空気猫
空気猫
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そんなわけで仔狐を飼うことになりました編2
―綺麗に洗ってあげましょう―
泥だらけの獣耳の子供を風呂に放り込み、たっぷりお湯を使って洗う。排水口に渦を巻いて流れていく泥と共に、結構な血量が混じっていたのにカカシは顔を顰め、子供をタオルに包み抱き上げる。
力の抜けた身体は酷く軽く、少しでも乱暴に扱うと壊れてしまうのではないかと思うほどだった。引っ越し祝いで、暑苦しい友人に貰って以来使用していなかったドライヤーを引っ張りだし、柔らかい髪質の金糸に温風を当ててやり、獣耳と尻尾が、ふわふわになるまで乾かしてやった。
耳と尻尾、それに半開きになった口には二本の牙。半人半獣。文献の中でしか知らないが、この子供は紛れもなく人外の生き物なのだろう。姿形から察するに、子供の混じりモノは狐だろうか。人間の血の方が濃いらしく、狐耳と尻尾、そして八重歯のような犬歯が生えている他は普通の子供と変わらない。
傷の手当をしてやろうと、包帯を取り出したところで、あれほど酷かった子供の怪我がほとんど回復していることに気が付いた。何か特殊な術だろうか。それとも妖特有の体質か、カカシには判断が付かなかったが、湯で身体を温めたおかげで、蒼褪めていた子供の頬に血色の良さが戻っていた。
何かから自分自身を守るように、丸くなり眠るあどけない寝顔には、人間から虐待された痕がある。それに一瞬顔を顰めたカカシだが、子供の頬にふれると、ぴくんと狐耳が痙攣して、カカシはふっと笑みを零した。
「ちゃんと汚れを落としたら綺麗な子だねぇ…」
薄汚いくすんだ茶色だと思っていた髪の毛は、こびりついていた泥を落とすと極上の金糸だった。なめらかなミルク色の肌と、サクランボのように小ぶりで慎ましやな唇は、見る者を吸い寄せる。
綺麗な子供だと思う。…嫌な言い方をすれば裏ルートで高く売れそうな。風呂に入った時に気付いた子供の腹部に存在する呪印。何を意味するかわからなかったが厄介な拾い物をしたとは不思議と思わなかった。
自分のベッドで丸くなって眠る半人半獣の子供を眺めつつ、カカシは机の上で里長に手紙をしたため、夜鳥を飛ばした。
直接任務を報告しに行くのは後日でいいだろう。カカシはそう思うと、窓を閉めた。そして、額当てと口布を取りベストを脱いだところで、ドタタと何かが転がる音を聞いた。続いて、勢だような子供の足音が玄関に向かう。
「気が付いたか」
振り返ると、カリカリと十本の爪で扉を引っ掻いている半人半獣の子供がいた。カカシが着せておいた大きめのTシャツから、にょきっとボッコのような足と、ふさふさとした尻尾が覗く。
「こーら、扉に爪立てちゃダメでしょ。借り屋なんだからココ。怖いんだぞーここの大家さんは」
「!?」
カカシがひょいっと子供のシャツの襟首を掴み上げると、電流を受けたように半人半獣の子供の身体が強張る。ふさふさの尻尾が、一緒にぴんと伸びて硬直したのが可笑しかった。
「何もしやしなーいよ?」
落っこちるのではないかというくらい碧玉が大きく見開かれる。なるべく優しい声で話し掛けてやるが、碧玉は怯えたようにカカシを見上げていた。
カカシは苦笑して、金髪の子供を床に降ろした。撫ぜてやろうとカカシが手を上げると、びくんと三角耳が怯えたように垂れる。
「あー、ごめん」
カカシは頭を掻いて、しばらく迷ったあげく子供の視線の高さまでしゃがみ込む。
「オレの名前は、〝はたけカカシ〟。おまえの名前はなんてーの?」
ぽふん、と子供の頭に手をのっけて、カカシは尋ねた。
子供は答えない。もしくは喋れないのか、人語を解さないのかもしれない。
「わからない?それとも、名前がないの?おまえが倒れてるところを偶然通り掛って、拾って助けたんだけど…覚えてる?」
カカシの問い掛けに、子供は終始無言だ。カカシの一挙一動に、睨んでいるような、怯えているような、表情で、黙り込んでいる。
「困ったなぁ…。オレの言ってることわからない?」
カカシは後頭部を掻きながらも、狐の子に手を伸ばそうとすると、二本の牙が剥き出される。
「―――っ」
「ケン!」
子供の牙がカカシの手に食い込む。咄嗟に噛み付いてしまった、という表現が相応しい出来事だった。まるで、人によく殴られて虐待を受けていた犬が、自分に触れる人間全てに警戒しているように。
カカシは血玉の付いた手を見下ろし、ガタガタ震えながらもカカシを威嚇している子狐を見た。
「こりゃ、前途多難だねぇ……」
誰にともなく呟いて、カカシの夜は更けて行った。時計は既に真夜中を指している。さて、言葉が通じない相手に、どうやって敵意がないことを伝えることが出来るのか。ちょっとした異文化交流の気分だ。
空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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