空気猫
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「この間、上忍のカカシさんを取り合って女同士で刃傷沙汰があったらしいぜ」
「あ。それ、オレも聞いた。女とヤッてるとこに他の女とブッキングして、キィキィ喚く女2人放ったらかしにしてトンズラしたんだよな。カカシさんもエゲツないよなー、そのあと女たちどうなったわけ?」
「1人は包丁で刺されて入院したらしいぜ」
「ま、それだけ非道でも女が許しちまうのが、カカシさんだよな」
「くそー、なんでカカシさんばっかモテんだよ。オレにもその女運をわけて欲しいぜ」
アカデミーの廊下で偶然聞いてしまった会話。やっぱり、そんなことだと思ってた。おなかの下の辺りがぎゅって痛くなったけど、拳を握って、耐える。廊下を全力疾走してたら、角のとこでイルカ先生とぶつかった。
「お、どーしたナルト。随分急いでるな?」
優しい、優しいイルカ先生。この人を好きなれたらどれだけしあわせだっただろう。ううん、いっそサクラちゃんを好きなままでいたら。
「ナルト、おまえ泣いてるのか!?」
慌てたイルカ先生の声を振り切ってオレは背中を向け逃げるようにアカデミーを走り出た。
「なーると、遅かったね?」
家に帰るとカカシ先生がいた。2日も続けて来てくれるなんて珍しい。まあ、昨日カカシ先生を取り合ったっていうお姉さん方が1人は全治1ヶ月の怪我を負ったっていうから火影のじいちゃんに怒られたのかも。しばらくは女の人とのお遊びは控えなきゃね?
「なかなか帰って来なくてセンセー寂しかったんだよ?どこいってたの?」
「あ、えっと」
口籠ったオレだけど、別に喋らなくてもカカシ先生には関係ないみたいで、床に押し倒される。「ヤろ?」すでにオレの服はカカシ先生によって乱され始めていて、頷くと、飴玉が口の中に押し込まれた。
「んあ…、ぁぁあ…」
ぐちゅぐちゅと淫猥な音と荒い息遣いが部屋の中を満ちて、オレの上ではカカシ先生が揺れている。部屋に響く濡れた水音が、すごく厭らしいと思った。
*****
「オレ、カカシ先生のことが好きだってば」
あれはまだ桜が咲いている季節だった。下忍になって、カカシ先生の部下になって、オレは次第にカカシ先生を意識するようになった。初めは変な先生!って思ってたけど、それが憧れに変るのにそう時間は掛からなくて、強くて、格好良くて、優しくて、里一番のエリートで、道を通るだけでみんなに注目されて。オレなんかとは大違いで。いけないと思いつつ、オレはいつの間にかカカシ先生に恋をしていた。
自分の気持ちに気が付いてからは、苦しくて、夜も眠れなくて、こんなに胸が痛いなら恋なんていっそ知らなければ良かったと思うほどだった。それでも、木陰の下で煌く銀髪を見るたびに、大きな手で頭を撫ぜられるたびに、カカシ先生への想いは、花びらが地面に積もるように、ひとひら、またひとひらと募っていって、気が付けばオレの中はカカシ先生で埋め尽くされていた。
何度目かの演習が終わったあと、桜の木の下でダメ元の告白をしたのは、フラれてもいいと思っていたから。カカシ先生と女の人たちの噂は聞いていたし、オレなんか相手にされるわけないってわかってた。だけどカカシ先生の返事は予想外にもYESだった。
「え…」
「いいよ、付き合ってみよっか?おまえ、顔かわいいし、ちっこくて抱き心地良さそうだし、よくみたら女の子みたいでしょ。1回子供とヤッてみたかったんだよねぇ」
顎をついと持たれ、ええとなんていうのかな。市場で食材を値踏みされるみたいに検分されて、妖艶に微笑むカカシ先生はこの世の人とは思わなくらい綺麗で、オレは直前に何を言われたかも理解することもなくうっとりと見惚れてしまった。
結局、その日のうちにカカシ先生の家にお持ち帰りされて、セックスをした。わけもわからず抱かれたオレは、カカシ先生とただ一緒にいたかっただけなのに。
******
情交のあと特有の気だるさにうつらうつらしていると、カカシ先生の気配がベットから離れていった。
「帰るってば…?」
「あれぇ。起きてたの、ナルト。珍しいね。今日もキモチ良かったよ~。スッキリしたからもう行くね?」
「カカシせんせー、……明日も来てくれる?」
「うーん、明日はどうかなぁ」
もう女の人のとこに行っちゃうってば?2、3日はオレが独占できると思ったのに…。ダルい躯を起こしそうとしたら、下半身に力が入らなかった。
「せんせー、また来てね?」
「うん、バイバーイ。ナルト」
「………」
シーツに懐いてしまったオレを振り返りもせずカカシ先生はもうすでに上の空といったふうに足を窓に掛けて出て行ってしまった。
「……くぅっ」
おかしいってば、カカシ先生と「付き合ってる」のに、どうしてこんなに胸が痛いの?片思いのあの頃より、鈍い痛みをともなって、オレの腹に沈殿するそれ。
「どうして…か、しセンセぇ」
カカシ先生が、朝までいてくれたこと、一度もない。気まぐれのようにオレを抱いて去っていく先生。何度、冷たいベッドで目を覚まして、何度シーツを涙で濡らせば、この胸の痛みを感じなくなるのだろう。
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職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。