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空気猫

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の本編で削った部分が出てきたのでさっくりリサイクルしてみましたたぶん暗いだけの話ですが1話でも読めると思います。
そういえばこの間、視力が低下しているのを感じ眼科を受診したのですが、さっくり「あのー猫さん、水晶体が欠けてますよ」と言われたのですが、みんなも欠けてるもんなのだろうか。遺伝らしい。そういえば遥か昔に会った駄目親父が「失明するかもしんない。心配で夜眠れなくなったらどうしよう」とかほざいてたのを思い出しました。犯人はあいつか。次人生の中で垣間見る事があったら盛大にド突いてしまうかもしれない。

猫さんの水晶体はまだ半分くらい残ってるみたいなので、目薬とか差して労わっておきます。それでは、お暇な方だけknockknockを押してみるといいと思います。






「いっちばーん!」
駆けっこで一番になった子供が高らかに宣言した。公園で、子供たちが遊んでいる。子供たちの中で一番遅れて、ナルトが息を切らしながら集団に加わった。ロクな食物を食べていないせいか、それとも元が鈍臭いのか、同年代の子供たちと比べても金色の子供はひ弱で体力がない。もっとも監視を始めて数日経つが、他の子供たちの中に混じって遊ぶ姿は、日頃の影をどこか背負っているものの、それでも九尾を腹に宿してる子供とは思えない。
リーダーシップこそ取らないものの、少年らしいヤンチャな遊び好み、よく動き回る姿は見ていて微笑ましい。ひとりぼっちで、家の中にいる時の寂しそうな顔を、カカシは知っているから、余計にそう思うのかもしれなかった。
だけど、器の子供としての影はどこまでも子供に付き纏うのだ。夕暮れ刻になると、公園で遊ぶ子供たちを迎えに来た親が、また一人また一人と子供たちを連れて去って行った。ナルトは一人ブランコに座って、他の子供たちが親と手を繋いで家に帰って行く背中を見ている。温かい家族と家路に帰る気持ちすらわからないだろうに、いったい何を考えているのか。
キィキィ、と錆びたブランコの音が夕焼け刻の公園に響いて、物寂しくなった時、ガヤガヤとした子供たちの喧騒がまた公園に戻って来た。
「あ、ナルトだ。やっぱりまだここにいた!」
ブランコに座るナルトの前に現れたのは先程まで遊んでいた子供たちだった。とっくに親と帰ったと思っていた子供たちの登場に、ナルトはきょとんとした表情で迎える。そのうえ子供たちは目当てのナルトを見つけたはずなのに、なぜかその表情は暗く、気まずい雰囲気を醸し出していた。「どうしたんだってば?」子供たちの登場に嬉しくて待ち切れないといった様子で、話を切り出したのはナルトが先だった。
「おまえら、もう帰ったのかと思ったってば」
ナルトは子供たちの様子がおかしなことに気付いていないようで、屈託のない顔で笑っている。しかしそれが返って子供たちの表情を暗くさせた。
「あのさぁ」
子供たちは中々本題に入ろうとせず、俯いて地面を睨んだり、靴の爪先で地面を蹴ったりしていた。
「おまえ、面白い奴だし、一緒に遊んでても楽しいんだけどさ」
子供たちの中の一人が思い切ったように、切り出したようだった。先程、駆けっこで一番になった子供だ。
「オレたち、もうおまえと近付くなって、母ちゃんに言われたんだ」
言われた子供の世界が真っ黒になるような言葉が、同年代の子供の唇から零れた。ナルトは、呆気に取られた表情を浮かべると、どこか悔しそうな表情で、戦慄いた唇をぎゅっと噛んだ。
木の上で監視をしていたカカシにしか気付かなかっただろうが、子供の小さな拳は震えていた。しかし次の瞬間、子供は不自然なくらい明るい笑顔で笑った。
「おう、わかった。オレってば、へっちゃらだからさ。気にすんなって!」
おかしな光景だ。本来、相手を罵倒すべき立場であるはずの子供が、逆に他の子供たちを慰めている。しかし、子供たちは明るいナルトを見て、あからさまにほっとしたらしい。
「本当、ごめんな。でもそういうわけだからさ…」
「おまえのこと、嫌いじゃないんだけど。ごめんな」
嫌いではないが、なんだと言うのだろう。ナルトが傷付いたことに変わりはない。「ごめんな」「そんなわけだから」「バイバイ」口々に、離別の一言を残して子供たちは去って行く。公園に残ったのは、ナルト一人で、夕刻刻のため子供にしては長い影が地面に伸びている。
しばしの沈黙のあと、子供が俯いた。泣き声は聞こえない。嗚咽すらも。だけど、丸まった背中が、泣いていた。
どうして、僅か八歳の子供にこんな残酷な現実が待っている。九尾だから。紙面に書けば、たった数文字で終わる文章が、この子の価値を決めるのか。それだけの理由でこの子は、幸せになる権利を剥奪されるのか。
「ふくぅ…」
やっと漏れた小さな嗚咽を聞いた瞬間、カカシはどうしてか今すぐにでも飛び出したくなる自分の衝動を抑えるのに苦労をした。
「へーきだってば。オレってば、強いもんね。だいじょーぶ…、だいじょーぶ……」
俯いていた子供は自分自身に言い聞かせるような強がりを吐いて、物陰から銀髪の暗部が全てを見ていたことに気付かないままに、ブランコから離れて行った。






 
 












このあと、カカシがナルトを助けるような、そして助けるカカシがナルトに助けられるような話だったと記憶してます。鬱気味でわりと気に入ってた話でした。
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職業    ノラ
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餌      カカナル
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日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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