空気猫
空気猫
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年末年始になると書きたくなる一度は完結したはずのお隣さんシリーズ。ネタが出来たらまたやる。
ヒトゲノムと試験管ベイビー
今流行りの某呟き型コミュニケーションサービスを最近自分でも始めてみたりして、登録ユーザーの多さにどれだけ独り言の多い国なんだってばとか思ったり、やっぱサラリーマンとか人前では本音が言えなくてストレス堪るのかなとか思ったり、電車ですれ違う人はわりと無口でつまらなそうな顔だけど、みんな携帯の中に向かっては社交的なのかなとか思ったり、そんな年末。
キンと冷えた冬の空気がすがすがしい朝だった。ぼんやりと天井を見上げれば、そこはオレの自宅ではなくお隣さんの部屋なわけで、パイプベッドがあるくせに、床にズレて落ちた直敷きの布団の横にはお隣のはたけカカシの姿。そういえば昨日、鍋に誘われ夕食後になだれ込むように自堕落な行為に耽ってしまったんだと記憶のピースを繋げる。
すやすやと満ち足りた寝息をたてるお隣の彼を見つめつつ、
「あー…」
目覚め一番の息を吐く。奇妙な夢を見た。自分が携帯になる夢で、それも目の前のはたけカカシの携帯というナンセンスな内容だ。朝起きた時から、電車の中でも、仕事中も、取引先でも、昼ご飯を食べる時も、家に帰ってからも、風呂もご飯も、寝る瞬間まで、いつも一緒。なにこれ、オレの深層心理なわけ?っていう内容で。おお、こえー。そういう依存願望って人より少ない方なんだけどなぁ?と思いつつ、カカシ先生のシャツをひっかけてあちこち跳ねた寝癖を直しながら、冷蔵庫を開ける。ふと背後でカカシ先生が覚醒する気配がした。
「ふぁあ。ナルト、おはよう。オレがおまえの携帯になる変な夢を見たよ~」
オレってば危うく飲んでいた牛乳を噴き出しそうになって、間一髪のところで止める。牛乳パックを片手に持ったまま、寝転がっているカカシ先生のところに行くと、大人はオレの太股の辺りをニヤニヤした顔つきで眺めている。ああ、このはたけカカシという大人は顔はいいのになんて残念なんだろうな、と呆れた。
「朝起きて、おまえが学校にいく時も、授業中も、放課後も家に帰ってから寝る時までずーっと一緒で、オレが凄いおまえに依存してて…」
まだ寝惚けているのか、はたけカカシという人物は酷く寝起きが悪く、半分寝たような状態でオレに手を伸ばしてくる。
「そーいうオレもいいかもね」
「怖いってばよ、そんなカカシ先生」
後頭部に手を回されて引き寄せられると、三本髭の痣のある頬にキスをされる。二人揃って奇妙な夢を見た朝。整ったカカシ先生の顔を見ながら、今日もいい男だななんて思いながら、朝の陽射しがやけに目に眩しかった。
携帯電話が普及し始めた当時、オレはまだ小学生かそこらのガキンチョで、その当時のニュースのことはよく覚えてないけど、一人の時間がなくなるだとか、いつでも携帯電話に首を繋がれた状態になるのでプライベートな時間がなくなって困るよねだとか訳知り顔のサラリーマンのオッチャンのインタビューと共に、新聞やニュースで結構色々騒がれていたことは薄ぼんやりと覚えている。今でこそ携帯電話は社会人として持ってなくてはならない必需品だとか、まったく逆のことが囁かれるようになったのだから、不思議だ。それどころか、大企業では社員全員に携帯電話が支給されたり、携帯がなくては仕事にならないとかで、昔は携帯電話なしで仕事が回っていたはずなのに、今では逆に持ってねぇ人間の方が常識を身に付けていない目で見られるんだから不思議だ。目新しいモンって出始めの頃は批判されるけど、なんだかんだで受け入れられるのだなってその時なんとなく思った。社会の風潮って寛容で緩慢だ。
まぁ、オレはこんな時代だからこそあえて言うけど、たまには一人の時間って、大事だと思うんだけどな、うん。
「うっしゃー。冬休み。オレは遊ぶぞ、遊び倒すぞ。宿題もテストも知ったことかー!!」
授業終了を知らせるチャイムと共に期末テストから解放されたキバが、クラスメイト全員の心の声を代表しフライング気味に両手をあげて立ち上がり、「犬塚うるさいぞ!」とイルカ先生の怒声が飛ぶ。「やだぁ、犬塚くんたら」という何人かの好意的な女子のクスクス笑いに、キバは満更でもなさそうな笑みを浮かべて「いやードーモドーモ」と応えてからこちらを振り返る。
「ナルト。今日、これから女子何人か誘ってカラオケいかねぇ?イノとかサクラとかも来るぜ?」
「ぶー、今回はだめだってば。先約があるんだってばよ、また今度なー」
へぇ、珍しいな、という表情をキバが浮かべる。しかしそれ以上追及されず、冬休み中連絡しろよ、という台詞を残して友人が去り、窓の外に視線を移す。
「カカシ先生、今頃仕事中だろうなぁ」
社会人だとクリスマスも関係なく仕事があるから大変だな、とか思いつつ、屈伸をする。生徒の数がまばらになった教室。外はこんなに寒いのに、室内だけあったかくて、その温度差が不思議だ。廊下からは長期休み前のためかまだ名残りを惜しんでいる生徒同士の雑談が小さく聞こえる。
「カカシ先生、何時に帰ってくるかなぁ」
携帯電話のようにいつも一緒にいれたらと思うけれど、現実はそうもいかなくて、学生と社会人の距離は結構ある。お隣にいるとはいえ、カカシ先生の帰宅の時間は深夜を過ぎることが多くてこれでも結構気を使っている。
少しあのはたけカカシという大人を信じてみようと思い始めた今日この頃。連絡を取るのが気恥ずかしくなりつつあるのだけれど。
「勇気なう」
なーんちゃって。携帯片手に、にししと笑う。送信先は、はたけカカシ。
果たして両親を知らずに育ったオレは愛を学べるでしょうか。人肌に触れずに生まれた試験管の中の赤ん坊のように、少し醒めた恋愛感を持つオレだけど。
クリスマスケーキ二人で食べたいから駅前のケーキ屋さんで買って帰ってきて欲しいとか、このぐらいの我が儘を言うくらいには、信じ始めている。もう変わりはしないのだと刻み込まれ決定していたはずの遺伝子が温かくなりつつある。
空を見上げれば、白い雪がはらはらと降り始めている。今年はホワイトクリスマスになりそうだなと思いながら、きっとお隣の彼は息を切らしながら駆け付けてくれるから、夕食の準備でもしながら待とうと思った。
今流行りの某呟き型コミュニケーションサービスを最近自分でも始めてみたりして、登録ユーザーの多さにどれだけ独り言の多い国なんだってばとか思ったり、やっぱサラリーマンとか人前では本音が言えなくてストレス堪るのかなとか思ったり、電車ですれ違う人はわりと無口でつまらなそうな顔だけど、みんな携帯の中に向かっては社交的なのかなとか思ったり、そんな年末。
キンと冷えた冬の空気がすがすがしい朝だった。ぼんやりと天井を見上げれば、そこはオレの自宅ではなくお隣さんの部屋なわけで、パイプベッドがあるくせに、床にズレて落ちた直敷きの布団の横にはお隣のはたけカカシの姿。そういえば昨日、鍋に誘われ夕食後になだれ込むように自堕落な行為に耽ってしまったんだと記憶のピースを繋げる。
すやすやと満ち足りた寝息をたてるお隣の彼を見つめつつ、
「あー…」
目覚め一番の息を吐く。奇妙な夢を見た。自分が携帯になる夢で、それも目の前のはたけカカシの携帯というナンセンスな内容だ。朝起きた時から、電車の中でも、仕事中も、取引先でも、昼ご飯を食べる時も、家に帰ってからも、風呂もご飯も、寝る瞬間まで、いつも一緒。なにこれ、オレの深層心理なわけ?っていう内容で。おお、こえー。そういう依存願望って人より少ない方なんだけどなぁ?と思いつつ、カカシ先生のシャツをひっかけてあちこち跳ねた寝癖を直しながら、冷蔵庫を開ける。ふと背後でカカシ先生が覚醒する気配がした。
「ふぁあ。ナルト、おはよう。オレがおまえの携帯になる変な夢を見たよ~」
オレってば危うく飲んでいた牛乳を噴き出しそうになって、間一髪のところで止める。牛乳パックを片手に持ったまま、寝転がっているカカシ先生のところに行くと、大人はオレの太股の辺りをニヤニヤした顔つきで眺めている。ああ、このはたけカカシという大人は顔はいいのになんて残念なんだろうな、と呆れた。
「朝起きて、おまえが学校にいく時も、授業中も、放課後も家に帰ってから寝る時までずーっと一緒で、オレが凄いおまえに依存してて…」
まだ寝惚けているのか、はたけカカシという人物は酷く寝起きが悪く、半分寝たような状態でオレに手を伸ばしてくる。
「そーいうオレもいいかもね」
「怖いってばよ、そんなカカシ先生」
後頭部に手を回されて引き寄せられると、三本髭の痣のある頬にキスをされる。二人揃って奇妙な夢を見た朝。整ったカカシ先生の顔を見ながら、今日もいい男だななんて思いながら、朝の陽射しがやけに目に眩しかった。
携帯電話が普及し始めた当時、オレはまだ小学生かそこらのガキンチョで、その当時のニュースのことはよく覚えてないけど、一人の時間がなくなるだとか、いつでも携帯電話に首を繋がれた状態になるのでプライベートな時間がなくなって困るよねだとか訳知り顔のサラリーマンのオッチャンのインタビューと共に、新聞やニュースで結構色々騒がれていたことは薄ぼんやりと覚えている。今でこそ携帯電話は社会人として持ってなくてはならない必需品だとか、まったく逆のことが囁かれるようになったのだから、不思議だ。それどころか、大企業では社員全員に携帯電話が支給されたり、携帯がなくては仕事にならないとかで、昔は携帯電話なしで仕事が回っていたはずなのに、今では逆に持ってねぇ人間の方が常識を身に付けていない目で見られるんだから不思議だ。目新しいモンって出始めの頃は批判されるけど、なんだかんだで受け入れられるのだなってその時なんとなく思った。社会の風潮って寛容で緩慢だ。
まぁ、オレはこんな時代だからこそあえて言うけど、たまには一人の時間って、大事だと思うんだけどな、うん。
「うっしゃー。冬休み。オレは遊ぶぞ、遊び倒すぞ。宿題もテストも知ったことかー!!」
授業終了を知らせるチャイムと共に期末テストから解放されたキバが、クラスメイト全員の心の声を代表しフライング気味に両手をあげて立ち上がり、「犬塚うるさいぞ!」とイルカ先生の怒声が飛ぶ。「やだぁ、犬塚くんたら」という何人かの好意的な女子のクスクス笑いに、キバは満更でもなさそうな笑みを浮かべて「いやードーモドーモ」と応えてからこちらを振り返る。
「ナルト。今日、これから女子何人か誘ってカラオケいかねぇ?イノとかサクラとかも来るぜ?」
「ぶー、今回はだめだってば。先約があるんだってばよ、また今度なー」
へぇ、珍しいな、という表情をキバが浮かべる。しかしそれ以上追及されず、冬休み中連絡しろよ、という台詞を残して友人が去り、窓の外に視線を移す。
「カカシ先生、今頃仕事中だろうなぁ」
社会人だとクリスマスも関係なく仕事があるから大変だな、とか思いつつ、屈伸をする。生徒の数がまばらになった教室。外はこんなに寒いのに、室内だけあったかくて、その温度差が不思議だ。廊下からは長期休み前のためかまだ名残りを惜しんでいる生徒同士の雑談が小さく聞こえる。
「カカシ先生、何時に帰ってくるかなぁ」
携帯電話のようにいつも一緒にいれたらと思うけれど、現実はそうもいかなくて、学生と社会人の距離は結構ある。お隣にいるとはいえ、カカシ先生の帰宅の時間は深夜を過ぎることが多くてこれでも結構気を使っている。
少しあのはたけカカシという大人を信じてみようと思い始めた今日この頃。連絡を取るのが気恥ずかしくなりつつあるのだけれど。
「勇気なう」
なーんちゃって。携帯片手に、にししと笑う。送信先は、はたけカカシ。
果たして両親を知らずに育ったオレは愛を学べるでしょうか。人肌に触れずに生まれた試験管の中の赤ん坊のように、少し醒めた恋愛感を持つオレだけど。
クリスマスケーキ二人で食べたいから駅前のケーキ屋さんで買って帰ってきて欲しいとか、このぐらいの我が儘を言うくらいには、信じ始めている。もう変わりはしないのだと刻み込まれ決定していたはずの遺伝子が温かくなりつつある。
空を見上げれば、白い雪がはらはらと降り始めている。今年はホワイトクリスマスになりそうだなと思いながら、きっとお隣の彼は息を切らしながら駆け付けてくれるから、夕食の準備でもしながら待とうと思った。
ナルトの「勇気なう」が書きたかっただけなんです。
空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
足跡