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空気猫

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日常編
―お散歩の時間2―







「はたけかかちです。任務報告にきまちたってば!」
任務受付所のカウンターにぴょこんと飛び出した、二つの三角耳。サラサラの金髪。ちっちゃなおてて。あとに続くは里でも有名な銀髪の上忍の姿だ。
「どうも…」
うみのイルカは銀髪の上忍から会釈され、彼のペットと上忍を交互に見比べる。カウンターの下にはおめめをキラキラさせたちみっ子が今か今かとイルカが書類を受け取るのを待っていた。
「………」
逡巡の後、イルカはニッコリと笑って狐っ子から書類を受け取った。
「はい。お疲れ様です。カカシ上忍の任務報告ですね?」
「ふきゅ…、そうだってば!」
「ありがとう。ご苦労さま」
流石はアカデミー教師、というような笑みをイルカが落とすと。
「きゃああぁーーーっ!!」
興奮したような狐の子供の声があがった。これには流石のイルカも驚いてしまい、呆然とした様子で狐の子供を見詰める。
「あ、あの…」
「カァシ―!!」
狐の子供が背中を向けて受付と反対方向へと駆けて行く。
「なうと、ちゃんとひとりで出来たの!カァシ、見てた?偉いでしょ~?」
千切れんばかりに尻尾を振りながら、ナルトはカカシの元へと帰る。イルカは〝興奮して鼻血を出すタイプの子供だな〟とアカデミーの生徒等を思い出して戦きながらも、上忍と狐の子供のコンビを見守る。
不思議なことに、エリート上忍と呼ばれる男がそんな子供相手にちっとも面倒臭そうにしていなかった。むしろ、銀髪の上忍の口元には微笑みすら浮かんでいるように思える。最も、口布越しなので、イルカの錯覚かもしれないが。
「あら。カカシ先生」
自分の膝下でぴょんぴょん跳ねていたナルトの頭を撫でていたカカシは、見知った声に話し掛けられ視線を移す。そこに居たのは、はたけカカシの元生徒の春野サクラだ。
「………っ!!」
桃色の少女を見た瞬間、ナルトは三角耳をぴんと立てた。
「サクラちゃん!!」
限りなく〝しゃくらちゃん〟に近い発音で、初恋の少女の名前を呼ぶと、ナルトはサクラに飛びついた。
「今日も可愛いのりょー。お花みたいなのよお。へへへ、オレね、サクラちゃん大好き」
「あら、まぁ!おませさんなのねぇ。ナルトは、カカシ先生お散歩?」
「おませ?なぁに?うん、うん、なうとね、カァシとお散歩してたのよー。いいでしょー?」
ナルトはサクラに頭を撫で撫でして貰って満更でもなさそうに微笑む。と、そこへもう一人見知った人物が任務受付所に入って来た。
「ふん。イロガキが。ちんまいくせに、いっちょうまえに色気付きやがって…」
面を取りながら現れたのは上忍兼暗部のうちはサスケだ。
「さしゅけ。おまえってばなんでここにいるんだってばよ~!」
「オレは上忍だぜ。ここにいて何が悪い?おまえこそ、忍でもないくせになんでこんなところにいるんだ?」
「あうっ?さしゅけもカァシとおんなじ?」
ナルトが呆気に取られて、黒髪の青年を見上げると、〝ふん〟とせせら笑いを落とされる。むぅ、とナルトがムクれた。
(スカした奴だってばよぉおおっ。なうとってば、コイツやっぱきらい~!)
「おい、チビドベ」
「なうとだってば!!」
「はん。〝なうと〟?自分の名前くらいまともに言えないのか?」
「むきーっ。なうとはなうとなのよーー!」
サスケの挑発を受けて、ナルトは地団太を踏んでカンカンに怒る。傍目には、黒髪の青年暗部に突っかかる小さな狐の子供の姿はとても微笑ましいのだが、小馬鹿にされている当本人にしてみればこれほど悔しいことはない。
「な、なうとは、なうとは、上手におはなちできうのよ…!んにゃっ!」
どうやら狐の子供はものの見事に舌を噛んだらしい。涙目になって「かぁしー、かぁしー」と飼い主を呼び出す始末だ。
「ちょっと…、サスケくん」
三角耳をぺたっとさせた狐の子供を見て、流石がサクラがサスケを叱咤する。
「ふん。飼い主がウスラトンカチだとペットにまで伝染するもんなんだな」
「ち、ちがうも…!!」
「はん。いっちょうまえにあの朴念仁の味方するつもりか?」
「……!!」
小さな子相手に大人げない態度を取っていじめる幼馴染の姿にサクラは頬を引き攣らせる。伊達に付き合いが長くないのだ。サスケの深層心理をもしかしたら本人より深く汲み取ってしまい、
(もう。サスケくんったら子供っぽいんだから)
とサクラがため息した時だった。
「カァシの悪口言う奴はなうとがおしおきなのよー!」
一念発起した狐っ子が攻撃を繰り出す。
「らせ~んがん!!」
ぽしゅ、と音を立てて、サスケの膝に大好きなヒーローの得意技を放つ。しかし、いつまで経っても黒髪の青年はビクともしない。アスマはぐわぁぁ…と言ってくれたはずなのに、この青年にはちっとも効かないのはどうしてだろう?こんもりとナルトの瞳に涙が溜る。
「う…」
狐の子供から漏れた嗚咽に、サスケがたじろぐ。
「お、おい…」
「うぁああああんっ」
ナルトの泣き顔にサスケは酷くうろたえた様子を見せたが、
ナルトはそんなことには気にしない。顔を赤くした青年に向かって一言。
「なうとは、なうとは…。さしゅけなんて大嫌いなのよ~~!!」
盛大に大泣きして言ってやったのだ。























カカシさんは同僚の人にお呼ばれして席を外しました。
肝心な時にいない飼い主です。次回に続く。
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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