空気猫
空気猫
とくにお父さん方に右とか左とかないです。こういうテンションの人たちなんだな―と思って下さい。
はたけ家。風通しの良い和室の居間。丸テーブルを囲んで、四代目火影がニコニコと笑ってる。
「うん。サクモさんの顔は相変わらずすっっごくタイプだよ!」
四代目の問題発言に弟子カカシとその息子のナルトがぶばっと飲んでいたお茶を吹き出し、
「きみは昔から変わらないねぇ」とサクモが少し困ったような笑みを落としてる。
「一番はクシナさんですけどね~~。男では一番大好きですよ!!」
普通であったら恐ろしい愛の告白に聞こえてしまいそうなことをズバッという四代目。ははは…とサクモは背中をまるめで笑うばかりで、もそもそとお茶を啜っている。
(父さん。あんなこと言われてるのに抵抗なしですか!?)
(サクモさん。オレたちが、ま、守ってあげるってば!!)
いまいち反応の薄いサクモに対して、弟子とその息子のナルトは慌てるばかりで。黄色い閃光と、木の葉の白い牙のやりとりをあわあわと見守る。
「で、ナルトとカカシくんは、どういった関係なわけなのかな?」
そんな二人の様子に、今度は話しの水が向けられる。ニコニコと満面の笑みで笑う四代目の顔は笑っていたが、怖かった(カカシには)。
「え、えっと。こ、これはってば!その!」
「うん。うん。流石にオレの息子だよねぇ。悔しいけど、はたけ家の顔ってうちの家系のモロ好みの顔なんだよねぇ~」
「へ…?」
四代目の答えに、ナルトはぽかんと大きな口を開ける。
「へえ、そうなんですか?初耳ですよ、先生」
「そりゃ、カカシくんには言ったことなかったモン。師弟だし、変に誤解されちゃっても困るしね~」
(あ。一応、そういう自覚はあるんですか)
カカシが納得したのもつかの間。
「まぁ、オレは恩師の息子、それも教え子に手を出すなんて不貞なマネとてもじゃないけど出来なかったけどねぇええ~~…」
それこそ真夏の夜の怪談のように。怨嗟のような、声色で四代目が微笑んでいた。
その顔は、甘い顔立ちで現役時代は里のくの一たちをキャーキャー言わせていただけあってとても美しい。カカシも少年時代など、師に対して憧れめいた想いなどを抱き懸想した口ではあるが。
「やだなぁ、先生。愛に、年齢・性別・身分は関係ないんですよ~。これだからあの世帰りの古い人は頭が硬くて困るったら…」
「いやぁ~。カカシくん。オレは、人としての常識を説いているんだよ~?髪型と一緒に思考もズレてちゃったんじゃないの~?」
「ははは~…。それが愛弟子に向かって開口一番に言うことですか~」
「何を言うの、カカシくんったら。あの世から蘇えってみれば、可愛い~可愛い~息子にでっかい虫がついていて!!不肖の弟子に誑かされていると知った時の湧き上がる殺害衝動と言ったら…よく我慢している方だと思うよ~、オレは」
ふつふつと地獄の釜から湧き上がるマグマのような怒りを露わにして、四代目火影がバキボキなどと指の骨を鳴らしている。
「ミナトくん。〝誑かされている〟という言葉は聞き捨てならないね。それに〝でかい虫〟というもの少々…。カカシは、父の私の目から見ても立派な忍に成長したと思うし、ナルトさんのことも真剣に考えているよ。なぁ、そうだろ、カカシ」
「え、あ。父さん…。あ、ありがとう」
父サクモの言葉に感動したようにカカシが、目を見開き、サクモは真面目な顔のまま今度は隣のナルトに向き直る。
「ナルトさんさえ、良ければいつでもはたけ家の嫁に来て欲しい。我が家はきみを歓迎するよ?」
「サ、サクモ…さん」
サクモに両手を握られ、真摯な眼差しで見詰められ、ナルトは乙女のように頬を染める。
「オトウサンと呼んでくれて構わないと言ったはずだがね」
「あ。お、お義父さ…っ」
思わずカカシの父から投げかけられた嬉しい台詞に、ナルトが頷きそうになった時だった。
「だめ~っ。ナルトの父親はオレだけなんですーっ。いくらサクモさんでもそこは譲れませんよ~」
間に割って入ったのは駄々っ子のようにごねる波風ミナト。
「きみは…。昔から自分の大事なモノに対しては狭量な子だったね。少しは譲歩することも大切だと忠告したはずだが…?」
そうなんだ…と一見完璧そうに見える四代目の貴重な一面に、弟子とその息子が感心していると、ミナトが地団太を踏んでいた。とても…里の長となったものがやるような仕草ではない。
「サクモさん。オレはねぇ、カカシくんの男ぶりに文句があるわけじゃないんですよ。見ての通り貴方の才能を受け継いで、忍としても超一流ですし…。顔がいい男だってことも先述の通り認めます。ただ、オレが許せないのはですねぇ…」
はたけ邸に一時の静寂が訪れる。固唾を飲んで周囲が見守る中。
「オレのナルくんに手を出したってことです!!!!」
四代目火影の怒髪天。ミナトの言葉に「だから、きみは少し人の話を聞きなさい…」とサクモが、ため息を吐き、
湧き上がる黄色のチャクラに、カカシが上忍らしく身構える。
「父ちゃん、やめろってばよ~!!カカシ先生に何するんだってば!!」
螺旋丸を繰り出そうとした父の姿に、びっくりしたナルトが思わずカカシを庇いに入る。
「ナルト。どうして、お父さんの邪魔をするんだい!?」
「そりゃ、オレってばカカシ先生のこと、愛してるモン!!」
「!!!!!」
ナルトの告白に、カカシが大きく目を見開く。恥ずかしがり屋の青年は滅多なことがないと、そんなこと口にしてくれない。一瞬、彼の頭の上にリンゴーン、リンゴーンと幸福のベルが鳴り響く。きゅうと抱き締めれば、自分の懐にすっぽりと収まるジャストサイズ。そのうえ、青年特有のいい匂い。はぁ、幸せ…とカカシはナルトの首筋に顔を埋めながらため息を吐いた。
「カカシくん。うちの子から離れなさいっ!なにしてるの~~!!!」
四代目がまたしても螺旋丸を繰り出そうとすると、
「いくら父ちゃんでもこれ以上カカシ先生とかサクモさんに迷惑を掛けたら嫌いになるってば!!」
「ナ、ナルトぉ~」
大体、人様の家で螺旋丸をぶっ放そうとするなんて非常識だってばよ~~~!!とナルトはお怒りモード露わに、四代目を説教する。
「だって、ナルト。オレだってね、寂しかったんだよ。ナルトの隣、カカシくんにとられちゃったみたいで…」
「ナ、ナルトぉ~」
大体、人様の家で螺旋丸をぶっ放そうとするなんて非常識だってばよ~~~!!とナルトはお怒りモード露わに、四代目を説教する。
「だって、ナルト。オレだってね、寂しかったんだよ。ナルトの隣、カカシくんにとられちゃったみたいで…」
「そんなん、オレをおいてさっさと死んだ父ちゃんが悪いってば。オレがカカシ先生を大切にするのは当たり前だってばよ?」
「ナルト……!!!」
感極まったカカシがナルトを熱~く抱擁して、首筋に顔を埋める。
「だ、だめ。ナルト、すぐにその虫を避けなさい。ナルトには可愛いお嫁さんがきて、波風家の名字を継いでくれるんですーっ」
「オレの名字は〝うずまき〟だってば。波風なんて知らないってばよー!」
「そ、そんな。酷いよーーーナルトォぉおおーーーっ」
そんな親子の対決を後目に、柔らかいナルトの軟肌気持ちいい…、ハァハァとカカシのチャクラが目に見えて桃色になる。
「そんな変態のどこがいいの、ナルト!?おまえが引っ付けてるのただのオッサンだからね!!目を覚ましなさい~~~!!!」
庭の草花が綺麗な長閑な和式造りの屋敷に、四代目の怒号が響いた。
「ナルト……!!!」
感極まったカカシがナルトを熱~く抱擁して、首筋に顔を埋める。
「だ、だめ。ナルト、すぐにその虫を避けなさい。ナルトには可愛いお嫁さんがきて、波風家の名字を継いでくれるんですーっ」
「オレの名字は〝うずまき〟だってば。波風なんて知らないってばよー!」
「そ、そんな。酷いよーーーナルトォぉおおーーーっ」
そんな親子の対決を後目に、柔らかいナルトの軟肌気持ちいい…、ハァハァとカカシのチャクラが目に見えて桃色になる。
「そんな変態のどこがいいの、ナルト!?おまえが引っ付けてるのただのオッサンだからね!!目を覚ましなさい~~~!!!」
庭の草花が綺麗な長閑な和式造りの屋敷に、四代目の怒号が響いた。
サクモさんは息子の可愛いお嫁さんに「お義父さん」と呼ばれるのが夢だったり。そしてクリーンヒットなナルトさん。そんなわけで是非、嫁に来て欲しいはたけ家。せっかく再会した息子を嫁に行かせたくないミナトさん。両家ともで可愛い子の取り合いです。
一般人からみたカカナル。オリジナル女性の一人称です。
或るОLの優雅ならざる1日の始まり
突然だが、寝坊をしたОLの朝は壮絶だ。洗濯籠に入ったままだった下着を探し出し、春めいたコーディネートに身を包み、ストッキングを履いて、慌てて口紅を引き5分で化粧を済ませる。そのまま、昨夜玄関に散ばしたままだったパンプスに足を引っ掻けた。
何年か前に買ったわりと気に入っているバックを肩に掛け、もうそろそろ月曜日の朝を廃止する法案を作って欲しい、と思いつつ今日も駆け足で出社する。
この春、思い切ってショートカットにしたばかりの髪の毛がすーすーして、少しばかり気になった。寝癖がついていないかも気になるところだが、今朝ばかりは妥協するしかないだろう。会社に行ってから、女子トイレの鏡の前で直すしかない。
近所のドラックストアで購入した完全栄養食品を口に放り込むと、昼食はこの間雑誌に載っていたフレンチがいいなぁなどと思いつつ、やたらと反響する安アパートの階段を駆け降りる。
大人になり、食べ物の好き嫌いに関して、怒られることがなくなると、好きなものだけを食べ、嫌いなものは手をつけないという、己の偏食は再び復活した。
それどころか、親元を離れて一人暮らしを始めると、怒られることがなくなったせいか、物心付いた頃から今までしつこく言いきかされたはずの、しつけは呆気なく崩壊してしまう始末だ。
例え、スナック菓子を食べて夕食が入らなくなろうが、お風呂上がりにパソコンの前でパンツ一丁の姿でネットショッピングをしようが、飲み会の後に「アンタ、誰」という名前も覚えていない男と一緒の布団で朝を迎えようが、まったく本人の自由意思なわけで、一般的な20代独身女性の品行方正などこのようなものだろう(たぶん)。
大人って素晴らしいなぁと自由を満喫する反面、最近では物寂しさを感じてしまう、そんな贅沢なこの頃である。まぁ、憂鬱なことと言えば、一つだけ。週明け仕事始めの朝である。
(サイアク。爪、せっかくネイルサロンで綺麗にしたばっかりなのに禿げちゃってる…)
平素なら、仕事の日は目覚まし時計の音が鳴る10分前には自然と起床出来る哀しき社会人の体内サイクルが習慣化していたというのに、本日は何故か、予定より30分も遅く起床してしまった。つまりは、前述の通り未曾有の寝坊事故だ。
実を言うと、昨夜のレストランで付き合って随分経つ恋人に「おまえ、実はオレのことを愛してないだろう」と言われた。なので、「今頃、気付いたの?」と目の前のフルコースのディナーを上品に平らげつつ驚いた顔で教えてあげたら、何故か別れを切り出された。
まぁ、そんな遅刻理由など上司に報告できるわけがないので、言い訳にもならないだろう。
(度量の狭いオトコだよなぁ…。なにも、あんなに怒ることないのに。せっかくのディナーが台無し)
そう言えば、会社の給湯室で、己の恋愛観がおかしい、と指摘されたことを思い出す。
「あんた、今までの彼氏とはどういうきっかけで付き合ったわけ?」
「食べ物をご馳走してくれたからだよ。だって、少なくともいい人だなぁ~って思えるじゃん?」
「ごめん…、あんたの判断基準が頭痛い。じゃあ、あんたって奢ってくれたら誰でもいいわけ?」
「誰でもいいわけじゃないわよ。ちゃんと選んでるわ、食べ物の質で」
「………」
同期の同僚に、真顔で言ったら何故か引かれた。ああ、でも近くに居た新人の男子社員が「それなら先輩、オレと飯行きませんか!?」と会話に乱入してきたのには驚いた。
確か、この春入社してきたばかりの新卒の子。自分にはない初々しさで、顔を真っ赤にさせちゃって可愛いなぁとは思った。だけど、はっきり言ってあんまりタイプじゃない。だって、大学を卒業したばかりの学生なんて、まずお金を持っていないでしょ。(なんと言うか、勢いだけって感じだし…)確かに、顔も悪くなく、性格も悪くないんだけどなぁって思うけど、異性としては、どうかな。可愛い、子犬ちゃんって感じを抜け出せないことを否めない。
それに、食事に行ったらよくて割り勘。下手したら先輩であるあたしが奢りよ?
〝奢り〟だとぅ?そんなもの、あたしの辞書には載ってない。
拳を握り、遅刻に急ぎつつもゴミステーションに寄って、先週から出しそびれていたゴミを捨て、ふと自分のアパートを振り仰ぐと、
「ぶっ…」
危うく完全栄養食品で有名な朝食を吹き出しそうになってしまう。何故かと言えば、男同士のキスの現場を目撃してしまったから。
(うっそ。本物って初めてみちゃった…)
それも、あれは確かお隣の、名前はなんて言ったっけ。うずまきナルトくん?引っ越しの挨拶を、わざわざしてきた今時珍しい現代っ子だ。やたらと派手な雰囲気の髪色だったわりには礼儀正しい印象だったから、よく覚えている。確か高校生で、一人暮らし。たまに、朝にすれ違ったりする時、挨拶などもするので、密かにあたしの中では好印象な子。
(あ…、可愛い)
普段はオトコノコ、オトコノコしているくせに、恋人らしき相手の男に、キスをされた後、はにかんだように笑う姿が、とても綺麗だった。
(お相手は謎の銀髪の男っと)
めもめも、ってどこにメモすんじゃい、とコンマ数秒の自分ツッコミしつつ、ついつい急ぎ足を止めてしまう。
(お。結構、いい男じゃない。年恰好から見るに年上かしらぁ…。うずまきくんってば、なかなかやるじゃん)
抱き合う銀と金を前に完全栄養食品を咥えつつ、
(うーん、少年よ。その歳にして随分難儀な恋に落ちたものですね。いやいや、お姉さんは応援しますよ。なにしろ、お姉さんは自由恋愛主義者ですからね)
ついでに、飽食主義者なのです、とヒールをアスファルトの地面に叩き付ける。
(大事にされてるんだなぁ…)
頬を撫ぜられて、きゅうっと目を細めている顔。愛されると人間とは心身共に美しくなるのだ、とこの春電撃入籍をした知人が言っていた気がする。
(うーん。朝から、見せつけられてしまった気分ですよ)
思わず、自分の半生の恋愛遍歴というものを思わず振り返ってみる。…食に彩られた戦歴ともいう。自分の中での絶対的な価値観をブレることなく、貫き通して来たと思うが、その代わり二十代の半ばにもなっていると言うのに、誰かをきちんと好きになって、というようなまともな恋愛はしていなかったかもしれない。
そもそもそういった感情に興味はなかった。おいしいものをご馳走してくれるなら、付き合ってもいいかな、というお手軽な恋愛観。
だから、続かない。奢ってもらえれば誰でもいい。人の中身なんて見て来なかった。
(こういう自分、結構気に入ってたのになぁ。なんだかアテられちゃったなぁ…)
〝先輩!〟と叫んだ新入社員くん。そろそろ、本気で恋をするべきかしら?割り勘か、下手すればこちらが奢り。そんな誘いにノる女じゃないって、いうのが昨日までの(つい今朝までの?)あたし。年を重ねるにつれて、高く、高く、頑なになった、あたしの、ぽりしぃ。
とりあえずは、新しい定規で男を見る目を養ってみますか。この歳になってそれはきっついなぁ、と思う反面、今までの勉強不足が祟っただけなのだと拳を落とされた気分。
まぁ、新しい自分出発記念に、あの新人くんの夕食の誘いにのってやらないこともないかな、と思い直す社会人うん年目の春。そんな或るОLの優雅ならざる朝の始まりである。
つまりはカカシさんはにゃるとさんの家にお泊りしてたようです良かったねという話を書きたかっただけです。
突然だが、寝坊をしたОLの朝は壮絶だ。洗濯籠に入ったままだった下着を探し出し、春めいたコーディネートに身を包み、ストッキングを履いて、慌てて口紅を引き5分で化粧を済ませる。そのまま、昨夜玄関に散ばしたままだったパンプスに足を引っ掻けた。
何年か前に買ったわりと気に入っているバックを肩に掛け、もうそろそろ月曜日の朝を廃止する法案を作って欲しい、と思いつつ今日も駆け足で出社する。
この春、思い切ってショートカットにしたばかりの髪の毛がすーすーして、少しばかり気になった。寝癖がついていないかも気になるところだが、今朝ばかりは妥協するしかないだろう。会社に行ってから、女子トイレの鏡の前で直すしかない。
近所のドラックストアで購入した完全栄養食品を口に放り込むと、昼食はこの間雑誌に載っていたフレンチがいいなぁなどと思いつつ、やたらと反響する安アパートの階段を駆け降りる。
大人になり、食べ物の好き嫌いに関して、怒られることがなくなると、好きなものだけを食べ、嫌いなものは手をつけないという、己の偏食は再び復活した。
それどころか、親元を離れて一人暮らしを始めると、怒られることがなくなったせいか、物心付いた頃から今までしつこく言いきかされたはずの、しつけは呆気なく崩壊してしまう始末だ。
例え、スナック菓子を食べて夕食が入らなくなろうが、お風呂上がりにパソコンの前でパンツ一丁の姿でネットショッピングをしようが、飲み会の後に「アンタ、誰」という名前も覚えていない男と一緒の布団で朝を迎えようが、まったく本人の自由意思なわけで、一般的な20代独身女性の品行方正などこのようなものだろう(たぶん)。
大人って素晴らしいなぁと自由を満喫する反面、最近では物寂しさを感じてしまう、そんな贅沢なこの頃である。まぁ、憂鬱なことと言えば、一つだけ。週明け仕事始めの朝である。
(サイアク。爪、せっかくネイルサロンで綺麗にしたばっかりなのに禿げちゃってる…)
平素なら、仕事の日は目覚まし時計の音が鳴る10分前には自然と起床出来る哀しき社会人の体内サイクルが習慣化していたというのに、本日は何故か、予定より30分も遅く起床してしまった。つまりは、前述の通り未曾有の寝坊事故だ。
実を言うと、昨夜のレストランで付き合って随分経つ恋人に「おまえ、実はオレのことを愛してないだろう」と言われた。なので、「今頃、気付いたの?」と目の前のフルコースのディナーを上品に平らげつつ驚いた顔で教えてあげたら、何故か別れを切り出された。
まぁ、そんな遅刻理由など上司に報告できるわけがないので、言い訳にもならないだろう。
(度量の狭いオトコだよなぁ…。なにも、あんなに怒ることないのに。せっかくのディナーが台無し)
そう言えば、会社の給湯室で、己の恋愛観がおかしい、と指摘されたことを思い出す。
「あんた、今までの彼氏とはどういうきっかけで付き合ったわけ?」
「食べ物をご馳走してくれたからだよ。だって、少なくともいい人だなぁ~って思えるじゃん?」
「ごめん…、あんたの判断基準が頭痛い。じゃあ、あんたって奢ってくれたら誰でもいいわけ?」
「誰でもいいわけじゃないわよ。ちゃんと選んでるわ、食べ物の質で」
「………」
同期の同僚に、真顔で言ったら何故か引かれた。ああ、でも近くに居た新人の男子社員が「それなら先輩、オレと飯行きませんか!?」と会話に乱入してきたのには驚いた。
確か、この春入社してきたばかりの新卒の子。自分にはない初々しさで、顔を真っ赤にさせちゃって可愛いなぁとは思った。だけど、はっきり言ってあんまりタイプじゃない。だって、大学を卒業したばかりの学生なんて、まずお金を持っていないでしょ。(なんと言うか、勢いだけって感じだし…)確かに、顔も悪くなく、性格も悪くないんだけどなぁって思うけど、異性としては、どうかな。可愛い、子犬ちゃんって感じを抜け出せないことを否めない。
それに、食事に行ったらよくて割り勘。下手したら先輩であるあたしが奢りよ?
〝奢り〟だとぅ?そんなもの、あたしの辞書には載ってない。
拳を握り、遅刻に急ぎつつもゴミステーションに寄って、先週から出しそびれていたゴミを捨て、ふと自分のアパートを振り仰ぐと、
「ぶっ…」
危うく完全栄養食品で有名な朝食を吹き出しそうになってしまう。何故かと言えば、男同士のキスの現場を目撃してしまったから。
(うっそ。本物って初めてみちゃった…)
それも、あれは確かお隣の、名前はなんて言ったっけ。うずまきナルトくん?引っ越しの挨拶を、わざわざしてきた今時珍しい現代っ子だ。やたらと派手な雰囲気の髪色だったわりには礼儀正しい印象だったから、よく覚えている。確か高校生で、一人暮らし。たまに、朝にすれ違ったりする時、挨拶などもするので、密かにあたしの中では好印象な子。
(あ…、可愛い)
普段はオトコノコ、オトコノコしているくせに、恋人らしき相手の男に、キスをされた後、はにかんだように笑う姿が、とても綺麗だった。
(お相手は謎の銀髪の男っと)
めもめも、ってどこにメモすんじゃい、とコンマ数秒の自分ツッコミしつつ、ついつい急ぎ足を止めてしまう。
(お。結構、いい男じゃない。年恰好から見るに年上かしらぁ…。うずまきくんってば、なかなかやるじゃん)
抱き合う銀と金を前に完全栄養食品を咥えつつ、
(うーん、少年よ。その歳にして随分難儀な恋に落ちたものですね。いやいや、お姉さんは応援しますよ。なにしろ、お姉さんは自由恋愛主義者ですからね)
ついでに、飽食主義者なのです、とヒールをアスファルトの地面に叩き付ける。
(大事にされてるんだなぁ…)
頬を撫ぜられて、きゅうっと目を細めている顔。愛されると人間とは心身共に美しくなるのだ、とこの春電撃入籍をした知人が言っていた気がする。
(うーん。朝から、見せつけられてしまった気分ですよ)
思わず、自分の半生の恋愛遍歴というものを思わず振り返ってみる。…食に彩られた戦歴ともいう。自分の中での絶対的な価値観をブレることなく、貫き通して来たと思うが、その代わり二十代の半ばにもなっていると言うのに、誰かをきちんと好きになって、というようなまともな恋愛はしていなかったかもしれない。
そもそもそういった感情に興味はなかった。おいしいものをご馳走してくれるなら、付き合ってもいいかな、というお手軽な恋愛観。
だから、続かない。奢ってもらえれば誰でもいい。人の中身なんて見て来なかった。
(こういう自分、結構気に入ってたのになぁ。なんだかアテられちゃったなぁ…)
〝先輩!〟と叫んだ新入社員くん。そろそろ、本気で恋をするべきかしら?割り勘か、下手すればこちらが奢り。そんな誘いにノる女じゃないって、いうのが昨日までの(つい今朝までの?)あたし。年を重ねるにつれて、高く、高く、頑なになった、あたしの、ぽりしぃ。
とりあえずは、新しい定規で男を見る目を養ってみますか。この歳になってそれはきっついなぁ、と思う反面、今までの勉強不足が祟っただけなのだと拳を落とされた気分。
まぁ、新しい自分出発記念に、あの新人くんの夕食の誘いにのってやらないこともないかな、と思い直す社会人うん年目の春。そんな或るОLの優雅ならざる朝の始まりである。
つまりはカカシさんはにゃるとさんの家にお泊りしてたようです良かったねという話を書きたかっただけです。
箸にも棒にも心にも引っ掛かんないよ!なのばかりで申し訳なくアスファルトとお友達になるくらい土下座すれば、アップしてもいいかな、と…つまりはごめんなさい。
カカナル(なんとなく繋がっています)
アカデミーのブランコと少年 + 後日談
そして始まりの猫はニャーと鳴いた
路地裏のきみに恋をした
No call,No cry
硝子玉の眼をした子供が唄う夜
眠る君の瞳に恋をしていた
そして上忍は今日もフラれる1 2 3 完結
1億飛んで何光年の距離? イルカ先生、大絶叫注意報
神さま、勝てそうにありません
上忍先生絶賛片思い中
仔狐捕獲計画
涙色ドロップス
メランコリニスタ シンドローム
木の葉イエローの得意技は敵をばったばったと恋に落として味方に引き入れること。
原作さんとそう変わらないですね。
原作さんとそう変わらないですね。
ナルトはそんな時代のニューヒーローです。
ところ変わって、ここは木の葉学園。1-Bの教室の前。生徒たちがそれぞれに談笑する中、一際大きな声が上がる。
「ナルトくん。好きです。どうしたら、ボクの恋人になってくれますか?」
「おまえ、オレのことを暗殺するために転校して来たんだろ!?その任務はどうしたんだってば!!」
「ナルトくんのおかげで人を愛することの素晴らしさに目覚めました。だから、ナルトくんのことは殺せません」
「うぎゃああああ、オレってばそういうのは、もうノーセンキューっ」
サイの熱い告白に対して、ナルトは必死に学内を逃げ回る。二人が高速で移動するたびに、廊下に煙が起こった。
「……〝もう〟、ですか?」
ナルトの発言に対して、サイは赤と青のコードが通っている機械仕掛けの首を捻る。
「あいつには、とんでもねぇ番犬がくっついてるんだよ」
サイの疑問に答えたのは、部活に向かう途中だった竹刀を背負ったサスケだ。
「へぇ。ナルトくんが犬を飼ってたなんて知らなかったよ」
「おまえな。少しは言葉のニュアンスを汲み取れよ」
「すいません。なにしろ、ボクはアンドロイドですから。まだそう言った微妙な言い回しの意味は理解が出来ないんですよ」
「ちっ」
「出来れば、ナルトくんから人間のデータを取りたかったんですが…。逃げられちゃいましたね」
サイはそう言って、残念そうにナルトが消えた廊下を見詰めた。
「はー。はー。サイの野郎。わけがわからないってばよー」
空気の読めない発言ばかりする転校生のサイに、拳を振るって熱くお説教をしていたら、なぜだかいつの間にか好かれていた。その上、〝よければ男同士でお付き合いしたいんだけど〟、という告白をされる始末だ。どのような経緯でそのような結果に至ったのか、とんでもないことをいう青年だ。
病気で1年留年した海外からの帰国子女だとか言っていたくせに、蓋を開けてみれば、根だとかいう敵の刺客で?年はナルトたちより1歳上に設定されたアンドロイドらしい。しかし、実際にはまだ生後1年足らずの赤ん坊同然だというのだが。
(ったく。そんな奴、刺客に寄こすなってばよ~~)
ゼーハーゼーハー、ナルトが肩で息をしていると、カツン…と紫にラメの入ったパンプスが木の葉商店街のアーケードを踏んだ。
「………?」
ふんわりと香った白粉の匂いとその人物の化粧の奇抜さに、木の葉商店街の店長であるオヤジたちが仰け反る。
「ここであったが、百年目…。木の葉レンジャー、この恨み晴らさせて貰うわよ」
ひゅるるるーと木枯らしが木の葉商店街に横流しに吹く。突然現れた謎の人物に、ナルトは身構えた。
「ひゃくねん…?オレってば、まだ16年しか生きてないってばよ?」
「小うるさい子ね!物の例えってものがわからないのかしら!?」
ぴしゃりと、一蹴されて、ナルトは目の前に現れたオネエ言葉の謎の人物に大いにビビった。
「ふふふ~。私は悪の蛇軍団の団長…、大蛇丸。木の葉商店街の男共をみんな性別不明にしてあげるわぁ」
紫の薔薇がどこからともなく舞って、なんのことはない、大蛇丸の背後で部下のカブトが巨大扇風機で花を散らしているだけなのだが、「うわ。むわっとするってば!!」ナルトは仲間を呼ぶために携帯を片手に戦く。
「な、なんて恐ろしい敵だってば!!―――あ、サスケぇ?県大会の練習どころじゃないってばよぉ~!!木の葉商店街のピンチだってばぁああっ」
「ふふふ。木の葉レンジャー、私を倒せるかしら!?」
「オレってば、負けないってばよっ?ご近所のボランティア活動のゴミ拾いで鍛えた足腰の力と腕の素早さをみせてやるってばよ~!」
うりゃー…!とナルトが、敵に向かって拳を繰り出した。どがぁ、と大蛇丸の後ろにあったゴミバケツの中身が散乱する。
「ふん。まだまだ甘いわね…」
空き缶や魚の骨が宙を舞う中、大蛇丸は優雅に黒髪を靡かせる。
「貴方の実力はこんなもの?性別の垣根を越えた私の力は底知れないわよ?」
「今までになく手ごわい敵だってば。オレだってトラとの死闘で培ったヒーローとしてのど根性を見せてやるってばよ!!」
ナルトは思い切り大蛇丸に向かって突進する。そして、「うああああ!?」
張り切り過ぎて廃品置き場に転倒をかました。
「………」
あちゃー…とどこからともなく額に手を当てる人が続出する中。
「………。ナルトくん。あなたって、もしかしなくてもドジっ子ヒーローって奴かしら…?」
「な、なんの話だってば!?」
顔を赤くさせたナルトが、粗大ゴミの中から飛び出す。
「まぁ、いいわ。さぁ、私を楽しませて頂戴?」
それからもナルトは螺旋丸を繰り出し失敗したり、禁断の九尾パワーを炸裂させたりしたが、戦いは蛇の尾のように長引いた。
「な、なんて、恐ろしい子…。天然で木の葉商店街をここまで破壊するなんて…。悪の組織以上の才能だわ」
大蛇丸は、半壊した商店街の様子を見て口に手を当て戦く。「貴方、本当にヒーローなの?」と頑張り屋ナンバーワンご近所の治安維持ヒーローに禁断の質問をして、
「うるせぇってばぁああっ。最初は誰だって初心者なんだってばよぉ!!」
ナルトがまたしても大ぶりの攻撃を繰り出した。
「あら、図星?こんなことでムキになってるくらいじゃ私は倒せないわよ?」
大蛇丸が易々とナルトの拳を受け流し、ひらりとスリットスカートをひらめかす。
「く、くそ。くねくねした動きのせいでちっとも当たらないってば…」
ナルトは肩で息をしながら、大蛇丸を睨む。と、そこで少年はあることに気が付いた。「んん…?」静止すること十数秒。ナルトは、じぃっと大蛇丸を凝視する。
「あ、あれっ。あんたって…?」
先程まで敵を倒そうと息巻いていたナルトが、なぜか大蛇丸を不思議そうに見詰めている。
「何よ?」
「……ええっと。兄ちゃんなのに、姉ちゃんなのか?」
ナルトの発言に、大蛇丸は「ぐはぁ…」と物理的攻撃を喰らったかのように蹲る。
「ふ…。流石ね、ナルトくん。ここ一番という時に人の傷口に無断で腕を突っ込むようなマネをするなんて…。なかなかの攻撃だったわ」
「大蛇丸様、しっかりして下さい!!」
建物の陰に隠れていたカブトがすかさず大蛇丸の元へと駆け付ける。
「こう見えても大蛇丸様は羽化したてのモンシロチョウのように繊細なんですよっ。その大蛇丸様なんて酷いことを言うんですか!!心の傷は治り難いんですよ!!」
カブトは、涙ながらに正義のヒーローに訴えた。
「え?へ?何が?」
しかし、正義のヒーローはどこまでも鈍感だった。
「おのれ、またしても。黄色の閃光の息子め~」
カブトに支えられながらも大蛇丸は、怨嗟を吐き出す。
「え、父ちゃんのこと、知ってるんだってば?」
「知ってるも何も、私はねぇ、あんたの父親と同期の先代木の葉レンジャーよ。一度はリーダーの座を争ったほどの間柄だったわ、ねっとりとね。それを、それを、〝大蛇丸さんって化粧濃いですよねぇ〟〝すいません、オレって正直者で〟だぁああ!?乙女心を傷つけられたこの恨み晴らさずにおくものですかぁぁっ」
あれは大蛇丸がまだ木の葉レンジャーとして活躍していた時のことだった。当時、大蛇丸は次代のリーダーかとまで噂されるほどの実力の持ち主であったが、「大蛇丸さんってちょっと化粧濃いですよねぇ」と先代黄レンジャーの心無き一言で、彼(彼女?)のプライドはズタズタにされたのであった。それ以来、大蛇丸は木の葉戦隊を抜け、木の葉レンジャーに復讐を誓ったのだ。
「お、乙女っ?」
ナルトは大蛇丸のあまりの剣幕に戦いたものの、
「あんたって、姉ちゃんだってば?なら、木の葉、ぴ、ぴんくだった人ってば?」
大きな目をぱちくりさせながら、そんなこと言った。
「ピンク…??」
ナルトの一言にメデューサのようになっていた大蛇丸の怒りが止まる。
「オ、オレ、女の人なのに殴ろうとしてごめんなさいってば。オレってば全然気付かなくって…」
〝すいませんでしたってば〟とナルトはぺこりと頭を下げる。しおしおとしたナルトの態度に、大蛇丸は蛇眼を見開いて、正義のヒーローを凝視する。そして…。
「あらぁ!?あ、あなた…っ!!すごく…可愛いじゃない!?」
「え?」
「あの男の息子のくせに、こんなに謙虚に育つなんてねぇ。あの遺伝子を受け継いで奇跡としか思えないわぁ」
つつつ、とナルトの頬に手を添え、性別両性類は怪しく笑い出した。くいっと上を向かされて、ナルトはぽかんと大蛇丸を見上げる。
「ふふふ。それに、よく見れば男前ね。あの男も顔だけは、良かったのよねぇ。性格は最悪だったけど…」
天は人に二物を与えずとは言うけどねぇと大蛇丸はつくづくため息を吐いたあと、
「私のコレクションにならない?ナルトくん?」
「ふぁ、え?何の?」
「ふふふ。そういう鈍感なところも可愛いわ。本当はあなたみたいな元気な子はあんまりタイプじゃないけど、特別よ。天然でやんちゃな性格の元気っ子。いいわぁ、今すぐにでも食べちゃいたい」
完璧アウトです、という台詞を呟いた悪の蛇軍団の団長はそのまま正義のヒーローと共に薔薇色の世界を繰り広げようとしたが、瞬時氷点下まで下がった空気に、「―――っ」瞬間的に身を引く。
「―――いやぁ、ははは。手が滑っちゃいました」
そこにいたのは、ラフな普段着を着たはたけカカシだった。カカシが投げつけたネギは大蛇丸の頬を見事にかすって、壁を貫通しダーツのように刺さっていた。大蛇丸は、向けられた殺気量に笑みを零す。
「あらぁ。貴方、魔王のカカシくんじゃない。相変わらず凄い魔力ねぇ。それに変わらずいい男…。最近、悪の組織を結成したって聞いたけど、どうしてこんなところにいるのかしら?」
ふふふ、と笑った大蛇丸の頬に薄らと血が伝う。
「あー、アレですか?今は魔王やめて、そこの子の専属になったんですよ、オ・レ」
ニコニコと笑いながらも銀髪の男は、先ほど大蛇丸が攻撃を避けた瞬間に目を回して倒れている少年を抱き起こすことを最優先した。そんな青年の行動に大蛇丸は、少しばかり驚いたようだ。
「ふぅん。つまりもうナルトくんは先約済み、ということかしら?」
「そうでーす。今はオレの腕の中で可愛~く育ててる最中なんだから、邪魔しないで下さいね?」
「あら。ぺろりと食べちゃわないなんてカカシくんにしては随分と過保護なことねぇ…?」
「好物はじっくり味わうほうなんですよ、オレは」
「へぇ。余裕なのね?そんなこと言って、横から美味しく頂かれても知らないわよ?」
お互いにどす黒いオーラを出して、牽制し合う大蛇丸とカカシ。蛇と狼に挟まれて、ぷきゅう、と正義のヒーローは気絶をしている。
「はぁ…」
とお付きのカブトがため息を吐いた時だった。そこで目を回していた少年が覚醒する。
「あ、あれ。カカシ先生っ!?なんで!?オレってば。気絶しちゃってたってば!?」
「おはよう。今日もたくさん頑張ったねぇ。ナルト…」
意識を取り戻したナルトは、こめかみにちゅっと落とされたキスに飛び上がる。カカシの腕の中にいる自分に驚きを隠せないし、キスを受けている自分の事態も上手く飲み込めないらしい。蛇軍団の二人は、そんな元魔王と正義のヒーローの珍妙な風景にぽかん顔だ。
「あぁっ。オレってば、こんなにお店を壊しちゃってたってば。おっちゃん方に謝らねぇとヤベぇってばよぉ~」
「うん、うん。そうだねぇ。ナルトは偉いねぇ」
わたわたとカカシの膝から起き上ったナルトは、すぐさま商店に向かって走り出していた。
「転ばないように気を付けて行っておいで~?」
ほのぼのとした様子でナルトの後姿を見送る魔王の姿に、カブトは戸惑いを隠せない。
「イノイチとチョウザのオジちゃーん。またお店ぶっ壊しちゃってごめんってばよ~!!」
「はぁ。まったくナルトくんは頑張り屋さんも程々にしないとねぇ…」
「そうだよ~。怪我してなぁい?」
店主と少年のやりとりを傍観しつつ、カブトは呆れたようにため息を吐いた。
「驚きましたよ、カカシさん」
「な~んのこと?」
あの子のことですよ、と丸眼鏡の青年は顎をついとしゃくる。視線の先には金髪碧眼の少年の姿。
「うずまきナルト。どう見たって、ただの人間でしょう?あの子のどこにそんな魅力があるんです?お世辞にも知能が高そうには見えませんでしたし、貴方の興味を引くとも思えませんでしたが…?」
カブトの苦言にカカシは肩を僅かに震わせて笑った。
「カブトだっけ。きみもまだまだねぇ」
「何がですか?」
「あの子の良さがわからないなんて、っていう意味かな?」
意味深なカカシの言葉に、カブトは眉間に皺を寄せ、むっとしただけで終わった。
「…変わりましたね。カカシさん。前に会った時はもっと気の合う人だと思ってましたが、今ではすっかり牙が抜けてしまったご様子で残念です」
カブトは軽蔑しきった視線をカカシに向ける。しかし愛に目覚めた元魔王はまったく意に介していないようだった。そして、そんな二人の元に、少年が駆けて来る。
「そこの兄ちゃん!」
「―――は?」
そう、そう。あんた、あんた、とナルトに指名されたカブトはぽかんとした顔で固まる。
「名前、なんてぇのっ!?」
「カブトですが…」
「カブトさん!今回はオレの負けだってば!」
「………?」
「でも次にこの商店街に何かしたらオレってばヒーローの名に賭けてぜってぇ負けねぇからな!」
カブトは唖然として少年の後姿を見送る。二人のやりとりを無言で見ていたはたけカカシは「あの子、眩しいでしょ」と我が事のように誇らしげに笑みを零した。
「いやぁ正直、オレはナルト以外の人類がどうなろうがまったく関係ないけどねぇ」
「は…?」
「ついでに言えば、世界がどうなろうと知ったこっちゃないし?この商店街にも何一つ愛着も未練もないよ?」
だけどね、とカカシがほのぼのとした表情のまま続ける。
「ここにはあの子がいるから…」
まるで宝物を見付けたように元魔王は視線を落とした。
「ナルトは、この商店街が大好きなんだ。だから、ナルトにとってここが大切な場所だって言うなら、オレも大事にしてあげたいし、愛着がわかなくとも、ナルトがここを守りたいと言うなら、オレも力を貸してあげるだけ」
人間の中に混じるのって、疲れるけど、ナルトのためだと思ったら、出来ちゃうから不思議だよねぇ~、愛だよねぇ~、とカカシは、苦笑して、目を細める。
「だから。今後ナルトに手出しをしたら、…―――殺すよ?」
まるで鋭い刃物で首を掻き切られたかのような錯覚。そこには狼と恐れられた男がいた。途端に伝った冷や汗に、カブトは身震いする。
「それはボクへの牽制ですか」
無言でニコニコするカカシに、カブトはごくりと唾を垂下する。
「カカシさん。貴方って人は…本当に恐ろしい人ですね」
「なーにが?オレは愛に目覚めちゃったしがない専業主夫だよ~ん。さぁ、さぁ、帰って夕御飯の仕度しなくっちゃ」
カカシはスキップをしながら、ナルトに飛びつく。狼に懐かれて、うわわわ、と飛び上がる羊飼いの少年のように、慌てふためくナルトの悲鳴が商店街に短く響く。
「ナルト♪今日のご飯はぁ~、なんとオレの愛情たっぷりの特製味噌ラーメンで~す!」
「あ、え、でも!オレってば木の葉商店街のお店をいっぱい壊しちゃったから片付けないと…!」
「大丈~夫。あとはオレの元部下たちに任せておけばいいから~♡」
「ええ、あの人たちはもう解雇したんじゃないの!?」とナルトは驚いて、カカシに抵抗したものの、「いいんだよー。あいつら好きでオレの犬奴隷になって無報酬で働いてくれるんだからぁ」というカカシの恐い発言にさっくり押され、文字通り後ろ髪引かれながら5時を知らせるメロディと共に木の葉商店街から退場する。
「ヤマトさん。いつも通り店舗の修復、お願いします。困るんですよねぇ、毎回。ナルトちゃんはともかく、貴方方は大人なんだから、しっかり責任とって下さいね」
木の葉商店街オヤジーズは しっかり木の葉レンジャーの損害分を請求し、店舗を新築に建て直して貰うのだった。こうして、木の葉商店街は毎回復興して行く。おっちゃんパワー恐るべし。
カカシにお姫様抱っこをされて帰宅したナルトは、アパートの前で己の帰宅を待っていたらしい同級生に驚かされた。
「サイ…!?」
「どうも。こんにちわ。ええと、用事があるのはナルトくんじゃなくて…」
「ナルト~。なんかあの子。オレに話があるみたいだから、先に家に入ってなさい?」
「え?う、うん?」
ナルトは地面に下ろされると、カカシに促されるまま階段を上がって行く。
「で、何かな?」
二人っきりになってようやくカカシが口を開く。ナルトがいた時とは違い、かなり素っ気ない態度だった。
「サイと申します。見た目の年齢はナルトくんより一つ年上ですが、今日から人権を放棄してナルトくんに飼われることになりました」
「へぇ」
「確かサスケくんがナルトくんの家には、紐で職無しのニート男がいると聞いていたのですけど、あなたですか?」
ニコニコと悪気のない顔で微笑むサイに、カカシはニッコリと激怒する。
「カカシせんぱぁい。ボクに全部押し付けて置いて行っちゃうなんて酷いですよォ」
丁度その時、間が悪いのか、運が悪いのか、商店街を修復し終え戻って来たらしいヤマトが、現れる。
「テンゾウ。面白くないからそこのマンホールに頭突っ込んで来て、今すぐ」
「突然っ!?」
ボク、死んじゃいますから!!とカカシに冷たい魔王の視線で見降ろされ、ヤマトは冷や汗を掻いた。このあとしばらく「カカシ先生。ラーメン伸びちゃうってばよ~」とナルトが顔を出すまで魔王様のブラックモードは続いたらしい。
夜。サイを追い返し、夕飯を食べ、風呂に入る。そして、ナルトは先程からかなりきつくカカシにキスマークを付けられ続けていた。
「ん…っ」
風呂上がりの火照った身体に、カカシの唇が落ちるたび、ナルトは小さく声を上げている。親の人肌すら知らずに育った寂しがり屋の少年は、スキンシップに飢えているという生い立ちで、住み込み魔王の成す過剰な求愛行為にすら、あらがうことが出来ずにいた。
「ひっ」
歯を立てられ、ナルトは怯えたように、背後を振り返る。後ろから腕で抱っこされるようにして囲われているので、体格差からナルトの逃げる道はない。
「んー。ちゃんとオレのだってマーキングしておかないと虫けら避けにならないでしょ?もう、ちょっとだからごめんね?」
「~~~っ」
また強く噛みつかれ、ナルトは何度も悶絶する。カカシはふっと笑って、真っ赤な花を咲かせているうなじに今度は優しく口付けた。
「今日も最高に恰好良かったよ、ナルト。オレ、惚れ直しちゃった♪」
お決まりの睦言を囁き、少年をぎゅうっと囲っていると腕の中の少年が身じろぎした。
「ん?どうしたの?」
「あ、あの、さっ!カカシせん、せぇ…」
珍しく歯切れの悪い少年にカカシがもう一度「ん?」と首を傾げる。
「あの、さ…せんせぇ、。オレ…、このままヒーローを続けていていいのかなぁって時々思うんだ」
「ナルトはどうしてそう思うの?」
「オレ、父ちゃんのマネをして木の葉レンジャーをし始めたけど…。ちゃんと皆の役に立ててるかなぁ?」
ここ数日、ナルトが何かを思い悩んでいるのは知っていた。あえて訊ねなかったのは、ナルトから打ち明けてくれるまで待っていたからだ。だけど、少年の言葉にカカシは苦笑した。
「ぷっ。くくく」
「あ、ひ、ひでぇっ。オレにとっては重大な悩みなのにっ!」
「あはは。ごめんごめん」
またナルトの肩口に口付けを落としながらカカシはくつくつと笑い声を漏らした。少年のうなじが真っ赤に染まる。
「大~丈夫。ナルトは立派なヒーローだよ。オレが保証する。だって、オレを救ってくれたヒーローはおまえでしょ?」
「でも、オレ。このままヒーロー続けて、カカシ先生に見合った人間になれるかな…」
「オレはどんなおまえでも好きだけどねぇ~」
「~~~っ。だって、カカシ先生は、もっと贅沢な暮しがしたいとか思わねえ?」
「んー。ナルトはそう思うの?」
「カカシ先生は元魔王じゃん。魔王は、こんなボロアパートに住んでねぇと思う。オレがもっと立派なヒーローだったらカカシ先生に買い物なんて行かせなくってもよくなるってば」
どこか、拗ねたような少年の口調に、カカシはクスクスと笑った。カカシにしてみれば、まだたった16年しか生きていないこの少年の葛藤が愛おしくて仕方がない。
「うーん。ナルトは、もっとお金持ちな暮らしがしたい?それなら、どこかの国をオレが征服してあげる。宝石が欲しいなら、おまえの目よりも大きなのをあげるよ?」
「………っ?」
「簡単に出来るよ。おまえが望むなら、全部叶えてあげる…。でもね、それがおまえの目指すこと?違うでしょ?おまえは立派な正義のヒーローになりたいんでしょ?」
「カカシ先生…っ」
まさか元魔王から、こんなふうに優しく諭されるとは思わなくて。思わずナルトは感動から涙ぐんでしまった。瞳を潤ませたナルトを見降ろして〝可愛い…〟とカカシがくすっと笑う。
「オレはどんなおまえでも嫌いになったりしないから、安心して」
「カカシせんせぇ…」
「でも、その代わりオレの傍から離れないで。おまえがいなくなったら、オレ、暴れちゃうからね?」
世界、滅ぼしちゃうからね? 無邪気な笑みを浮かべ、カカシが甘えた声を出す。ナルトが瞠目していると、くすっと、カカシは微笑んだ。
「冗談で~す。あのね、オレはここでナルトとこうしてるだけでいいよ。それが一番幸せ…」
カカシはナルトを抱え込むと、金糸に顔を埋める。あぁ、落ち着くとため息を漏らされ、ナルトは戸惑った。
「あの…さ。カカシ先生はオレといて、幸せなんだってば?」
元魔王の腕に囲われながら、ナルトは恐る恐る訊ねる。きょとんとしたカカシの顔が、今日で一番破顔した。
「もちろんっ。オレはナルトの一番のファンですから~」
蕩けそうな顔で微笑まれ、何故かナルトは酷く泣きそうになってしまった。涙のわけなど、わかりはしないが、明日も彼に尊敬されるような正義のヒーローでいたいと思った。
二人は同じ布団で寝てます。しかし手は出してません魔王はイエローのことをひたすらに大事にしてます。さーの一族が「オレたちのホスト話は!?」って言ってる気がする。ここ…カカナルサイトだから。話のまとまりの関係でイタチさんが出す場面がなく個人的に残念。魔王が悪いんだ。
まさか続くとは。コメント残した猛者たちの勝利。全2話。魔王カカシが全力で木の葉レンジャーの前に立ち塞がる敵をぶち倒すという恐ろしき悪の話。(精神面の圧迫含む)
「今日の木の葉レンジャーの任務は凶悪な脱走常習犯の捕獲だってばっ。ご近所の平和はオレたちが守る!!」
今日も今日とて、木の葉レンジャーは木の葉商店街の平和を守るため大活躍だ。俊敏な足を活かし、リーダーナルトを先頭に、商店街に紛れ込んだ凶悪脱走犯を追う。
「って、うわわ、引っ掻くなってばよ~、トラぁあっ。諦めて、セレブマダムの飼い猫に戻れってばぁああっ!!」
木の葉イエロー…正体は言わずと知れたナルトは、捕獲した猫を抱っこした途端盛大に顔を引っ掻かれ、悲鳴を上げる。
「だから、軍手を嵌めてから捕まえろって言ったのに。あのドベ」
「ナルト。今度からこの依頼の時はマスクぐらい被ればいいんじゃなぁい。ほら、ヒーロー戦隊なんだし?」
木の葉レンジャーの衣装は、市販のジャージだ。動き易いこととドジなナルトが毎回転ぶことを考えた結果、こうなった。黄色のナルトに始まり、サスケは青、シカマルは緑、チョウジは激辛カレーの色を採り赤である。女子のサクラだけはダサジャーの被害から逃れ(謹んで辞退をしたともいう)、学生服の下にスパッツを着用している姿だ。ちなみに全員ノー覆面である。なぜなら…。
「オレってば正義のヒーロー!みんなのためにいいことしているのに、顔を隠す必要なんてないってば!!」
ナルトは腕の中で暴れる凶悪な猫に奮闘しながらそう答え、イエローの暴走に遅れて追いついて来たサスケとサクラのコンビが、やれやれと言ったふうにため息を吐いた。
「あれぇ…。ナルトだぁ。今日って木の葉レンジャーのお仕事の日だったけぇ?」
そこに、気の抜けた男の声が掛かった。
「うわ、カカシ先生っ?どうしてここに居るんだってば!?」
「んー、夕飯の買い出しだよー。今は、タイムセールの帰り。今日は秋刀魚が安かったからねぇ」
漫画に出て来るような古典的な買い物籠を腕に引っかけたカカシはのんびりと笑いながら、ナルトと猫の傍に近寄った。
「ナルト。その怪我どうしたの?」
「え、あ。これは…」
ナルトの顔には猫に引っ掻かれたことが明白な傷があった。カカシはニコニコとした表情を崩さないまま、ひょいっと屈み込むとナルトの腕に抱かれた猫を覗き込んだ。
「ん。おまえ、ナルトに迷惑かけたらだ~めだよ♡」
にこぉ~…と元魔王のカカシが一見優しそうな笑みを向けると、ぞわわわ…っと猫が死にそうな顔で硬直した。どうやら、野生の本能で生命の危機を感じ取ったらしい。
「あ、あれ。こいつってば急に大人しくなったってば!?」
「ん。流石ナルトだねぇ。きっとこの猫もナルトの秘めた実力に恐れをなしたに違いないよ~」
「へ?は?そ、そうなの、かな?」
腕の中の猫は完全に放心したような表情のまま、固まっている。ナルトは、少し疑問に思ったが、「んー。今日も頑張るナルト、可愛い」ちゅう…、とカカシに不意打ちのキスをされ、そのまま固まってしまう。
「うわ。な、な、な、なっ。なにするんだってばよーーーっ!!」
どっかん、と活火山が噴火するかの如く、ナルトの顔が真っ赤になる。
「カカシ先輩。引退したとはいえ、流石は元魔王。立派な公共猥褻罪です…!」
ヤマト含め、イーッの動物面集団が静かに感動の涙を流す中、やはりマスクは付けた方がいいかもしれない、とほっぺにちゅうで戦慄く正義の味方の悲鳴が、今日も木の葉商店街に響いた。
「ナールト。はやく、家に入りなさいよ~」
建て付けの悪い扉を、ぶさいくな犬のキーホルダーがついた鍵で開けつつ、後頭部を引っ掻きながらカカシはナルトの方を振り返る。
「う、うん」
カカシに促されながらもナルトはやたらと音のうるさい階段を上る。築30年は経過しているであろうアパートは、ナルトの生家だった。
(やっぱさ、やっぱ似合わねぇよな…。引退したとはいえ、悪の組織のボスがこんなボロアパートでのほほんとしているとか…)
カカシが〝専業主夫〟として、一人暮らしのナルトのアパートに押しかけてきて早一カ月。以来、カカシは昼間は学校、放課後は木の葉レンジャーの仕事に忙しいナルトのため、炊事洗濯を一手に引き受けている。当初こそ、銀髪、オッドアイ、左目に傷付きの男を、ご近所にどう説明しようかと思い悩んだナルトだが、カカシが暇つぶしに取ったという本物か偽物か出所の疑わしい〝教員免許〟を大家に見せ、尚且つナルトに〝カカシ先生〟などという呼称で呼ばせたことで、事態は簡単に片付いた。
それに、カカシはああ見えて社交的な一面も持っているらしく、最近では近所の奥様方とも「夕飯の献立の話」をするなど、案外上手くやているらしい。
(カカシ先生って主夫とか言って実はなんでも卒なく出来るし、要領もいいし、オレより百倍くらい物知りだし…)
ナルトは、近所の主婦等に囲まれてきゃあきゃあと言われているカカシを思い出す。それに比べてナルトと言えば、近所の犬に追い掛けられて半泣きになる弱小ヒーローである。
(もしかしたらオレってば、カカシ先生にとってすげぇ足引っ張る存在…?)
「―――……っ」
ズキン…と心が痛む。なぜだかわらかないが、酷く哀しかった。
「どうしたの。ナルト?」
「うぁ、カカシ先生。顔が近いってばっ」
「だって、近寄らないと顔の傷の手当て、出来ないでしょ?」
「――あ。ごめんってば」
「ったく。こんな引っ掻き傷だらけで帰ってきて…。頑張るのはいいけど、あんまり無理しちゃだめだよ~?」
「う…」
「せっかく男前な顔が台無しでしょ?」
そう言って首を傾けると、カカシはニッコリ笑う。狭いアパートの部屋の中で、二人は向かい合って座って居たのだが、ナルトは恥ずかしさから思わず赤面してしまった。
「オ、オレってば男だし。顔の傷くらい大丈夫だってば」
「だーめ。おまえねぇ、せっかく美人な顔に生まれたんだから、傷なんか残っちゃったらもったいないでしょ」
「び、びじんなんかじゃないってば!!」
さらりととんでもないことを言うカカシに、ナルトは慌ててしまう。そのうえ、どさくさに紛れてカカシの顔が近付いているのは気のせいか。やけに近距離にあるカカシの顔をまともに見詰めることが出来ず、ナルトの顔はさらに火照る。
「ナルトはオレのヒーローなんだから、怪我なんてして欲しくないよ…。おまえが傷付いたら、オレ、哀しいよ…?」
「オ、オレ。カカシ先生にそんなふうに言って貰うほど、本当は偉くもなんともないってば…。ドジだし、まだまだ弱いし…っ」
「あのね、オレはナルトの一番のファンなの。おまえのこと、応援したいと思うのは当然でしょ?」
ニッコリと真顔で言われ、ナルトは真っ赤になってしまう。迫る来るカカシに対して、ナルトはワタワタと両手を使って防御をしたが、やがて両腕とも拘束され、あっさりと押さえ付けられてしまう。
「だから、おまえはこのまま夢を追いかけるキラキラしたヒーローでいてね♪」
唇に微笑をのせた元魔王は、正義のヒーローに伸し掛かると、そのまま柔らかな少年の唇に己の唇を合わせたのだった。
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ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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