空気猫
空気猫
そんなわけで12歳になりました編6
世界が終ったのかと思った。カカシに嫌われたら、きっと自分は死んでしまうに違いないと思ったのに、まだ心臓が動いているのが信じられなくて、息をしている浅ましい自分の生命力が、冷たい地面を踏んで痛覚を訴える裸足の足が恨めしかった。
いっそ、胸の痛みで死んでしまえればいいと思ったのに、脈打つ心臓のポンプは、己を生かそうとしていて、世界の真っ暗闇に消えてしまいたかった心とは裏腹に、ナルトの身体は確かに、この木の葉に存在し続けていた。
人生とはなんとままならなく、肉体を前に意思の力はなんと弱いのか。高尚な精神こそが人の骨頂であると主張するならば、即物的であるからこそ目に見える身体は馬鹿にならない。
現に、ナルトの身体は本人の意思に反して今も機能し続けている。これは、精神機能が肉体に凌駕されるということを表しているのではないだろうか。冷たい手足を戦慄かせながらナルトは空を見上げた。
「あら。ナルトちゃん。こんな夜遅くにこんなところでどうしたの?」
繁華街めいたところを歩いて、カカシの家とは反対の場所にあるサスケの家に向かっていると、ガヤガヤとした集団とぶつかった。ぽかんと見上げれば、忍服を綺麗に着込んだリンが居た。
リンを中心に囲んだ上忍らしきその一団は、ナルトの目から見れば華やかな忍の集まりで、子供を怯ませるのに十分な存在感があった。
「ナルトちゃん……?」
身体の小さなナルトのために、リンはわざわざ視線を合わせるために屈んでくれた。その優しさが嫌になる。
「どうしたの?カカシに怒られたの?」
「………」
リンからカカシの匂いがした。リンとカカシは先程まで一緒に居たのだろうか。
肩に垂れたサラサラした長い髪はナルトの持っていないもの、落ち付いた大人の声もナルトの持っていないもの、ナルトには逆立ちしても手に入らないものだらけ。
ナルトにあるのは獣な三角耳と尻尾くらいで、綺麗な女性を前にして自分の恰好はなんて子供っぽいのだろう。初めて自分の身体的特徴に対してコンプレックスを抱いた。
「ナルトじゃねぇか。おまえ、カカシはどうした?迷子か?」
「アスマ…」
〝あしゅま〟に近い発音でナルトが呆然として大柄な上忍を見上げる。カカシの友人の髭クマはいつものように煙草を吹かしていた。
「カカシはもう飲み会から帰ったぞ?すれ違いになったか?」
「!」
どうしてか、アスマが、怖かった。きっと髭クマは〝大人〟だからあっちの味方に違いない。そう思えば、太い足を蹴ってやりたい衝動に駆られた。
「姉ちゃんたちと遊んじゃってさ、紅姉ちゃんに言いつけてやるんだからなー!」
だから、精一杯大きな声で叫んでみた。
「お、おいっ?ナルトっ?」
アスマが慌てたように煙草を口から落とす。取り乱したアスマを見て、いい気味だと思ったが、それと同時になんて嫌な子だろうと自分にショックを受けた。鏡を見たらテレビの悪役みたいな〝イジワルお婆〟の顔になっていたらどうしようか。
「その悪戯は冗談にならねぇぞ。なっ?リン?」
「ナルトちゃん。アスマは私の歓迎会に来てくれただけだから、悪いことは何もしてないのよ?」
「ああ…、そうだ。誤解だぞ、ナルト。紅に滅多なことを拭き込むのは勘弁してくれや」
ほら、飴玉やるからよ、とあやされて、ナルトの尻尾がぶわっと膨れた。
「子供扱いすんなってば!」
かぷっと甘噛み程度にアスマの手に噛み付くと、「きゃーっ」と他の中忍らしい女性陣から悲鳴が上がる。
「なに、この子っ。犬っ?」
「アスマ、大丈夫?」
「この子がカカシさんの言ってたペットの子?」
「やだ、こんなに凶暴なの?」
口々に、女の人たちからナルトの悪口が出て来た。気が付けばナルトは完全に嫌われ者だ。
――オレってば犬じゃねぇもん。
みんなお酒臭くて馬鹿みたいに賑やかで嫌だ。
――立派な狐の男の子だってば。
意固地になるが、彼女等がこれから飲み会のたびにカカシの隣に座って「凶暴なペットは捨てた方がいい」と吹き込んだらどうしようと思う。
「まぁまぁ、皆。落ち着いて」
ヒステリックになりかけた集団を収めたのはリンだった。
「大きな声、出したらナルトちゃんが怖がっちゃうじゃない。ごめんね、ナルトちゃん。皆がお酒臭くてびっくりしたんだもんね?」
「あ、オレ……」
どんぴしゃなことを、一番言い当てられたくない人から、言われてなんて惨め。
「アスマも。ナルトちゃんのこと、信用してあげなかったでしょ?」
リンは腰に手を当てて、我がことのようにプリプリとナルトのために怒ってくれている。周囲の友人等の空気は次第にリンに絆されて和やかになった。
やがて別の話題に移ったようだ。
「もう、リンは天然すぎー」
すっかり皆、ナルトの存在を忘れている。まるで、ナルトなど最初からいなかったようだ。
リンという女の人はナルトより友達も多くて、明るくて、とっても良い女の人なのだろう。一目見ただけでわかる。今、リンと居る人たちは皆、彼女が好きなんだって。リンを取り囲む雰囲気はこんなにも温かい。
「で、そんなリンちゃんは最近、恋人はいるのかしらー?」
「もう。さっきからその質問はしつこい」
「だってリン、酒の席でも上手にはぐらかしてちっとも意中の人、教えてくれないんだもの」
「このこの~、そのつやつやのお肌は誰に綺麗にして貰ったぁ?」
「さては黙ってるだけでカカシとイイ仲だったりして~?」
「あんたたち、幼馴染みでしょ。もういい加減くっついちゃいなさいよー。リンとカカシだったら、私たち絶対、応援してあげるから!」
「あんたたちはもう幸せになるべきよ!じれったいんだから、押し倒せ、リン!きゃー!」
「とっくに結婚していると思っていた」
黄色い声ではしゃぐ女性陣に、ナルトは真っ青になった。…カカシ先生が結婚?リンさんと?それはまるで別世界の話のようだ。テレビドラマで観るような普通の男女の…皆から祝福される普通の恋人同士のストーリーのようで…。「あ、あぁ…」「やめて…」イレギュラーなのは誰だろう。邪魔者は誰だろう。おかしな三角耳を生やしたペットは、誰だろう。胸の痛みで死ねたら楽なのに。
「そうねぇ、カカシは大事な幼馴染だし、一人の男の人としても魅力的よ?」
リンが困ったように、笑っている。
(魅力的…、だって)
ミリョクテキ。カカシ先生は魅力的なんだ…。
「リンさんはカカシ先生が好きだってば?」
「え?」
振り返ったリンは綺麗だった。この人はキラキラしたものをこんなにたくさん持っている。素敵で優しくて綺麗で、ちんくしゃで汚い気持ちをいっぱい持っているナルトが敵うわけがない。ナルトには何もない。カカシを好きだという以外何もない。ナルトにはカカシしかいないのだから、ナルトはカカシしかいらないのだから、お願いだからキラキラした世界の人はカカシを獲らないで欲しい。
「ナルトちゃん。どうしたの、泣いてる…の?」
リンの言葉を合図に涙腺が決壊した。
「いやらぁ、オレからカカシ先生をとらないでってばぁ…」
「え?」
「オレ、他になんもいらねえの。カカシ先生しかいらないからっ、オレからカカシ先生をとらないでっ。いっぱい持ってる人は、とらないでぇっ」
オレの涙の配線おかしくなっちゃった。だって、仕方ない。ナルトはカカシしかいらなかった。ナルトの世界はカカシを中心として回っていたから、大好きで少しでも傍にいたくて、本当は任務にも行って欲しくないほど、独占したかった。ナルトだけに甘くて、他の人にはちょっと理解出来な難い、優しい少し間抜けなカカシが好きだった。カカシの良さは自分しかわからないのだと自惚れていた。
「ねえ」
「もしかして…」
「この子、リンに焼き餅妬いてたりする?」
「~~~やだ、可愛い!」
「リン、ちっちゃいライバルが出来ちゃったわねぇ~?」
「ちょっとみんな、――からかわないで」
きゃいきゃい揶揄する女友等をリンが慌てた様子で制して深刻そうな表情のナルトを見下ろした。「ナルトちゃん、貴方―――…」
リンの視線に、くすん、くすんとナルトが泣き出した。
「―――おい。ドベ?」
繁華街の雑踏の中から声が聞こえた。
「泣いているのか?」
そこにいたのは烏の濡れ羽根色の髪を持つ青年だった。
「うちはの…サスケくんっ?」
「やだ。生で初めて見た」
サスケの登場に女性陣がざわめく。サスケと言えば、大人のお姉さん方にちやほやされているというのに、〝ふん〟っといった感じのいつもの不機嫌な面構えで、三角耳の子供に視線をやった。
「どうした?」
忍服姿のサスケは小さな狐の子供の傍に駆け寄る。
「ふぇええ、さしゅけぇ…」
「ド、ドベ。鼻水垂らしてるんじゃねぇぞ…」
いつものクールさはどこへやら、ナルトの泣き顔にサスケは動揺しているようだ。そして、17歳の青年は、狐の子供を抱き上げた。女性陣がぽかんとしてその様子を眺める。
「どうした。とうとうカカシに愛想をつかしたのか?」
腕の中に大人しく収まった狐の子供は、いつもぎゃいぎゃい騒いでいる狐の子と同じには見えなかった。
「……サスケの家に泊めて欲しいってば」
「―――……っ」
「ねが…スケ…」
涙目で見上げられ、サスケは静かに頷いた。
「―――わかった」
「おい、狐っ子!?」
アスマが驚愕して、サスケと三角耳の子供を見る。
「そういうわけだ。こいつはオレが預かる。文句は言わさねえぞ」
「おい。王子!?」
サスケはアスマの台詞にぴたりと動きを止めた。そして、「王子じゃねぇ…」としっかり訂正だけ入れて振り返る。ルックスから付いたそのあだ名を本人は相当毛嫌いしているようで、苦虫を百匹くらい噛み潰した顔をして不定した。
「カカシに言っておけ。唐変木過ぎると、横から掻っ攫われるぞってな」
それでも皮肉屋の青年の唇の端に勝者の嘲笑とも取れる笑みが浮かぶ。
「恩師に対してそれか。相変わらず見事なオレ様っぶり…」
アスマは去って行くサスケ青年の背中に声らしい声も掛けられず、おそらく事の発端になっているだろう、唐変木の存在に想いを馳せた。
うずまき上忍はモテモテです。
うずまきナルト(19歳)、中忍女子の間では将来有望な憧れの先輩ナンバーワンとされる綺麗な青年忍者である。もっとも、蓋を開ければ案外ガサツなところがあったり、ドジでそそっかしいところもあるのだが、年下の女の子や後輩男子にはもれなくそうした欠点が見えないらしく、「格好良い」「優しい」「男前だ」という盲目っぷりを発揮して、キャーキャーワーワー言われている。
同年代の女子からすれば、欠点もないキラキラ男子などそんなもの夢と幻である。春野サクラ(19歳)、傍目から見ればキラキラ男子2名が同班男子で尚且つ幼馴染みという立場の彼女ではあるが、今のところそんな彼等の被害をこうむって〝春野先輩には手を出せない〟と彼氏ナシ。
「サ、サクラちゃん…」
「馬鹿ね、ナルト。アンタ、上忍になってもこんなものが怖いの?」
「だってさぁ。ここ、第四演習場だってばよ…。ヤマト隊長に、この間ここには中忍になれなかった下忍の魂が夜な夜な彷徨ってるって下から顔ライトで脅かされたんだってば」
自分より身長が頭一つ分ほど高い大の男にしがみつかれ、春野サクラは諦めのため息を吐いた。
「ふん。ドベはいつまで立ってもドベだな」
サクラのたくましい(?)腕に齧りつくナルトを冷たい視線でうちはサスケが射抜く。「サスケェ~~」とどこか恨みを込めた瞳で、ナルトがサスケを睨み付けた。
うちはサスケ(20歳)。里に戻って来たサスケの監視係を自らかって出たのはナルト本人だ。
「サスケのことはオレが最後まで責任を持って面倒をみる!」と聞きようによっては、中忍女子が「きゃー!」と黄色い声を上げそうになることを、後輩男子が男惚れを起こしそうになる事を堂々と言ってのけた男前男子である。
「どうして上忍にもなって肝試しなんだってばよ~」
「しょうがないでしょ。新人歓迎の恒例行事だからって言われちゃあ…、わたしたちに拒否権なんてないじゃない」
さぁ、行くわよ!と、昨今の異性以上に男前な彼女は金髪の青年の腕をぐいっと引っ張って死の森の中を大胆に歩いて行く。桃色と金色の性別逆転コンビにうちはサスケ上忍はため息を吐きつつ、妙な気配がたくさんある、巨木の上に呆れた視線をやった。
「うずまき、今日も可愛いな」
木の上に居るのはまだ若い暗部や上忍等だった。ちなみに全員男である。
「ああ、可愛い」
歳はナルトたちよりは少し上だろうか。今夜の肝試しにあってはナルト等より若い連中も数名混じっているかもしれない。
「ナルト先輩はすぺしゃる可愛いです…」
「お。おまえ、初恋がうずまきだっていう去年の新人だろ」
暗部と言えばむさ苦しさは男所帯さながらだ。
「はい。ナルト先輩とは暗部時代のSSランク任務の際にご一緒させて頂いたんですが…」
女性暗部とて、男以上に女前の女性が多く、むしろそれなら可愛い同性に視線が行くのも、特殊な世界なら珍しい事ではなかった。
「ほぉ?」
「〝オレの仲間は絶対殺させねぇ〟〝絶対諦めるな!〟と絶望的な戦況にも関わらずチーム全体に激を飛ばされ、足を負傷したオレの肩を担いで…」
「キラキラした瞳で」
「男前に〝オレはおまえのことを絶対見捨てねぇ〟と言われたんだな」
「――そうです!先輩方、どうしてそれを!?」
驚いた顔の去年の新人に、先輩上忍等はどこか遠い目で、明後日の方を向いた。
「いや、可愛いよなぁ。うずまきは」
「鑑賞に値する可愛さだよな」
「どうして〝カレシ〟も〝カノジョ〟もいないんでしょうか。あんなに可愛らしい方なのに」
新人の一言に、場全体が凍り付いた。
「誰の許可があって、ナルトのことを〝可愛い〟って?」
見計らったように妙に間延びした猫撫で声が響いた。
「ナルトが可愛いのはわかってるけど、聞き捨てならない言葉を聞いたなぁ」
「貴方は―――…。カカシ先輩っ。どうしてここにいらっしゃるんですか!?」
戦く新人と、ざざざざと血の気を引かせた上忍等。そこに居た、若い上忍等は一斉に下を向いて黙したという。
「あーあ、ナルトは今日〝肝試し大会〟なんだってさぁ」
「そうですか…」
「オレも行っちゃおうかなぁ。悪い虫を払いに」
「だめですよ、任務中なんですよ」
「それもほら、もう終わったし。ナルトはさぁ、あの子あの歳になっても幽霊とか怖い子なのよ。そういう美味しい時は恋人として一緒に居てあげたいわけじゃない」
「…今、カカシ先輩が行くと逆に変な霊を一体か二体憑けて行きそうですけど」
テンゾウことヤマトは、鋼糸でバラバラになった血だらけの死体を見下ろして、先輩暗部に対してため息を吐く。カカシは死体の一つに興味なさそうに視線を落とすと、尻に付いた砂埃を払った。
「火影様も人が悪いな。ナルトが男共の群に放り込まれる時に限ってオレに裏任務だなんて…。オレが何をしたって言うんだろうねぇ」
「火影様は近年輪を掛けてナルトを可愛がってますから…」
ヤマトが苦く笑って死体処理のためにタグを死体のタグを切り始めると、カカシが立ち上がる素振りをした。
「カカシ先輩、ツーマンセルの相手がオレだからって任務をサボらないで下さいよ」
「信頼してるよ~、テンゾウ」
それこそ幽霊のように気配が消えたカカシにヤマトはため息した。
「ナルト先輩。あんなちゃっちぃ仕掛けにいちいち怖がっちゃって可愛いなぁ」
「春野先輩は男らしいなぁ」
木の上に隠れた暗部等は「んぎゃー」「あんぎゃー」と泣き喚く金髪碧眼の上忍を目の保養に、死の森の中を歩く春野サクラとうずまきナルト、遅れて続くサスケを眺めていた。
ナルトは、頬にひっついたこんにゃく(紛れもなくただのこんにゃくだ)に、この世の終わりかのような声をあげて横のサクラに叩かれている。
今回の肝試し大会でお化け役をかって出た暗部たちのほとんどはナルト目当てだ。夏と言えば肝試し、肝試し大会と言えば、出会いの少ない若い暗部たちの絶好の出会いの場であったりする。脅かし役等は元より、実を言うと脅かし役と脅かされ役で恋が芽生えたりするわけである。
――例えば。「うらめしや~」と井戸ならぬ木のウロから出て来たのは、ばっちり幽霊の扮装をしているが、よく見れば何度かナルトと任務が一緒になったことのある後輩忍者で、見知ったナルトを見つけると彼は血糊を付けたまま満面の笑みを浮かべた。
「ふぎゃぁああっ」
「うらめしや~、手裏剣が一枚、二枚……」
「怖いってばよぉ」と地面に蹲るナルトにお化け役の暗部は苦笑すると、
「あの~、ナルト先輩。今度、一緒に甘味屋行きませんか~~?」と明るい声でナンパを始めた。
「ひゃぁあああ~~」
「あの~、ナルト先輩?」
「ぎゃああああ~~。ごめんなさい、ごめんなさいっ」
「好きです。オレと付き合って下さい」
噛み合わない会話に春野サクラが見兼ねて「駄目よ、こいつ。完全に怖がっちゃって聞いちゃいないわよ」と言わなければいけなかった。
「残念です。またお会いしましょう。ナルト先輩」
「もうなんだよ、おまえ。お化けなんかに会いたくねぇってばよ~~~っ」
ぎゃーーー、と涙目になりながらナルトが答える。その後も何故かお化け等が率先して一番ビビっているナルトの傍に現れるので、ナルトはほとんど恐慌状態になった。そのうえ、子犬のように震えているナルトを幸いとベタベタと触り捲って帰って行くのである。横のサクラはもちろんご立腹である。
「―――あんたねぇ、忍者がそんなんで任務が務まるの!?」
「だって、サクラちゃん。オレってばフワフワ宙に浮いたり、半透明になって堂々と出てこねぇ女々しい奴等は苦手なんだってばよ!なんか言葉で説明出来なくてゾーっとするんだってば!!」
任務はちゃんとやるってばよ!!と両拳を握って、ナルトがサクラを見上げた。ウルウルとした瞳は下忍の頃を変わらずで、サクラはため息した。
「腰、引けてるわよ。あんた」
「ううう。ごめんってば」
「しかし、たまに出て来るトラップは流石は上忍専用だな」
サスケが、重しの付いた鋼糸を投げるとそこに出現したのは、落とし穴だ。底には身体を貫通したらそれこそ大事になりそうな無数のトゲが待ち構えていた。三人は同時に顔を見合わせる。
「新人の腕試しも兼ねてるってところかしら。上等よ」
「おう。お化けは苦手だけど、こっちは任せろってばよ!」
「ふん。ドベ。足、引っ張るんじゃねえぞ」
誰に言ってるんだってばよ!とナルトがサスケの挑発に息をまいて一歩踏み出す。そこにあるのはサスケが発見した落とし穴で、信じられないことにナルトはものの見事にその中に落っこちた。
「あ、――馬鹿」
「ぎゃ~~~っ」
上忍らしからぬ失敗をしたナルトに、サスケとサクラが同時に飛び出す。「ウスラトンカチが!」「ナルトのドジ!!」2本の手が落とし穴の中に伸ばされて、ぼふんと誠に忍者らしい音を立てて煙と共にナルトが消えた。
「ナルト先輩、大丈夫ですか!!」
「うずまき、大事はないか!?」
「オレのナルト先輩が~~」
「どこに行った。完全にうずまきの気配が消えたぞ!?」
総勢30名は超すのではないかという上忍や暗部がソロゾロ虫のように沸いたのを見て「先輩方…。どこにそんなに隠れていたんですか…」
春野サクラは顔に青白い棒線を、サスケは「ウスラトンカチどもめ…」と後輩暗部等に明日シゴいてやるとばかりに呆れた視線を送った。
「ふぎゃーーーーーっ。おー、ちー、るーっ」
「な~ると?」
「……へ?カカシせんせぇ?」
浮遊感と共に、次は安定感のある巨木の上に着地した。バタバタと暴れていた胴に腕を回され、頬に後ろから息が掛る。そこに居たのは顔を半分以上隠した上忍だった。
「カカシ先生、今日は任務だろ。どうしてここにいるんだってば?」
「んー。終わってすぐにここに駆け付けて来ちゃった」
「うぇぇ、なんでだよっ?」
「ナルトに会いたかったからに決まってるでしょ。もー、ナルトに悪い虫が付かないか心配で心配で…」
「へっ?」
ぺたぺたと顔じゅうを這い回るカカシの手にナルトは綺麗に静止した。
「誰にも触られなかった?おまえのキラキラした髪の毛!すべすべのお肌!オレにしか許してない、オレの形に馴染んだナルトの綺麗な―――」
「うわーーーーーー」
まさかとは思うが、18禁用語が飛び出しそうなカカシの台詞をナルトは慌てて遮った。まるで漫画のような光景だ。
「カカシ先生。なななななに言ってくれちゃってるんだってばよ!!」
「ん?真実」
可愛い、と抱き締められナルトは見事に石化した。青年になったとは言えナルトは華奢な方なのですっぽりとカカシの腕の中に収まる。
「ふんふん…ナルトの匂いだねぇ。だけどオレのナルトの匂いに混じって複数名の男の匂いがする。――最悪」
「へ!?」
そんなことわかっちゃうのかよ!?とナルトはカカシの腕の中から逃れて巨木の幹に背中をくっつけた。そんなナルトに再びカカシの手が伸びる。
「当たり前でしょ。ナルトのことなら、オレは髪の毛の先から爪先まで全~部知ってるんだよ」
「うわわわ、言うなってば―」
「まったく…。おまえはオレのなのに…」
自覚ある?とカカシはナルトの耳元に囁いた。
「オレだけのこの髪の毛をいったい何人の男が触わられたの?」
「ひゃ…」
「オレだけのこの綺麗な肌にいったい何人の男が触れたの?」
「―――んっ」
「その瞳で男を誘って、声で誘惑したんでしょ…?」
「ちがっ」
己の金糸を這い回るカカシの指に戦いてナルトは払いのけようとしたが。
「ナルトの髪の毛を梳いて、肌を合わせて触っていいのは、恋人のオレだけなの、わかった?」
睦言のように言葉を落とされて、ナルトは抵抗していた手を止めた。
「う。カカシせんせぇ…」
「そのうえ、ベタな落とし穴に落ちてオレのことハラハラさせるし。
おまえね、今どきあんな下忍でもやらないようなドジして上忍失格だよ?」
呆れた声色で指摘され、ナルトは顔を真っ赤にさせた。
「カカシせんせぇ…。あのオレってば…」
「―――本当。いつまでもオレを夢中にさせる子だよ、おまえは」
「ナルト。はい、ちゅー」とカカシは口布に指を掻けると、啄ばむようなキスをナルトに強請った。
「ん、んう…」
「はぁ。安心する…」
「んふ…。はぅ、ぁ…ん」
息継ぎの間に、カカシの舌がナルトの口内に侵入し貪欲に歯列の間を貪る。カカシはキスで喘ぐナルトを薄目を開けて観察しつつ、悪戯な手を伸ばし青年の耳の裏を擽った。
「ねぇ、ナルト。ここも触られた?ここは?」
「――あっ、ふぁっ」
それだけで敏感なナルトは、ゾクりと震えたようにしてカカシに縋った。「ここ、いい反応するねぇ」耳元で囁くと、金糸がイヤイヤとふり乱れた。ナルトはそのまま襟足をカカシに弄ばれ、熱い吐息をカカシの首元に落とした。「溜まってた?ナルト?」
「カカシ先生は、エッチしに来たのかよ。オレってば肝試しの途中で…。だから、ダメだってばよ?」
「本当は、おまえに集る虫を追い払いに来ただけど、興奮しちゃった…」
「へ、へぁっ?」
カカシはナルトを己の股の間に跨らせると布越しに主張するモノを押し付けた。そのまま嫌がる青年の細い腰を持って何度も上下させる。
「あ、あんっ。う、うそ。カカシ先生のもう硬いってばっ?」
「だから、言ったでしょ。興奮したって…」
耳元で熱く囁けば、ナルトがとろんとした表情でカカシを見た。
「ね、ナカが駄目なら手か口でやってくれればいいから…」
「で、でもさ…こんなところでするなんてオレってば」
「ねぇ、可愛くご奉仕して?」
カカシはナルトの手を握ると、それを自身の下半身へと導く。
「ナルトは興奮するでしょ?」
「―――あっ」
「ほら。ちゃんと両手で持って、扱いて?」
ナルトはカカシの手に包まれそそり立った幹を握る。にゅるにゅるとした感触と共にナルトの手がみるみる精液で汚れた。
「いや…」
ナルトが思わず顔を背けると、「どうして、目を離すの?」と意地悪げに口の端を吊り上げた長年の恋人が居た。
「おまえ、いつも散々オレのこれ美味しいって食べてるでしょ。今更、初めて触るわけでもないし?〝うずまき上忍〟?」
「うあ…ぁっ」
「それともうずまき上忍はオレのを握ってるだけで感じちゃう淫乱さんなのかな?」
金髪の青年の、啜り泣きのような押し殺した声が漏れた。「可愛い」とカカシがそのおでこにキスをしているところを見ると、この上忍は相当捻くれた性癖を持っているに違いない。そのままカカシはナルトのことを膝の上で疑似セックスでもしているように上下に揺すった。ナルトの切ない喘ぎ声が森の中に落ちた。
「あれ、なんか。誰かのため息が聞こえたような?」
唐突に、他の忍の声が聞こえた。ナルトの身体がビクりと強張り、そこは流石に上忍らしく気配を薄くさせる。下を見れば、若い感じの忍が数名歩いていた。
「ナルト先輩、どこに行ったのかなぁ」
「ちぇ、オレもナルト先輩を脅かしてお触りしたかったぜ~」
話題が自分の事であると知ったナルトは、カカシの懐に頬を寄せ息を顰めた。
「さっき。ナルト先輩、触り放題だったらしいぜ」
「本当かよ。羨ましいなぁ。第一部隊の奴等め」
「どさくさに紛れて告白した奴もいたらしいが失敗したらしいな」
「当然だ!ナルト先輩はんな尻軽じゃねぇもんな。貞操の硬い人なんだよ」
「とか言っておまえだって機会があれば告白したい、と思ってるんだろ」
「ああ。当然だろ。そして、あわよくば恋人の座に」
「おまえ大胆だなぁ~~」
「あー、ナルト先輩とセックスしてぇ…」
「ははは。ちがいない…」
若い忍たちは言いたい事だけ言うと、また森の中に消えて行った。後に残ったのは絶句するナルトとカカシで、目に見えてカカシの機嫌が悪くなったのは、カカシの服の裾を掴んでいたナルトにはありありとわかった。
「あー、やっぱり来て正解だった」
かなりご立腹のカカシは、半眼で森の奥を睨みつけていた。まさかとは思うが、本気で嫉妬して怒っているのだろうか?
「カカシ先生?」
「んー…ナルト」
にっこりとナルトの大好きな笑みが返って来た。思わずほわんとなっていると。
「おまえ、なに触り放題にさせてるのよ~~」
「うわー、カカシ先生。不可抗力だってばよ!」
まさに恋人の雷が直下でナルトに落ちた。
「あいつら~~。今度、暗部部隊に殺虫剤撒いてやろうか!それとも逆さ吊りにして火影岩の上で晒してやろうか!」
「カ、カカシ先生!若い奴等の言うことだし…」
「なに、言ってるの。ナルト!おまえは自分がどれだけ美味しい存在なのかちっともわかってないでしょ~~!?」
「へっ?へっ?おいしい?だって、オレ、男だし…。サクラちゃんならともかく…」
「ナ~ル~ト~!!」
「うわーーっ」
「おまえ、おしおき決定」
そこに、怒髪天をついたカカシが居た。ナルトは表情を引き攣らせて、己の運命に蒼褪める。
「ご、ごめんなさいってばぁ~~」
「だーめ。許さない」
カカシはナルトの後頭部を引き寄せると、唇を食んだ。
「ん…、ちゅ、んんん…センセ…」
「そう。いい子だね…。オレのナルト。おまえが誰のモノなのか思い知らせてあげる…」
カカシは柔らかな金糸を指で梳きながら、半開きになった唇の隙間から舌を入れる。甘く温かな口内に目を細めつつ、彼は夏の夜に美味しく恋人の口の中を頂いたのであった。
「あ、あん。だ、だめ。カカシ先生」
「どうして?」
「ここ外だってばよ。人。そうだ、人がいるかも知れねえし…っ」
ナルトは忍服の中に侵入して背中を這うカカシの熱い手に焦ってしまう。思わず、艶めかしい吐息が出た。
「はっ。そんな可愛い抵抗でオレが止まると思ってんの?甘いよ?」
助けてくれってばよーーー!と思わずナルトは天に向かって祈った。そしてその願いはなんと聞き届けられたのである。
「さぁ。覚悟を決めて、オレの膝の上に跨りなさい」
年下の恋人に対して最悪な要求をしている時、ガサガサと茂みを掻き分ける音が響いた。
恋人とのイイ時間を邪魔されてなるものかとカカシが思わずクナイを構えると、
「カカシ…」
聞き覚えのあるトーンの低い声がカカシの耳に聞こえた。それはどこか懐かしいような、だけど信じられない人の声で、肝試しの夜に彷徨い出て来てしまったとある人物だった。彼の登場に周囲の気温が1℃は確実に下がる。
「父さん…!?」
「え……!?」
目を見開いたカカシとカカシの首に腕を回して膝に跨っていたナルトは、お互いに固まって、茂みの奥から現れた人物を凝視した。現れたのは、死んだはずのはたけサクモで。カカシは完全に思考停止。ナルトは金魚が酸欠になった時のように口をパクパクさせている。
「その子はおまえの恋人かな。男の子のようだが…。カカシ」
「う、うそでしょ…。父さん…」
夏の夜とは得てして超常現象が起こり易いもの。常世と向こう側の境界線が曖昧になり、懐かしきかの人がやってくる。そんな肝試しの夜のことであった。
大方の予想を裏切りナルトパパさんではなくサクモさん。
そのうちはたけ親子ものを書きます。
エンディングネタが思っていたより好評で良かったです^ ^
カモメが、青い空を自由に飛び回っていた。空飛ぶ鳥を仰ぎ見つつ春野サクラは自分の足下に視線を落とす。寄せては返す波打ち際に、等間隔の足跡が出来て、道になっていた。センチメンタルな気分になって、
(……――スケくんも海に来れたら良かったのに。そしたらナルトが)
彼女の思考が、海の彼方まで及んだ時。
「あ」
「あ」
「いやぁ、サクラも散歩か?」金髪碧眼のチームメイトを肩に担いだ教師が居た。上官兼教師の腕の中の少年ははぐったりとして気絶しているようだ。彼女的“しゃーんなろ”な光景に、砂浜にピリリとした緊張感が走った。
(……――スケくんも海に来れたら良かったのに。そしたらナルトが)
彼女の思考が、海の彼方まで及んだ時。
「あ」
「あ」
「いやぁ、サクラも散歩か?」金髪碧眼のチームメイトを肩に担いだ教師が居た。上官兼教師の腕の中の少年ははぐったりとして気絶しているようだ。彼女的“しゃーんなろ”な光景に、砂浜にピリリとした緊張感が走った。
「うずまきナルトはどこだ」
「あんなに目立つ奴なのになかなか見つからないじゃん」
「おかしいねぇ。木の葉の里の火影の話だと全員で海水浴に来ているはずなのだが…」
木の葉ティーンズが遊びに来ている浜の遙か対岸沿いにボディガードも付けずにお忍びでやって来ていたのは風影一行だ。
「あれはナルトか。何か仲間と揉めているようだ」
「あんなに遠くっちゃ、ほとんど見えないんじゃないか?」
「いや、これで十分だ」
風影は頷くと身に纏った砂を舞い上がらせた。
「うずまきナルトの姿を見れて満足だ。――帰る」
「もう!?」
「片付けなくてはいけない政務がたくさん残っている。あいつの顔を見て思い出した」
風影の言葉に異母兄弟等は、ぷっと吹き出すと若き風影に従ったのだった。
「ササササクラちゃん……!!」
「どうしたのよ、サクラ」
「おい、なんだ春野。何かの余興かよ?」
怒りのチャクラを渦巻かせて、教師の前に立つ春野サクラに木の葉ティーンズの面々が驚いたように声を掛ける。サクラの足元には何故か頭だけ砂から出した銀髪の教師―――本日の引率者が居た。
「カカシ先生、何をやってるんですか?」
他班の子供たちの質問に、銀髪の教師は「いやぁーあはは」とのらりくらりとした受け答えを返した。
「ちょっと悪戯が見つかっちゃってねぇ」
「サ、サクラちゃん…、お手柔らかに…」
サクラの傍らで、パーカーを着たナルトが若干引き腰気味に囁くも、目隠しのタオルを引き千切らんばかりに握り締めた〝しゃーんなろ〟状態のサクラを見て、ひっくと顔を引き攣らせて引きのいた。
「さぁ、カカシ先生。覚悟して貰いましょーか。人間スイカ割り」
春野サクラは自分の視界をタオルで塞ぐと、どこから拾って来たのか、コン棒サイズの木の枝を持って来る。
若干、その棒にチャクラが帯びているのはカカシの気のせいだろうか。
「サクラさん。まさか本気で当てやしないよね?」
砂に埋まったはたけカカシが若干顔を引き攣らせて成長した教え子を仰ぎ見る。
「綱手様、直伝の拳でやられたら、いくらオレでも…」
「問答無用です」
春野サクラは流石はカカシ班と言えるだけあり、目隠しだと言うのに的確に教師の元へと向かって言った。
「しゃーんなろぉおっ、カカシ先生っ!!」
ドゴォ、という陥没音と共に、砂が飛散した。カカシが慌てて変わり身の術を使い、本来カカシが居た場所が、クレーターとなったのは言うまでもない。
「カカシ先生…、大丈夫かよ」
「んー…」
頬に平手の痕を付けたカカシが、なんとも情けない恰好で砂浜にしゃがみ込んでいた。辺りはもうすっかり暗くなり他の子供たちは波打ち際で花火をしていた。ナルトはカカシの頬に氷の入った水袋をくっつけてやりながら、その頬にちゅっとキスをした。
「今ので痛くなくなったよ」
「嘘くせー」
笑ったナルトの目尻に、カカシの唇が落とされた。
「帰ったらベッドの中でイチャイチャしようか」
「んー…。んー……」
「おまえの髪の毛、しょっぱ…。先にお風呂かな」
「髪、食うなってばよ」とナルトが笑って、顔を赤くさせると「花火、取ってくるってば」と立ち上がった。
―そんなわけで12歳になりました編5-
生まれた時は覚えていない。ただ、呼吸だけはしていた。両の眼が世界を映した時、そこは真っ暗で、等間隔で並ぶ鉄格子が、ナルトの目の前にあった。
「これが九尾の実験体か……」
「父親から引き離して、連れて来たのか。絶滅危惧種だというのに、よく捕獲出来たな」
「まだ、こんなに小さいのに可哀相だな、うん」
黒いマントを羽織った男たちが、ナルトを見下ろしていた。だがそれも一時のことで、それから、白衣を着た人々にたくさん身体を検査された。食事は毎日2回。初日に怯えて齧り付いてからは鉤型の棒で檻の中を引っ掻き回され、鉄格子から離れたところで、生肉のような食べ物が与えられた。
抵抗するたびに酷くぶたれることもあり、理由もなく蹴りつけられることもあった。やがて人の足音を聞くだけで檻の四隅で震えるようになった。目付きはどんどん険しくなったが、ナルトにとっては、床が冷たかった、ただそれだけが嫌だった。
「駄目だな、うん。懐かない。世話係を変えた方がいいんじゃないか」
「オレたちが任務を休むわけにもいかないだろう」
父と呼んでいた存在を時々、思い出すこともあったが、辛い日々の中、ナルトの記憶は段々と摩耗していった。薄暗い地下室で日々を過ごすうちに獣に近い思考になっているのかもしれない。心身ともに憔悴してしまって薄れる記憶を止めることが出来なかった。
ある日、ナルトの檻の前に立った黒髪の男は、不思議な赤い目を二つ持っていた。ナルトは、檻の隅で耳を伏せて、震えた。
「知恵遅れか…?」
男は、喋りもしないナルトを見てそう言った。言葉は知っていたが、ここでは何を話しても意味がないから、必要がないと次第に口を開くことを忘れてしまっただけだ。
「うー、うぅー…」
低い唸り声で、己の意思を伝え、四つん這いで威嚇する。
「おいで…」
鉄格子越しに手が差し伸べられたが、カチンと歯を合わせその手を攻撃した。
「駄目だな。どうやら、オレは嫌われたようだ…」
長い黒髪の男が苦笑して、差し出した手を引いた。
檻から抜け出せたのは、まったくの偶然だった。掃除係の男がナルトの首を掴み、外に出した時、丁度別の男が地下室の中に入って来て…
ナルトは、男の腕を噛んで駆け出した。走って、走って、山中をがむしゃらに掛けた。その内に、下の方に明かりが見え始めた。それまで、人里などないと思っていたのに、まるで隠れるようにぽっかりと出現したそこは―――忍という集団が棲む木の葉の里だった。
路地裏で凍えていた時のことを、はっきり言ってナルトはよく覚えていない。ただ、温かな手に迎えられ、食事を与えられた。気が付けば屋根のある家で、銀髪の人間に飼われていた。
だから、世界で一番、カカシが大好きだった。言葉を教えてくれたこと、住む場所を与えてくれたこと、慈しんでくれたこと、全てに感謝していた。
ナルトの世界の中心はカカシだったから、カカシに嫌われるのが怖かった。カカシに捨てられたくない。我儘を言い自由奔放に振舞いながらも、いい子にしてなきゃ、あの裏路地に捨てられるかもしれないと、思っていた。また、ヒトリ冷たい思いをしないといけないのだろうか思うと、思わず三角耳が、しゅんとなってしまう。だから。
「早く帰って来てってば…」
ヒトリの部屋でぽつんとナルトは呟いた。
何時間も、何時間もカカシを待つ。尻尾を何度もはためかせて、時計が真夜中の12時を差して過ぎた頃に、カカシは帰宅した。
「なんだ、ナルト。まだ、起きてたの」
真っ暗な部屋で、電気も点けずに起きていた狐の子供に驚いて、カカシは無造作に額当てをテーブルに置いた。すっかり冷めてしまった食事に気付いて「ごめんね」と形ばかりの謝罪が彼の口から漏れたが、ナルトは黙り込んだままだった。
「今度から遅くなる日はご飯いらないよ。おまえも早く寝てなさい」
ため息と共に落とされた台詞に、暗闇の中で、ナルトの三角耳がぴくんと痙攣した。
「いや」
頑なに発せられた不定の言葉にカカシの眉間に皺が寄る。ナルトと言えばカカシに背中を向けて、拳を握っていた。
「12時までにはベッドに入ってなさいって、オレ言ったよね?」
「………」
「おまえさ。最近、反抗期?利き分けのない子になってオレを困らせて楽しい?」
今に始まった事ではないが、カカシは人の気持ちに鈍い男である。それは、女友達である紅しかり、旧友であるアスマをしかり、果ては生徒であるサスケやサクラをしかり、誰でも知っている事ではあるが、〝どうせ、あいつは言っても治らないから〟という理由で今まで特別天然記念物並の扱いで放置されてきた。
実際、はたけカカシは女と付き合う際は、相手に深く踏み込まず身のこなしも気持ちの良い男ではあったが、泣いている相手、それもごく幼い子供を慰める複雑かつ繊細な感情があるかと訊ねられれば、――否、と答えるしかないだろう。つまり、相手を思いやる感情というのに、決定的に鈍い男なのだ。
「……んせい…」
ナルトは震える声で、涙を我慢する。そして、くるりと振り向くと廊下の大人のところまで駆け寄って行き、手を精一杯伸ばして、カカシに擦り寄った。
「ナルト。オレはこれからシャワーを浴びて来るから、――もう寝なさい」
「いやらぁ…」
「ナル…?」
「好きぃ。カカシせんせぇ…」
ぎゅうっとナルトがカカシに抱きつく。
「カカシせんせぇ、オレにちゅうして…?」
「は?」
「一度だけでいいから、人間のコイビト同士がするようなキスがしたいってば。おでこじゃなくてちゃんとしたやつ…」
物欲しそうに、ナルトの唇がつやつやと濡れていた。
「おまえ、何を言って…」
獣が親愛の情を示すために、毛繕いをするように、ナルトはカカシの指を食んだ。あっという間にカカシの五指はナルトの垂液でべとべとになる。
「んぅ……」
「ナルト?」
「…」
「こーら、ナルト。そろそろ止めなさいよ」
「やだもん、ちゅ…んんん」
思わずカカシは絶句する。僅か12歳である筈の狐の子から、匂い立つような色香に、カカシの喉が知らずごくんと垂下された。
「……ナルト。やめなさい」
カカシの掠れた声が、頭の上から落ちて来る。ナルトが薄っすらと瞳を開けると、困ったように口元を押さえているカカシの姿があった。(―――…?)
訳が分からずナルトは、きょとんとしてから、カカシから離れた。
「おまえ、いったいどうしたんだ」
呆然としたカカシの声にナルトはきゅっと唇を噛んだ。ナルトは、三角耳をぺたんと萎れさせると、頬を真っ赤にさせる。
「オレってば、カカシ先生のこと好き。だから、カカシ先生の特別な好きになりたい。オレのことちゃんとみて…」
一世一時代の告白をして、ナルトは「誰よりも」と付け加える。
「………ごめん、ナルト。おまえがなんて言っているのか、オレにはよくわからない」
「―――っ!」
カカシは―――切なそうに、涙で潤んだ瞳。その表情はなんだろうと思う。少し前まで、喜怒しかなかった狐の子供が、瞳の縁に、透明な涙を溜めて何かを堪えるようにしていた。この不機嫌は、甘いお菓子を上げれば治るだろうか。
「もう、いい。オレってば今日はサスケの家に泊まるっ。カカシ先生は絶対ついて来るなよ!」
「は?」
「カカシ先生の、バーーーカ!!」
オレってばもうカカシ先生なんて知らないもんねー!という捨て台詞を残して、ナルトは去って行った。
「………」
呆然として残されたのは、カカシで、ナルトから飛び出した台詞にわけがわからなくなった。
「あいつ、サスケって言ったか…?」
ナルトが出て行った玄関の扉を呆然と見つつ、カカシはいつもの手癖で後頭部を困ったように掻く。そう言えば、数日前にナルトはサスケと随分仲良くしていなかっただろうか。あの時は、いつの間に仲良くなったのだろうと思っただけで止まったが。
「まさかね…」
今のカカシの気持ちを例えるなら背中に冷や汗が伝うような気持ちだ。
「まさかでしょ…」
あの子、まだちっさい子供だし…。
だけど、今のカカシの気持ちを例えるなら、大事な子が知らない男の家で一夜を明かすと知って呆然としている男の気分だ。
カカシ先生。ダッシュで追い掛けないと駄目だって。
18禁。
「無理ぃ、まだ入らないってばよぉっ」
「だーめ。ほら、もっと入るでしょ。ほら、柔らかい…」
「んんんぅ。あぁ、いやぁっ!」
ぬるんっとした感触と共にカカシのペニスが入って来た。最初の出っ張りを飲み込み、勃起した大人のペニスはナルトの身動きを封じた。
「いやぁ、待って。海水が一緒に入って来ちゃうってばっ」
ちゃぷちゃぷと、二人の膝と太ももに波が寄せては返す。カカシのペニスを咥えて拡がった結合部から、海水が今にも侵入しそうだった。
「先生の身体、火照っちゃったって言ったでしょ。ナルトの中で冷ましてね」
「いやぁあ、冷たっ、熱いってばぁ」
カカシに尻を穿たれながら、ナルトは涙混じりに訴え掛けるものの、それは大人の情欲を煽っただけで終わった。ナルトの中でぐんっとカカシの性器が成長する。
「大丈夫だよ。ナルト。海水には殺菌効果があるだから」
「あぅんっ、あぅっ、ああ…っ」
「海水浴ってっね、昔から大名が医者に診断されて療養のために訪れたりするくらいで」
「あっ!あんっ!!あああっ!!」
カカシは教師らしい口調で優しくナルトの耳元に囁くが、ナルトはカカシが動くたびに頭を激しく振り乱していた。パラパラと金糸から汗とも海水とも知れぬ水滴が飛び散った。
「ほら。逃げないで、こっちにおいで?」
カカシは引き腰になるナルトの腰元を掴むと、結合部を深くした。
「はぁっ、あうっ、んんんう…!」
「――んんっ。久しぶりだからかなぁ。根元までは入らないねぇ。痛い?」
そうは言いながらもカカシは、ぐっ、ぐっ、ぐっ、とナルトの内部を押すものだから、ナルトから悲鳴が上がった。
「ああっ、いやぁんっ」
「っ。気持ち良くなかった?あれだけじゃ慣らし足りなかったかなぁ?」
カカシはナルトのペニスを扱いながら、狭い後孔内に侵入を試みようとする。穿たれるたびに、侵入してくるカカシの先走りとそうではない液体が、堪らなく恐怖を煽った。それでなくとも、カカシのペニスが腸道を押し開く度、感じ過ぎて怖いというのに、自然と身体が強張ってしまう。
「あうんっ、あぅんっ、あっ!!」
しかし、直接、男の性感帯を擦られてはナルトも堪らない。ナルトはなんとかカカシの突き上げから逃げようとするが、海水パンツが足に絡んで自由が利かないらしい。
「お、おしこんじゃだめだってばぁ…!」
ナルトは、背後を振り返りカカシをどかそうとしたが、無理な問題だった。
「ん。そんな勿体ないことできないからねっ?」
「ひぁああっ」
「ほぉら、奥まで届いた」
「あああんっ」
何度もペニスを扱われ、ナルトの身体の力が弛んだ瞬間にカカシはナルトの最奥へと侵入を果たした。
「はっ、はぅ。ああぅん…っ」
「…ふぅ。―――んっ」
「あーっ」
位置を収まり良くするために、カカシが一度ぶるりと揺さ振ると、悲鳴と同時にブルブルとナルトが震えた。どうやら、達したらしい。小動物のように小刻みな痙攣の後、ハァハァ、と涙混じりにナルトが視線を彷徨わせていると、教師に耳元でいやらしく囁かれた。
「もう、お漏らししちゃったの?」
「……!」
「そんなに先生のペニスが美味しかったんだ?海に混じっちゃってわかんなかったけど、気持ち良かった?」
恥辱で、ナルトの耳が真っ赤に染まる。少年は、まだ幹が己の中に入っていることも忘れて、大人を叩こうとするが、その手はいとも簡単に岩壁に押さえ付けられた。
「次は、オレのことを気持ち良くしてね?」
「え、あ…っ」
「はぁっ、―――いくよ」
次の瞬間、ナルトは酩酊感を感じた。まるで、長期任務後のセックスのように、カカシが激しく自分を求めて来たからだ。ひぃひぃ啜り啼き、喘いだ。ここが海の中だなんて忘れた。
「あっ、あっ、あぁっ!」
ナルトは必死に岩にしがみ付いて、背後からカカシの熱い棒を受け入れる。内臓を押し上げられ、ガンガンと突き上げられる感触にナルトは唇を噛んだ。
「あーっ、あーっ、あー」
「はぁ…。おまえのナカ、気持ち良いねぇ」
上からカカシに見下ろされる。カカシは、ナルトの尻孔を抱えて、尻たぶに自分の性器を挟んで出し入れする時にしごいているようだった。
「あー、あー…」
「お尻の中、1回出したからぬるぬるしてるの、わかる?」
「んんんっ」
やがて、カカシのペニスがナルトの中で震える。大量の熱が放出され、ナルトは精液が自分の身の内を満たすのを感じた。
「んやぁ……」
「ふー……」
カカシは額に掻いた汗を拭いながら、もう何度かナルトの中を揺する。まだカカシのペニスは勃起したままだった。
「カカシ先生の、まだ硬いってばっ?」
「んー。1回出したくらいじゃ収まりそうにないしね…」
尻たぶを左右に開かれ、尻の窄みを見詰められる。
「カカシ先生…?」
ペニスをヌー…と抜かれて、半分ほど出されたところで視線を感じた。
「なんだってば…?」
「………」
「あぁーっ」
ギリギリまで引き抜かれて一気に挿入された。ぱちゅん、ぱちゅんと、精液の音が岩場に響く。
「おまえの…、が、オレを美味しそうに咥えてるの、全部丸見え」
「……!?」
「ほら、こうやって出すとぉ…」
カカシがペニスを切っ先まで引き抜くと、ぶるぶるとナルトの太ももが震え出す。紅く熟れた蕾は、内部のカカシを引きとめるように捲れていた。
「ふふふ。本当にナルトのここは女の子みたいだね」
「だっ、れが…っ」
「うん。オレのせいだねぇ…」
くぷぷ、とカカシのペニスが、ナルトの奥深くに挿し込まれる。カカシがナルトを背中から抱き締めると、ナルトが腕の中で震えていた。
「ナルトは男の子なのに、オレのために変わってくれたんだもんねぇ」
「ふや、ぁ、ぁっ」
「綺麗に育っちゃって…。あんまり他の男には目を付けられないようにしてよ…?」
カカシはナルトの腰骨をなぞると、桜色に染まった耳朶にキスを落とした。
「……っカカシ先生だけ…」
ナルトが涙目で見上げると、背後のカカシが息を呑んだ。
「二人で陽に焼けちゃいそうだね…?」
低い声で囁かれ、ナルトはぎゅっと瞳を閉じた。中の雄を締め付けてしまったことに後悔しながら。
「ナルトくん、どこに行ったのかしら?」
二人が居る海岸より大分離れた所で、ヒナタが飲料水の缶を持ってナルトを探していた。しかし意中の人物は今恋人である教師とセックス中だ。見つかる筈もない。
「一緒に海で泳ぎたかったんだけどな…」
呟いた少女のささやかな願いは叶えられることがなかった。
「んーっ、んんーっ、んー!!」
背後からカカシに突かれながら、ナルトは口を大きな手で塞がれていた。
「ふゃ、なんれ、カカシ先生っ?」
「んー、もう行ったかな…?」
カカシは、きょろきょろと砂浜周辺を見回すと、「―――くっ」ナルトの中にまた精を放った。と、当時に、ナルトもカカシに口を片手で塞がれながら達した。熱い飛沫がナルトの中に流し込まれ、ごぷりと溢れた。
「ひ、く―――」
「おっと」
どうやらナルトも達したようだ。それと同時に少年は岩場に凭れ込み気絶した。
カカシは同時に気絶したナルトの膝に手を差し入れ抱き上げると、海から上がった。
「可愛くイケました―――っと」
柔らかな笑みを少年に落とすと、カカシは水滴の伝った頬を愛おしそうに撫ぜ、砂浜へと向かった。
「あ」
「あ」
その時。上忍としては有り得ないことではあるが、カカシは腕の中の少年に気を取られて教え子の気配を失念していた。砂浜を歩いていた春野サクラとの遭遇に、彼が大変気不味い汗を、春野サクラが青筋を立てたのは言うまでもない。
「だーめ。ほら、もっと入るでしょ。ほら、柔らかい…」
「んんんぅ。あぁ、いやぁっ!」
ぬるんっとした感触と共にカカシのペニスが入って来た。最初の出っ張りを飲み込み、勃起した大人のペニスはナルトの身動きを封じた。
「いやぁ、待って。海水が一緒に入って来ちゃうってばっ」
ちゃぷちゃぷと、二人の膝と太ももに波が寄せては返す。カカシのペニスを咥えて拡がった結合部から、海水が今にも侵入しそうだった。
「先生の身体、火照っちゃったって言ったでしょ。ナルトの中で冷ましてね」
「いやぁあ、冷たっ、熱いってばぁ」
カカシに尻を穿たれながら、ナルトは涙混じりに訴え掛けるものの、それは大人の情欲を煽っただけで終わった。ナルトの中でぐんっとカカシの性器が成長する。
「大丈夫だよ。ナルト。海水には殺菌効果があるだから」
「あぅんっ、あぅっ、ああ…っ」
「海水浴ってっね、昔から大名が医者に診断されて療養のために訪れたりするくらいで」
「あっ!あんっ!!あああっ!!」
カカシは教師らしい口調で優しくナルトの耳元に囁くが、ナルトはカカシが動くたびに頭を激しく振り乱していた。パラパラと金糸から汗とも海水とも知れぬ水滴が飛び散った。
「ほら。逃げないで、こっちにおいで?」
カカシは引き腰になるナルトの腰元を掴むと、結合部を深くした。
「はぁっ、あうっ、んんんう…!」
「――んんっ。久しぶりだからかなぁ。根元までは入らないねぇ。痛い?」
そうは言いながらもカカシは、ぐっ、ぐっ、ぐっ、とナルトの内部を押すものだから、ナルトから悲鳴が上がった。
「ああっ、いやぁんっ」
「っ。気持ち良くなかった?あれだけじゃ慣らし足りなかったかなぁ?」
カカシはナルトのペニスを扱いながら、狭い後孔内に侵入を試みようとする。穿たれるたびに、侵入してくるカカシの先走りとそうではない液体が、堪らなく恐怖を煽った。それでなくとも、カカシのペニスが腸道を押し開く度、感じ過ぎて怖いというのに、自然と身体が強張ってしまう。
「あうんっ、あぅんっ、あっ!!」
しかし、直接、男の性感帯を擦られてはナルトも堪らない。ナルトはなんとかカカシの突き上げから逃げようとするが、海水パンツが足に絡んで自由が利かないらしい。
「お、おしこんじゃだめだってばぁ…!」
ナルトは、背後を振り返りカカシをどかそうとしたが、無理な問題だった。
「ん。そんな勿体ないことできないからねっ?」
「ひぁああっ」
「ほぉら、奥まで届いた」
「あああんっ」
何度もペニスを扱われ、ナルトの身体の力が弛んだ瞬間にカカシはナルトの最奥へと侵入を果たした。
「はっ、はぅ。ああぅん…っ」
「…ふぅ。―――んっ」
「あーっ」
位置を収まり良くするために、カカシが一度ぶるりと揺さ振ると、悲鳴と同時にブルブルとナルトが震えた。どうやら、達したらしい。小動物のように小刻みな痙攣の後、ハァハァ、と涙混じりにナルトが視線を彷徨わせていると、教師に耳元でいやらしく囁かれた。
「もう、お漏らししちゃったの?」
「……!」
「そんなに先生のペニスが美味しかったんだ?海に混じっちゃってわかんなかったけど、気持ち良かった?」
恥辱で、ナルトの耳が真っ赤に染まる。少年は、まだ幹が己の中に入っていることも忘れて、大人を叩こうとするが、その手はいとも簡単に岩壁に押さえ付けられた。
「次は、オレのことを気持ち良くしてね?」
「え、あ…っ」
「はぁっ、―――いくよ」
次の瞬間、ナルトは酩酊感を感じた。まるで、長期任務後のセックスのように、カカシが激しく自分を求めて来たからだ。ひぃひぃ啜り啼き、喘いだ。ここが海の中だなんて忘れた。
「あっ、あっ、あぁっ!」
ナルトは必死に岩にしがみ付いて、背後からカカシの熱い棒を受け入れる。内臓を押し上げられ、ガンガンと突き上げられる感触にナルトは唇を噛んだ。
「あーっ、あーっ、あー」
「はぁ…。おまえのナカ、気持ち良いねぇ」
上からカカシに見下ろされる。カカシは、ナルトの尻孔を抱えて、尻たぶに自分の性器を挟んで出し入れする時にしごいているようだった。
「あー、あー…」
「お尻の中、1回出したからぬるぬるしてるの、わかる?」
「んんんっ」
やがて、カカシのペニスがナルトの中で震える。大量の熱が放出され、ナルトは精液が自分の身の内を満たすのを感じた。
「んやぁ……」
「ふー……」
カカシは額に掻いた汗を拭いながら、もう何度かナルトの中を揺する。まだカカシのペニスは勃起したままだった。
「カカシ先生の、まだ硬いってばっ?」
「んー。1回出したくらいじゃ収まりそうにないしね…」
尻たぶを左右に開かれ、尻の窄みを見詰められる。
「カカシ先生…?」
ペニスをヌー…と抜かれて、半分ほど出されたところで視線を感じた。
「なんだってば…?」
「………」
「あぁーっ」
ギリギリまで引き抜かれて一気に挿入された。ぱちゅん、ぱちゅんと、精液の音が岩場に響く。
「おまえの…、が、オレを美味しそうに咥えてるの、全部丸見え」
「……!?」
「ほら、こうやって出すとぉ…」
カカシがペニスを切っ先まで引き抜くと、ぶるぶるとナルトの太ももが震え出す。紅く熟れた蕾は、内部のカカシを引きとめるように捲れていた。
「ふふふ。本当にナルトのここは女の子みたいだね」
「だっ、れが…っ」
「うん。オレのせいだねぇ…」
くぷぷ、とカカシのペニスが、ナルトの奥深くに挿し込まれる。カカシがナルトを背中から抱き締めると、ナルトが腕の中で震えていた。
「ナルトは男の子なのに、オレのために変わってくれたんだもんねぇ」
「ふや、ぁ、ぁっ」
「綺麗に育っちゃって…。あんまり他の男には目を付けられないようにしてよ…?」
カカシはナルトの腰骨をなぞると、桜色に染まった耳朶にキスを落とした。
「……っカカシ先生だけ…」
ナルトが涙目で見上げると、背後のカカシが息を呑んだ。
「二人で陽に焼けちゃいそうだね…?」
低い声で囁かれ、ナルトはぎゅっと瞳を閉じた。中の雄を締め付けてしまったことに後悔しながら。
「ナルトくん、どこに行ったのかしら?」
二人が居る海岸より大分離れた所で、ヒナタが飲料水の缶を持ってナルトを探していた。しかし意中の人物は今恋人である教師とセックス中だ。見つかる筈もない。
「一緒に海で泳ぎたかったんだけどな…」
呟いた少女のささやかな願いは叶えられることがなかった。
「んーっ、んんーっ、んー!!」
背後からカカシに突かれながら、ナルトは口を大きな手で塞がれていた。
「ふゃ、なんれ、カカシ先生っ?」
「んー、もう行ったかな…?」
カカシは、きょろきょろと砂浜周辺を見回すと、「―――くっ」ナルトの中にまた精を放った。と、当時に、ナルトもカカシに口を片手で塞がれながら達した。熱い飛沫がナルトの中に流し込まれ、ごぷりと溢れた。
「ひ、く―――」
「おっと」
どうやらナルトも達したようだ。それと同時に少年は岩場に凭れ込み気絶した。
カカシは同時に気絶したナルトの膝に手を差し入れ抱き上げると、海から上がった。
「可愛くイケました―――っと」
柔らかな笑みを少年に落とすと、カカシは水滴の伝った頬を愛おしそうに撫ぜ、砂浜へと向かった。
「あ」
「あ」
その時。上忍としては有り得ないことではあるが、カカシは腕の中の少年に気を取られて教え子の気配を失念していた。砂浜を歩いていた春野サクラとの遭遇に、彼が大変気不味い汗を、春野サクラが青筋を立てたのは言うまでもない。
その後のサクラちゃんとカカシ先生な
悲劇的なおまけを書くかもしれない。
想像にお任せするかもしれない。
空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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猫耳探偵事務所
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
足跡