空気猫
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日常編―お散歩の時間3―
「かぁしぃいいっ。もう、帰うのよ。なうとはふゆかいになりましたー!」
同僚に呼ばれて、任務に関わる業務連絡を受けていたカカシは、コミカルな足音と共に廊下を駆けて来たふわふわの狐の子供に、盛大に涙やら鼻水をなすりつけられた。
「………カカシさん?」
この毛玉生物はなんですか?上忍相手になんて恐ろしい、いや失礼なことを…と思わず顔を引き攣らせた鼻に包帯を巻いた中忍の男は、黄金色の三角耳の付いた涙目の子供を見降ろす。
「………」
かわいい。
「コテツ…?」
同僚の男から軽く肩を揺す振られ、はがねコテツはハッと正気を取り戻す。一瞬、女の子が生クリームたっぷりのイチゴのショートケーキを見た時と同じくらい幸せな気分になったのは気のせいだろうか?それほど金髪碧眼、獣耳の子供は愛らしかった。
「はい。ナルト、ちーん」
「ぢーん」
気が付けば里一と噂されている上忍が自分の膝程しかない小生物に屈み込んで、どこからか出したポケットティッシュを小生物のへちゃむくれた鼻に押し当てていた。
「かぁし、なうとのことおいていったしょー。なうとのことおいてっちゃめって何度も言ったしょーっ」
「どーしたの。おまえ、またサスケと喧嘩したのか?」
「あいつすかしたやつだってばよ。なうと、あいつきあい~!!」
小生物は尻尾をしょんぼりさせながらも「かぁしー、かぁしー」とべしょべしょに泣いている。ここはどこかの幼稚園だろうか?否。木の葉の任務受付所である。
「は!」
そこで、はがねコテツと小生物の視線が偶然に合う。碧いまなこに見つめられコテツは、「うっ」と言葉を詰まらせたが、それもつかの間のことであった。三角耳の子供は、勝気な顔で一言。
「カァシはなうとのなのよぉっ。そこのおまえ!カァシのことたぶらかしてたでしょー!カァシとふたりっきりでおはなちするの禁止なのーっ!」
…ちびっちゃいガキから物凄い昼ドラの香りがした気がした。いや、コテツは女が見るような恋愛ドロドロドラマは見たことはないのだが、きっと人間関係がそんな感じだろうという予想だ。がくーっとコテツは肩を落とした。なにが哀しくて男同士の恋愛沙汰。そのうえ相手は180センチを超える男で、あのはたけカカシである。熱狂的なファンで知られる盲目的な暗部の若手ならともかく、自分はまっとうな表世界の人間である。どうこうする以前に、目の前のどこもかしこもしっかり男なこの人と…だなんて想像だってしたくない。
「はたけ上忍との色恋沙汰はお断りっす」
「偶然だね。コテツ。オレもだよ」
和やかに交渉が決裂したところで、鳥面を頭に載せた暗部が廊下の向こうからやって来る。
「いきなり走り出したと思ったらやっぱり飼い主のところかよ…」
小脇に暗部専門の脇差を差したサスケは、面白くなさそうな顔で、カカシの腕の中にいる半人半獣の子供を見つめた。青年としては自分の向う脛を蹴って走り出した狐の子供を彼なりに心配して後を追って来たのだが、3歳児脳のナルトが相手では伝わらない故、どうにも部が悪い。
「んー。ちゃんと他人の心配が出来るなんて、おまえいい子になったじゃない」
「子供扱いするんじゃねぇ!」
カカシだけは、ナルトを抱っこしたままサスケの頭をかいぐり褒めたので当の青年は真っ赤に顔を紅潮させた。いくら元教師相手とはいえプライドの高い青年のことなのでこの反応は当然かもしれない。ナルトと言えば「あう。それ!なうとも!かぁし!なうとも、いい子!!いい子!!」とカカシの手を己の元に手繰り寄せ大人の手を独占しようと試みていた。
「さしゅけ。おまえも、カァシめあてだってばぁ!?」
「気持ちわりぃこと言うんじゃねぇ、チビドベっ!」
この日を境にナルトの〝さすけ嫌い〟は悪化の一途を辿る。以来、二人は顔を突き合わせるたびにいさかいを起こすのだが、黒髪の青年がとっつきやすくなったと周囲には好評だ。
ちなみにナルトの不機嫌ぶりは、お散歩の帰り道に見兼ねたカカシがアイスキャンディを買ってやるまで続いたらしい。
fin
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
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性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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