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空気猫

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赤い血がぐるぐる巡る世界(二部ナル/チャットモンチー/ハナノユメ)

それはちょっとした不手際だった。波の国へ送る手紙をしたため、真っ白な封筒に封をしようとした時の、一瞬の油断。
「…あ」
ナルトの指から赤い血が滲んだ。紙で切るくらいの傷が一番痛いのよね、と同チームのサクラが言っていたことをナルトは思い出す。ナルトは、そんな彼女の、女の子らしい唇からこぼれ落ちる他愛のない言葉たちを愛していた。一般家庭で育ったサクラの感性は、いつもキラキラと詩のように輝き、ナルトには眩しかった。もちろんナルトの彼女に対する思慕はチームメイトや戦友としてだが。
ナルトが恋人として愛しているのは――――
「ナールト、どうしたの」
「指を切っちゃったんだってばよ」
ナルトの腹部ににょきっと巻き付く大人の腕。机の上で手紙を書くなんて不慣れなことをしているナルトのことを大人しく、そして我慢強く待っていたカカシだ。
「見せて」
「もう治っちゃったってば」
背後から指を絡められて、ナルトは顔を赤くさせる。
「これくらいの傷だと痛いと思った瞬間に治っちゃうんだってば」
ナルトの腹の中に眠る九尾は酷く神経質で宿主のナルトに対して過保護だった。
「そ……残念だね」
「え」
「血の珠も零れ落ちることなく、おまえの傷は治っちゃうんだね」
怪訝そうにナルトの表情がしかめられる。カカシはふふふ、と笑ってナルトの指を口に含んだ。
「こうやって舐めて綺麗にしてあげたかったのに。ナルトの指を」
「……カ、カカシ先生!?」
「初々しい反応だねぇ、さっきまでベッドでもっとスゴいことしてたでしょ?」
「や、言わな……っ」
言わないで…と言おうとした言葉はカカシの唇に飲み込まれて、指を絡めて、舌を絡めて、二人の温度が上がる。はぁ、とどちらからともなく吐息が漏れた。
「ナルト、小さな傷でも消毒だけでもした方がいいよ…」
「ヘーキだってばカカシ先生は過保護すぎ」
ナルトの言葉にカカシの顔が曇った。カカシはゆっくりとナルトをフローリングの床に押し倒した。
「痛いって感覚だけが残るのは残酷だよね…」
「え」
「そんな身体にした責はオレにもあるけど……」
十六年前の話をされているのだと、ナルトはひやりと背筋を寒くさせた。
「言わないでってばカカシせんせぇ…」
恋人として長年連れ添っているカカシが、ナルトの腹の中の九尾に対して酷く責任を感じていることを、ナルトは知っていた。よく、夜中に目を覚まして泣きながらナルトにごめんね、と繰り返すカカシは、まだ少しだけ十六年前の呪縛から逃れられていないのだ。
「何度でも言うよ。おまえが痛いって感覚を忘れないように」
「ん、ん、んぅ…」
深いキスをされる。先ほどの情事で感じやすくなったナルトの身体は、すぐに魚のように跳ねた。
「すぐ治るからって自分を投げ出さないでね…」
傷がついた名残さえ残さない綺麗な指をカカシは愛おしそうに噛んだ。そして見えない無数の傷跡が残る、華奢な身体を時間をかけてゆっくりと愛したのだ。

 
 
 
おめでとうもなにも言っていないですが、ナルトの誕生日文です。誕生日は二人でまったり部屋に引きこもるインドアな忍二名でした。このあとサクラちゃんとサイくんが問答無用でケーキを持って押し掛けてきます。イルカ先生には朝に一楽を奢って貰ってます。綱手さんはお祝いをしたいのに中忍二名の妨害で執務室から離れられなくてイライラしてます。
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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