空気猫
空気猫
禍々しいチャクラの渦が空を赤く染めていた。全てを覆いつくす赤、赤、赤。暗部姿のオレが封印の森に向かって血眼に走っている。だが、駆けつけた時には全てが遅く。オレは自分の下に横たわった先生の亡骸を見下ろし、頭を抱え発狂した。
「―――うぁ、あ、 ぁ あ… っ」
大量の寝汗と共に悪夢から覚める。思わず混乱からベッドで暴れそうになるが、横から、にゅーと伸びてきた腕にパジャマを引っ張られ、オレは理性を取り戻した。
掴まれた腕の先に視線を上げると、金糸の青年がオレを心配そうに見つめている。どうやらオレはセックスした後にこの青年をベッドに引き摺り込んで、そのまま眠りに就いてしまったらしい。
掛け違いになったパジャマのボタン(おそらく、着る暇も与えずオレが抱き込んで眠ってしまったせいだろう)。そして、そこから覗く、陶器のような白い肌に、オレは何故か顔を赤くして視線を逸らしてしまう。
「カカシ先生。大丈夫だってば?」
「あ、あぁ…」
「悪い夢でも見たのかよ? 水、飲むか?」
オレが頷く前に青年は、下半身すっぽんぽんのままベッドから降りると、水の入ったコップをキッチンから運んできてくれる。
「一口でも飲んだら、少しは落ち着くってばよ…」
「ああ…。すまない」
背中に手を添えられ、コップが差し出される。一口水を飲むと、青年の言った通り気分が幾らか落ち着いた。
「もう大丈夫だよ。ナルト、悪かったね。少し、昔の夢を見ちゃってな」
「気にするなってばよ。オレってば、昔みたいにカカシ先生が、うなされてるから心配したってば。最近はなかったのに、やっぱり記憶を失くしたせいかもしれないな」
「昔?」
「オレが下忍の頃だけど。たまに…あ、もちろん野営の時とかだけどさ」
ナルトが早口で説明する。オレは未だ小刻みに震える手に視線を落として、拳を握り絞めた。自分の心を蝕み続ける過去が憎い。止まらぬ震えに苛立っていると、震える手の平にナルトの手が重ねられる。
「カカシ先生。一人で考え込まないで欲しいってば。オレで良かったらいつでも力になるから」
オレは、目を見開いて青年の手に目を落とす。驚くべきことに、手の震えが止まっていた。
「いや、あの、つまり、オレってばお世話になったカカシ先生の役に立ちたいだけであって…」
オレの視線に気付いたのか、ナルトは、ぱっと手を離してしまう。おそらくオレが、男に触られるのが嫌いだと思ったからだろう。しかし、――どうして離すのさ。と、つい睨んでしまった自分に更に驚いた。
「ま。気持ちだけは貰っておくよ。さっき、おまえがいてくれて助かったのは事実だし」
「本当だってば?よかった…。オレもよく怖い夢を見た時はよく飛び起きてたから、カカシ先生の気持ちがなんとなくわかるんってばよ」
ニシシ、とはにかんだように金髪の青年が笑う。
「おまえが?」
悪夢を見て飛び起きるとは掛け離れた青年に見えるが…。まぁ、大方、アカデミー生の頃に、お化けの夢を見たとかいうオチだろうか?
「あ、まてよ―――ということはまさか、さっきの方法はおまえが昔やってたこととか?」
「あ、いや、別にそういうわけじゃないけど。でも、落ち着いただろ?」
はー…。つまりオレはこいつがガキの頃と同じ対処をされたわけね。ま、いいけどさ。
「なぁ!なぁ!カカシ先生。夜も遅いし、もう寝ようってばよ。オレってば、明日任務だし」
「え。そうなの?」
ナルトに任務が入るのは、オレが療養生活に入ってから初めてだった。なんだか、ムッとしてしまっう。たった一日だろうが、青年が居ないということに。
「オレってばこれでも急成長中の忍―!西へ東へと引っ張りだこなんだってばよー!」
「………それっていいように使われているだけじゃないの?」
「んぎゃ。それは言わない約束だってばよ~。カカシ先生!」
オレは不機嫌になって、ベッドの中に青年を引きずり込む。腕の中のナルトがポカポカとオレを叩く素振りをしていたが、力が入ってないのでまったく痛くない。オレはそんな青年の可愛らしい所作に苦笑すると、青年を抱き込んで眠りに落ちた。青年の吐息が横にあると何故か酷く安心した。
今まで築いてきた足元が揺らぐような不安定な気持ち。
自分に何もない状態。なんて、不確かで心細いことか。記憶を失うなんて、馬鹿なこと、どうして仕出かしてしまったのだろう。
空
白
が
埋め ら
自分に何もない状態。なんて、不確かで心細いことか。記憶を失うなんて、馬鹿なこと、どうして仕出かしてしまったのだろう。
空
白
が
埋め ら
れな い。
キッチンの床で、犯した青年がぐったりと横たわっていた。冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと(拘りはないのだが、今のオレの同じものを飲んでいるようだ)、汗だくになった前髪を掻き上げる。寝室の時計を見ると、何時間にもに渡って青年を貪っていたらしい。己の精力に苦笑しつつ、部屋中に漂う二人分の精液の匂いに辟易する。
「ねぇ。仮にも上忍が、気絶してるわけじゃないだろ。起きてるなら、何か喋れよ」
「………」
「それじゃあ、自分でもさっぱり自分のことがわからない状態だから、オレのことを教えてくれる?」
暗闇に質問を投げかけると、セックスで掠れた青年の声が返ってきた。
「カカシ先生は今年で33歳。上忍で元上忍師で暗部の仕事もやってる。オレは19歳だってば」
「おまえの情報はいらないよ。って、おまえ。それで19歳?てっきり16、17歳かと思ったよ」
「余計なお世話だってばよ。どうせ、貧相で痩せっぽっちだってば!」
いや、そんなことは微塵も思っていない。確かに、肉付きの薄い身体は、薄っぺらだなぁとは思うが、そこそこ鍛えているようだし、青年特有のしなやかさは、損なわれていないだろう。
「どうして、オレに黙って抱かれた。誰にでも抱かれる淫乱ちゃんだってオチじゃないでしょ?」
「カカシ先生だから」
「〝それ〟が理由なのか?」
「うん」
青年は、緩慢な動作で床から上体を起こした。あれほど性を叩き付けた身体は、どうしてか、情交の痕一つなく、ただ、精液に濡れているだけだ。
「オレがおまえの師だからか…?師には逆らわないと?」
「………」
青年は答えない。代わりに、
「明日もカカシ先生の世話しにくる。いいってば?」
衣服一つ身に付けていないくせに、床に座り込んだまま、勝負するように睨みつけられた。その瞳の力強さに、オレは引き込まれそうになる。それはどんな任務でも死線でも経験したことのない、スリリングな…そう、自分が生きているのだと実感するような、旋律の戦慄きだった。この感情は何?
イライラとした。買い物に行くだけで、どうしてこんなに時間が掛かるんだ。
「ただいまってばぁ」
「―――遅い!」
ベッドに胡坐を掻いたまま、オレは帰ってきた相手を思わず怒鳴りつけてしまった。サンダルを玄関に散らばした金髪の青年が、きょとんとした顔でオレを覗き込んでいる。
「なんでもない。早く夕飯の支度をすれば?」
「…う、うん」
青年は不機嫌なオレにちらちらと視線を送りながら、訝しそうな表情のまま白い、簡単なデザインのエプロンを身に付ける。
「そのエプロンってオレの家にあったものか…?」
「おう。そうだってばよ。…――――あ、勝手に使っちゃってごめんってば」
「ソレ…誰、専用?オレのにしてはサイズが小さいし、オレの記憶にはないものだ」
「うぇ、あ、その、あぁ~」
ナルトが頭を抱えている。こいつを見ていると、いちいち行動がオーバーリアクションで退屈しない。
「なんで隠すの。特定のカノジョ、いるんでしょ。今のオレ。どんな子?」
ううう~、と何故か青年が耳朶を赤くする。やがて、幾分か躊躇った後。
「えっとなぁ…、カカシ先生はその子のことをよく〝可愛い〟って言ってるってばよ」
「ふぅん」
「あと〝元気過ぎてうるさい〟とか。〝一回でいいからオレより後に目を覚ましてくれ〟とか」
「……それ、本当に好きなの?」
「さ、さぁ。カカシ先生の、言ってたことだから、オレからはなんとも」
「はぁ。そうだよね。関係のないおまえに聞いてもしかたないっか」
「………」
ナルトが何か言いたそうにしている。なんだ?
「ところで、そのカノジョとやらは今はどこで何をしてるの。恋人が記憶喪失だっていうのにさぁ?」
〝オレ、会いたいんだけど〟と、暗に言う。すると、なぜかナルトの視線が泳ぎ出した。
「?」
「ど、どうしても、会いたいってば?」
ナルトが右に左に視線を動かしている。
「うーん……」
オレは考えているふりをする。いや、実際に半分くらいは真面目なのだが。
「だって、オレって結構理想高いわけよ。自分で言うのもなんだけど、それなりになんでも自分でできるし?一人で生きていけるし?そのオレに見初められた相手って気になるじゃない?」
「えっと。うー、うー、うー。カカシ先生のハードルは高いってばぁ…」
「おまえ。何、唸ってんの」
オレはきょとんとする。
「まさか、とんでもない醜女とか?」
「ま、まさか!うー、うー、うー、女っていうかぁ…なんていうかぁ…ごめんなさいってば」
がっくりとナルトが項垂れている。そんなナルトの様子を訝しく思いながらも、ああ、と謎が解けて了解する。本当に可愛いなぁ、とオレは思わずナルトを後ろから抱き締めてしまった。
「もちろん、おまえも可愛いと思うけどねぇ。オ・レ・は♪」
「―――っ。」
「とくにこの薄桃色の小さい耳、食べちゃいたい」
「変なことを耳元で囁くなぁ~~」
ナルトはからかうと面白い。初日のせいで、険悪になったかといえばそうではなく、むしろ一度抱いたことで青年に愛着が沸いたくらいだ。ギャーギャー騒ぐが、オレの手の平の上って感じだし、記憶はないが、生徒だとしたら結構可愛いほうかもしれない。
それに。どうやら、ナルトはオレのことを憎からず想ってくれているらしい。驚くべきことに、ソッチの意味で。てっきり黒鳥頭の青年とデキているのかと思えばそうではないらしく。だから、カノジョの話をするオレにナルトは落ち込んでしまったに違いないのだ、おそらく。本当に、可愛い青年だ。
あの日からオレは何度もお気に入りになったナルトの身体を抱いていた。ナルトもそれを拒みもしなかった。
「ナルトぉ。オレ、興奮しちゃった」
「まぁ~たぁ~~!?」
「ねぇ。カノジョに内緒で浮気しちゃおうか」
「うーうーうー。複雑だってばぁ…」
身体の具合も最高だし、いや、いや、と言いながらも、結構いうことをきいてくれる。そこは、ま!同じオトコだからかもしれないが、理解があるっていうのだろうか。とにかくナルトはオレにごく甘だった。
「明るくて恥ずかしいってばよ」なんて言うナルトの足を大きく開いて、青年の太股を肩に掛ける。
「行くよ?」と声を掛ければ、観念したのか、床に頬をくっつけて、堪える様がなんとも意地らしかった。
ぐぷぷ、と青年の中にオレのペニスが押し入る。異物感に震える華奢な身体に舌舐めずりして、その後、オレはたっぷりと時間をかけてナルトとのセックスに勤しんだ。
キッチンの床で、犯した青年がぐったりと横たわっていた。冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと(拘りはないのだが、今のオレの同じものを飲んでいるようだ)、汗だくになった前髪を掻き上げる。寝室の時計を見ると、何時間にもに渡って青年を貪っていたらしい。己の精力に苦笑しつつ、部屋中に漂う二人分の精液の匂いに辟易する。
「ねぇ。仮にも上忍が、気絶してるわけじゃないだろ。起きてるなら、何か喋れよ」
「………」
「それじゃあ、自分でもさっぱり自分のことがわからない状態だから、オレのことを教えてくれる?」
暗闇に質問を投げかけると、セックスで掠れた青年の声が返ってきた。
「カカシ先生は今年で33歳。上忍で元上忍師で暗部の仕事もやってる。オレは19歳だってば」
「おまえの情報はいらないよ。って、おまえ。それで19歳?てっきり16、17歳かと思ったよ」
「余計なお世話だってばよ。どうせ、貧相で痩せっぽっちだってば!」
いや、そんなことは微塵も思っていない。確かに、肉付きの薄い身体は、薄っぺらだなぁとは思うが、そこそこ鍛えているようだし、青年特有のしなやかさは、損なわれていないだろう。
「どうして、オレに黙って抱かれた。誰にでも抱かれる淫乱ちゃんだってオチじゃないでしょ?」
「カカシ先生だから」
「〝それ〟が理由なのか?」
「うん」
青年は、緩慢な動作で床から上体を起こした。あれほど性を叩き付けた身体は、どうしてか、情交の痕一つなく、ただ、精液に濡れているだけだ。
「オレがおまえの師だからか…?師には逆らわないと?」
「………」
青年は答えない。代わりに、
「明日もカカシ先生の世話しにくる。いいってば?」
衣服一つ身に付けていないくせに、床に座り込んだまま、勝負するように睨みつけられた。その瞳の力強さに、オレは引き込まれそうになる。それはどんな任務でも死線でも経験したことのない、スリリングな…そう、自分が生きているのだと実感するような、旋律の戦慄きだった。この感情は何?
イライラとした。買い物に行くだけで、どうしてこんなに時間が掛かるんだ。
「ただいまってばぁ」
「―――遅い!」
ベッドに胡坐を掻いたまま、オレは帰ってきた相手を思わず怒鳴りつけてしまった。サンダルを玄関に散らばした金髪の青年が、きょとんとした顔でオレを覗き込んでいる。
「なんでもない。早く夕飯の支度をすれば?」
「…う、うん」
青年は不機嫌なオレにちらちらと視線を送りながら、訝しそうな表情のまま白い、簡単なデザインのエプロンを身に付ける。
「そのエプロンってオレの家にあったものか…?」
「おう。そうだってばよ。…――――あ、勝手に使っちゃってごめんってば」
「ソレ…誰、専用?オレのにしてはサイズが小さいし、オレの記憶にはないものだ」
「うぇ、あ、その、あぁ~」
ナルトが頭を抱えている。こいつを見ていると、いちいち行動がオーバーリアクションで退屈しない。
「なんで隠すの。特定のカノジョ、いるんでしょ。今のオレ。どんな子?」
ううう~、と何故か青年が耳朶を赤くする。やがて、幾分か躊躇った後。
「えっとなぁ…、カカシ先生はその子のことをよく〝可愛い〟って言ってるってばよ」
「ふぅん」
「あと〝元気過ぎてうるさい〟とか。〝一回でいいからオレより後に目を覚ましてくれ〟とか」
「……それ、本当に好きなの?」
「さ、さぁ。カカシ先生の、言ってたことだから、オレからはなんとも」
「はぁ。そうだよね。関係のないおまえに聞いてもしかたないっか」
「………」
ナルトが何か言いたそうにしている。なんだ?
「ところで、そのカノジョとやらは今はどこで何をしてるの。恋人が記憶喪失だっていうのにさぁ?」
〝オレ、会いたいんだけど〟と、暗に言う。すると、なぜかナルトの視線が泳ぎ出した。
「?」
「ど、どうしても、会いたいってば?」
ナルトが右に左に視線を動かしている。
「うーん……」
オレは考えているふりをする。いや、実際に半分くらいは真面目なのだが。
「だって、オレって結構理想高いわけよ。自分で言うのもなんだけど、それなりになんでも自分でできるし?一人で生きていけるし?そのオレに見初められた相手って気になるじゃない?」
「えっと。うー、うー、うー。カカシ先生のハードルは高いってばぁ…」
「おまえ。何、唸ってんの」
オレはきょとんとする。
「まさか、とんでもない醜女とか?」
「ま、まさか!うー、うー、うー、女っていうかぁ…なんていうかぁ…ごめんなさいってば」
がっくりとナルトが項垂れている。そんなナルトの様子を訝しく思いながらも、ああ、と謎が解けて了解する。本当に可愛いなぁ、とオレは思わずナルトを後ろから抱き締めてしまった。
「もちろん、おまえも可愛いと思うけどねぇ。オ・レ・は♪」
「―――っ。」
「とくにこの薄桃色の小さい耳、食べちゃいたい」
「変なことを耳元で囁くなぁ~~」
ナルトはからかうと面白い。初日のせいで、険悪になったかといえばそうではなく、むしろ一度抱いたことで青年に愛着が沸いたくらいだ。ギャーギャー騒ぐが、オレの手の平の上って感じだし、記憶はないが、生徒だとしたら結構可愛いほうかもしれない。
それに。どうやら、ナルトはオレのことを憎からず想ってくれているらしい。驚くべきことに、ソッチの意味で。てっきり黒鳥頭の青年とデキているのかと思えばそうではないらしく。だから、カノジョの話をするオレにナルトは落ち込んでしまったに違いないのだ、おそらく。本当に、可愛い青年だ。
あの日からオレは何度もお気に入りになったナルトの身体を抱いていた。ナルトもそれを拒みもしなかった。
「ナルトぉ。オレ、興奮しちゃった」
「まぁ~たぁ~~!?」
「ねぇ。カノジョに内緒で浮気しちゃおうか」
「うーうーうー。複雑だってばぁ…」
身体の具合も最高だし、いや、いや、と言いながらも、結構いうことをきいてくれる。そこは、ま!同じオトコだからかもしれないが、理解があるっていうのだろうか。とにかくナルトはオレにごく甘だった。
「明るくて恥ずかしいってばよ」なんて言うナルトの足を大きく開いて、青年の太股を肩に掛ける。
「行くよ?」と声を掛ければ、観念したのか、床に頬をくっつけて、堪える様がなんとも意地らしかった。
ぐぷぷ、と青年の中にオレのペニスが押し入る。異物感に震える華奢な身体に舌舐めずりして、その後、オレはたっぷりと時間をかけてナルトとのセックスに勤しんだ。
R18
「カカシ先生が十代の頃から住む場所を変えてなくて良かったってばよ。ここ十何年の記憶がなくなっても、家のことは全然知らないわけじゃないじゃん?」
先程からオレの隣で、〝ナルト〟と名乗った青年がマシンガントークよろしく喋り倒している。はっきり言ってうるさいのが好きではないオレにとっては癪に障って仕方がない。仔犬のように懐いてくる仕草も好きになれなかった。
大体、女みたいに中性的な顔も気に食わないし、ボーイソプラノを少しだけ低くしたみたいに透き通った声も聞いていて落ち着かなかった。
「あのさぁ、おまえ―――」
「あ。上忍寮に着いたってばよ」
思いつく限りで最も酷い言葉を吐こうとした瞬間、青年からこれ以上ないほど綺麗な笑顔を向けられた。
「―――……」
自分の、訳のわからない感情に、酷く吐き気がした。
「カカシ先生の着替えはそこ。トイレは~、言わなくてもわかるだろ。他にわからねぇことあったらなんでも聞いてくれってばよ」
テキパキとした仕草で、ナルトがオレにパジャマやら下着やらの着替えを投げて寄こす。どうしてこいつはこんなにオレの世話に手慣れているのだろう。なんだか、オレよりも数倍オレを知っているというふうで気に食わなかった。
「カカシ先生。ベッドを整えておいたってばよ。あとは…」
「あのさぁ。おまえ、その〝先生〟って言うの止めてくれない。オレはおまえの先生じゃないし、なった覚えもない。それなのに〝せんせぇ〟〝せんせぇ〟言われたら調子が狂うんだけど?」
だから、苛立ち紛れに、八つ当たりと言えば八つ当たりなのだが、ついきつい口調が出てしまった。一時停止したみたいに、青年の動きが止まる。
「えっと。でも、他に先生のことをなんて呼べばいいってば?オレってばカカシ先生って以外の呼び方を知らないってば…」
本当は血の気が引いて立っているのもやっとなのに、精一杯笑顔を作っているんです、という表情。はっきり言えば?傷付きましたって。しかし、青年はにへりにへりと微笑むばかりで、調子が狂う。
それに。オレとしても、自分の部屋を見渡して、戸惑いを覚えていた。ここが自分の部屋だと言われても、あまりピンとこない。確かに、オレの記憶の中の通りの部屋ではあるが、微妙な差異を感じぜずにはいられなかった。
見知らぬ揃いのマグカップ、二組ワンセットの歯ブラシ、あちこちに知らない人物の私物と、二人分の枕と一枚の毛布。
「ここにはオレ以外の奴が住んでいるのか?」
「あ、それは…」
先程からオレの隣で、〝ナルト〟と名乗った青年がマシンガントークよろしく喋り倒している。はっきり言ってうるさいのが好きではないオレにとっては癪に障って仕方がない。仔犬のように懐いてくる仕草も好きになれなかった。
大体、女みたいに中性的な顔も気に食わないし、ボーイソプラノを少しだけ低くしたみたいに透き通った声も聞いていて落ち着かなかった。
「あのさぁ、おまえ―――」
「あ。上忍寮に着いたってばよ」
思いつく限りで最も酷い言葉を吐こうとした瞬間、青年からこれ以上ないほど綺麗な笑顔を向けられた。
「―――……」
自分の、訳のわからない感情に、酷く吐き気がした。
「カカシ先生の着替えはそこ。トイレは~、言わなくてもわかるだろ。他にわからねぇことあったらなんでも聞いてくれってばよ」
テキパキとした仕草で、ナルトがオレにパジャマやら下着やらの着替えを投げて寄こす。どうしてこいつはこんなにオレの世話に手慣れているのだろう。なんだか、オレよりも数倍オレを知っているというふうで気に食わなかった。
「カカシ先生。ベッドを整えておいたってばよ。あとは…」
「あのさぁ。おまえ、その〝先生〟って言うの止めてくれない。オレはおまえの先生じゃないし、なった覚えもない。それなのに〝せんせぇ〟〝せんせぇ〟言われたら調子が狂うんだけど?」
だから、苛立ち紛れに、八つ当たりと言えば八つ当たりなのだが、ついきつい口調が出てしまった。一時停止したみたいに、青年の動きが止まる。
「えっと。でも、他に先生のことをなんて呼べばいいってば?オレってばカカシ先生って以外の呼び方を知らないってば…」
本当は血の気が引いて立っているのもやっとなのに、精一杯笑顔を作っているんです、という表情。はっきり言えば?傷付きましたって。しかし、青年はにへりにへりと微笑むばかりで、調子が狂う。
それに。オレとしても、自分の部屋を見渡して、戸惑いを覚えていた。ここが自分の部屋だと言われても、あまりピンとこない。確かに、オレの記憶の中の通りの部屋ではあるが、微妙な差異を感じぜずにはいられなかった。
見知らぬ揃いのマグカップ、二組ワンセットの歯ブラシ、あちこちに知らない人物の私物と、二人分の枕と一枚の毛布。
「ここにはオレ以外の奴が住んでいるのか?」
「あ、それは…」
「オレが同棲?」
ありえるのか。否。オレは、己の居住空間に他者の気配があるだけで我慢できない人間なのだ。一夜限りの女や、遊女を抱く時だってけして自宅には呼ばず、女の家か、店でコトを済ませる。そんな自分が誰かとなんて生活ができるはずがない。もし、十数年後のオレが他人と何らかの意思を疎通して共同生活、又はそれに近い状態の暮らしを送っているとすれば、驚愕するべき事実だ。
「吐き気がするよ、まったく」
「え?」
オレの呟きは金髪の青年には聞き取れなかったようだ。きょとんとしたまぬけ面がなんとも憎々しかった。そのあともナルトとかいう青年は、どうしてここまでというほど甲斐甲斐しくオレの世話を焼いた。
「なぁ…。おまえってやけにこの家に詳しいな?」
「!!」
「普通、他人の家の棚の中まで把握しているか。よっぽど通い詰めてるか、好奇心旺盛じゃなきゃ、こうはいかないよなぁ?」
わざと聞こえが悪い隠喩を含ませて舌の上で転がせば、青年の耳が桜貝のように淡く染まった。しかし、嫌味を言ってるというのに、何故か青年が嬉しそうな表情をしているのが謎だった。
「オ、オレってば別に。その…」
モゴモゴと青年の声がやけに小さくなる。
「ふうん。ま、いいけど。コーヒー淹れてくれない?」
「お、おうっ」
パタパタとフローリングの床を素足で駆ける音を追い掛けながら、キッチンに立つ金髪の青年を見ていると、インスタントコーヒーの缶を戸棚からちょっとだけ背伸びをして取り出している。
「オレの家のコーヒーの場所、よくわかったねぇ?」
「!!」
寝室からキッチンまで、オレにとっては気配をけして一瞬で移動するなど、造作もないことだった。突然のオレの出現に、青年は明らかに驚いたようだ。それに不機嫌な顔にも。
「こんなところまで詳しいなんて幾らなんでも知り過ぎでしょ?」
「そ、それは。前に先生が出すのを見てただけで…っ」
「ふぅん。おまえ、この家によく来るんだ?生徒とはいえ、オトコを家に上げるなんてオレも随分と趣味が悪くなったね?」
「―――っ」
「あれ。何、泣きそうな顔になってンの?」
背後からぴったりと身体をくっつけたまま、顎をついと撫でてやれば、案外勝気そうな瞳で睨まれた。しかし、オレが色違い視線を注いでいると、途端に弱り切ったような、とろんとした眼差しに戻ってしまう。
「何、その媚びた目。おまえ、淫間専門の忍なわけ?病院でも、やけに男に愛想を振り撒いていたみたいだしさ?」
「何を。ち、ちが…っ!」
かっと青年の頬が紅潮する。青年の金糸の髪を、冗談半分に、女にやるよう梳くと、驚くほどサラサラとしていた。極上の絹糸のようだ。そう、まるでいつまでも触っていたくなるような…。
「おまえ。オトコのくせにやけにいい匂いがするよね」
「…!!」
「はちみつとか、甘ったるい砂糖菓子みたいな匂いがするよ」
青年のうなじに鼻先を寄せると、どうしてか、オレの性欲が昂ぶり出した。任務で抜いていなかったせいか?それとも先程、病院で青年たちの戯れを目撃してしまったせいだろうか?男同士とはいえ、性的な光景だったことには違いない。
性欲処理をしたいところだが、さて、どうしたものか、と思ったところで、良い考えが思い浮かんだ。まぁ、それはちょっとした好奇心だったし、あの鳥面の暗部に対する意趣返しだったかもしれない。――オレは人の忠告を聞いてやるほど人が良くないんだよ。それに、他人のモノって壊してやりたくなるでしょ?
「ねぇ。オレさ、退院したばっかりで溜まってるみたいなんだよね。おまえ、オトコだけどオンナの代わりに性欲処理の相手をしてよ?」
「えっ?あっ?」
オレの言葉に青年はかなり驚いた顔をした。当たり前だ。犯させろ、と言われたのだから。
「だ、だめだってばよ…っ」
「何。いっちょ前に拒む気?忍の世界では同性同士なんてよくあることでしょ。なぁ、サセろよ?」
「………っ」
「それともあの黒鳥頭に操を立ててるつもり?」
「ち、ちが…っ」
「そうなの。こだわりがないなら、いいでしょ…?ねぇ…?」
低音で耳元に囁けば、寒いのだろうか。金髪の青年が身震いしていた。そのまま、オレはキッチンの縁に両手を付く。青年の身体を反転させ、衣服越しに尻を掴めば、きゅっと青年の瞼が閉じられた。身体は強張ってはいるものの、抵抗らしい抵抗はされなかった。それどころか、逃げるべき相手であるはずのオレに縋るよう必死にしがみ付いてくる。もしかしてこの青年はとんでもないドベなのか。ま、それはともかく、あとは、呆気ないほど簡単だった。
「ほら。もう、こんなにいやらしい音がする」
「いやぁ…。だ、だめだってばよ。カカシせんせぇ…、カカシせんせぇ…っ!」
良心の呵責や遠慮はまるでなく?立ったまま、二本指で青年を責め立てる。〝せんせぇ〟と呼ばれることがこれほど倒錯的なことだとは思わなかった。これまでにないほど、オレの欲望は昂ぶり出す。
「ほら、きもちいいだろ。身体は正直だよ?」
ぬぷっ、ぬぷっ、と指を出し入れすると、いやらしく青年の内部が絡みついてきた。
「ふ、 あ、 あ 、 あ、ぁっ!」
そのうち青年の身体が、挿入のたびに空に撓る。暇潰しだと思っていた身体に、オレはのめり込んでいくことを抑えることができなかった。
「―――ち。」
舌打ちをして、青年を床に組み敷いた。場所はキッチンだが、そんなことは関係ない。青年は着膨れしているらしく、里指定のベストとアンダーを剥いでしまえば、女のより華奢な身体がオレの前に曝け出される。思わず、ごくんと喉が鳴った。
「随分と美味しそうじゃない?」
ひくん、と青年の身体が震える。
「何。想像して、期待してくれたの?」
金髪の青年を言葉でなじりながらも、桜色に色づいた突起から目を離すことができない。肌理の細かな肌といい、男の身体とは思えなかった。だからといって、女というわけでもないのだから、不思議だ。こいつに溺れる奴等の気持ちが少しわかる。
「この身体で、初めて、ってわけでもないようだし、手加減しなくていいよね?」
「やめ…」
「泣いても、ダーメ。オトコノコでしょ?」
いいこだねー、とくしゃくしゃと金糸を書き回してやれば、途端に碧い瞳が潤んで抵抗が止む。
「ふぅん。本当におまえ、オレの生徒なんだ?」
「………」
「生徒とヤるってどんな気持ちかなぁ?」
青年が何か言いたそうに口を開いたが、
「――――っひぁあぁああぁ!」
強引に、オレは青年の中に挿入を開始した。〝グギュウウ〟と締めつけるようでいて、しっとりと優しくオレのペニスを噛む。相当、調教されているか、仕込まれているのだろう、青年の内部は息を飲むほど気持ち良かった。
「――――くっ。」
まるで全身に吸いついてくるような感触だ。狭い内部に全て持っていかれそうになる。ありえるのか。否。オレは、己の居住空間に他者の気配があるだけで我慢できない人間なのだ。一夜限りの女や、遊女を抱く時だってけして自宅には呼ばず、女の家か、店でコトを済ませる。そんな自分が誰かとなんて生活ができるはずがない。もし、十数年後のオレが他人と何らかの意思を疎通して共同生活、又はそれに近い状態の暮らしを送っているとすれば、驚愕するべき事実だ。
「吐き気がするよ、まったく」
「え?」
オレの呟きは金髪の青年には聞き取れなかったようだ。きょとんとしたまぬけ面がなんとも憎々しかった。そのあともナルトとかいう青年は、どうしてここまでというほど甲斐甲斐しくオレの世話を焼いた。
「なぁ…。おまえってやけにこの家に詳しいな?」
「!!」
「普通、他人の家の棚の中まで把握しているか。よっぽど通い詰めてるか、好奇心旺盛じゃなきゃ、こうはいかないよなぁ?」
わざと聞こえが悪い隠喩を含ませて舌の上で転がせば、青年の耳が桜貝のように淡く染まった。しかし、嫌味を言ってるというのに、何故か青年が嬉しそうな表情をしているのが謎だった。
「オ、オレってば別に。その…」
モゴモゴと青年の声がやけに小さくなる。
「ふうん。ま、いいけど。コーヒー淹れてくれない?」
「お、おうっ」
パタパタとフローリングの床を素足で駆ける音を追い掛けながら、キッチンに立つ金髪の青年を見ていると、インスタントコーヒーの缶を戸棚からちょっとだけ背伸びをして取り出している。
「オレの家のコーヒーの場所、よくわかったねぇ?」
「!!」
寝室からキッチンまで、オレにとっては気配をけして一瞬で移動するなど、造作もないことだった。突然のオレの出現に、青年は明らかに驚いたようだ。それに不機嫌な顔にも。
「こんなところまで詳しいなんて幾らなんでも知り過ぎでしょ?」
「そ、それは。前に先生が出すのを見てただけで…っ」
「ふぅん。おまえ、この家によく来るんだ?生徒とはいえ、オトコを家に上げるなんてオレも随分と趣味が悪くなったね?」
「―――っ」
「あれ。何、泣きそうな顔になってンの?」
背後からぴったりと身体をくっつけたまま、顎をついと撫でてやれば、案外勝気そうな瞳で睨まれた。しかし、オレが色違い視線を注いでいると、途端に弱り切ったような、とろんとした眼差しに戻ってしまう。
「何、その媚びた目。おまえ、淫間専門の忍なわけ?病院でも、やけに男に愛想を振り撒いていたみたいだしさ?」
「何を。ち、ちが…っ!」
かっと青年の頬が紅潮する。青年の金糸の髪を、冗談半分に、女にやるよう梳くと、驚くほどサラサラとしていた。極上の絹糸のようだ。そう、まるでいつまでも触っていたくなるような…。
「おまえ。オトコのくせにやけにいい匂いがするよね」
「…!!」
「はちみつとか、甘ったるい砂糖菓子みたいな匂いがするよ」
青年のうなじに鼻先を寄せると、どうしてか、オレの性欲が昂ぶり出した。任務で抜いていなかったせいか?それとも先程、病院で青年たちの戯れを目撃してしまったせいだろうか?男同士とはいえ、性的な光景だったことには違いない。
性欲処理をしたいところだが、さて、どうしたものか、と思ったところで、良い考えが思い浮かんだ。まぁ、それはちょっとした好奇心だったし、あの鳥面の暗部に対する意趣返しだったかもしれない。――オレは人の忠告を聞いてやるほど人が良くないんだよ。それに、他人のモノって壊してやりたくなるでしょ?
「ねぇ。オレさ、退院したばっかりで溜まってるみたいなんだよね。おまえ、オトコだけどオンナの代わりに性欲処理の相手をしてよ?」
「えっ?あっ?」
オレの言葉に青年はかなり驚いた顔をした。当たり前だ。犯させろ、と言われたのだから。
「だ、だめだってばよ…っ」
「何。いっちょ前に拒む気?忍の世界では同性同士なんてよくあることでしょ。なぁ、サセろよ?」
「………っ」
「それともあの黒鳥頭に操を立ててるつもり?」
「ち、ちが…っ」
「そうなの。こだわりがないなら、いいでしょ…?ねぇ…?」
低音で耳元に囁けば、寒いのだろうか。金髪の青年が身震いしていた。そのまま、オレはキッチンの縁に両手を付く。青年の身体を反転させ、衣服越しに尻を掴めば、きゅっと青年の瞼が閉じられた。身体は強張ってはいるものの、抵抗らしい抵抗はされなかった。それどころか、逃げるべき相手であるはずのオレに縋るよう必死にしがみ付いてくる。もしかしてこの青年はとんでもないドベなのか。ま、それはともかく、あとは、呆気ないほど簡単だった。
「ほら。もう、こんなにいやらしい音がする」
「いやぁ…。だ、だめだってばよ。カカシせんせぇ…、カカシせんせぇ…っ!」
良心の呵責や遠慮はまるでなく?立ったまま、二本指で青年を責め立てる。〝せんせぇ〟と呼ばれることがこれほど倒錯的なことだとは思わなかった。これまでにないほど、オレの欲望は昂ぶり出す。
「ほら、きもちいいだろ。身体は正直だよ?」
ぬぷっ、ぬぷっ、と指を出し入れすると、いやらしく青年の内部が絡みついてきた。
「ふ、 あ、 あ 、 あ、ぁっ!」
そのうち青年の身体が、挿入のたびに空に撓る。暇潰しだと思っていた身体に、オレはのめり込んでいくことを抑えることができなかった。
「―――ち。」
舌打ちをして、青年を床に組み敷いた。場所はキッチンだが、そんなことは関係ない。青年は着膨れしているらしく、里指定のベストとアンダーを剥いでしまえば、女のより華奢な身体がオレの前に曝け出される。思わず、ごくんと喉が鳴った。
「随分と美味しそうじゃない?」
ひくん、と青年の身体が震える。
「何。想像して、期待してくれたの?」
金髪の青年を言葉でなじりながらも、桜色に色づいた突起から目を離すことができない。肌理の細かな肌といい、男の身体とは思えなかった。だからといって、女というわけでもないのだから、不思議だ。こいつに溺れる奴等の気持ちが少しわかる。
「この身体で、初めて、ってわけでもないようだし、手加減しなくていいよね?」
「やめ…」
「泣いても、ダーメ。オトコノコでしょ?」
いいこだねー、とくしゃくしゃと金糸を書き回してやれば、途端に碧い瞳が潤んで抵抗が止む。
「ふぅん。本当におまえ、オレの生徒なんだ?」
「………」
「生徒とヤるってどんな気持ちかなぁ?」
青年が何か言いたそうに口を開いたが、
「――――っひぁあぁああぁ!」
強引に、オレは青年の中に挿入を開始した。〝グギュウウ〟と締めつけるようでいて、しっとりと優しくオレのペニスを噛む。相当、調教されているか、仕込まれているのだろう、青年の内部は息を飲むほど気持ち良かった。
「――――くっ。」
「こんなに淫乱な身体、誰に仕込まれたの。男との経験、一回やニ回じゃないでしょ?」
「ふぁ…あぁ…」
「ねぇ、ギュウって絞めつけてみてよ。オレが出たり入ったりする時にさぁ…」
「ん、ん、んふ…っ」
「そう。そう。上手だねぇ?」
甘い声色を使ってやると、青年の内部が途端に締まる。ふと視線を下げれば、青年の中心で先っぽの赤い茎が透明な滴を零して震えていた。
「イヤラシイ奴だな。おまえ…」
耳元でなじると、青年は静かに啜り泣いているようだった。オレはラストスパートとばかりに青年の中に精液をぶち撒ける。キッチンに汗と精液と青年の金髪がパラパラと散らばった。
オトナルでカカシ記憶喪失もの。
はたけカカシは透明人間の夢を見るのか?
―はたけカカシの消失―
人間の記憶をよく箱や引き出しなんかに例える奴がいる。そいつらの話しによると、人間の頭の中にはたくさんの箱が引き出しに小分けにされて仕舞われているらしい。箱の中には、生れてから今まで貯蓄した記憶が入っていて、人は、必要な時にそれを引き出しから出すことが出来る。
普段、箱は施錠された状態で保管されているため、他人が開けることは出来ない。箱を開けるためには専用の鍵が必要で、鍵は箱の数だけあり、保管庫の主は鍵束の中から鍵穴に合う鍵を探さなければいけないのだ。
大抵、鍵はすぐに見つかるが、人によって、整理整頓の上手い奴、そうでない奴がいて、下手な奴は箱の順序がバラバラだったり、箱を開けるための鍵を何本か失くしてしまう。赤ん坊の頃の箱なんかはとくに下のほうに埋もれてしまっているうえ、大抵の奴は箱を開けるための鍵を失くしているので覗くことができない。極稀に全ての箱を開けることのできるマスターキーを持っている奴もいるらしいが、滅多にない例らしい。
そして、人間の中には時として、何かの拍子に鍵束ごと落としてしまう、うっかり者もいる。つまり、そいつはどの箱も開けれなくなる。箱は確かに存在するのに、何も記憶を引き出すことのできない状態に陥るのだ。
しかし、記憶を落し物扱いするなんてまったく失礼な話しだと思う。大事な記憶をポンポン落として堪るものか。そんなお手軽に、失くせるものではないだろう?
「記憶喪失だな」
それが、病院のパイプベッドの上で目覚めたオレに開口一番に告げられた診断結果だった。緑の半被を着た胸のデカい女の谷間を眺めてから、オレは視線を病室に移す。
「カカシ先生…。意識が戻ったってば…!?」
安っぽいパイプベッドの傍らで金髪碧眼の青年が、瞳に涙を浮かべていた。里指定の緑色のベストを両拳で握り締めているところを見ると、この里の忍なのだろう。忍のくせに簡単に涙を見せるなど、随分と愚かで浅はかな奴だと思った。
「どうやら、暗部入隊直後からここ数年ほどの記憶がすっぽり抜けているらしいな」
オレの頭には包帯が巻かれている。どうやら酷い怪我をしたらしいと納得した。
「おまえは隠密任務中に崖から落ちて頭部を負傷したんだよ。ツーマンセルを組んでいた暗部がおまえを里まで運んだ。私は五代目火影の綱手だ。まぁ、おまえが今覚えている時代より十数年後の火影ということになるな」
この女が何を言ってるかわからない。三代目火影はどうしたのだろう。これは何かの冗談か。それとも悪い夢なのか。夢ならどうか覚めてくれ。
冷や汗の伝いそうになったオレの手に熱い手の平が重ねられる。視線を上げれば、金髪の青年が居た。
「カカシ先生。本当にオレたちのことも忘れちゃったってば?」
カカシ先生? 不可思議な己の呼称に思わず眉間に皺が寄る。潤んだ碧い瞳に見詰られ、なんだか居心地の悪い気分になり、オレは視線を反らした。男のくせにこいつの頭はおかしいのか。突然、握られた手に瞠目して、オレは思わず青年の手を振り払った。
「あ。ごめんってば。カカシ先生。はは、そうだよな。オレのことも忘れてるんだもんな……」
金髪の青年はオレの態度に酷く傷付いたような表情をした。しかし、それも一瞬のことで「仕方ねぇってば」と、すぐ馬鹿みたいにへらへらと笑い出す。
年の頃は十代後半といったところだろうか。キラキラ光る金髪といい、なんだかどこかで嫌というほど見たことのある色彩だが、この名前も知らない青年はいったいどこの誰なのだろう。
そして、金髪のガキの背後には、従者か何かのように暗部面を被った黒髪の青年が控えていた。それも、面越しでもこちらを睨んでいるのがわかる。射抜くような視線に思わずオレは訝しんだ。
「そこのおまえ。オレに何か文句があるのか?」
暗部といえば、オレの後輩だろうか。それにしては不躾な態度だ。とは言っても、暗部に礼儀を弁える人間が居ることのほうが珍しいのだろうから、黒髪の態度はごく一般的だと言えるだろう。むしろオブサーバーなのは、忍のくせに気配がやけに騒がしい金髪のガキのほうだ。
「サスケ。なに、むっつりしてるんだってば。カカシ先生が驚いてるじゃんか!」
両手を腰に当てて、まるで聞き分けのない弟か何かを叱るような仕草の青年。黒髪の鳥面といえば、あからさまにそっぽを向いている。
「カカシ先生。サスケはいつもあんな感じだから気にすんなってば!」
満面の笑みを向けられても困る。そして、金髪の青年と黒髪の暗部はお互いに目が合った瞬間、ぷいっとしめし合わせたように視線を反らした。一見、不仲に見えるが案外、仲が良いのかもしれない。
「あいつらはおまえの教え子だよ。――あそこの黒髪の暗部がおまえとツーマンセルを組んでいた…とは言っても、今のおまえに言ったところでなんのことかわからないだろうがねぇ」
「一応、理解はしました。つまりオレは、任務中に負傷を追い、今まで忍として蓄積したデータを十年以上に渡って消失した。そのために、今後の任務に劣化や支障を来す可能性があるということですね」
「おい、おい。機械じゃないんだから、自分に対してそんな言い方はないんじゃないかい?」
「意味を計り兼ねます。任務達成以外に忍である私になんの価値があるというのですか?」
「はぁ。今のおまえと話していると別の意味で頭が痛くなりそうだよ。相変わらず人を選ぶというか、扱い辛いったら…」
「すいませんねぇ。平然としていますが、これでも見た目より余裕がないんすよ。混乱気味でしてね。で、貴方が――火影サマ?」
「ほほぅ。嫌味なところは健在とみた。だが、頭の回転の良さも残っていて何よりだ。いや、むしろ記憶を失くしたほうが忍としては頭の螺子が締まったかい?」
「それはどう言う意味ですか?」
「今のおまえに話したところで理解は出来んだろうな」
ふぅむと腕を組んだ妙齢の女性は、背中に賭けという字を背負っていた。まさかこの人は…、と噂に聞いたことのある伝説の三忍の一人をオレが思い浮かべたところで、
「ナルト」
「おう!」
「どうする。カカシの面倒はおまえが見るかい。それとも、このままここに入院させているかい。おまえが決めな」
女が呼んだのは先程の十代らしい金髪の青年だ。びっくりするほどくりっくりで大きな碧い瞳が、きょとんとこちらを見つめる。
「カカシ先生の面倒はオレが見るってば。先生も、病院より家に帰ったほうが、きっと落ち着くと思うってばよ」
おい、おい、勝手に決めないでくれよ。だけど、まぁこの場合は悪くない提案かもしれない。早くこの薬品臭い場所から退散願いたかったので、オレは金髪のガキの言葉に反論するのを止めにした。
―はたけカカシの消失―
人間の記憶をよく箱や引き出しなんかに例える奴がいる。そいつらの話しによると、人間の頭の中にはたくさんの箱が引き出しに小分けにされて仕舞われているらしい。箱の中には、生れてから今まで貯蓄した記憶が入っていて、人は、必要な時にそれを引き出しから出すことが出来る。
普段、箱は施錠された状態で保管されているため、他人が開けることは出来ない。箱を開けるためには専用の鍵が必要で、鍵は箱の数だけあり、保管庫の主は鍵束の中から鍵穴に合う鍵を探さなければいけないのだ。
大抵、鍵はすぐに見つかるが、人によって、整理整頓の上手い奴、そうでない奴がいて、下手な奴は箱の順序がバラバラだったり、箱を開けるための鍵を何本か失くしてしまう。赤ん坊の頃の箱なんかはとくに下のほうに埋もれてしまっているうえ、大抵の奴は箱を開けるための鍵を失くしているので覗くことができない。極稀に全ての箱を開けることのできるマスターキーを持っている奴もいるらしいが、滅多にない例らしい。
そして、人間の中には時として、何かの拍子に鍵束ごと落としてしまう、うっかり者もいる。つまり、そいつはどの箱も開けれなくなる。箱は確かに存在するのに、何も記憶を引き出すことのできない状態に陥るのだ。
しかし、記憶を落し物扱いするなんてまったく失礼な話しだと思う。大事な記憶をポンポン落として堪るものか。そんなお手軽に、失くせるものではないだろう?
「記憶喪失だな」
それが、病院のパイプベッドの上で目覚めたオレに開口一番に告げられた診断結果だった。緑の半被を着た胸のデカい女の谷間を眺めてから、オレは視線を病室に移す。
「カカシ先生…。意識が戻ったってば…!?」
安っぽいパイプベッドの傍らで金髪碧眼の青年が、瞳に涙を浮かべていた。里指定の緑色のベストを両拳で握り締めているところを見ると、この里の忍なのだろう。忍のくせに簡単に涙を見せるなど、随分と愚かで浅はかな奴だと思った。
「どうやら、暗部入隊直後からここ数年ほどの記憶がすっぽり抜けているらしいな」
オレの頭には包帯が巻かれている。どうやら酷い怪我をしたらしいと納得した。
「おまえは隠密任務中に崖から落ちて頭部を負傷したんだよ。ツーマンセルを組んでいた暗部がおまえを里まで運んだ。私は五代目火影の綱手だ。まぁ、おまえが今覚えている時代より十数年後の火影ということになるな」
この女が何を言ってるかわからない。三代目火影はどうしたのだろう。これは何かの冗談か。それとも悪い夢なのか。夢ならどうか覚めてくれ。
冷や汗の伝いそうになったオレの手に熱い手の平が重ねられる。視線を上げれば、金髪の青年が居た。
「カカシ先生。本当にオレたちのことも忘れちゃったってば?」
カカシ先生? 不可思議な己の呼称に思わず眉間に皺が寄る。潤んだ碧い瞳に見詰られ、なんだか居心地の悪い気分になり、オレは視線を反らした。男のくせにこいつの頭はおかしいのか。突然、握られた手に瞠目して、オレは思わず青年の手を振り払った。
「あ。ごめんってば。カカシ先生。はは、そうだよな。オレのことも忘れてるんだもんな……」
金髪の青年はオレの態度に酷く傷付いたような表情をした。しかし、それも一瞬のことで「仕方ねぇってば」と、すぐ馬鹿みたいにへらへらと笑い出す。
年の頃は十代後半といったところだろうか。キラキラ光る金髪といい、なんだかどこかで嫌というほど見たことのある色彩だが、この名前も知らない青年はいったいどこの誰なのだろう。
そして、金髪のガキの背後には、従者か何かのように暗部面を被った黒髪の青年が控えていた。それも、面越しでもこちらを睨んでいるのがわかる。射抜くような視線に思わずオレは訝しんだ。
「そこのおまえ。オレに何か文句があるのか?」
暗部といえば、オレの後輩だろうか。それにしては不躾な態度だ。とは言っても、暗部に礼儀を弁える人間が居ることのほうが珍しいのだろうから、黒髪の態度はごく一般的だと言えるだろう。むしろオブサーバーなのは、忍のくせに気配がやけに騒がしい金髪のガキのほうだ。
「サスケ。なに、むっつりしてるんだってば。カカシ先生が驚いてるじゃんか!」
両手を腰に当てて、まるで聞き分けのない弟か何かを叱るような仕草の青年。黒髪の鳥面といえば、あからさまにそっぽを向いている。
「カカシ先生。サスケはいつもあんな感じだから気にすんなってば!」
満面の笑みを向けられても困る。そして、金髪の青年と黒髪の暗部はお互いに目が合った瞬間、ぷいっとしめし合わせたように視線を反らした。一見、不仲に見えるが案外、仲が良いのかもしれない。
「あいつらはおまえの教え子だよ。――あそこの黒髪の暗部がおまえとツーマンセルを組んでいた…とは言っても、今のおまえに言ったところでなんのことかわからないだろうがねぇ」
「一応、理解はしました。つまりオレは、任務中に負傷を追い、今まで忍として蓄積したデータを十年以上に渡って消失した。そのために、今後の任務に劣化や支障を来す可能性があるということですね」
「おい、おい。機械じゃないんだから、自分に対してそんな言い方はないんじゃないかい?」
「意味を計り兼ねます。任務達成以外に忍である私になんの価値があるというのですか?」
「はぁ。今のおまえと話していると別の意味で頭が痛くなりそうだよ。相変わらず人を選ぶというか、扱い辛いったら…」
「すいませんねぇ。平然としていますが、これでも見た目より余裕がないんすよ。混乱気味でしてね。で、貴方が――火影サマ?」
「ほほぅ。嫌味なところは健在とみた。だが、頭の回転の良さも残っていて何よりだ。いや、むしろ記憶を失くしたほうが忍としては頭の螺子が締まったかい?」
「それはどう言う意味ですか?」
「今のおまえに話したところで理解は出来んだろうな」
ふぅむと腕を組んだ妙齢の女性は、背中に賭けという字を背負っていた。まさかこの人は…、と噂に聞いたことのある伝説の三忍の一人をオレが思い浮かべたところで、
「ナルト」
「おう!」
「どうする。カカシの面倒はおまえが見るかい。それとも、このままここに入院させているかい。おまえが決めな」
女が呼んだのは先程の十代らしい金髪の青年だ。びっくりするほどくりっくりで大きな碧い瞳が、きょとんとこちらを見つめる。
「カカシ先生の面倒はオレが見るってば。先生も、病院より家に帰ったほうが、きっと落ち着くと思うってばよ」
おい、おい、勝手に決めないでくれよ。だけど、まぁこの場合は悪くない提案かもしれない。早くこの薬品臭い場所から退散願いたかったので、オレは金髪のガキの言葉に反論するのを止めにした。
+ +
「――――おい」
女が去り、金髪の青年と退院の身支度をしていると、それまで病室の隅で置物のように控えていた暗部が口を開いた。
「何。やっぱりオレに何か言いたいことがあったわけ?」
オレが、飄々として応対すると鳥面の暗部は自分から話しかけたくせに何も応えない。割って入ったのは金髪の青年だった。
「サスケってばこれでも責任を感じてるんだってばよ。自分と組んでる時にカカシ先生が負傷したから」
「へぇ」
自惚れかも知れないが、オレと組むとなるとこの若さでこの暗部は相当の手練なのだろう。感心と共に、職業柄興味が沸く。
「で。用件は何。謝罪だったら、謝る必要はないね。任務中に負傷したのはオレの力が至らなかったせいだからな」
「いや、オレだってあんたに謝るつもりは毛頭ない」
「ほぉ?」
生意気な小僧に、オレは片眉を跳ね上げる。まるで、いつかの自分を見ているような既視感を感じた。もしかしたら、こいつはオレとよく似たタイプなのかもしれない。
「ただ、あんたに言いたいことが一つだけある。――こいつはオレのだからな、手ぇ出すなよ。いいか、ナルトは任務であんたの傍につくんだからな」
「んな…っ。サス…っ!」
「あんたはこれからナルトと療養に入るだろうがな。それだけは覚えておけ」
鳥面の青年は後ろから金髪の青年を羽交い絞めにして、暗部面を頭の上にズラす。現れたのは、鷹の目を思わせる双黒で、なかなか美麗な風貌の青年であった。
「だっ、ばっ、バカスケ!!いきなり、なに言ってるんだってばよ!!」
背後から回された腕に金髪の青年は耳まで真っ赤にして双黒の暗部に噛みついている。そして――。
「ウスラトンカチ。おまえは黙ってろ」
「んんん~~~っ」
なんとオレは生まれて初めて男同士のキスを見てしまった。華奢な青年同士とはいえ、なんとも気色が悪い。オレの目の前で、顔を赤くした金髪の青年が双黒の暗部に顎を持ち上げられ、もがいていた。
「………」
「――ふん。オレの邪魔しに入らないところを見ると、本当に記憶がないらしいな」
ぽかんとしているだけのオレの様子に、唇の端を拭った暗部は鳥面をまた装着しながらそんなことを言った。
「ぷはぁっ。サスケ。いきなり何するんだってばよ。おまえってば頭おかしいんじゃねぇの!?」
「ふん。ショック療法って奴だ。こいつのことだ。オレとおまえのキスシーンで記憶を思い出すかと思ってな」
「ふざけんな、オレ様がぁああっ」
ギャーギャーと騒ぎ出した(片一方だけだが)雛鳥たちにオレは呆れてしまう。
「カカシ先生。オレってばこいつとはなんっっっんでもねぇから!本っ当、なんでもねぇからな!」
金髪の青年がオレに向かって吠えるが、そんなことをオレに言われても困る。改めて、金髪の青年を見てみると、キラキラした金糸に、宝石みたいにピカピカした碧い瞳。輪郭はまだ甘く、肌はミルク色。身体つきは同年代の青年からみれば小ぶりなほうだろう。
「――――おい」
女が去り、金髪の青年と退院の身支度をしていると、それまで病室の隅で置物のように控えていた暗部が口を開いた。
「何。やっぱりオレに何か言いたいことがあったわけ?」
オレが、飄々として応対すると鳥面の暗部は自分から話しかけたくせに何も応えない。割って入ったのは金髪の青年だった。
「サスケってばこれでも責任を感じてるんだってばよ。自分と組んでる時にカカシ先生が負傷したから」
「へぇ」
自惚れかも知れないが、オレと組むとなるとこの若さでこの暗部は相当の手練なのだろう。感心と共に、職業柄興味が沸く。
「で。用件は何。謝罪だったら、謝る必要はないね。任務中に負傷したのはオレの力が至らなかったせいだからな」
「いや、オレだってあんたに謝るつもりは毛頭ない」
「ほぉ?」
生意気な小僧に、オレは片眉を跳ね上げる。まるで、いつかの自分を見ているような既視感を感じた。もしかしたら、こいつはオレとよく似たタイプなのかもしれない。
「ただ、あんたに言いたいことが一つだけある。――こいつはオレのだからな、手ぇ出すなよ。いいか、ナルトは任務であんたの傍につくんだからな」
「んな…っ。サス…っ!」
「あんたはこれからナルトと療養に入るだろうがな。それだけは覚えておけ」
鳥面の青年は後ろから金髪の青年を羽交い絞めにして、暗部面を頭の上にズラす。現れたのは、鷹の目を思わせる双黒で、なかなか美麗な風貌の青年であった。
「だっ、ばっ、バカスケ!!いきなり、なに言ってるんだってばよ!!」
背後から回された腕に金髪の青年は耳まで真っ赤にして双黒の暗部に噛みついている。そして――。
「ウスラトンカチ。おまえは黙ってろ」
「んんん~~~っ」
なんとオレは生まれて初めて男同士のキスを見てしまった。華奢な青年同士とはいえ、なんとも気色が悪い。オレの目の前で、顔を赤くした金髪の青年が双黒の暗部に顎を持ち上げられ、もがいていた。
「………」
「――ふん。オレの邪魔しに入らないところを見ると、本当に記憶がないらしいな」
ぽかんとしているだけのオレの様子に、唇の端を拭った暗部は鳥面をまた装着しながらそんなことを言った。
「ぷはぁっ。サスケ。いきなり何するんだってばよ。おまえってば頭おかしいんじゃねぇの!?」
「ふん。ショック療法って奴だ。こいつのことだ。オレとおまえのキスシーンで記憶を思い出すかと思ってな」
「ふざけんな、オレ様がぁああっ」
ギャーギャーと騒ぎ出した(片一方だけだが)雛鳥たちにオレは呆れてしまう。
「カカシ先生。オレってばこいつとはなんっっっんでもねぇから!本っ当、なんでもねぇからな!」
金髪の青年がオレに向かって吠えるが、そんなことをオレに言われても困る。改めて、金髪の青年を見てみると、キラキラした金糸に、宝石みたいにピカピカした碧い瞳。輪郭はまだ甘く、肌はミルク色。身体つきは同年代の青年からみれば小ぶりなほうだろう。
なるほどまぁ、女の役になりそうな要素はあるが、だからと言って、男同士でキスをするのを見て喜ぶ趣味はない。
「おまえら、男同士でそんなことやって気色悪くないのか…?」
「……っ!!」
オレが思わず吐いた台詞に、金髪の青年がかなり驚いた顔をしてこちらをみていた。鳥面の暗部が何か言いたそうに、一歩前に出たが、金髪の青年がそれを制す。
「サスケ。いいってば。おまえはもう仕事に戻れってばよ」
「おい。だが、ナルト…」
「いいんだってば。あとはオレに任せろってばよ。なっ!」
鳥面の暗部は青年に微笑まれると、まだニ、三言、文句を言いたそうではあったが、やがて壁の暗闇に音もなく消えた。あとに残ったのは記憶を失くして訳がわからないオレと、金髪の青年だった。
+ +
「おまえら、男同士でそんなことやって気色悪くないのか…?」
「……っ!!」
オレが思わず吐いた台詞に、金髪の青年がかなり驚いた顔をしてこちらをみていた。鳥面の暗部が何か言いたそうに、一歩前に出たが、金髪の青年がそれを制す。
「サスケ。いいってば。おまえはもう仕事に戻れってばよ」
「おい。だが、ナルト…」
「いいんだってば。あとはオレに任せろってばよ。なっ!」
鳥面の暗部は青年に微笑まれると、まだニ、三言、文句を言いたそうではあったが、やがて壁の暗闇に音もなく消えた。あとに残ったのは記憶を失くして訳がわからないオレと、金髪の青年だった。
+ +
「カカシ先生、荷物はもうねぇってば…?――って言っても任務先からここに来たんだモンな、見舞いの花くらいしか持つものはねぇよな」
「………」
金髪の青年は、ニシシと笑って、病室のドアを閉める。年下の青年だというのに、オレと言えばただ黙ってその後に着いていくしかできない。それが歯痒がった。
「おーい。ナルト」
廊下に出ると、後ろで黒髪を括った青年が居た。上忍らしき正装をしてはいるものの、全体的にかったるいという雰囲気が漂っている青年だった。
「シカマル。なんで病院にいるんだってば?」
「面倒くせぇが薬品の仕入れだっつぅの。小うるせぇ親父に頼まれてな」
「ははは。シカマルの父ちゃんってば、相変わらず息子使いがひでぇってばよ」
黒髪を括った青年と金髪の青年が廊下で立ち話を始めた。金髪の青年に微笑まれると、黒髪の頭の青年は満更でもなさそうな仕草で後頭部を掻いている。黒髪の青年はオレのほうにも会釈したが、記憶がないのでオレはどうすることもできない。
「カカシ先生。本当に記憶がないんだな」
「おう。そうなんだ。でも、きっと一時的なことだと思うってばよ」
「そうか。邪魔して悪かったな。じゃあ、またな。ナルト」
そのまま金と黒の青年は片手を上げてそれぞれの方向に歩き出したが、明らかに黒髪を括った青年はオレの前を歩く金髪の青年に想いを寄せているようだった。あの鳥面の暗部との間柄といい、青年のモテっぷりに驚いてしまう。
「あれは…?」
「オレと同期の奈良シカマルだってばよ。あったまの良い奴でさぁ、この間、暗号解読班から、上層部入りするって話。仲間内では大出世だってばよ」
「へぇ。おまえは?」
「オレはまだ新米上忍。へへへ、今はドベだけど、今にうずまきナルト列伝を木の葉中に轟かせてやるんだってば!」
オレは黙って青年を見る。
「ナルト。新しい茶が手に入ったのだが、うちに飲みに来ないか?」
「おい、うずまき。この間の任務、上出来だったぞ。ずずず」
「ナルトくん。人間関係について面白い本が手に入ったのですが…」
青年はどうやら人気者のようだ。その後も木の葉の名門一族と言われている白眼の青年やら、先程の黒髪の暗部といい会う人間会う人間が、全員が青年に惚れていることは、記憶を失くしわけがわからなくなっているオレでも明らかにわかった。
「おまえ。本当に、気持ち悪くないの?」
「へ…?」
「それともプライドがないとか?」
「???」
さらに驚くべきことは、金髪の青年が己に向けられているほとんどの好意に無頓着だということだ。あれほど多くの視線に気付いていないというのか。天然とも、まぬけとも言える青年の鈍さにオレは呆れてため息を吐いた。
お隣さんシリーズ。
終わったつもりでしたが、ネタが出来たので。ネタが去年風味なのはそうです、だらだら書いてたら時期を逃したのです。ナルトの言ってる事はセルフで「なーんちゃって」と付け足すこと推奨。
シュガー&スパイス
どうしてかな、最近世の中の事を怖いって思うようになってきたんだ。巷は今年の夏くらいから新政権誕生に沸いてるみたいだけど、オレの周りでは相変わらず変わり映えのしない生温い風しか吹いていない。ま、世間様で、不況、不況って、言っているわりに、いつも通りそこそこ平和ってこと。
テレビの中では、また偉い政治家のオッサンの秘書が首を吊って死んだらしいけど、どうして政治家の秘書や税理士の人って自殺したり、一家で行方不明になったりするんだろうな。不思議。あと「全部秘書がやりました」っていい加減聞き飽きたんだけど。
オレにしてみれば、報道の風向きこそ胡散臭い。偏った報道で、どちらかの味方をして、散々もて囃していた人をいとも簡単に引きずり下ろす。これでは、どっちが主権を握っちゃってるかわかったもんじゃない。
テレビというものは、ある程度、作る手側の都合の良いように選別された情報を流す媒体である事はオレもわかっている。誰かの手が加えられた時点で、それは100%生の声とは言えなくなるのだ。夕方のローカルニュースの街の人々の特集なんかでも、ええ~、そりゃないだろっていう極端な意見が取り上げられたりしている事もあるよな。それは一般的に言えば極端であったりして、またわかりやすくもある。しかし、作る側の都合の良い展開に持って行くために選別された意見であるともいえるのだ。オレは、むしろカットされた、人の意見を聞きたいんだけどな、我儘かな。
それをカカシ先生に言ったら「1人1人の意見を直に聞きたいって…おまえって王様みたいに面倒臭い考え方するね」だって。別に、そんなつもりはないんだけどさ。
でも、あったまの良いシカマルが言ってたけど、前に大国でテロが起きた時に、各国のニュースが国ごとにまったく違う報道をしていたんだって。国家間の外交的に戦争反対を強く言えず報道統制がされた国なんてものもあったりしたらしい。
自分で考える事が出来なくなる事が怖い。誰かの価値観に影響されて話すのって、簡単だけど流されちゃいけない気がする。自分の代わりに考えてくれる教師がいて、料理を用意してくれる料理人がいて、自分の代わりに思想を植え付けてくれる思想家がいる。それは、果たして人間として目覚めている状態だと言えるのだろうか。名前は忘れたけど、昔どこかの国で革命を起こした変な顔のオッサンが書いてた。その時代にんな事を言ったらそれこそ命が危なかったかもしれねぇのに、自分の意見を曲げなかったんだから、偉いよな。本の内容は恐ろしく難しくって意味は半分も理解出来なかったけど。
今日、近所のファーストフード店で、セールスマンのオッサンと、生活に疲れたって感じの化粧っけのない感じの女の人がオレの隣に座っていた。オレってば、人通りの多い外に出る時は大体ヘッドフォン着用が定番なんだけど、なんでか隣の会話が気になっちゃってさ、トレイを持って座る時そのスーツのオッサンにわけもなく睨まれたっていうのもあるんだけど、思わず聴き耳を立ててしまった。だって、あれはさ、後ろ暗いことしてる奴がコソコソしてる時の目だってばよ。買ったばかりの音楽雑誌に視線を落としながら、オレは気分は忍者よろしく諜報活動を開始した。(この間、進路希望調査書に〝忍者〟って書いたらイルカ先生に頭をぶったたかれたけどな)
女の人は、もうちょっと明るい色の服を着たり、暗い表情を止めたら、綺麗になるんだろうなぁっていう感じの人で、男のオレから見れば非常に惜しかった。
セールスマンの男の方は、顔は一般的に見て伊達男っていうの?合格点なんだろうけど、やたら胸元の開いたシャツを着た、オレから言わせれば下品な男。
で、セールスマンのおっちゃんが言うには次のような通りだった。すぐには効果が現れないけど、この化粧品は5年後、10年後に違いが現れます。外国ではすぐに広まりましたよ(だからなんだっつーの)。
私も本当に良い商品だと思っているから自信を持ってご紹介するんです。これを買わない人は馬鹿ですよ。今を逃すと、在庫切れになってしまうほどの人気商品です。とてもお買い得です。だけど、貴方には特別に破格の値段でご提供します。
その後も小1時間、よくもまぁペラペラ口が回るというものだ。そして、困った時はぜーんぶこちらに任せて頂ければ結構ですの決まり文句。
それだけで、女の人が安心した顔になっちゃうんだから、ちょっと切ない。これって、傍目から見れば悪徳商法の定番の話術。
本当、マニュアル通りって感じで感心しちゃうってばよ。こんな安っぽい手口、オレでも知ってる。その女の人だって、テレビとか本でもなんでもいい、知ってるはずだろ?
そんなのに引っかかる奴なんているのかよー…と思ったら、目の前の女の人は熱心に男の話を聞いてるんだ。
世の中、不思議だよな。その女の人の目は盲目的に何かを信じるもののそれだった。ええと、オレが聞き齧ったところではその商品って届いて、試用期間が2、3カ月なんだろ?クーリングオフ期間が勝手に過ぎるってカラクリじゃん!あわわわ、そんなわけでオレってば音楽雑誌を片手に思わず席から立ち上がってしまったのだ。ご愁傷様。
「オレは、正義のためを思って行動したんだってばよ」
「そうですねぇ」
「なのにさ、女の人には泣いて喚かれるし、男にはキレられるし、すげー理不尽」
「そりゃ、その女の人もおまえみたいな金髪男子高校生に詰め寄られたら怖いでしょ」
「むうううう、見掛けだけで判断されるのかよ」
「まぁ、外見って一番わかりやすい判断基準だからな」
そうか。それならアンタもオレを見掛けだけで判断して付き合ったんだなー、とオレはオレの隣でパソコンと共に涼しい顔をして座ってるはたけカカシに殺人光線を送る。
大体、カカシ先生が待ち合わせの時間に2時間も遅刻してくるから悪いんだ。オレってばツーンとしてしまった。
「カカシ先生と話していてもつまんねえってば。ぜーんぶ〝大人の答え〟って感じでさ」
「それなら、キバくんとかに話をすればいいでしょ。頷いてくれるんじゃない?」
「………」
オレは、ファーストフード店のテーブルの上に顎を載っけてぶすムクれてしまった。…別に、そんなに突き離さなくてもいいじゃんか。
「なぁ、カカシ先生って本当にオレのこと好きなのかよ」
「好きだよー」
「大切だったりする?」
「大切、大切」
そういうことは、ちゃんとこっちを見て言え。オレが話しているというのに、カカシ先生といえば見慣れない眼鏡なんて掛けて先程からパソコンの画面を見てばっかなのだ。
「う~~~…」
オレは主人に素っ気なくされた犬よろしくいじけて唸ってしまった。パソコンの画面を見るより、近くに居る恋人のオレを見てくれてもいいじゃないか。バカ野郎。電気オタク。もうパソコンと結婚してしまえばいいんだ。
「カカシ先生のばかーーー」
「うわ。おまえ、なに一人で爆発してるの…っ」
ファーストフード店のボックス席から立ち上がると、やっと色違いの瞳がこちらを見てくれた。
「あのねぇ。落ち着きなさい、ナルト。オレは何もおまえのことがどうでもよくて、冷たい態度をとってたわけじゃないよ?」
「っ?」
「オレだってそれなりに怒ってる」
なんだと。どこまでも身勝手男めー、と再び反旗を翻してオレが腕を捲り上げようとしたら、カカシ先生が結構深刻な表情でぽつりと呟いた。その顔はちょっといやかなり怒っていた。
「オレが来なかったら、おまえが殴られてた」
カカシ先生の言葉にオレってば動きを止めてしまった。ファーストフード店の雑音がやけに大きく聞こえるようになった気がする。
「嫌な言い方をするようだけど、なんの縁も所縁もない通りすがりの女のせいで、オレの大事な子が危ない目に遭うところだった」
「………」
「オレが、後でこの店に来る事がわかってるのに、そんな身勝手な行動をとったおまえに対して凄く怒ってる。オレは怪我をしたおまえなんて見たくない」
「そんなの、カカシ先生のオーボーだってば…」
「ああ、偏った意見である事は承知だよ。でも、許さない」
カカシ先生はまた冷静さを取り戻したらしく、温度があるんだかないんだかわからない視線をパソコンに向けたままだけど、公衆の面前でなかったらキスなんてものをされていたかもしれない。オレは捲り上げていた拳を力なく降ろした。
「オレは冷たいし、偏った人間だから、見知らぬ誰かのためにとか、おまえのように熱く行動は出来ない。手が届く範囲の、大切なものだけ守れれば万々歳かな、ってのがオレの信条でね」
「……おう」
「だから、周囲の事や、結果を顧みないおまえの行動に苛立ちを覚える時も確かにあるよ」
「……う、うん」
「でも、ま。それと同じくらい、おまえのそういう無茶なところとか、真っ直ぐなところが、オレにとっては眩しくもあることはまた事実でもあるわけだ」
すっかり落ち込んで溶けてしまったシェイクをストローで啜っていると、オレに殴りかかろうとした悪徳商法の男を見事に返り討ちにしてくれた大人は、ちょっと笑顔になってオレの頭をぽふんってした。
「今度の休み、旅行に行こうか?」
「マジ!?」
「ま、二泊三日の小旅行だけどねぇ~」
「行く、行く、行きますーーー!」
オレが周囲も気にせず、ガバっと抱きつくと、カカシ先生がオレごとくるんと一回転して、
「おい。こら、よせって」
と困り切った顔をしている。パソコンの画面を見ると旅行プランが載った情報サイトと、さっきのサラリーマンのおっちゃんが持っていた名刺の会社。あれ、カカシ先生ってば、もしかしていけないことしてた?
「……カカシセンセー、犯罪には手を染めるんじゃねぇってばよ?」
「さて、なんのことでしょうか。ナルトくん」
あーあ、いやだな。大人っていやだ。何もかも恰好良くてズルいんだ。だけど、速くオレはこの人に追い付きたいんだ。
+ +
あ、そういえばなんだか兄弟のせいで、この間サラリーマンがショック受けたんだって。へー、へー、ふーん。
「大体、好景気の頃に戻りたいにしたって、あれが元々規格外の世界だったんだよ。本当はカップラーメンしか作れない奴のテーブルの上に勝手に一流シェフが用意した豪華な料理が載っていたようなもん。そんなもんにいつまでも縋ってるから、足元の大事なものが疎かになっちゃったりするんだよな」
オレがペラペラ薄っぺらいことを喋ってると、
「でもさ、普通に暮らしてる人たちって、結構それぞれで幸せだったり、ちょっと不幸だったりするもんだって、オレは思うよ」
「それは…、オレもそう思うけど…」
やっぱりカカシ先生には敵いませんでした。店を出る時、隠れるようにコート越しのキス。
周りにリーマンショックをサラリーマンがショックを受けたと思ってた奴がいたという話。
まぁ、ある意味当たってる。けど…!けど……っ!!!
空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
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性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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