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空気猫

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デリバリヘルス! 13
再び、カカシとナルトは正座で向かい合ってフローリングの上に座っていた。
「カカシ先生、オレの本当の父ちゃん母ちゃんが死んでるのは知ってるよね」
確かにカカシの知っている資料の中でうずまきナルトの両親は事故で両方とも死亡している。それもナルトがごく幼い時に。
「親戚中を盥回しにされて、辿り着いたのが遠い親戚のおばさんの家」
食わして貰えただけでもありがたかったんだけどさーとナルトは、正座が辛くなったのか、足を崩してあぐらを掻いて、破願した。
「おばさんってばなかなか恋多き女!なんだってばよ」
ナルトは入れ替わり立ち代り、新しい父親を紹介されたらしい。
「今年の春くらいかな何人目かの男の人がやって来て、新しい父ちゃんだって紹介されたまでは良かったんだけど」
カカシは三者面談の時に顔を合わせた、太った中年男を思い出す。「まぁ、別にオレってば誰が父ちゃんになろうと関係ないんだけどさー」とナルトは笑みを零して、こてんと首を傾げた。
「でもさー・・・オレの布団の中に入ってくるんだよね」
「は?」
「もーコントかと思ったってば。なんでオレの布団に自称父ちゃんが入ってくるわけ?」
ニッコリと笑ったままナルトがやっぱりこてんと首を傾げた。
「そいつおばさんの恋人のくせして、おばさんがいなくなったら、オレにやたらベタベタさわってくるし、すげー気持ち悪かった。んで、さすがに変だなーとは思ってたんだけど、三ヶ月前に学校から帰って制服を脱いでる時に押し倒された」
カカシの目が見開かれたので、「だいじょーぶ、だいじょーぶ」とナルトが手をひらひらさせる。
「オレってばちょーカッコよく蹴り決めて逃げたから」
どこか誇らしげに笑ったナルトにカカシは胸が痛くなる。そんなこと、自慢することではない。
「とりあえずどこに逃げていいかわからなくて、街をふらふらしてそこらへんの公園に野宿してたら、勧誘っぽい丸眼鏡のお兄さんに声を掛けられて〝うちの店で働かないか〟って聞かれたんだってば」
神さまっているんだってばよ、とナルトが明るく笑う。
「初めての仕事はどっかの会社の名誉会長さんを付きっ切りで慰めるお仕事だったってば」
いわゆる〝パパ〟ってやつだってば?とナルトが無邪気に首を傾げる。
「お金の他に、住む部屋もご飯も出してくれるっていうから宿無しのオレにはぴったりだったんだってばよ。オレってばギリギリまで学校辞めたくなくてさ、その状態で一ヶ月間は一応、学校にも通ってたんだってば」
・・・・・そんなこと、全然知らなかった。カカシはナルトが消える一ヶ月前の記憶を辿る、いやナルトの担任を持ったばかりの頃からの記憶を探る。だが、記憶の中のうずまきナルトはいつも影など微塵も感じさせない笑顔だった。
毎日、少なくとも週4日は顔を合わせていたくせに、暢気にホームルームで、うずまきナルトの名前を読み上げることに、幸せを感じていた。
バカか、オレは。なぜ、表面上しかナルトのことを見ようとしなかった。少しでもあの子の内側にふれていれば、誰にも聞こえない声で悲鳴をあげているナルトに気付けたかもしれないのに。
カカシが拳を握っていることに気付かず、ナルトの身の上話は終盤に差し掛かったようだ。
「けっこー順調でこのまま平和に暮らせるかもって思った時に下校途中にアイツに見つかっちゃってさ、無理矢理家に連れ戻されそうになった。やっぱりこの世界にどっぷりハマるしかねぇのかなぁって・・・決心したのが、ちょうど二ヶ月前」
そこで、ナルトは初めて、感情のある笑顔で、ふっと笑った。
「ごめんってばよカカシ先生。オレってばなーんも言わないでいなくなったから、もしかしてまた学年主任の先生に叱られたってば?」
へにゃんと微笑んだ金髪の少年の笑顔に胸が締め付けられるようで、
カカシは己の懐の中に抱き寄せた。
「オレのことなんか心配しなくていい!」
「・・・・センセ?」
「なんでオレに相談しなかった!」
「・・・・・・・・カカシ先生は〝学校の先生〟ぢゃん。迷惑掛けられねぇ。それにこれってばオレの問題だし、オレ一人で解決しなきゃいけない」
「・・・・・・・・・大人はおまえが思ってるより頼りになる生き物なんだよナルト。そりゃ完璧なヒーローにはなれないかもしれないけど、子供のおまえを助ける努力はする。助力にもなれる」
味方になってくれるってば?とナルトは瞳を瞬かせているようだ。
「でもどうやってそれは見分けるの?もしかしたら、カカシ先生もあいつらの味方かもしれないのに?」
「!」
「ごめんってば」
ジョーダンとナルトがちっとも笑えないことを言う。
「今のはたとえばの話。本当はそんなことちっとも思ってねぇってばよ?」
カカシ先生は優しいもん、とナルトはいつの間にか震えだした手でカカシの服をぎゅっと掴む。
カカシは、ナルトを抱き締め返していいものか、迷いつつも、華奢な背中に腕を回した。「苦しいってばよ」とナルトがクスクスと笑ったので、カカシは慌てて腕の力を緩めようとしたが、ぽすんと金色がカカシの懐に転がり込んできた。
「・・・・・・もしかしたらカカシ先生がいたからかなぁ、オレが学校辞めたくねぇって思ったの」
今回のことで、唯一残念だったのはちゃんと高校を卒業できなかったことだ、と独白めいた本心をナルトがため息と共に吐き出す。
「なんかカカシ先生とこーしてるとほっとするってば・・・・ちょっとだけこーしてていい?」
「・・・・ナルト」
「オレってばいっつもお客さんのこと慰めて癒してるけどたまには自分も癒されたいってば」
「・・・・・・・・・・・」
複雑な気持ちで、カカシは自分に凭れ掛かってきたナルトの好きなようにさせる。
「・・・・・・・・・なんでよりによって風俗のバイトなんだ。男にさわられて気持ち悪かったんだろう?」
「保証人のない十代のガキなんて誰も雇ってくれねーから。仕事選んでいられなかったし、短時間でガッツリお金稼げる仕事でこれ以上いい仕事はないってば」
カカシはナルトの頭を撫でてやる。
自分にさわられることを、いやがられてはいない、とカカシは内心ほっとしたものの、だからといってそれはこの子お得意の表面上のことだけかもしれず、どうかこれだけは本当であって欲しいとカカシは願う。
「マンションただで貸してくれた人とは先月で契約切れちゃってさ、オレってばまたノラ猫生活なんだってば」
オレ1人ぢゃあアパートすらまともに借りられない、とナルトは零す。
「ほっんと人間社会ってうまくできてるってばよ。まぢで孤独な人間はまともに生きてけないよーにできてるの。どうしても一人にならなきゃいけないガキはさー、法律とかが働かない方法を見つけるしかない」
たとえば男の人にこーすることとかね?と、ナルトがおもむろにカカシの股間を一撫でして、にこりと笑う。
「自分の意思だからへーキなんだってば」
カカシが何かを言う前にナルトが切り出す。
「仕事だと思えば百倍マシ」
だから放っておいてってば、とナルトの唇から滑り出た温度のない冷めた言葉。
 
 
 
 


 
 
★ああ・・・何もいうまい長さとか展開とか。今日は本舗の方の更新と合わせてちょっぴり頑張りました。17日拍手お返事です。空拍手状態なのに連打ありがとうございますv
私信・pさまへ↓
やはり管理人さまでしたか!ナルトジャンルにウェルカムした時には是非是非教えてくださいv本当にありがとうございました^^



遅れてしまって申し訳ないです、ほらええと、ちょっと世界の危機を救っていてな?
はい、嘘!
 
 
八封さま
いつも猫の焦らしプレイに付き合ってくれてありがとうございますスペシャルサービスは耳かきで(違。
体調はここ数日お休みしたらちょっと楽になりましたというわけで本日は大量更新です!
あと妹猫はあれは完全に姉猫いじめです、あえての激画調。褒めて下さってありがとうございます伝えておきます「お姉ちゃん勝手に一般公開したの!?」と、喜ぶかと思います笑。
 
 
あ、ペットライフのイラスト可愛いですよね猫は何回もマウスを動かしてしまいましたv
 
 
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切なすぎる…

 デリバリヘルス…ナルトの気持ちがとても切ないです。
カカシ先生もナルトに恋して自分の気持ちにフワフワ浮かれていたようで、ナルトの様子に気付かなかった模様ですね。過ぎた日を思い返して後悔しているカカシ先生の姿も切ないです。自分のことで精一杯でスレ違っていた二人…
大人を信じれず頼ろうともしなかったナルトにカカシ先生の無償の愛の手を、どうか!! 宜しくお願いします。
百合 2008/09/20(Sat)00:09:54 編集
コメント有り難う御座いました!
辛い展開のお話しで申し訳ないです汗。しかし猫的な厳しい山場は越えたと思っています。デリバリはここから盛り返すはずですので・・・たぶん!きっと!
以前書いて現在は猫の足跡に埋もれている「失踪ディズ」と「デリバリヘルス!」は猫的にはわりと同じ系統だと思って書いていたので、百合さまが反応してくれてうれしかったです笑。
空気猫  2008/09/22(Mon)02:18:46
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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