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空気猫

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猫さんが初期の頃にインターネットを徘徊して遭遇したカカナルってこんな感じだったと思う。







最近、上忍師はたけカカシにはどうしても手に入れたいものがある。それは、彼の部下であり生徒でもあるちっちゃな子狐うずまきナルト。
好きだとストレートに告白してもいいが、今の自分の立場はあの子にとってただの上司に過ぎなくて、想いをこのまま告げても分が悪いことはわかりきっている。
14歳も年上で、男。それだけでもあの年齢の子供の恋愛観念では障害と成り得るだろうに、真面目とはいえない勤務態度と怪しい見掛けのせいで、どう贔屓目に見てもどこかの某中忍より信頼を勝ち取っているとはいえない状況。だけど、どうしてもあの子の一番の座が欲しいのだ。
――ここはもう大人の手管で落とすしかないデショ。ぽわぽわ揺れる天然無自覚の子狐を手に入れるべくはたけカカシは決意した。優しく、慎重に可愛いあの子をとろりとした飴玉の中に包んでやろう。怯えさせてしまうのは本意ではないからなんてのは大人の建前で、本音はただ嫌われたくないから。お付き合いを断られるならまだしも、「気持ち悪い」「近寄らないでってば」なんて言われた日には、きっとカカシは立ち直れない。間違いなく、首を吊る。大泣きしたあげく服毒自殺する。本気も、本気。情けない話だが、はたけカカシは12歳の男の子に骨抜きなのだ。
そんなわけでトラップ1。大人の優しい罠に絡めてあげましょ♪
「ナールト。一楽食べにかなーい?」
まずは餌付けデショ。色気もへったくれもないが、カカシの恋のお相手はまだ12歳のお子様なわけで、下手な小細工よりこういった即物的な手段のほうが効果があったりする。
満面の笑顔で、なるべく威圧的にならないよう屈んで子供を覗き込めば、
「えっ。カカシせんせぇ、いいんだってば!?」
「うん、いいよー。センセェ、奢っちゃいます」
年の差に悩んだりするが、こういう時は大人の財布を持っていて良かったと思う。そこで睨んでいる下忍のサスケにはデキナイことデショ。姑息な手だと言われようが、手段なんて選んでいられない。カカシはナルトを抱き抱えると鼻歌を歌いながら一楽へと向かった。
うきうきとカカシに連れ立たれたナルトではあるが、こうやってニコニコとお誘いに乗ってくれるまで、実は涙ぐましい努力があったりする。初めの頃など、「イルカ先生と行く約束してるからカカシ先生はまた今度!」なんて、お断りされていた。「修行をするから」も常套句。おまえ、そんな大人な断り方どこで覚えてきたの?とカカシが硝子のハートだったら今頃粉々だ。いや、粉々になっていたのだが、この男の場合、心臓は鋼鉄で出来てたので命に別条はなかったのだが。
「オッチャン、味噌ラーメンひとつ、ちょーだい!」
「あいよ。いらっしゃいっ、ナル坊」
「おやじさん、オレにも塩ラーメンひとつお願いします」
「おや。カカシ先生もいらっしゃいませ」
「やっぱり一楽のラーメンは最高だってばよ!」
椅子に飛び乗ったナルトの横に遅れて暖簾を潜ったカカシが座る。この時のカカシの表情は同僚が目撃したら思わず仰け反ってしまうほどおだやかだった。カカシはナルトと食事をするのが好きだ。どう好きなのかと問われてしまえば、返答に困るのだが、もし明日世界が滅ぶとして、人生で最後の瞬間に食事を供にするのならナルトがいいな、と思うくらいには好きだった。
騒がしいが騒がしくない。おかしな表現だが、ナルトといると妙に落ち着くのだ。
「なぁ、なぁ。カカシせんせぇ~?」
黙々とラーメンを啜っていたナルトの視線が気が付けばこちらに向いていた。麺をカシっと噛み切って上目遣いにカカシを見上げるお子様。お子様フリークの大人からすれば思わず抱き締めたくなってしまうくらいには可愛い。
「なあに、ナルト」
平静を装って子供に微笑みかければ、くりっくりの大きな瞳。
「もう一杯おかわりしてもいいってば…?」
そんな可愛いことを上目遣い気味に言ってくる。カカシは盛大にため息を吐いた。
「あー…あれだ。好きなだけ食べて大きくなりなさい。うん」
「むぅ。いま、せんせぇってばオレのことバカにしたってば!?」
頬を膨らませるお子様の凶悪的な愛らしさと言ったら木の葉一かも知れない。食べちゃいたいなぁ。すごくおいしそう。もちろん。ラーメンじゃなく目の前のお子様のことだ。さて、大人のテクニックを総動員した子狐捕獲計画はまだ始まったばかりだ。









 
 




 
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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