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空気猫

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金髪の子供がイルカの首根っこに飛びついている頃、一方カカシといえば、いまだ演習場にいた。新緑の葉も風もさわやかな森の中、
「はぁぁぁ」
彼は地面にしゃがみこんで盛大にへこんでいた。丸まった背中がなんとも寂しげだ。理由は言わずもがな。木の葉にこの人ありと言われた上忍の頭の中を占めているのは金色の子供のこと。
「また逃げられちゃった」
子供の担当上忍になって数日。隙をみては子供にスキンシップを試みているカカシ。しかし現実は厳しく、ぽわぽわのひよこ頭はカカシにまったくつれない。下忍選定が終わり始めての演習の日、元気良くはしゃぎまわる姿が可愛くて、撫でようと手を伸ばせば、さけられた。初めは気のせいかと思った。だけどそれが二回も三回も続けば、否が応でも自覚せずにはいられなくて。
少し、意地になって逃げるぽわぽわ頭を追いかければ、案の定。さけられる、さけられる。しかも横を歩いているサクラたちにすら気付けないほど、さりげなくやってのけられた。
これには軽くへこんだ。結構なショックだった。あの子への気持ちに気付いてからは、焦りと同時に自分が人より何歩も遅いスタート地点に立たされているのだと気付かされて愕然とした。
例えばあの中忍だとか同期の少年だとか。カカシの知らないとこでももっと一杯居るのかもしれない。それすら把握出来ない場所にいる自分の立ち位置が歯痒い。
カカシと横に並ぶ時、上忍のカカシですらわからないほど微かに子供の身体は強張った。子供と自分まで大人の歩幅で三歩半。だけどけして縮まらないその距離。もしオレがナルトに手を上げたとして、ギリギリで逃げ出せるであろう幅。もちろん、自分が一般人であったのなら話だが。
任務中は煩いくらいはしゃいでいるくせに、いざ任務が終わって班の子供たちと別れると、あの子供は人懐っこいようであって、しかし驚くほど素っ気ない。その証拠にカカシは、ついぞ「一楽につれていけ」とは言われたことがなかった。自己紹介の時に好きなものはラーメンだと言った子供。それならばと任務帰りに食事に誘うのだが、もう何度、修行などにかこ付けられ断られたかわからない。
「嫌われてはいないんだよなぁ…」
さわられたくないわけではないだろう。これには自信があった。初めて撫でた時、ビクついたものの、いやそうではなかったから。むしろ、子供の反応は愛情に飢えたそれだった。
そりゃ初めから簡単に心を開いてくれるとは思わなかった。だが、まさかここまでさけられるとは思わなくて、改めて里の咎を思い知った。
キーワードは「里の大人」。そしてムカつくことにあの中忍はそこから除外され、自分はその他大勢と一緒にその範疇にいるのだ。
「なんかズルい」
だってサスケなんかには自分から突っかかっていくくせに。大人だというだけの理由で、理不尽なハンディキャップを感じてしまう。大体、同じ大人でもイルカ先生とやらには平気でなんでオレがだめなわけ?
そりゃ最初に子供の心にふれたのはあの人かもしれないけど。オレだってナルトを思う気持ちは負けてないはずなのに。なんで伝わらないの?
年齢とか時間とかタイミングだとか、カカシを取り巻くものは後悔してもどうしようもないものたちばかりで。こんなふうにうじうじ悩んでいる自分自身にびっくりする。
そしてカカシの犬並み、と云われる嗅覚が、雑木林の向こうの状況を頼んでもいないのに教えてくれる。大変くやしい。やるせない。だけど、あの子の気持ちがこちらに向かないことにはどうしようもない。
「ナルトォ、センセーは寂しいぞぉ」
大人と子供の攻防戦。決着がつくのはいつになることやら。とりあえず上忍先生は今日も切ないのです。













end
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空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前    空気猫、または猫
職業    ノラ
趣味    散歩・ゴミ箱漁り
餌      カカナル
夢      集団行動
唄      椎名林檎
性質    人間未満

日記    猫日和

ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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