でひとり腹を立てていたが、やがて睡魔が襲ってきた。そういうえばろくに睡眠も取っていなかったのを思い出す。
客の前で安心して眠るわけにもいかなかったから。
「ふぁ・・・」
久し振りのベッドは、やわらかくて、ナルトはなんとなくカカシの背中に頬をくっつけて瞼を閉じた。他意はない。だって季節はもう秋で、そろそろひとりで眠るには寒い季節ではないか。
まどろみ、眠りの世界に落ちる瞬間、ナルトは明日カカシにちょっとした悪戯を仕掛けてみようと決心した。
だって、お客さんには可愛いねっていっぱい言われたのに、
この銀髪の大人は言ってくれないなんて、
なんかやだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
★30日お返事です。本舗も更新完結?です。なぜこんなに更新が早かったかというと前の時点で猫さんは五千字オーバーでちょこさんサイドのネタバレを含む文章を書いてしまい、相談の結果後半部分を削ったからです。今回はそれをそのままアップしてちょっと書き足しただけで楽ちんでした。


デリバリヘルス! 21
「今までどうしてたんだ、夜は」
「カプセルホテルとか、仕事場にそのままとか。カプセルホテルは狭いし寝たきしねーから好きくねーし、職場はあんまりいられねーから。あとはお客さんの部屋とかかな。オレの境遇知ったらけっこー優しい人とかいてさー、仕事終わったあともそのまま泊めてくれる人とかいたんだってば。たまに変なことしてくる人とかいたけど」
もう部屋の中でぐるぐる鬼ごっこ、と笑顔でへらんと笑ったナルトに、「ナ、ナルト!?」とカカシが枕を抱えた少年を慌てて見下ろす。
「あ、あぶなくなったら逃げたってばよ?」
「そういう問題ぢゃないでしょ!!」
もういやだこいつの感性・・・とカカシは眉間を押さえる。
ナルトといえば、蒼褪めたカカシの様子が可笑しかったらしく、へへへと笑った。
だから、そこは笑うことではないのに。







★29日お返事です^^あとweb拍手更新です。

デリバリヘルス! 20
「足伸ばして寝るの久し振り!」
キャーとナルトが、はしゃいでカカシのベッドにダイブする。「ふかふかだってばよー」と現代日本では信じられないようなことを感動したように呟く元教え子ににカカシは若干頬を引き攣らせた。
お風呂を借して、夕食を食べさせて、パジャマを与えて、濡れっぱなしの髪の毛で部屋をうろつくナルトを掴まえてドライヤーで乾かしてやり、人心地がついたのはもう夜になった頃だった。
夕食を出した時も「手作りの料理なんて久し振りだってば!」と、どうやら出来合いのものやインスタントラーメン、菓子類で食事を済ませたり、食べなかったりしていた少年はきらきらと瞳を輝かせた。
わざとか、天然なのかわからないが、いちいち感動するとカカシに抱きついて喜ぶものだから、ナルトの無邪気(?)なスキンシップにカカシの心臓は速くなったり、止まりそうになったりと、わりと忙しかった。
 
 






★お返事28日。ありがとうございますこれで月曜日を乗り切ってみせます・・・!月曜日の朝撲滅キャンペーン中の猫です。月曜の朝って起きた瞬間「滅べ世界!」とか思いませんか~・・・?

バトン部のことをバト部って略しますよね。バトル部と似てません?・・・・すいません本当にただ言ってみただけです。オチも何もありません。こんな日もあります。
でわでわ響さんからバトンが回ってきていたので下から猫がなんか答えてますv 

デリバリヘルス! 19
カカシが自分のことを好きだと言う。ここに住んでも良いと言う。信じられないような提案だった。
「・・・・・・・んせ」
「男に告白されるのは気持ち悪いか?」
ナルトは黙って首を振る。
「カカシセンセーは平気」
「良かった・・・」
慈しむように、髪の毛にふれると、ナルトが戸惑ったように眉を寄せたので、カカシは、苦笑して名残惜しそうに、金糸から手を離した。
「あのな、オレの気持ちには無理に答えることはない」
変わりにわしゃわしゃと掻き回すように、頭を撫ぜる。
よく、教室でふれたような教師と生徒のさわりかただ。
「おまえ家がないんでしょ?行くところがないなら、ここにいなさい。好きなだけいればいい」
ナルトの目が驚きで見開かれる。
少年の頭の中で一瞬のうちに思考がぐるぐると巡って、
そしてすぐに唇がへの字になった。おや?とカカシが首を捻ると、ぺちんとナルトに両頬を叩かれた。
「だめだってば!」
「・・・・なんで?」
「そりゃ、オレはいいけどさ・・・。カカシ先生になら特別に色々サービスしてもいーし」
「は・・・・?」
不穏な単語を発する少年にカカシが「まてまて、あのね」と遮ろうとしたが、
「でもさ」と逆に遮られる。
「カカシ先生、デリヘルなんてやってる元生徒の男なんて家におけるのかよ」
唇を尖らしてナルトが、カカシを見上げた。
そんな、ちょっとした仕草さえも、カカシの胸を掻き乱してしまうほどなのだが、慌ててカカシは首を振った。
「・・・・・・・・ナルトどうして?」
「少しは考えろってば。教育委員会とか意地悪な保護者に目ぇつけられたらどーするんだってば」
恐る恐る尋ねたカカシに、最近の世の中は怖いんだってば!とバタバタとナルトが小さな子供のように暴れる。
「オレってば自分の仕事に誇りは持ってるけど、周りからどう見られるかはよーくわかってるってば。どんなに頑張っても風俗やってるってだけで蔑まれてるんだってばよっ」
ばーか、ばーか!とナルトがカカシに憎まれ口を叩く。
「オレなんかに関わったら先生ってばお先真っ暗!」
イーと歯を剥き出したナルトは、「だからダメ」とそんなことをあっさりと言った。
「はぁ・・・・。なんでこの状況でオレの心配をするかねぇ」
「悪いってば!?」
「本当に意外性ナンバーワンだなおまえ。・・・・ちょっと今、惚れなおしそうになっちゃったけど」
「は・・・・?」
なんで!?という顔で自分を見上げるナルトに、カカシは、瞳を蒲鉾状に細めた。
本当に、この子は自分のことをぜんぜんわかっていない。
その一挙一動がどれほどカカシに眩しく映っているのかも。
「もし誰かに何かを言われたとしたら―――オレは教師を辞めるよ。おまえの方が大事だ」
「・・・・・!?」
ああ、ずいぶん目が真ん丸になったねぇ、とカカシが自分の下にいる少年を見下ろして苦笑する。
「カカシ先生?う、うそだってばよね?・・・・・・ん、んなこと簡単に言うなってばっ」
「えー、なんで?なんなら今、ここで学校に電話して辞めてもいいよ?」
「・・・・・・・・・・・」
「あれ、信じてくれないの?」
無言でナルトがカカシを見つめる。カカシはため息を吐いて、ナルトの携帯に手を伸ばすとボタンをカチカチと押し始めてどこかに電話を掛け始めた。「すいません、はたけですが――・・・」瞬間、ナルトの腕がカカシに伸びて、パコンと携帯の画面がまぬけな音を立てて、閉じた。
「先生、無職になるぢゃん」
「くくく、そうだね」
ナルトに首にしがみ付かれて、満更でもなさそうにカカシが笑った。
「いいよ、おまえのためなら、惜しくない」
一拍置いて爆発したのはもちろんナルトだった。
「ふざけんなってば!」
「ふざけてないよー・・・・?」
くくくく、と耳元で笑われて、ナルトがくしゃりと顔を歪めた。
「バカ、お人よし!カカシ先生なんて利用されてぽいっなんだってばよ!お、お金とかすっからかんに毟り取ってやるっ――・…!」
「おまえにならかまわないよ?」
「・・・・・・・・・っば」
はい、しーっ・・・・とナルトのふっくらした唇にカカシの指が押し当てられる。
「オレは世間からどう思われようといいんだよ?」
元よりカカシは教師という職業に執着がない。熱血だとか、夕日に向かってだとかには縁遠く、ただ成り行きで教職を取ったに過ぎない。それに今の職を失ったとしても、塾講師や、私立校の教員などいくらでもカカシには再就職の道がある。
現職にそれほど拘りがないといえば、それまでだが、ナルトのいなくなったあの空間にもうそれほど魅力を感じなくなったのかもしれない。
一度、色彩を知り、それが消えた時、教室も廊下も、どこもかしこも色褪せたように感じたのだ。
「屋根付き、三食ご飯付きで、家賃は無料。期限は無期限。ナルトが居たいだけいればいいし、いやになったら出て行ってもいい」
破格でしょ、この待遇?とカカシがどこそかのセールスマンのように喋ったあと、微笑した。
「おまえがここに居てくれること、オレは迷惑なんかぢゃない」
「・・・・・・・・・・・っ」
ナルトの唇が戦慄く。腕で自分の顔を隠して丸くなったナルトを見下ろし、カカシはそっと頬にふれる。
「ばかぁ」
いつのまにか、ナルトの瞳から涙が零れていた。
それは、ぼろぼろと次から次へと頬を伝い、床を濡らした。
「・・・・・・・・・・サンキューってばカカシ先生」
やがてぐすぐすと泣いていたナルトは、うーと唸り声のあと消え入るようちっちゃな声でそう呟いた。
 
 
 



★27日お返事。ぱちぱちだけも感謝~。あ、こんなことでメルフォ返信★kニーさま挑戦状しかと受け取りましたvお気遣いも有難う御座います^^
pあらためⅠさまもサイト運営ガンバってくださいませ~vまた遊びに伺いますv 

空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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